ドラマ「小さな巨人」の5話が終了しましたね。

第6話は、芝署編の決着を経て物語が一気に“制度の闇”へ踏み込む転章回。
情報リークの処分を受け豊洲署へ異動した香坂(長谷川博己)は、失踪した経理課長・横沢裕一の行方を追うことに。
調査を進める中で、学園の不正、謎の同僚・矢部の正体、裏帳簿の存在が次々と浮上し、事件は“ただの失踪”から道を外れ始める。
そして屋上に横たわる遺体、逃走する山田──豊洲署編はここから一気に臨界点へ向かっていく。
2017年5月21日(日)夜9時放送のドラマ「小さな巨人」6話のあらすじ(ネタバレ)と5話の感想を紹介していきます。
※以後ネタバレ注意
ドラマ「小さな巨人」6話のあらすじ&ネタバレ

芝署編の決着直後、物語は「豊洲署編」へ。
新聞社へのリークという“手続き違反”の処分を受け、香坂(長谷川博己)は豊洲署へ異動。赴任早々、「夫の横沢裕一(井上芳雄)が突然いなくなった。探してほしい」と横沢亜美(中村アン)に助けを求められる。
横沢は学校法人・早明学園の経理課長で、学園側は「横領の疑いがあるが示談で済ませたい」と繰り返す。だが、この“ただの失踪”は、後に警察機構を揺さぶる大事件へと繋がっていく。
豊洲署編の幕開け――“処分”の異動と新たな依頼
香坂の異動理由は明確だ。
芝署での情報リークの責任を問われた処分――それでも彼は現場の刑事として、目の前の“失踪”を事案として受け止める。
横沢の妻・亜美は「夫に家出の理由は見当たらない」と訴え、香坂は山田(岡田将生)・三島(芳根京子)とともに横沢の勤務先・早明学園へ。ここから、芝署編とは質の異なる“制度の闇”が見え始める。
学園の“鉄壁”――富永専務と理事長・金崎の論理
早明学園の専務・富永(梅沢富美男)は、元・警視庁捜査一課長で元・刑事部参事官。
捜査一課長・小野田(香川照之)を現在の地位に押し上げ、かつて香坂の父・敦史(木場勝己)を所轄へ異動させた人物でもある。
富永は理事長・金崎玲子(和田アキ子)と共に「横沢は横領。だが学園の成長に尽くした功労者だ。今は一大プロジェクトの大事な時期。公にせず示談にしたい」と主張し、事件化を牽制する。学園側は“面子とスピード”で押し切ろうとし、香坂の嗅覚は逆に騒ぎ出す。
妻の記憶が指した“同僚・矢部”――最初の糸口
横沢の家庭を再訪した香坂は、亜美の「以前、夫の“同僚”が家に来た」という言葉を拾い上げる。
名は矢部貴志。半年前に学園経理へ中途入職したというが、住民の記憶に乏しく、登録住所にも生活の痕跡が薄い。豊洲署は矢部の身辺に当たり、帰宅を張って任意同行を狙う――が、尾行は失敗。
最初の“実働戦”は空振りに終わる。
“不当な土地売買”とブランドの急拡大――学園のからくり
同時並行の情報収集で、早明学園の台頭に“政・官・外務”を巻き込んだ疑惑が見えてくる。
端的に言えば、国が持て余す0円同然のゴミ埋立地を“10億円で買い取る”一方で、学園設立の認可や有力政治家の顧問就任、海外教員・留学生の呼び込みなど、便宜の見返りでブランドを急伸させたという構図だ。
学園の急膨張と経理課長の“失踪”が同時に起こる偶然は、偶然に見えなくなる。
矢部=警察官・江口和夫――“敵は味方のフリをする”の反転
矢部の正体は、学園職員ではない。
元捜査二課で現・警視庁人事課の警部、江口和夫(ユースケ・サンタマリア)。しかも江口は、山田の新人時代の研修担当だった。
江口は学園の“癒着”をひそかに内偵し、横沢と連携して不正の証拠を掴もうとしていたという。
横沢が横領したどころか、逆に学園の不正を暴こうとしていた――ここで事件の表裏がひっくり返る。そして山田は、江口から“協力と沈黙”を求められていた。香坂の胸中に、組織内の“境界線”が再び浮かび上がる。
裏帳簿の影――江口から届いた“場所”の連絡
ほどなく山田に、江口から連絡。「横沢の居場所」と「学園の裏帳簿の所在が判明した」という一報だ。
裏帳簿――それは政治家へのヤミ献金を可視化する“原本”に等しい。山田が動く。三島がこれを追い、香坂も尾行に加わる。学園の“表”が眠るキャンパスの向こうで、“裏”が目を覚まそうとしていた。
屋上の惨劇――江口の遺体、逃走する山田、そして逮捕
尾行の末に辿り着いたのは、学園の屋上。
そこには江口の変わり果てた姿が横たわり、現場には山田の影。驚愕する香坂らに気づき、山田は反射的に逃走を図るが、待機していた捜査員により殺人容疑で逮捕される。
ここで第6話は急転の幕を引き、豊洲署編は一気に「警察官殺害事件」へ。以後、特別捜査本部の立ち上げ、DNA鑑定などが怒涛の勢いで展開していくことになる。
エピローグ――“ただの失踪”は巨大事件の入り口にすぎない
端緒は一件の失踪相談。しかし、富永・金崎という“制度側の論理”、矢部=江口という“二重身分”、裏帳簿の存在――それらが絡み合い、事件は学園と政界、そして警察組織そのものへ延焼していく。
「敵は味方のフリをする。」というコピーは、芝署編の“内通者”から、今度は“制度に潜む敵”へとスケールを広げた。
ドラマ「小さな巨人」6話を見た後の感想&考察

第6話は、芝署編で学んだ「99%の推理と100%の証拠の差」からもう一段階スライドし、「制度に挑むための作法」を描いたプロローグだ。
提示されたのは三つ――①“失踪”の皮を被った内部告発劇、②“同僚=警官”という二重身分の反転、③裏帳簿という“原本”をめぐる情報戦。ここからは、個人の悪事を越えた“結節点の崩し方”が問われる。
1|「敵は味方のフリをする」の再定義――制度の中に潜む敵
芝署編では“所轄の内通者”が中心だったが、豊洲署編は制度の階層へ。富永・金崎の“面子で押し切る”態度は、法と手続の外にある政治的現実そのもの。
学園の急膨張を支えた“0円の埋立地→10億で買い取り/認可と便宜”の構図は、公共と私益の結節点を照らし、視聴者に“制度を見る目”を要求する。
2|矢部=江口の二重身分――偽装の皮と使命の芯
矢部として潜っていた人物は、元捜査二課・現人事課の江口警部。
偽装はサプライズだが核心は 「内部の人間が内部に切り込む」 という構図。
制度の内側から制度の不正を暴く者の危うさが極まる。江口が命と引き換えに残した“裏帳簿”は、まさに原本そのもの。第2章は原本の奪取・保全・提示の三段論法で駆動する。
3|山田春彦――協力と沈黙の狭間で揺れる“可変抵抗”
山田は江口から“協力と沈黙”を求められ、所轄の香坂には言えない事情を抱える。
第6話の逮捕劇は、彼を“組織の負荷を一身に受ける装置”として描いた。
誰を守るか・どこまで踏み込むか――その選択のズレが、香坂との距離を生む。芝署編で“可変抵抗”と評した役割が、豊洲署編で臨界に達しつつある。
4|“原本”の物語設計――USBから裏帳簿へ
芝署編のUSBが“一点の直証”なら、豊洲署編のマクガフィンは裏帳簿。
相手の規模と守りは段違いで、今回必要なのは Discovery→Preservation→Presentation の捜査作法。第6話は“所在判明”までをセットし、誰が帳簿を握るかで勢力図が一変する段階へ入った。
5|富永という“現実”――過去と現在が交差する圧
富永は小野田を押し上げ、香坂の父を所轄へ送った人物。
“過去の配分”が“現在の沈黙”を強いる構造。香坂にとって豊洲署編は、父の時代に片付かなかった宿題が形を変えて立ちはだかる章。正義だけでは勝てず、手続と政治の“設計者”になる必要がある。
6|演出の所見――“静”から“屋上の臨界”へトーンが跳ね上がる
前半の地味な聞き込みと尾行から、屋上の遺体×夕刻の空で一気にトーンが決まる。
法廷で通る証拠をどう“可視化”するか――芝署編を踏まえつつ、豊洲署編は “制度に届く可視化” が求められる。クライマックスはその難しさを鮮烈に示した。
7|総括――“ただの失踪”から“制度の臨界”へ
第6話は、見えない敵=制度との戦いの開幕を告げた回。
失踪の裏には、裏帳簿・人事の負債・便宜のからくりが折り重なっている。鍵となるのは一次情報の確保。香坂は芝署編で得た “情報の設計と足” を武器に、より巨大な“巨人”へ挑むことになる。
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