前回の第7話では、美都が離婚届を突きつけるも受理されず、有島との関係も行き詰まりを迎えました。
迎えた第8話では、美都がようやく「自分の人生を決める」ために新しい住まいを探し始めますが、涼太は牛歩戦術で離婚を先延ばしにし、執着を強めていきます。一方、有島夫妻は動物園で互いの胸の内をぶつけ合い、夫婦の真実が浮き彫りに。
そして美都には妊娠の可能性が浮かび、逃げ場のない現実が突きつけられるのです。ラストに待ち受ける涼太の狂気と涙は、視聴者の心を震わせるものでした。ここでは8話の展開を丁寧に振り返りながら、登場人物たちの心理を考察していきます。
2017年6月6日(火)夜10時放送のドラマ「あなたのことはそれほど」8話のあらすじ(ネタバレ)と感想を紹介していきます。
※以後ネタバレ注意
「あなたのことはそれほど(あなそれ)」8話のあらすじ＆ネタバレ
前回までの第7話で、美都は涼太に離婚届を突きつけるも受理されず、有島とも決別せざるを得ない状況に追い込まれました。第8話ではその余波が具体的な行動へと現れます。
美都は離婚を決意して新しい住まいを探し始めますが、涼太は牛歩戦術のように一日に一画ずつ署名を進め、時間を稼ごうとします。一方、有島夫婦は動物園への外出を通じて互いの本音をぶつけ合い、関係の危機に直面。さらに美都には妊娠の可能性が浮上し、三角関係は新たな局面を迎えました。
離婚と新しい暮らしへの準備
物語の冒頭、美都は涼太との離婚を実現するため、新しい部屋探しを始めます。職場では同僚・森留美が7年交際した恋人との結婚を報告し、美都は「そんな人がいたの？」と驚きます。
留美が「一番長く好きでいられそうな人を選んだ。不倫になれば絶対に不幸になるに決まっている」と語ると、美都のこれまでの「一番好きな人」への執着とは対照的に、安らげる相手を選ぶことの大切さが浮き彫りになります。
その頃、涼太は「離婚届を書く」と約束しつつも、一日一画だけ署名しては先延ばしにする牛歩戦術を展開。ようやく書き終えても、わざと字を間違えて破り捨てるなど、美都を引き留める執着を露わにします。彼の行動は、美都の息苦しさをさらに強めていきました。
有島家の休日と夫婦の真意
一方、有島家では、麗華が娘・亜胡と実家から戻った後、夫に「どうして私を選んでくれたの？」と問いかけます。翌日、家族で動物園に出かけると、いつものように待ち伏せしていた隣人・皆美一家と鉢合わせ。社交辞令の「一緒にどうですか？」がきっかけで、二家族で休日を過ごすことになります。
動物園では、皆美の夫が妻を見下すような態度を取り続け、有島光軌は不愉快に。耐えきれずに麗華と娘を連れて先に帰宅すると、「あんな父親よりは俺の方がマシなのかな」と自問しながら落ち込みます。帰宅後、麗華は「もしあれで浮気していたら本当に最低」と告げ、光軌に失望した気持ちをぶつけました。
その後、光軌は「冷静でクールな君の素顔を知っているのは自分だけ。自分のカッコ悪い部分を見せられる唯一の人だから選んだ」と打ち明けます。どんな辛い時も共に居られると思ったと告白する彼に、麗華は「辛い私と一緒にいるのは息苦しくない？どうして嘘をつき通せなかったの？」と追及。
光軌は「責めるだろ」と言い訳しますが、麗華は「責めてない。ただ本当のことを言ってるだけ」と返し、光軌は涙を堪えながら言葉を失いました。夫婦の信頼の綻びが、静かに描かれる場面でした。
妊娠の発覚と再会のすれ違い
新しい部屋探しを進める中、美都はポスターの日付から自分に妊娠の可能性があることに気づきます。
一人で育てられるのか、有島に伝えるべきか迷いながら、彼のマンションを訪れます。しかしマンション前で横山皆美に遭遇し、「有島さんのお友達ですよね？お話伺ってます」と声を掛けられてしまいます。
咄嗟に眼科院長の名刺を差し出して誤魔化しますが、有島には会えずに帰宅することになりました。
涼太の狂気と蕎麦ちょこ
帰宅すると、涼太は蕎麦を茹でて待っており、美都が陶芸教室で作った「蕎麦ちょこ」を嬉しそうに使います。美都が改めて離婚届を差し出すと、涼太は「書くよ。離婚して一からやり直すことも可能だよね」と言いつつも、美都が「妊娠したかもしれない」と告白した瞬間、態度が豹変。
彼は離婚届を燃やし、「あの男はもう頼れないんでしょ？大丈夫、僕がみっちゃんを守るよ」「それは僕の子だよ。僕の子として育てる」と迫ります。美都が「本当にそう考えているなら頭がおかしい」と突き放しても、涼太は泣きながら蕎麦をすすり、「やっと使えたね」と蕎麦ちょこを愛おしそうに見つめました。
その夜、美都は結婚指輪と蕎麦ちょこ、ビールジョッキをゴミ袋に投げ入れます。翌朝、マンションの掲示板には「301号室の渡辺美都はW不倫の最低女。バカ女に制裁を」という怪文書が貼られていました。離婚も自由も遠ざかり、今度は社会的な制裁が彼女を追い詰めていくのです。
「あなたのことはそれほど(あなそれ)」8話の感想＆考察
第8話は三角関係に新たな火種が投下され、登場人物の心情がさらに大きく揺さぶられた回でした。
妊娠という重いテーマが浮上したことで物語が一気に現実味を帯び、それぞれの選択や覚悟が問われていきます。ここでは、女性視点から心情とテーマを掘り下げて考察します。
静かに崩れる関係と「安定」を選ぶ勇気
同僚・森留美の「一番長く好きでいられそうな人を選んだ。不倫になれば不幸になるに決まっている」という言葉は、美都のこれまでの生き方を痛烈に皮肉るものでした。彼女が「一番好きな人」にこだわった結果、家庭も友情も壊してしまったことを考えると、安定や持続可能な愛情を選ぶ勇気こそが幸せの鍵だったのかもしれません。
8話では、美都が離婚届を渡し、新居探しをするなど具体的な行動に移ったことで、ようやく「自分で人生を決める」覚悟が垣間見えました。しかし、涼太が牛歩戦術で離婚届を進めず、自由への道が遠のく様子に、視聴者としてはもどかしさと恐怖を同時に覚えます。
麗華の覚悟と夫婦の真実
麗華は冷静な妻として描かれてきましたが、動物園でのエピソードは彼女の価値観を浮き彫りにしました。横山良明が妻を見下す態度に光軌が苛立って帰ろうとする中、麗華は「私はこれからも付き合いがあるの」と大人の対応を見せます。夫婦というのは二人だけで完結せず、社会や人間関係との繋がりの中で成立していくという現実的な視点が、麗華の強さを感じさせました。
さらに光軌が「自分のかっこ悪い部分を見せられるのは君だけだから選んだ」と告白した際、麗華は「どうして嘘をつき通せなかったの？」と静かに問いかけます。彼女が失望したのは浮気そのものよりも、誠実でいてくれるはずだった相手が嘘を守りきれなかったこと。麗華の痛みは怒りよりも深い悲しみとなって伝わり、胸が締め付けられる場面でした。
涼太の暴走と妊娠の告白
涼太はこれまでも愛と執着の境界線が曖昧でしたが、8話ではその危うさがさらに加速します。離婚届を渡されても、わざと字を間違えては破り捨て、美都の自由を奪い続けます。
そこに妊娠の可能性が浮上すると、彼は「僕の子として育てる」と言い切り、美都に「頭がおかしい」と突き放されました。涼太の言葉は狂気的であると同時に、愛する人を失いたくない一途さの裏返しでもあります。しかしその「愛」が暴力的な支配へと変質してしまっているのが恐ろしい点です。
特に印象的だったのは、涼太が泣きながら蕎麦をすすり「やっと使えたね」と笑ったシーン。蕎麦ちょこは本来、美都が夫のために作った器ですが、今や壊れた夫婦関係の象徴となり、涼太の涙がその惨めさを際立たせていました。美都がその器や結婚指輪を捨てたのは、彼女なりの終わりの宣言だったのでしょう。
妊娠がもたらす選択と孤独
妊娠を疑った美都は、有島に伝えたい気持ちからマンションを訪れますが、皆美と鉢合わせして阻まれます。結局、誰にも打ち明けられずに一人で抱え込むことになり、「私、一人で育てられる？」という心の声が切実に響きました。
涼太に妊娠の可能性を告げた時、彼が逆に喜んでしまう姿は不気味であり、同時に哀れでもありました。彼にとってその子供は、美都との繋がりを保つ最後の手段なのです。離婚届を燃やすシーンは、彼の心が崩壊していく瞬間であり、愛が狂気に変わる恐怖が凝縮されていました。
自立の意味と新たな試練
ラストでは、美都のマンションに「W不倫の最低女」と中傷ビラが貼り出される衝撃の展開が描かれました。これは彼女を糾弾する世間の目を象徴し、不倫の代償を突きつけます。美都は社会的非難と向き合いながら、自分の幸せをどう選び取るのかが問われていくでしょう。
8話は、登場人物全員に重い選択を迫るターニングポイントでした。麗華の冷静な復讐、有島の迷走、そして涼太の狂気。視聴者はそれぞれの「愛」と「罰」がどう収束していくのかを考えさせられます。次回以降、さらに深い闇が描かれることは間違いなく、美都がどんな未来を選ぶのかが最大の注目点となります。
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