ついにドラマ「闇金ウシジマくん シーズン3」が帰ってきました。
今までのもシーズン1、シーズン2と映画化もされているウシジマくんですが、深夜枠になって2016年の夏ドラマで放送されます。(MBSでは毎週日曜深夜24:50〜、TBSでは毎週火曜日深夜25:28〜放送となっています。)
今回は原作マンガの「洗脳くん編」の章のお話ですね。ある女性が占いを始めとしたものを信じていくお話です。原作とは違い、映画版Part2にも登場したオリジナルキャラクターでも犀原茜(さいはらあかね)も登場して、面白い展開になってくると思います。二人の取り立て屋はシーズン3でどのように関わっていくのでしょうか?
2016年7月19日(火)深夜25時28分放送のドラマ「闇金ウシジマくん シーズン3」第1話のあらすじ(ネタバレ)と感想を紹介します。
※以後ネタバレ注意
闇金ウシジマくん(シーズン3)1話のあらすじ&ネタバレ

第1話では、ウシジマとカウカウファイナンスの面々よりも、彼らに借金を申し込む人々の背景が丁寧に描かれる。
物語は三人の債務者を軸に進み、それぞれの事情が「闇金」という環境にどう引き寄せられていくかを映し出していく。
ここでは上原まゆみ、結城美奈、小瀬章という三つの視点から第1話を整理する。
上原まゆみ編――占いと「運命の出会い」に溺れるOL
上原まゆみは大手雑誌社で働く普通の女性だが、優柔不断な恋人に振り回され、自分の未来に不安を抱えていた。
仕事も恋愛も不満が積み重なる中、唯一心の支えにしていたのが占い。
彼女は占い師・勅使河原を「先生」と呼び、5万円もする数珠を購入するほど依存している。
占い師から「運命の出会いがある」と告げられたその日、まゆみは雨宿り中に神堂大道という青年と偶然出会う。
彼は見知らぬ彼女に傘を差し出し、不思議な魅力を放っていた。
当初は怪しい男だと思っていたまゆみだが、占い師の言葉を思い出し、彼こそが運命の人ではないかと妄信していく。
神堂の表の顔は穏やかで優しい青年だが、実際は人の弱みに付け込んで支配する闇を持つ人物。やがて上原一家を術中に引き込み、家族ぐるみで洗脳していく。
第1話ではまだその片鱗だけが描かれており、まゆみが神堂の優しさにほだされる段階。この「運命」という幻想が悪夢に変わるまでの過程が、“洗脳くん編”の幕開けとなる。
結城美奈編――家出少女と依存症の母親
一方、家出少女の結城美奈はネットカフェで寝泊まりしながら、身を売って生活費を稼いでいる。パチンコ依存症の母・恵美子に愛想を尽かし、一日でも早く家を出て独立することを夢見るが、現実は借金の連鎖から逃れられない。
そんな中、「母親と二人セットで7万円でどうか」という依頼が舞い込み、母親の恵美子は最初こそ拒否するが、闇金ライノーローンへの返済に追われ、結局は借金のために身を売ることを選んでしまう。
ここで登場するのが、犀原茜と相棒の村井というカウカウファイナンスの取り立て屋コンビ。
犀原は女性ながら暴力的な取り立てで知られ、容赦のない言葉で恵美子を追い詰める。
美奈の物語は、援助交際や母子の共依存といった現代的な問題を浮かび上がらせ、闇金と関わることで転落していく過程をリアルに描いている。
小瀬章編――引きこもりが「貧困ビジネス」に絡め取られる
三つ目の視点は、働く意欲を失った男・小瀬章の物語。
ガスも電気も止められ、家賃の督促にも追われる小瀬は、生活保護の申請を試みるが「健康だから」と断られる。
やがてネットで調べた裏技を使い、貧困救済ネットワークの代表を連れて役所に乗り込み、生活保護を受ける権利を得る。
ようやく電気をつけ、ガスも復旧し、牛丼を食べてほっとするが、隣室ではウシジマたちが債務者への取り立てを行っていた。この初対面が、後に小瀬を深く闇金の世界へ引き込む伏線となる。
さらに、彼が参加した“引きこもり支援NPO”が、実は無垢な老人から金を巻き上げる悪徳団体であることも暗示される。
第1話はその入口に過ぎず、楽な生き方を求めた小瀬が搾取する側へ転じる危うさを示唆している。
ウシジマとカウカウファイナンスの登場
三人のエピソードはいずれも、まだウシジマとの直接的な関わりは薄い。
第1話でウシジマが登場するのはほんの一瞬だ。彼は情報屋の戌亥から占い師・勅使河原と神堂の関係を聞き出し、上原まゆみの背後に潜む洗脳の構図を掴む。
この時点で、ウシジマたちはまだ“観察者”として物語の外側に位置している。第1話は登場人物の堕落と、闇金に手を伸ばす理由を丁寧に描くことに重きを置いている。
闇金ウシジマくん(シーズン3)1話の感想&考察

序盤から重いテーマを投げかける導入回
シーズン3第1話は、導入でありながら視聴者に重い現実を突きつける。
まゆみ、美奈、小瀬の三人に共通するのは「現実から目を背けたい」という心理だ。まゆみは恋人への不信と孤独を占いで埋め、神堂という男に“運命”を見出す。
彼女は一見しっかり者だが、意思決定を他者に委ねてしまう弱さを抱えており、そこにつけ込むのが神堂のような人間だ。
この構図は、占いや自己啓発、マルチ商法など現代の“信仰ビジネス”にも通じる危うさを持つ。
母娘の依存と格差社会の縮図
結城美奈編は、日本の貧困と家族崩壊を鋭く描く。
母の怠惰と浪費に振り回されながらも、見捨てられない娘。恵美子は依存症に陥りながらも、借金返済のために自らを売る。
援助交際、母娘セット売春という極限の現実は、胸を抉るような痛みを伴う。犀原と村井の取り立てシーンは残酷な現実として突き刺さり、暴力と金の支配がいかに人を壊すかを見せつける。
美奈が「お金を貯めて一人暮らしをするのが夢」と語る場面は、格差社会の底辺を生きる若者の叫びだ。
働かない自由の危険性
小瀬章は、現代日本の“働かない自由”の危うさを象徴する。
制度を利用すること自体は悪ではないが、怠惰を正当化する手段として使うとき、それは自滅に変わる。
彼が後に貧困ビジネスに取り込まれ、搾取する側へと転じる展開は、「楽な道」を選ぶことの先にある地獄を暗示する。
社会問題の縮図として、極めて現実的な恐怖を描いている。
ウシジマの影とシリーズへの期待
第1話でのウシジマの登場は短いが、存在感は圧倒的。
法外な金利で貸し付ける闇金業者でありながら、極悪人を制裁する“ダークヒーロー”。
まゆみ、美奈、小瀬の転落が描かれた後、彼がどのように関わり、どのように裁きを下すのか。
この“観察から介入への移行”が、シーズン3の構造的な見どころとなる。
ライターとしての総評
論理的に見れば、第1話は単なる借金ドラマではなく、依存・貧困・怠惰という現代の社会病理を凝縮した群像劇である。
まゆみは“信じたい”欲望、美奈は“繋がりたい”依存、小瀬は“逃げたい”怠惰――この三者の感情は現代社会の縮図そのものだ。
彼らの転落は、「自分の意思を他者に委ねた結果」でもある。
視聴者は彼らを反面教師として見ながら、“楽な道は破滅への道”という教訓を突きつけられる。
ウシジマがどのように彼らの現実を暴き、再び立ち上がらせるのか――その冷酷な論理と希望のわずかな光が、シリーズ最大の魅力である。
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