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ドラマ「東京P.D. 警視庁広報2係」5話のネタバレ&感想考察。報道協定が揺れた夜、誘拐とガサ入れを同時に動かす情報戦

ドラマ「東京P.D. 警視庁広報2係」5話のネタバレ&感想考察。報道協定が揺れた夜、誘拐とガサ入れを同時に動かす情報戦

第5話「報道協定」は、誘拐事件と政治家の公金横領疑惑が“向かい合わせ”で衝突し、警察とメディアの関係がむき出しになる回でした。

人命を最優先にしたいのに、動けるのに動けない理由が積み上がっていく。その中で広報2係の仕事が「説明」ではなく「設計」へ変わっていくのが、この回の面白さです。報道協定は結んで終わりではなく、守らせるための運用が本番。今泉は“現場の外”から現場を勝たせるため、認知の誘導という手を選びます。

※この記事は、「東京P.D. 警視庁広報2係」第5話のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。

目次

「東京P.D. 警視庁広報2係」5話のあらすじ&ネタバレ

「東京P.D. 警視庁広報2係」5話のあらすじ&ネタバレ

第5話「報道協定」は、誘拐事件と政治家の公金横領疑惑が“向かい合わせ”で衝突し、警察とメディアの関係がむき出しになる回だった。事件は一刻を争うのに、動けるのに動けない理由が積み上がっていく。だからこそ、広報2係の仕事が「説明」ではなく「設計」になっていくのが面白い。

広報が記者を止めるのは簡単だが、止め続けるには納得できる材料が要る。ところが今回は、捜査一課の情報が極端に絞られ、報道協定そのものが揺らいでいく。記者の不満が爆発すれば、犯人を刺激して人質が危険に晒される。

さらに厄介なのが、捜査二課が2年越しで狙う政治家案件が、誘拐の監禁先と至近距離だった点だ。一課が動けば二課が吹き飛び、二課が動けば人命が賭けに出る。現場の正義がぶつかるとき、広報はどこに立つのかが問われる。

結論から言うと、今泉は“現場の外”から現場を勝たせるために、メディアを使って犯人の認知をずらす作戦を組み立てた。ただしそれは、正しいだけの綺麗事ではなく、取引と駆け引きの上に成り立つ。ここからは第5話で起きたことを、時系列で整理していく。

前夜:二課が追う若草の公金横領と“ガサ入れ目前”

この回のもう一本の軸は、捜査二課が2年かけて追ってきた若手政治家・若草賢三の公金横領疑惑だ仙北谷たちは、ようやく“ガサ入れ目前”まで漕ぎつけ、現場の張り込みを続けていた。ここで証拠を逃せば、2年分の捜査が紙切れになる。

二課が欲しいのは、若草の周辺に残る裏金の帳簿や、金の流れを裏づける具体物だ。証拠がそろえば政治家本人を押さえ、裏金問題に踏み込める。だから一瞬の警察の動きにも敏感になり、外の気配が変わるだけで警戒が走る。

東田次郎が「少しでも感づかれたら証拠隠滅を図られる」と強く言い切るのは、この種の案件の“逃げ足の速さ”を知っているからだ。実際、証拠のパソコンを破壊するような隠滅が起こり得るという前提で、二課は動いている。現場の刑事にとっては、ここで逃せば組織としての敗北でもある。

この段階では、誘拐事件が同じ場所で起きるとは誰も想定していない。だが、同じ街区で別件が動いた瞬間に、二課の張り込みは崩れる危険を抱えていた。第5話は、まさにその“想定外の衝突”から始まる。

誘拐発生:野上京香の息子・晃が連れ去られる

資産家の野上京香の元に、息子の晃が誘拐されたという知らせが入る。人質事件は一度報道が走れば、犯人の心理を変えてしまう危険がある。安藤と下地は、広報2係に対して「記者に情報を漏らすな」と釘を刺し、初動から空気を引き締める。

捜査一課特殊犯捜査係の管理官・上田学は、京香の自宅で待機し、犯人からの連絡に即応できる態勢を取る。京香の元には犯人から電話がかかり、身代金について確認されるが、逆探知は失敗する。ここで時間を稼げないと、救出の難易度が一気に上がる。

一方、防犯カメラの映像などから、晃を連れ去った車両は特定されていく。追跡した捜査員が犯人を確保し、手掛かりは繋がったように見えた。しかし、車内に晃の姿はなく、捕まったのは“実行役の一部”にすぎなかった。

つまり本命は別にいて、晃は別の場所に移されている可能性が高い。現場は救出のための次の一手を急ぐ一方で、情報が外に漏れた瞬間に最悪が起こり得る局面に入る。ここから「報道を止める」だけでなく「止め続ける理由」を作る戦いが始まる。

広報2係の初動:情報遮断のはずが、稲田が嗅ぎつける

広報2係は、誘拐という案件の重さを理解しているからこそ、記者クラブに匂いすら漏らさない動きを取ろうとする。だが、記者側も“狙い撃ち”の嗅覚を持っている。YBXテレビ社会部の稲田裕司は、非番のはずの時永らが広報に戻っているのを見て、何かが起きていると確信する。

稲田は同僚記者を現場へ走らせ、自分は警視庁側の空気を探る。警察車両の出入りや、幹部の動きの速さは、事件の種類を黙って語る。広報が黙るほど、記者は「書ける材料があるはずだ」と逆に確信してしまう。

広報側にとって怖いのは、記者が推測で書き始めることではなく、推測が当たってしまうことだ。誘拐は一つの誤報がそのまま人質の命取りになる。だから安藤と下地は、内部で情報を抱え込むのではなく「コントロールできる形」で握ろうとする。

ここでの稲田の立ち回りは、単なるスクープ狙いでは終わらない。彼は最初から「報道を控える代わりに何を得るか」という取引の目線で動いている。この“交換条件”の発想が、後半の報道協定に直結していく。

逆探知失敗と車両特定:実行犯確保、しかし人質は見つからない

京香の元にかかってきた電話は、身代金の確認という名目で、こちらの焦りを測るための一手にも見える。逆探知が失敗したことで、警察は通信経路から犯人に迫れない。この時点で頼れるのは、目に見える「足」と「映像」と「供述」だけになる。

捜査員は防犯カメラ映像などを積み上げ、晃を連れ去った車両を特定する。車を追い、犯人の身柄を確保するところまでは早い。だがそこで、最も欲しいものが手元にない現実に突き当たる。

車内に晃はおらず、誘拐は単純な“運び役”だけでは完結していない。つまり役割分担があり、監禁役や指示役が別にいる。供述を取っても、犯人が知らない情報は出てこないから、時間がさらに削られる。

ここで捜査一課は、監禁先の特定を急ぐ一方で、情報をどこまで外に出すかという別の戦いを抱える。一度でもメディアが監禁場所を嗅ぎつければ、突入の成否以前に人質が危うくなる。この“情報の爆発”を止めるために、次に持ち出されるのが報道協定だ。

稲田VS北川:報道協定の提案と“見返り”交渉

稲田は自分が掴んだ誘拐の情報を、捜査一課長の北川一にぶつける。北川は簡単に認めたくないが、記者の手元に具体的な材料がそろっている以上、押し切れない。稲田が示すのは「書かない」という選択ではなく、「書かない代わりに何をもらうか」という条件だ。

ここで稲田は、誘拐という人命案件だからこそ慎重にならざるを得ない空気を利用する。報道協定を結べば報道は止まるが、止めるには記者側の納得が必要になる。そして稲田は、協定の前に情報を出さないことの“見返り”を北川に要求する。

北川は即座に報道協定の要請へ舵を切り、広報側も対応に追われる。下地が各社を回って頭を下げるのは、事件の重さを理解しているからだけではない。協定が破綻した瞬間に起きるのは、警察の面子の崩壊ではなく、人質の危機だからだ。

ただ、ここでの報道協定は“理想形”では始まらない。取引として結ばれた協定は、取引が崩れた瞬間に脆い。だから次の場面で、情報が更新されないことが一気に火種になる。

報道協定成立:下地らが記者を抑え、人命最優先の空気を作る

記者クラブに集まった各社は、報道協定の趣旨自体は理解している。だが「全社に同じ情報が行き渡る」ことに、スクープ競争の現場は本音では反発する。それでも協定が成立するのは、誘拐が“情報より命”の領域だからだ。

下地はその温度差を読んで、理屈と根回しで押し切る。広報2係にとって、協定は単なるお願いではなく、現場を守るための防波堤になる。協定の条件は、報道を控える代わりに捜査状況を随時共有することだ。

つまり警察が“話す”ことを約束して初めて、記者は“書かない”を選べる。この回で強調されるのは、沈黙はコントロールではなく、むしろ爆発の導火線になり得るという点だ。だから安藤は「記者との信頼」を、現場の安全装置として扱う。

報道協定が結ばれたことで、表面上は一度落ち着く。だが、ここから状況が一変する。監禁先が判明した瞬間、誘拐だけを見ていた盤面に“二課の張り込み”が割り込んでくる。協定が守られるかどうかは、次の情報の出し方にかかっていた。

記者クラブの本音:協定は「特ダネの封印」でもある

報道協定は建前上「人質の命を守るため」だが、記者側の体感は少し違う。協定に入ることは、各社が持っている手札を一度テーブルに置く行為に近い。つまり協定は、スクープの価値を一時的に“均一化”してしまうルールでもある。

だから、協定を求められた瞬間に記者の頭に浮かぶのは「誰が先に掴んでいたか」だ。先に情報を持っていた側ほど、横並びにされることに抵抗が出る。実際、この回でも記者たちは全社同じ情報になることに難色を示し、下地が説得に走る。

それでも最終的に協定が結ばれるのは、誘拐の報道が犯人の行動を変え得ると分かっているからだ。裏を返すと、協定を破った会社は「命を危険に晒した側」に立たされる。この“道徳的なコスト”が、スクープ欲を上回る瞬間がある。

ただし、協定は一度結んだら終わりではない。情報共有が止まれば、記者は「協定を守って損した」側になる。協定の運用が崩れかけた瞬間、記者は正義ではなく損得で動き出す。次のパートで不満が噴き上がるのは、その構造が露わになったからだ。

情報が降りてこない:レク欠席、記者の不満が爆発寸前に

監禁先が判明したはずなのに、捜査一課から記者向けのレクがほとんど更新されない。北川がレクを欠席し、会見場は置き去りにされる。報道協定は「情報共有」を約束しているからこそ、情報が出ないこと自体が裏切りに見えてしまう。

記者たちは人命案件だと理解しつつも、協定を守り続けるための“根拠”が欲しい。待っても待っても新しい事実が出ず、時間だけが過ぎていく。ついには「このままだと協定を守れない」と口にする者まで出てくる。

広報側も同じくらい不安になる。広報が記者を説得するための材料を、捜査一課が広報にすら共有しないからだ。時永が違和感を覚えるのは、単に連携不足ではなく、意図的な情報統制の匂いがするからだ。

安藤は、信頼が崩れた瞬間の危険を知っている。協定が破綻すれば、監禁先を嗅ぎ回る取材が始まり、犯人の耳に入る。だから広報2係は「待つ」ではなく「取りに行く」という、普段なら踏み込まない選択に舵を切る。ここから、広報側の“ログ戦”が始まっていく。

時永の違和感:広報にも共有されない“意図”を読む

記者が荒れているだけなら、広報の仕事は頭を下げて時間を稼ぐことになる。だが第5話の異常は、広報にすら捜査会議の情報が落ちてこないことだった。時永が感じたのは「忙しくて共有できない」ではなく「共有しないと決めている」気配だ。

時永は元捜査二課の人間だから、政治家案件の匂いに敏感だ。現場が妙に静かで、幹部が言葉を選ぶとき、そこには“別件の地雷”が埋まっていることが多い。だから彼は、誘拐の捜査が遅れていること以上に、情報が止まっている理由を探ろうとする。

広報にとって、情報は武器ではなく責任だ。手元にない情報は、記者にも出せない。つまりこの状況は、広報が「説得の道具」を奪われた状態で、記者と向き合わされている。

今泉にとっても苦い。彼は記者が嫌いで、距離を取りたい側の人間だが、だからこそ「説明できない沈黙」がどれだけ危険かも理解している。この回で今泉が踏み込めたのは、記者のためではなく、沈黙が人質の命を削ると分かったからだ。広報2係が動き出す必然は、ここにある。

広報が独自に“ログ戦”開始:熊崎の潜入と資料の確保

広報2係が動いたのは、記者のためではなく、人質のためだ。協定を守らせるには、捜査一課が何を隠しているのかを把握しなければならない。熊崎心音は特別捜査本部へ足を運び、会議の空気と資料から状況を掴みにいく。

彼女がやっているのは、刑事の捜査ではなく、情報の出どころを押さえる作業だ。誰がどの資料を握り、誰に共有されていないのかを見極める。必要なら、目に入った要点をスマホで記録して持ち帰る。

一方で今泉と時永は、現場に近いところに“漏れやすい隙”があると踏む。広報は捜査会議に入れないことが多いからこそ、廊下や出入口、休憩所が情報の通り道になる。「会議室の外」を押さえるのは、広報にしかできない動きだ。

そしてこの動きが、次の決定的な事実に繋がる。捜査一課は無能だから黙っているのではなく、黙る理由があった。その理由が“隣のマンションで二課が張っている”という一点に集約されると、広報の動きは一気に具体化する。情報統制の芯を掴めば、記者の納得も作れる。

トイレでの盗み聞き:隠された理由は「向かいのマンション」

今泉と時永は、捜査一課の刑事たちが交わす会話をトイレで聞き取ろうとする。やり方としては危ういが、協定が崩れれば人質が危ないという切迫感が背中を押す。そこで明らかになるのは、捜査一課が情報統制を敷いていた事実そのものだ。

盗み聞きした会話から、晃の監禁先マンションの“隣”が問題だと分かる。隣のマンションでは、捜査二課が若草賢三の愛人宅にガサ入れを狙って張り込んでいる。もし誘拐の突入が先に動けば、二課の張り込みが崩れ、若草が証拠を隠滅する恐れがある。

つまり捜査一課は、二課に気づかれないように動くため、広報にも情報を出さなかった。この一手は組織としては理解できても、報道協定の前提を壊しているという矛盾を抱える。広報はここで初めて「記者に出せない理由」を言語化できるようになる。

同時に、広報側の視点も変わる。誘拐は誘拐だけで完結しない。政治家案件という“別件の爆弾”が隣で点火しそうだからこそ、情報の出し方は戦術になる。この理解が、次の一課と二課の衝突へ繋がっていく。

二課サイドの張り込み現場:仙北谷の焦燥と東田の判断

誘拐側の緊迫と並行して、二課の張り込み現場にも別の緊張が走っている。仙北谷たちは、若草が愛人宅へ姿を見せるタイミングを逃さないため、見張りを切らさない。2年越しの捜査は、最後の数分でひっくり返ることがあるからだ。

政治家案件は、相手が“法の外”で戦ってくる。証拠は人ではなく物に残るが、その物は簡単に消される。だから東田は、外が騒がしくなるほど神経を尖らせ、部下に「余計な刺激を与えるな」と徹底する。

そんな中で、隣のマンションで誘拐事件が動き出している事実は、二課にとって悪夢に近い。警察車両が動き、報道陣が集まるだけで若草の耳に届く。東田が「人命は分かるが、ここで逃せば二課は二度と裏金の根に触れない」と硬くなるのは、組織の論理というより現場の恐怖だ。

仙北谷は若手だが、捜査を積み上げてきた自負がある。だからこそ、誘拐のために自分たちの捜査が潰れることに納得できない。この“納得できなさ”が、一課と二課を単なる部署間対立ではなく、正義の衝突に見せている。同時突入案が必要になる理由は、二課側にも確かにあった。

一課と二課が正面衝突:人命か、2年越しの裏帳簿か

北川は捜査二課長の東田と向き合い、状況の共有と調整に入る。北川の理屈は単純で、「まずは人命」であり、監禁先が割れている以上、救出を最優先するべきだ。一方の東田は、若草が裏帳簿を握る案件で、警察の動きを察知されれば全てが飛ぶと譲らない。

二課が恐れるのは、ガサ入れが失敗することだけではない。若草が「自分が狙われている」と気づいた瞬間に証拠が消えることで、裏金の根を掴めなくなる。だから東田は、証拠のパソコンを破壊するような隠滅さえ起こり得ると口にして、一歩も引かない。

この対立は、誰が正しいかではなく、どちらも正しいから折れない。人質救出が遅れれば命が失われるし、政治家を逃せば社会的な損失が広がる。そして皮肉なことに、そのどちらの損失も「警察の失態」として報道される。

ここで安藤が出すのが“一課と二課の同時突入”という折衷案だ。二課は若草が到着した瞬間を押さえ、同時に一課が監禁先へ突入する。これなら二課の張り込みも守りつつ、晃の救出も遅らせないという筋が立つ。問題は、同時に動くための条件を、どう整えるかだった。

同時突入の設計:メディアを味方にして主導権を握る

安藤の折衷案を成立させるには、報道協定を“形だけ”で終わらせない必要がある。情報が出ないから記者が暴れるのではなく、情報が出ない理由が分からないから暴れる。北川はここで腹を括り、これまでの捜査状況を改めて記者にすべて公開する。

さらにポイントは、ふだん報道協定の枠に入らない二課担当の記者にも、協力を求めたことだ。誘拐だけを止めても、政治家案件が報じられれば現場は荒れる。だから北川は「人命を守るため」という大義名分で、メディア側の足並みをそろえにいく。

記者にとっては、ここで協定を破れば“救出失敗の責任”を背負わされかねない。逆に協定に乗れば、救出後に取材できる土台が残る。この損得計算が働くのが、現実のメディアと警察の関係でもある。

広報2係の役割は、記者を敵に回さず、必要なタイミングで必要な情報を届けることだ。協定が成立した時点で終わりではなく、協定を守らせる運用が本番になる。今泉が「情報を握る」のではなく「情報の出し方を設計する」側に回ったのが、この回の転換点だ。舞台は、いよいよ現場の突入作戦へ移っていく。

同時突入の前夜:時間がずれるほど人質リスクが跳ね上がる

同時突入の計画が立った瞬間、現場は「秒」を数え始める。二課は若草が愛人宅へ入る瞬間を狙い、一課は晃の監禁部屋へ突入する。ただし同時突入は、片方の準備が遅れた瞬間に“どちらも失う”形に転びやすい。

渋滞で若草の到着が遅れるというアクシデントは、その弱点を直撃した。待てば待つほど、監禁現場の犯人の心理が荒れる。犯人は外の気配や時間の経過から「警察が動いている」と疑い、晃に向ける圧を強める。

高橋が連絡の取れない実行役に苛立つ描写は、犯人側が完全なプロではないことも示す。人質事件は“犯人の焦り”が最大のトリガーになる。だから上田は、突入そのものより「突入がバレる瞬間」を恐れる。

北川が「今すぐ行く」と前のめりになるのも理解できる。だが、ここで強行すれば撃たれる可能性が上がり、失敗した時の代償が大きすぎる。同時突入が崩れかけたことで、広報2係の提案が“机上の工夫”ではなく現場の解になっていく。次の瞬間、今泉の発想が作戦の軌道を変える。

ラストの作戦変更:二課を先に動かし、SITが突入して救出

作戦は、若草が愛人宅マンションに到着した瞬間に二課が動き、同時に一課が晃の監禁部屋へ突入するというものだった。ところが、肝心の若草の車が渋滞にはまり、タイミングがずれていく。一刻を争う誘拐で「到着待ち」が発生した瞬間、折衷案は一気に綱渡りになる。

監禁現場では、誘拐犯の高橋が実行役と連絡が取れないことに苛立ち、京香が警察に通報したのではないかと疑い始める。高橋は晃に銃口を向け、救出側の一歩がそのまま引き金になる状況を作る。北川は今すぐ突入したいが、管理官の上田学は、刺激すれば晃が撃たれる可能性を警戒する。

二課側も簡単に折れない。若草が到着する前に動けば、ガサ入れは失敗するかもしれない。人質の命と、2年越しの裏金捜査の成否が、同じ秒針の上に乗ってしまった。

そこで今泉が出したのが、二課を先に動かし、その様子をメディアに撮らせるという“認知の誘導”だ。犯人に「警察は隣のマンションを狙っている」と思わせれば、監禁部屋がバレたと悟らせずに済む。犯人の視界に“別件のガサ入れ”と“報道陣”をわざと入れることで、銃口が下がる瞬間を作り出す。

計画通り、二課の突入が先に走り、メディアのカメラもそちらへ向く。高橋が隙を見せたところで、SITが監禁部屋へ突入し、晃は無事に救出される。報道協定は、結果として“守られた”形で終わり、広報2係は現場を勝たせた。

エピローグ:映像の“見返り”、医療過誤の予告、今泉の成長

救出が成功しても、広報の戦いは終わらない。報道協定を守った記者たちは、当然「何を出せるか」を求めてくる。今泉は上田に掛け合い、逮捕後の映像など“出せる素材”を用意して、記者の不満を最小化しようとする。

ここで大きいのは、広報が事件の外側を整えることで、次の事件の初動も守れる点だ。記者が荒れれば、次の誘拐や次の事故でまた同じ混乱が起きる。だから「一回勝つ」だけではなく「勝ち方を残す」必要がある。

一方、稲田は北川の元へ行き、報道協定前に情報を出さなかった“見返り”を回収する。彼が欲しがるのは金ではなく、次のスクープに繋がる“捜査情報の種”だ。この交換が成立する限り、警察と記者の関係は対立ではなく共犯に近づく。

さらに稲田と安藤は酒の席で、今泉が広報に回された理由に触れる。安藤は、今泉が意外と色々なものを抱えていること、だからこそ人のために尽くせる警察官になってほしいことを語る。第5話のラストは、今泉が「広報=島流し」ではなく「現場を動かすポジション」だと腹落ちした瞬間でもあった。ただ、稲田が口にした“医療過誤”の気配が、次の火種として静かに置かれていく。

「東京P.D. 警視庁広報2係」5話の伏線

「東京P.D. 警視庁広報2係」5話の伏線

第5話は事件としては「誘拐救出」で決着するが、シリーズ全体で見ると“火種”がいくつも増えた回でもある。特に大きいのは、警察とメディアが対立しながらも、条件次第で簡単に共犯関係へ寄っていく構造が描かれたことだ。広報2係はその狭間で、現場の安全と組織の都合の両方を背負わされる。

誘拐と政治家案件が隣り合ったことで、「別件が本件を壊す」怖さも具体化した。情報統制の理由は理解できても、その統制が報道協定を壊しかけた事実は重い。だからこそ、今後も同じ構図が繰り返される可能性がある。

また稲田の動きは、スクープ記者というより“交渉人”の顔が強くなってきた。報道を止める代わりに何を引き出すのか。警察内部の誰がそれに応じるのか。ここが曖昧なままだと、次はもっと危険な取引になる。

以下では、第5話の描写から見えた伏線を「確定した事実」と「今後の広がり」に分けて整理する。断定は避けつつ、どこが次回以降の回収ポイントになりそうかを追っていく。

報道協定の“見返り”が残した宿題

報道協定は、人命を守るためのルールとして提示された。だが第5話では、協定の入口で「見返り」という言葉が出てしまう。ここで示されたのは、協定が倫理だけで回るのではなく、交換条件で回り得るという現実だ。

稲田は協定前に情報を出さない代わりに、北川へ何かを要求した。北川もそれを飲むことで、協定を成立させ、現場の暴走を止めた。結果だけを見れば人質は救われたが、取引の形が残る。

この取引が次に向かうのは、よりグレーな領域だ。例えば「命に関わらない事件」や「世論操作が効く事件」なら、見返りの要求はもっと露骨になる。そして警察側も、出せる情報と出せない情報の線引きで揺れる。

第5話は、協定を“守れた”からこそ怖い。成功体験は再現される。次に協定が出てきた時、誰が何を差し出して、何を手に入れるのかが伏線になっている。広報2係は、その交渉の前線に立たされ続けるはずだ。

稲田の情報源は誰なのか:リークの穴という伏線

稲田が誘拐情報を早期に掴めたのは、現場の嗅覚だけでは説明しきれない。警察内部の動きに近い“何か”が、彼の手元へ流れている。作中でも稲田は、警察の異常な動きを見て確信する前に、すでに事件の輪郭を持っていた。

もし情報源が警察内部なら、問題は二つに分かれる。善意のリークなのか、利害のリークなのかだ。前者なら「人命救助のため」も成立するが、後者なら「組織の誰かが得をする」形になる。

第5話で二課案件が絡んだことで、リークの価値はさらに上がった。政治家案件は情報が致命傷になる。だからこそ、二課サイドの情報が稲田に流れているなら、それは組織の内部抗争の匂いがする。

一方で、広報2係にも“漏れやすさ”の要素がある。広報は捜査会議の外側を歩く分、情報の通り道に触れやすい。今後、誰かが広報を経由して意図的に情報を流す展開が来ても不思議ではない。稲田の情報源は、シリーズの根幹に刺さる伏線だ。

若草賢三の裏帳簿:政治家案件が物語を大きくする

第5話で登場した若草賢三の公金横領疑惑は、単発のサブ事件では終わらない気がする。誘拐の監禁先と隣り合ったことで、物語の“地続き感”が強くなった。つまり、このドラマは「事件が解決したら次へ」ではなく、事件同士が互いの条件を変えていく。

二課が追っているのは、単なる個人の横領ではなく、党の裏帳簿に触れる可能性だ。ここが本当に回収されるなら、警視庁内部だけでなく政治サイドも巻き込む。そうなると、広報の仕事は「記者対応」ではなく「世論の火消し」へ寄っていく。

そして怖いのは、裏金案件に関わる人間は“証拠を消す技術”を持っていることだ。東田が証拠隠滅を強く警戒したのは、過去に似た潰し方を見てきたからだと読める。この視点は、シリーズ後半の大きな敵の輪郭にも繋がる。

若草がこのまま終わるのか、別の政治家や組織が出てくるのかはまだ不明だ。だが第5話で「二課の2年」が語られた時点で、回収の優先度は高い。裏帳簿の行方は、今泉が抱える“広報に送られた理由”とも絡んでくる可能性がある。ここは今後も注視したい。

「医療過誤」の匂いと今泉の過去:次の爆弾

第5話の終盤で、稲田が口にする「医療過誤」の気配は、次回以降への明確な仕込みに見える。誘拐が終わった直後に、別ジャンルの火種が置かれるのがこのドラマの作りだ。事件が片付いた瞬間に次の“交換条件”が提示されることで、警察とメディアの関係がリセットされない。

医療過誤は、被害者感情と組織防衛が衝突しやすい題材だ。もし病院側の隠蔽や、行政の圧力が絡めば、広報の守備範囲はさらに広がる。記者も感情で走りやすく、報道協定が効きにくい。

ここで鍵になるのが、今泉の過去だ。今泉はもともと記者嫌いで、広報配属そのものがトラウマを刺激している。だからこそ「医療過誤」のように世論が燃えやすい案件は、今泉にとって試金石になる。

安藤が「今泉はいろんなものを抱えている」と語ったのも、この先の負荷を示唆している。広報で事件を解決できても、心の問題は解決しない。今泉のトラウマがどの事件に紐づいているのかは未回収で、シリーズの大きな縦軸として残っている。医療過誤は、その回収を加速させる装置になりそうだ。

メディアを囮にした作戦:成功体験が生む副作用

第5話で今泉が提示した「二課の突入を先に見せる」作戦は、結果的に人質救出へ繋がった。だがこの発想は、広報が現場の戦術に踏み込む前例にもなる。一度成功した手は、次も使いたくなるが、次も同じ条件で通用するとは限らない。

今回うまくいったのは、犯人が状況を“映像”で判断するタイプだったからだ。もし次の犯人が、報道を逆手に取る側なら、メディア露出はリスクになる。つまり成功体験は、同時に敵にも学習材料を渡す。

また、警察内部の反発も残る。捜査一課には広報を目の敵にする刑事もいる。「広報が現場を動かした」という事実が、組織内の対立を深くする可能性がある。

さらに、報道陣側にも感情が残る。協定を守ったのに情報が止まった記憶は、次の協定交渉で必ず持ち出される。つまり第5話の勝利は、次の交渉の“値札”を上げてしまった。この副作用をどう処理するかも、今後の伏線だ。

「東京P.D. 警視庁広報2係」5話の感想&考察

「東京P.D. 警視庁広報2係」5話の感想&考察

第5話を見終わって残ったのは、「広報って地味な部署」みたいな偏見が気持ちよく壊された感覚だった。捜査は捜査、広報は広報と分けた瞬間に、人質事件は負ける。今泉は現場に立っていないのに、現場の勝敗を左右できる立場にいると示された。

同時に、今回の勝ち方はかなり危うい。メディアを“道具”として使い、犯人の認知を誘導するのは、倫理の線引きが難しい。だが人命がかかっている以上、綺麗事だけでは回らないのも事実だ。ここにこのドラマの面白さがある。

僕が一番ゾクッとしたのは、報道協定が「正しいから成立する」のではなく、「損得が噛み合ったから成立する」と描いたところだ。協定が崩れかけた瞬間、組織も記者も一気に本音を出す。その本音を“爆発させない形”に整えるのが、広報2係の仕事になる。

以下では、見どころを感情のまま語りつつ、どこが次回以降の回収ポイントになりそうかを論理で掘る。断定ではなく、成立条件を置きながら考察していく。

広報が“現場の外”から勝たせる回だった

第5話の面白さは、広報2係が「情報を隠す係」ではなく「情報の出し方を組む係」として描かれた点にある。事件の勝敗は、突入の瞬間だけで決まらない。突入の前に、誰が何を知り、何を誤解しているかで決まる。

今泉が出した作戦は、犯人の視界を操作するものだった。警察は隣のマンションを狙っていると誤認させれば、監禁部屋がバレたと悟らせずに済む。これは銃を構えた犯人を“説得”するのではなく、“落ち着かせる状況”を作るアプローチだ。

この視点は、捜査一課だけでは出にくい。捜査は事実を詰める仕事で、相手の認知をデザインする発想は後回しになりがちだ。広報は「人がどう受け取るか」を扱う部署だからこそ、犯人の脳内を読んで手を打てる。

だから僕は、今泉が現場に口出ししたというより、現場が勝つための前提条件を整えたように見えた。もちろん危ういし、毎回通用する手でもない。それでも「広報だからできる勝ち方」が提示された時点で、シリーズの軸が一段太くなった。ここは素直に痺れた。

一課と二課の対立は“正義の衝突”で割り切れない

今回の一課と二課の衝突は、単なる縄張り争いに見せかけて、実は両方とも正義を抱えている。ここを雑に描くと、二課が悪者になる。でも東田の「証拠隠滅される」という恐怖は、現場のリアルとして成立していた。

整理すると、一課の動機は人命救助で、機会は監禁先が判明した瞬間に最大化する。後処理は救出後に逮捕と供述を積み上げればいい。二課の動機は裏金の根を断つことで、機会は若草が愛人宅へ入る瞬間に限定される。

二課の後処理は、証拠の確保ができるかどうかで決まる。だから先に一課が動くと、二課は“負け確定”になりやすい。この衝突は、どちらかが折れるのではなく、条件を組み替えないと解けない。

そこで出てくる同時突入案は、論理としては美しい。だが実際はタイミングがズレただけで破綻する。渋滞ひとつで盤面が壊れるのが、現場の怖さであり、この回の緊張感の源だった。広報が介入する余地が生まれたのも、ここだと思う。

稲田は敵か味方か:信用と取引の境界線

稲田はこの回で、視聴者にとって一番読みにくい人物になったと思う。協定を提案するのは人命への配慮にも見える。だが同時に、見返りを要求する時点で善人ではない。彼の行動原理は「正義」より「交渉」に寄っている。

ここで重要なのは、稲田が警察の敵ではなく、警察の“必要悪”として存在している点だ。警察が全てを隠せば、いずれ世論が爆発してより大きなダメージになる。稲田はその爆発を早めたり遅らせたりできる立場にいる。

だから北川が稲田の要求に応じたのは、弱みを握られたからだけではない。協定を成立させ、救出の条件を整えるために、交換条件を飲むしかなかった。この「仕方なかった」が積み重なると、警察は少しずつ取引体質になる。

僕が気になったのは、稲田の情報源だ。誰が彼に早い情報を流しているのか。情報源が警察内部なら、次に燃えるのは誘拐ではなく“組織の内側”になる。稲田の存在は、事件の外側から警視庁を揺らす爆弾にも見えた。

次回以降の考察:報道協定の副作用と医療過誤の爆弾

第5話は救出成功で終わったが、「これで終わり」とは感じにくい。むしろ成功したからこそ、次が怖い。報道協定は成功体験になり、次はもっと大きな見返りを巡って交渉が激しくなる可能性がある。

また、今回のように二課案件と絡むと、協定の範囲が曖昧になる。誰の情報をどこまで止めるのか。止めた結果、誰が損をするのか。損をした側が次に裏切る動機を持つ。

そして稲田が口にした医療過誤は、世論が燃えやすい題材だ。誘拐のように「報道を止めれば解決に近づく」型ではなく、むしろ報道がなければ闇に消える。つまり次は、広報2係が「止める」ではなく「どこまで出すか」を迫られる展開になりそうだ。

今泉にとっても試練になる。記者嫌いの彼が、記者と同じ方向を向かなければ救えない相手が出てくるかもしれない。第5話で掴んだ“設計する広報”の強みが、次は世論の火の粉の中で試される。ここから後半戦に向けて、縦軸が一気に動く気配がある。

上田学の「撃たせない」判断が、この回の背骨だった

派手なのは今泉の提案だが、僕は管理官・上田学の判断がこの回の背骨だと思う。北川が前のめりになる中で、上田は突入を急がない。あれは弱腰ではなく、「突入がバレた瞬間に撃たれる」という現場の前提を守る判断だ。

人質事件は、警察が正しい動きをしても、人質が死ねば負けになる。だから“正しい突入”より“撃たせない空気”を作る方が重要になる。今泉の作戦が成立したのは、上田がその前提を揺るがさなかったからだ。

さらに上田は、救出後の記者対応でも広報に協力した。映像を出すか出さないかは、事件の外側の話に見える。だが実際は、記者の不満が残れば次の現場に悪影響が出る。上田が広報の提案を受け入れたのは、現場と広報を切り離さない姿勢の表れだ。

このドラマの警察は、万能ではない。部署も人も、利害でぶつかる。だからこそ、上田のように「守るべき前提」を静かに貫く人がいると、物語が締まる。

第5話は、組織の都合と人命の間で“撃たせない解”を選べた回だった。この姿勢が次の事件でどう試されるかも、見どころになる。

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