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ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」9話のネタバレ&感想考察。菜穂が反撃へ動き出す

ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」9話のネタバレ&感想考察。菜穂が反撃へ動き出す

9話「サレ妻、反撃開始」は、壊れきった夫婦関係の先で、菜穂がついに受け身をやめて動き出す回です

綾香への無言電話を菜穂の仕業だと決めつけた省吾はスーパーで騒ぎを起こし、菜穂は徹からの同棲提案にすぐ答えを出せないまま、自分の問題と向き合おうとします。そんな中、綾香の一言をきっかけに、菜穂はある計画へ踏み出していきます。

この記事では、ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」第9話の内容を、結末まで含めて時系列でまとめます。

省吾の逆恨み、綾香の計算、徹の執着がどう絡み合い、菜穂が“傷つけられる側”から“証拠を持って踏み込む側”へ変わっていくのか、その流れを整理していきます。未視聴の方はネタバレにご注意ください。

目次

ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」9話のあらすじ&ネタバレ

ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」9話のあらすじ&ネタバレ

9話「サレ妻、反撃開始」は、8話で夫婦関係がほぼ壊れきったあと、菜穂がやっと受け身をやめて動き出すまでを描いた回だった。省吾の逆恨み、綾香の計算、徹の執着が同時に前へ出てきて、4人の関係はもう元の位置には戻れないところまで進む。

特に大きかったのは、菜穂が「傷つけられる妻」から「証拠を持って相手の職場へ踏み込む妻」へ変わる転換点が、はっきり物語の中で描かれたことだ。ここからは、9話で起きた出来事を順番に整理していく。

8話の終わりから引き継がれた不穏さ

8話の終盤で菜穂は省吾との離婚を決める一方、徹から綾香の妊娠を知らされ、夫の裏切りが感情だけでは処理できない現実になったことを突きつけられていた。

さらに、その直後には徹が菜穂の写真へ異様な執着を見せ、菜穂にとっての逃げ道もまた無条件に安全とは言えない空気が残された。だから9話は、夫婦の修羅場の続きというより、菜穂の周囲にある全部の関係が少しずつ危険に見え始めた地点から始まる。

9話冒頭の時点で、菜穂はもう「夫に裏切られた妻」だけではなく、どの相手を信じても傷つく可能性を抱えた場所に立たされている。8話で省吾は綾香のマンションに転がり込み、匿名メールの犯人まで菜穂だと疑っていたため、火種はすでに家庭の外へ出ていた。

その続きとして9話は、ホームパーティーの夜から続いていた無言電話の話題が綾香の側から出され、さらに状況が悪化する。前回の終わりからほとんど息継ぎのないまま、9話は四人の関係を次の崩壊へ押し進める。

綾香が省吾に流産を告げる

綾香は省吾に対して、ホームパーティーの夜から無言電話が続いていたことを打ち明け、そのストレスで子どもを流産したと涙ながらに伝える。6話で省吾の人生を左右する告白があり、8話でその事実が菜穂側にも伝わっていただけに、9話のこの報告はそれをさらに重い現実へ変える。省吾は綾香の言葉の真偽を確かめるより先に、その痛みを受け止めるべき出来事として受け取る。

ここで9話の空気は、不倫がばれた夫婦のもつれから、一つの命をめぐる責任の押しつけ合いへ急に質を変える。綾香の妊娠は8話の時点では夫婦破綻を決定づける爆弾として置かれていたが、9話では流産という形で省吾の罪悪感と依存を強める材料へ変わる。

しかも綾香はただ悲劇の当事者として泣くだけではなく、その後の動きまで含めて省吾を自分の側へ引き寄せる位置に立ち続ける。この報告は、9話全体の行動原理を省吾の逆上へつなげる最初の一撃になる。

無言電話の責任を菜穂へ向ける省吾

綾香の話を聞いた省吾は、自分の不倫や別居の経緯を省みることなく、無言電話をしたのは菜穂だと思い込む。

8話でも匿名メールの犯人を菜穂の仕業だと決めつけていたため、省吾の中では都合の悪い出来事の責任を全部菜穂へ集める癖がすでに出来上がっていた。今回も確認や対話より先に、怒りの矛先だけが真っすぐ菜穂へ向く。

9話の省吾は、自分が加害側にいるという自覚を捨てたまま、自分を被害者へ置き換えることでしか立てなくなっている。

綾香の流産を聞いた衝撃があったとしても、それを菜穂のせいにしていい理由にはならないが、省吾はそこを一切見ない。7話で「出世のために離婚はしない」と言い、8話で綾香と暮らし始めた男が、9話ではさらに他人を責める側へ回る。この責任転嫁があるからこそ、次に起きるスーパーでの騒動はただの夫婦げんかでは済まなくなる。

菜穂の職場で起きた乱入騒ぎ

省吾は菜穂が働くスーパーに現れ、売り場の中で声を荒らげながら、菜穂を一方的に責め立てる。

店員たちは突然の大声と異様な空気に驚き、警察を呼ぶという言葉まで出るほど、その場は完全に業務の範囲を超えた騒ぎになる。家の中で隠れていた夫婦の破綻が、9話では最初に職場という公共の場へ流れ出す。

ここで描かれるのは、妻を傷つけるだけでは足りず、妻の社会的な居場所まで巻き込んで壊していく省吾の危うさだ。菜穂は自分が責められている最中でも、まず店に迷惑がかからないように省吾を止めようとする。

7話から8話にかけて省吾が守ろうとしていたのは自分の出世と体面だけだったのに、9話で実際に守ろうと動いているのは菜穂のほうだと分かる。このスーパーでの場面は、後半で菜穂が会社へ乗り込む展開とちょうど裏返しの構図になっている。

店の外で交わされた夫婦の決定的なすれ違い

菜穂は店に迷惑をかけないため、省吾をその場から離し、何が起きているのかを聞こうとする。しかし省吾は、無言電話のことも綾香の流産のことも、菜穂のせいだと決めつけたまま、一方的に責任を押しつける。菜穂は自分は何もしていないと否定するが、省吾はそれを確かめようともしない。

この場面で痛いのは、二人が事実をすり合わせる段階にすらもう立てていないことだ。夫婦なのに相手の言葉を聞く前提が崩れ、菜穂の説明は最初から省吾の中で無効化されている。省吾が信じているのは綾香の訴えと自分の怒りだけで、菜穂の声ではない。9話の口論は、修復のための衝突ではなく、結婚の形だけが残って中身が完全に壊れていることの確認になっていく。

生活費を盾にしてさらに追い込む

口論の中で省吾は、生活費として渡していた金をもう払わないと菜穂に言い放つ。

その言葉は、感情のぶつかり合いだけでなく、経済的な圧まで使って相手を黙らせようとする態度として響く。8話までの省吾は出世のために婚姻関係を利用していたが、9話ではその婚姻を相手を縛る道具としても使い始める。

それに対して菜穂が「欲しいのはお金ではない」という形で返すことで、この夫婦が最後まで噛み合わなかった理由が言葉としてはっきりする。

菜穂が求めていたのは、夫婦として向き合うことや、自分が傷つけられた事実への謝罪だった。省吾はそこに目を向けず、菜穂の言葉そのものをうっとうしいと切り捨てて去っていく。金の話で終わらせようとする省吾と、感情の核心だけを求める菜穂の差が、9話では決定的になる。

徹が差し出した同棲という逃げ道

その一方で、徹は菜穂に同棲を提案し、自分の家へ来るよう促していた。

夫との関係を終わらせたい菜穂にとって、それは現実的な逃げ場として十分魅力的に見える条件だった。しかも徹は、これまでも菜穂の不安を拾いながら、いつでも受け止める側の顔を崩さずにきた。

9話で徹の提案が強く響くのは、省吾が奪っていくばかりの男であるのに対し、徹が一見すると与えてくれる男に見えるからだ。スーパーでの騒動のあとにその手が差し出されることで、菜穂が揺れるのは自然な流れとして置かれる。ただ、8話の時点で徹の執着はかなり不穏な形で見えており、視聴者だけはこの提案を完全な救いとして受け取れない。だから9話の同棲話は、安心の入口であると同時に、別の危うさの入口にもなっている。

菜穂がすぐに返事をしなかった理由

それでも菜穂は、徹の同棲提案に対してすぐには頷かず、まだ自分の問題と向き合いきれていないとして返事を保留にする。

ここで菜穂は、省吾から離れたい気持ちと、徹へすぐ飛び込むことをきちんと分けている。夫に追いつめられた直後でも、誰かに選ばれて解決する話にしないところが9話の菜穂の変化だ。

私はこの保留が、9話の菜穂をただ流される人で終わらせなかった一番大きなポイントだと思う。スーパーでの一件を電話で聞いた徹が関係を前に進めようとしても、菜穂はなお迷いを残す。

その迷いがあるからこそ、後半で菜穂が徹のもとへ向かう決断は、単なる勢いではなく、自分の中で何かが切り替わった結果として受け取れる。9話前半の菜穂は、まだ誰のものにもならない位置をぎりぎり守っていた。

徹と綾香の水面下の連絡

菜穂が答えを出しきれずにいる裏で、徹と綾香の連絡は9話でも続いていた。

4話で綾香が徹へ協力を持ちかけ、8話で告発メールの線が具体化した流れが、まだ終わっていなかったことがここで分かる。表向きは菜穂をめぐる対立者でも、裏では同じ盤面の上にいるという構図が浮かぶ。

この二人のつながりが残っているせいで、菜穂の周りには「助ける側」と「利用する側」がきれいに分かれていない。綾香は菜穂が思った以上に折れないことを徹へ伝え、もっと強く動くように促す。徹もまた、菜穂を他の男に取られることだけは許さない方向へ感情を強めていく。

8話で見えた徹の執着は、9話ではもう独白ではなく、他人と共有される計画の一部に変わっている。

「不倫女」と書かれた写真が職場へ届く

省吾の乱入が終わった翌日、菜穂の職場には徹とのツーショット写真が送りつけられ、その写真には中傷の言葉まで添えられていた。

夫婦のもつれだったはずの問題が、ここでは菜穂個人の人格を傷つける晒し行為へと変わっている。しかも写真の送付先が自宅ではなく職場であることで、攻撃の目的が菜穂の日常の居場所を崩すことにあると分かる。

9話でいちばん息が詰まるのは、この中傷が「家庭の外」にまで届いてしまうところだ。

8話で省吾の職場へ送られた告発メールが、9話では菜穂の職場へ形を変えて返ってくるため、報復の手口そのものが往復している。予告段階から写真の存在は匂わされていたが、実際に店で見つかることで菜穂の立場は一気に細くなる。ここで菜穂は、もう家の中だけでは自分を守れないところまで追いつめられる。

菜穂が仕事を辞めようとした場面

写真を見つけた店長に問いただされた菜穂は、店に迷惑をかけたくないという思いから、自分から仕事を辞める方向へ傾く。

同僚は止めようとするが、菜穂は自分のせいだと受け止め、そこで踏みとどまろうとしない。7話で「泣き寝入りしたくない」と言えた人が、9話ではまだ自分を責めることから完全には抜け出せていない。

この場面が苦しいのは、菜穂が夫と愛人の行動で傷ついているのに、最後は自分が身を引く形で日常を守ろうとしてしまうからだ。ただ、その自己処理の癖が逆に最後の反撃を決める前の限界点として効いてくる。

職場で完全に孤立したわけではないことだけが小さな救いとして残り、その支えがあるからこそ菜穂は次の行動へ押し出される。職場を失いかけたことで、菜穂はようやく「このままでは終われない」という次の行動へ踏み出す。

綾香の前で依存を深める省吾

一方で省吾は、綾香の前でさらに現実感を失い、関係をつなぎとめるように再び子どもの話を持ち出す。

子どもを失ったと聞かされた直後にもかかわらず、また二人で同じ未来を作ろうとするような言葉を口にすることで、省吾の依存はむしろ強まっている。会社も家庭も不安定になった今、省吾にとって綾香だけが自分の居場所に見えている状態だ。

でも9話の綾香は、その依存を愛情として受け止めておらず、ひとりになると強い嫌悪をあらわにする。

6話の衝撃の告白や8話の妊娠発覚を思えば、綾香は省吾と未来を築くために動いているわけではないとここでさらに濃くなる。省吾が相手の悲しみを受け止めるより、自分を捨てないでほしい方向へしか動けていないことも、この場面でははっきり見える。9話後半で省吾がいっそう滑稽に見えるのは、この時点ですでに綾香との認識が大きくずれているからだ。

綾香の一言が菜穂の反撃を動かす

9話の予告どおり、菜穂は偶然を装って近づいてきた綾香の一言をきっかけに、ついに自分から動く。

ここで重要なのは、菜穂が感情に任せて暴れるのではなく、相手が一番守りたい場所を見定めて手を打つ方向へ切り替わることだ。それまでの菜穂は、嘘をつかれても、傷つけられても、まず自分が耐える側に回っていた。

それが9話では、受けた痛みをきちんと相手の前へ返しに行く段階までようやく進む。スーパーでの騒ぎと写真の中傷で、家庭の問題がすでに社会的な問題へ広がってしまったからこそ、菜穂もまた省吾の社会的な顔に向かわざるを得なくなる。

ここでの切り替えがあるから、9話の後半は単なる被害報告ではなく、菜穂が主導する逆転劇として動き出す。反撃のスイッチを押したのが綾香だという構図まで含めて、この回の人間関係はかなり皮肉だ。

会社で証拠を突きつけた菜穂

菜穂は協力者を伴って省吾の会社へ行き、社員たちの目がある場所で話を始める。

省吾は驚きながらも、菜穂が頭を下げて切り出したことで自分に有利な展開だと早合点し、妻だけが悪いと口にする。その瞬間まで、省吾はまだ自分が優位な側にいると思っている。

ところが菜穂は一つずつ問いを返し、不倫の証拠があるなら出してみろという省吾の開き直りに対して、会議室の写真という決定打を示す。2話で会議室に呼び出して始まった綾香との関係が、9話ではそのまま省吾を追い詰める物証として戻ってくる形だ。

社内不倫が職場の中で可視化されたことで、省吾がいちばん守りたかった出世の足場はここで崩れる。会社に乗り込むという行為は強いが、菜穂がほしかったのは最後まで相手を壊すことより、自分の痛みを否定させないことに近い。

土下座とラストの決断

証拠を突きつけられた省吾は、しぶしぶ謝罪に追い込まれ、ついには上司の前で土下座までさせられる

その姿は、社内に不倫が知れ渡る瞬間でもあり、出世のために離婚を拒み続けた男が会社で最も屈辱的な形で頭を下げる結末になる。体裁だけは守りたかった省吾の社会的な顔が、この場面で完全に崩れる。

それでも菜穂は晴れやかな勝者の顔ではなく、涙をこらえたまま会社を後にし、そのまま徹のもとへ向かう決断をする。

反撃は成功したが、それで心が軽くなるわけではないという後味が、9話の終わりにははっきり残る。そして菜穂が今夜から徹の家へ行きたいと伝えることで、9話は省吾との決着で終わらず、新しい関係への移動で閉じる。次の話で徹との同棲が始まり、なお不安が残ることを思うと、9話のラストは勝利ではなく、次の危うさへ踏み出した瞬間でもあった。

ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」9話の伏線

ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」9話の伏線

9話は土下座や公開謝罪のインパクトが強いが、実際には前の話数から置かれていた線がいくつもつながる回でもあった。2話の会議室、4話の提案、6話の妊娠告白、7話の「泣き寝入りしたくない」が、ここでひとつの反撃の形へ束ねられている。

特に見事だったのは、誰か一人の計画だけで動くのではなく、それぞれの欲望が別の伏線を引き寄せて爆発しているところだ。ここでは回収されたものと、まだ残っているものを分けて見ていく。

会議室の写真がついに意味を持った

いちばん分かりやすく回収されたのは、2話で置かれていた会議室という場所だ。当時は省吾が指輪を取り戻そうとして綾香に翻弄される場として見えていたが、閉じた職場の中で二人が関係を持っていた事実そのものが後の決定打になる。9話で菜穂が耳元で会議室の写真を告げた瞬間、あの場所は秘密の逢瀬の部屋から、不倫の証拠が眠る部屋へと意味を変える。

序盤の背徳感を演出していた舞台装置が、終盤では社会的転落を呼ぶ証拠へ反転する回収はかなり鮮やかだった。放送後には、社内不倫が公になって土下座まで追い込まれた流れの衝撃を挙げる声が多かった。同時に、社内の誰かが写真を押さえていたことや、会議室のくだりがここで効いてきたことに驚く受け止めも目立った。9話の逆転が偶然の成功に見えないのは、省吾が最初から会社の中で危うい痕跡を残し続けていたからだ。

徹と綾香の共謀線が切れていなかった

4話で綾香が徹へ持ちかけた提案は、その場限りの揺さぶりでは終わらなかった。

8話では上司への告発メールという形で二人の利害一致が具体化し、9話ではその連絡がまだ続いていることが見える。表向きは菜穂をめぐる対立者でも、裏では同じ盤面の上にいるという構図がここで確定する。

この共謀線が回収されたことで、徹の優しさは単独では成立しておらず、綾香の悪意ともつながりうるものだったと分かる。9話で綾香が徹へもっと強く動くよう促し、徹が菜穂を他の男に取られることだけは許さない方向へ傾くのは、その伏線の延長だ。8話の写真への執着だけではまだ個人的な歪みだったものが、9話では他人と共有される計画の熱に変わる。だから9話以降の徹は、助けてくれる人であると同時に、菜穂の選択肢を狭める人にも見えてくる。

妊娠と流産が示す綾香の真意

綾香に関する大きな線は、6話の衝撃の告白から8話の妊娠、そして9話の流産の訴えへと一直線につながっている。省吾の人生を左右する告白だと言われた時点で、綾香がただの不倫相手ではないことは示されていた。9話でその事実がさらに重くなったことで、省吾は綾香から心理的に離れにくくなる。

それでも綾香が省吾の「また子どもを作ろう」という言葉を受けたあとに嫌悪を見せることで、彼女の目的は省吾との幸せではないと一気に濃くなる。妊娠も流産も、綾香にとっては未来の約束というより、省吾を縛るための重い現実として機能している。7話で菜穂に親切に寄り添いながら不穏さをにじませた動きも含めると、綾香は恋愛の勝者になりたい人ではなく、別の目的のために関係を使っていると読める。9話は、その真意を完全に明かさないまま、綾香の怖さだけをさらに深くした回でもある。

菜穂の反撃には周囲の支えという伏線もあった

7話で菜穂が「泣き寝入りしたくない」と口にしたことは、9話の反撃へそのままつながる伏線になっていた。あの時はまだ言葉だけだったが、スーパーでの騒動と中傷写真を経て、9話では本当に相手の職場へ踏み込む行動に変わる。さらに序盤から菜穂を支えてきたスーパーの同僚たちの存在も、9話で小さくない意味を持つ。

菜穂が一人で立ち上がったように見えて、実は職場の同僚の助けがあるから反撃の形が整うところに、この作品の現実味がある。放送後には、同僚の望月や周囲の支えを頼もしいと受け取る声も目立った。夫に否定され、愛人に利用され、元カレにも囲い込まれかける中で、菜穂にまだ横に立ってくれる人がいることが9話の重要な救いになる。その救いがあったからこそ、菜穂の反撃は孤立した暴走ではなく、ようやく踏み出した自己防衛として成立した。

いちばん大きな問いはまだ未回収のまま

ただ、9話で回収された線ばかりではなく、むしろここから先へ引かれた未回収の線もかなり多い。

次の話では菜穂が徹との同棲生活を始めても漠然とした不安を抱え、省吾は謹慎ののち綾香への依存を深め、徹は心変わりを恐れて焦るとされている。つまり9話の土下座と移動だけで、誰の問題も終わってはいない

未回収なのは綾香の真の復讐だけではなく、菜穂が「省吾から逃げること」と「自分を取り戻すこと」を同じにできるのかという問いそのものだ。

徹の家へ向かった決断は確かに前進だが、それがそのまま安心へ直結しないことは次の展開がはっきり示している。省吾もまた、土下座して終わるのではなく、自分の弱さのままさらに深い依存へ入っていく。だから9話の伏線整理をすると、いちばん大きな答えはまだ後ろに残されたままだと分かる。

ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」9話の感想&考察

ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」9話の感想&考察

9話を見終わって私に残ったのは、ようやく反撃できた安堵よりも、誰を信じても少しずつ怖いという後味だった。省吾は最低のまま壊れ、綾香は目的を見せ切らず、徹は救いの顔で迫ってくる。

その中で菜穂だけがやっと自分の言葉で動き始めたからこそ、この回は痛いのに目が離せなかった。ここからは、見終わったあとに強く残った点を私なりに整理していく。

菜穂の反撃はスカッとだけでは終わらない

私は会社に向かう菜穂を見て、やっとここまで来たという気持ちと、ここまで追いつめられないと動けなかった苦さを同時に覚えた。

スーパーで怒鳴られ、写真で職場を汚され、生活費まで止めると言われて、ようやく自分の痛みを返しに行くしかなくなったからだ。だから9話の菜穂は、急に強い人になったというより、強くならないと立っていられない場所まで押し出された人に見えた。

それでも菜穂が求めていたのが金でも復讐の快感でもなく、たった一言の謝罪だったところに、私はこの人のまっすぐさを感じた。その一点があるだけで、会社での反撃は相手を壊すためだけの行為ではなく、自分が確かに傷つけられたことを認めさせる行為になる。だから土下座という派手な見せ場がありながら、9話は単純なスカッと回にはならなかった。菜穂の反撃は勝つためのものではなく、やっと自分を見失わないためのものだったと思う。

土下座の場面は痛快なのに空っぽだった

省吾の土下座は画として強烈で、放送後には半沢直樹を思い出したという声がかなり目立っていた。

たしかにこれまで開き直っていた男が会社で頭を床につける構図には、分かりやすい爽快感がある。でも私には、あの場面は省吾が反省した瞬間というより、最後まで自分の負け方にしか意識が向いていない瞬間に見えた。

だからこそ私はスカッとし切れず、むしろ謝罪が屈辱の演出に変わってしまったことのほうに胸がざらついた。菜穂が欲しかったのはたぶん、あんな大勢の前で土下座する姿そのものではなく、自分がどれだけ傷ついたかを真正面から認める言葉だったはずだ。

放送後のざわつきの大きさを見ると、この場面が強く刺さったのは間違いないが、強く刺さるからこそ空虚さも残る。9話の土下座は痛快な見せ場であると同時に、もうまともな夫婦の話し合いに戻れないことを可視化した場面でもあった。

綾香は恋ではなく別のものを抱えているように見える

綾香は9話でいよいよ、不倫相手という言葉だけでは収まらない存在になった。

妊娠と流産の重さを抱えながら、なお省吾に依存せず、むしろ彼を気持ち悪いものとして切り離していくような素振りが強烈だった。私には綾香が、恋の勝者になりたい人ではなく、相手の人生を揺らしながら自分の傷を確かめている人に見えた。

7話で菜穂に優しく近づき、9話でその菜穂の反撃の引き金まで引いてしまうところが、綾香のいちばん怖いところだと思う。

攻撃する時に真正面から殴るのではなく、毎回きっかけだけ置いて少し外側に立つから、目的が読み切れない。だから省吾よりも徹よりも、次に何をするか分からないという意味では、綾香がこの作品の最大の不安要素だ。9話はその底知れなさを説明せずに深めたぶん、見終わったあとも綾香の顔がいちばん残った。

徹の優しさがいちばん安全に見えて、いちばん怖い

そして9話で私がいちばんぞわっとしたのは、やっぱり徹だった。表では優しく受け止めてくれるのに、裏では綾香と連絡を取り、菜穂が折れないことに焦っている。8話の写真への執着から9話の同棲提案までを並べると、徹の愛はまっすぐというより、少しずつ狭く、深く、相手を囲い込む方向へ寄っている。

誰かを救う言葉と、誰かを自分のほうへ寄せる言葉が、徹の中ではもうほとんど同じものになりかけている気がして私は怖かった。それでも菜穂が最後に徹を選ぶのは、省吾のもとへは戻れず、今すぐにでも安心できる場所がほしかったからだと思う。だから私はこのラストを恋の成就というより、別の種類の息苦しさへ足を踏み入れた瞬間として見た。その違和感が次の話でも続いていきそうだからこそ、徹の笑顔がいちばん不安に残る。

9話は菜穂がやっと主人公として立ち上がった回だった

9話全体で見ると、このドラマはもう「愛しているから間違える」という甘い話を通り過ぎている。省吾は欲望を愛にすり替え、綾香は傷を武器に変え、徹は献身を執着へ寄せている。その中で菜穂だけが、誰かに選ばれる話ではなく、自分の傷を自分で認めさせる話へやっと踏み出した。

だから私は9話を、反撃開始の回であると同時に、菜穂がやっと主人公として立ち上がった回だったと受け取っている。ただし、それは幸福の始まりという意味ではなく、ようやく自分の足で痛みの真ん中へ入っていったという意味での立ち上がりだ。次の話でも平穏は約束されていないし、省吾も綾香も徹もまだ何かを抱えたままだ。それでも私は、ここまで来た菜穂が次にどんな選び方をするのかだけは最後まで見届けたいと思った。

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