ドラマ「リバース」第5話は、いわゆる“村井回”でありながら、物語全体の重心が大きくずれる回でもあります。
浅見の告白によって村井へ向いた疑いは、新たな証言によって再び揺れ、誰か一人を犯人として切り取ることができなくなっていく。
一方で、美穂子へのストーカー行為はついに実害へ踏み込み、深瀬の周囲でも倒産や失踪といった不幸が連鎖し始めます。
第5話で描かれるのは、「真相に近づくほど、日常が壊れていく」というリバースらしい地獄です。
ここから先は、第5話のあらすじを時系列で整理しつつ、証言のズレが示す伏線と、見終わった後に残る違和感をネタバレありで読み解いていきます。
ドラマ「リバース」5話のあらすじ&ネタバレ

第5話は一言で言うと「村井回」。ただし“村井が掘られる”だけではなく、深瀬がようやく「自分の足で」他人と向き合いはじめる回でもあります。
そして、美穂子へのストーカーが、ついに“未遂”から“実害”へ踏み込む。ここで作品の温度が一段上がりました。
※この記事はドラマ「リバース」第5話のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
浅見の疑いが深瀬の胸に突き刺さる
第4話終盤で浅見は、10年前の事故現場で“赤いダウンの人影”を見たこと、そして警察で村井が同じ赤いダウンを着ていたことから、村井が何かを隠しているのではと深瀬に打ち明けました。
第5話冒頭、深瀬はその疑いを引きずりながら「真相を追っているのに、当時のことを何も知らない自分」を情けなく感じていく。ここが深瀬らしい。真面目で臆病で、でも“罪の自覚”だけは強烈にある男です。
村井のW不倫スクープで、深瀬の部屋が“避難所”になる
そんな矢先、村井の身辺が一気に崩れます。県議会議員・沼淵ことはとのW不倫がスクープされ、マスコミに追い回される。父からは「しばらく身を隠せ」と指示され、村井が向かった先が深瀬のアパートでした。
ここ、構図として面白い。
学生時代“派手グループ”の中心にいた村井が、いまは追われる側。
逆に、学生時代“地味”だった深瀬の狭い部屋が、村井にとっての安全圏になる。この「立場の反転」そのものが、ドラマタイトルの“リバース”感を強めてきます。
同居があぶり出す「広沢の知らない一面」
深瀬は戸惑いつつも村井を受け入れます。二人は同じ部屋で、否応なしに“互いの人生”を見せ合うことになる。
そして村井の口から出てくるのは、深瀬が「親友」と信じていた広沢の、深瀬が知らない顔。
「広沢をどう見ていたか」が、ゼミ仲間それぞれで違う。
だから、誰か一人の記憶だけを信じた瞬間に、真実から離れてしまう。
湊かなえ作品の“怖さ”が、ここで静かに滲み出ます。
美穂子が狙われる:エレベーターでの不審な接触
一方、美穂子は日常の中で明確に狙われ始めています。
エレベーター内で見知らぬ男に手をつかまれ、怯えて逃げ出す。そこへ乾恭子が現れ、美穂子は思わず抱きつく。
短いのに心臓が縮む場面です。
恭子は深瀬に「店を出てからずっと付けられていた」と連絡し、しばらく美穂子を自分のもとに泊めることにします。深瀬からすると、守りたい人が“守られなきゃいけない状態”に置かれている。焦りが加速していきます。
浅見が乗り込む:「最後に広沢を見たのはお前か」
深瀬の部屋に、浅見がやって来ます。そして村井に真正面からぶつける質問がこれ。
「最後に広沢を見たのは、お前じゃないのか」
村井はきっぱり否定します。「何もしていないし、広沢のことも見ていない」と言い切る。
ここで疑いの矛先が大きく揺れます。
視聴者の感覚も、村井→否定→「じゃあ誰だ?」と反動が来る。
10年前の「殴った過去」:明日香と広沢の誤解が解ける
浅見は、10年前に村井と広沢の間にトラブルがあったことを持ち出します。
村井は「一回だけ殴った」と認める。
理由は妹・明日香。二股だと誤解し、怒りで手を出した。
だが実際は、明日香の片思いで、広沢には別の恋人がいた。村井は早とちりだったと知り謝罪し、広沢はそれを笑って許した。
殴られても怒らず、受け止める広沢。
優しさにも見えるし、感情の距離感が掴めない怖さにも見える。
この男、まだ底が見えません。
小笠原を追及:写真に映る“広沢の母”と取引条件
翌日、深瀬と浅見は小笠原に会いに行きます。
村井の不倫写真を流したのは小笠原なのか。草野球写真の背後に写っていた人物が、広沢の母・昌子に似ている。
小笠原は否定しつつ、条件を出します。
「村井の単独インタビューを用意しろ」。
そして去り際に、駅のホームや階段に注意しろと忠告する。谷原が突き落とされた直後だから、言葉が凶器のように響きます。
村井の“守り方”:ことはに別れを告げる電話
村井は、ことはから「議員を辞めようと思う」と電話を受けます。
本心では愛している。
でも守るために、わざと突き放す。
「遊びだった」「議員バッジを取ったら何が残る」と冷たく言い放ち、電話を切ったあと連絡先を消して崩れ落ちる。
残酷だけど、確かに“守り”として成立してしまう選択でした。
深瀬に届く脅迫メール、そして襲撃は現実になる
深瀬のもとに届く差出人不明のメール。
「詮索するな。無視したら周りの人間にも不幸が続く」。
深瀬は美穂子の職場へ向かいますが、彼女は不在。迎えに行く決断をします。
その頃、美穂子は帰り道で襲われ、連れ去られそうになる。深瀬が駆けつけ、犯人の足にしがみつく。ナイフが振り上げられ、通行人の気配で犯人は逃走。
冴えない男が、必死で守る。カッコよさより、生々しさが胸に刺さる場面でした。
村井の新証言:浅見と谷原は“何かを隠していた”
事件後、深瀬は村井と電話で話します。そこで村井は、10年前の光景を語り出す。
雪の夜、別荘へ向かう途中で、浅見と谷原がガードレールや道路標識が折れた現場で、何かを隠しているように見えた――。
浅見の証言と、村井の目撃。
ここで“誰か一人が嘘”では済まない構造が浮かび上がります。
そしてまた一人が消える:倒産と失踪で、深瀬が孤立する
村井は深瀬に「お前のところに行ってよかった」と礼を言い、実家に戻ると言って去っていきます。
しかし、その後に待っているのが不幸の連鎖。
深瀬の会社は突然倒産。
社長が金を持って逃げたと告げられる。
その晩、村井が音信不通で行方不明だと知らされる。
谷原は倒れ、村井は消え、美穂子は狙われ、深瀬は職を失う。「詮索するな」という脅しが、現実として襲いかかる――。
第5話は、ここで幕を閉じます。
ドラマ「リバース」5話の伏線
第5話は、派手な事件(美穂子襲撃・会社倒産・村井失踪)がある一方で、伏線としてはむしろ「証言のズレ」や「手口の共通点」が効いています。
ここから先の“犯人探し”は、分かりやすい怪しさよりも、小さな矛盾の積み重ねが鍵になってくるはずです。
伏線1:疑いのバトンが「浅見→村井→浅見&谷原」へ反転する
第4話の浅見の告白で、「村井が怪しい」という空気が一気に広がりました。ところが第5話で、村井の新証言が出たことで、その疑いは反転します。
ここで重要なのは、「誰が犯人か」よりも、誰が何を見たと思い込んでいるかがズレている点です。
同じ現場を見ても、人間は立場や感情、罪悪感によって記憶を都合よく組み替えてしまう。その揺らぎ自体が、最大の伏線になっています。
伏線2:広沢の母・昌子の影と、小笠原の“取引”姿勢
草野球写真に映る人物が広沢の母・昌子ではないかという疑い。
それを完全には否定せず、「単独インタビューを用意しろ」と条件を出す小笠原。
この流れは、
- 昌子が本当に裏で動いている可能性
- あるいは、小笠原がそう思わせて揺さぶっている可能性
どちらにも転べる作りになっています。
小笠原の立ち位置が味方か敵か、まだ確定しない。この曖昧さが、後半の爆発に向けた仕込みになっています。
伏線3:脅迫メールが示す「深瀬の個人情報を把握している人物」の存在
差出人不明の脅迫メールは、単なる心理的脅しではありません。
深瀬の連絡先を知り、しかも「周囲の人間にも不幸が続く」と具体的な連鎖を予告している。
実際に第5話では、襲撃・倒産・失踪が立て続けに起きる。
このことから、メールの送り主は“言葉だけの脅し”ではなく、実行力を持つ側だと分かります。
伏線4:美穂子襲撃の手口が持つ「見せしめ」と「口封じ」の二面性
エレベーターで手をつかむ → 後をつける → 人気のない場所で連れ去ろうとする。
この段階的な手口は、
- 恐怖を植え付けて黙らせる
- それでも動くなら実害を与える
という二段構えの圧力に見えます。
もし最初から殺すつもりなら、もっと早くできたはず。
だからこそ、この襲撃は「口封じ」寄りの匂いが強い。黙らせたいのは深瀬なのか、それとも美穂子なのか。この問いが残ります。
伏線5:小笠原の「駅のホーム・階段に注意」が不吉すぎる
谷原がホームから突き落とされた直後に、同じような“場所”を指定してくる忠告。単なる注意喚起としては、あまりに具体的すぎる。
次に起こることを知っているようにも聞こえる。
小笠原が黒幕でなくても、黒幕に近い場所にいる、あるいは利用されている可能性を匂わせる伏線です。
伏線6:村井失踪と深瀬の倒産は“偶然”の顔をした制裁
村井が新証言を出した直後に失踪し、深瀬は会社を失う。
このタイミングの良さ(悪さ)は、偶然というより「順番に壊されている」印象を与えます。
もし誰かが、真相に近づいた順に生活を壊しているとしたら。次に狙われるのは誰なのか。視聴者としても胃が痛くなる伏線です。
ドラマ「リバース」5話の感想&考察

第5話を見終えて最初に残るのは、謎よりも感情でした。
怖いというより、息が詰まる。誰かを追い詰める力が、明確に“暴力”へ変わった回だからです。ここからは、少し踏み込んで考えます。
感想1:「村井回」なのに、深瀬が一番“変わった”回でもある
村井が中心の回であるのは間違いない。
でも同時に、深瀬も確実に変わっています。
これまでの深瀬は、巻き込まれ、怯え、申し訳なさに潰れそうになる男でした。それが今回は、美穂子を守るために身体を張った。
この“身体を張る”行為がヒーロー的なのではなく、深瀬の場合は「罪悪感」が燃料になっているのが怖い。
守ることで償う。
償うために守る。
この順番の危うさが、深瀬という主人公の面倒くささであり、同時に魅力でもあります。
感想2:村井の別れは「優しさ」だけでなく、政治の世界の処世術でもある
村井の別れの電話は、確かに泣ける。
ただ、あの場面を「優しさ」だけで回収するのは危険だとも思います。
村井は政治家の家の人間で、秘書で、スキャンダルの扱い方を知っている。だから彼が選んだのは、「愛を守る」より先に「彼女のキャリアを守る」やり方でした。
正しいし、効果もある。実際、ことはは辞職を撤回する。
でもその正しさは、本人たちの感情を殺す正しさでもある。
恋愛シーンの皮をかぶった、政治の世界の冷たさが流れ込んできて、僕はそこにゾッとしました。
考察1:犯人(告発者)の目的は「復讐」より「沈黙」ではないか
第5話までの手口を並べると、告発者はかなり計画的です。
- 告発文による社会的ダメージ
- スクープによる社会的抹殺
- ホーム転落による物理的恐怖
- ストーカー襲撃による恐怖の増幅
- 脅迫メールによる行動制限
これが復讐なら、最後に裁くはず。
でも今は、裁くより先に「徹底的に動けなくする」ことをしている。
だから動機は、怒りの発散ではなく、真相に触れられると困る事情の封じ込めではないか。
復讐を装いながら、実は隠蔽を続けている。この二重構造は十分あり得ると思います。
考察2:浅見と村井の証言の矛盾は「どちらかが嘘」では済まない
浅見の証言と、村井の証言は真っ向から食い違います。でも、矛盾=嘘と決めつけるのは早い。
可能性は三つあります。
- 浅見が嘘をついている
- 村井が嘘をついている
- 二人とも、自分が見た範囲だけを語っていて、出来事の順番がズレている
三つ目が一番イヤミス的です。
人は記憶を消すのではなく、都合よく並べ替える。
もし二人が、別のタイミングの一部だけを見ていたとしたら。
その間にある“空白の時間”こそ、広沢が死んだ本当の手順が隠れている場所です。
感想3:美穂子の「ごめんなさい」が怖い
襲撃後、美穂子は泣いて謝ります。
「心配かけてごめん」とも取れる。でも、このドラマではそれだけに聞こえない。
美穂子はこれまで、深瀬に何かを言い切らない。怒らず、突き放さず、受け止めきらず、揺れている。
その曖昧さは優しさにも見えるし、底知れなさにも見える。
この回の「ごめんなさい」は、
被害者の謝罪ではなく、物語の鍵を握る人間の謝罪として聞こえてしまいました。
考察3:村井失踪は「消された」より「自分で消えた」可能性もある
村井失踪は、消されたと考えたくなる。でも同時に、村井は一度“吹っ切れて”いる。
- 愛を捨てて守る決断をした
- 深瀬に過去を話した
- 実家に戻ると言った
これは人生を立て直すスタートにも見える。
だから、自分から姿を消して、何かに決着をつけに行った線もあり得る。
もし村井が、10年前の捜査や父の権力に近い場所にいるなら、真相に触れる危険性を、誰よりも理解しているはず。
理解しているから、誰にも言わずに動く。
その結果が“失踪”に見える。
この展開、かなり怖いです。
まとめ:第5話は「守る」回であり、「守るために壊れる」回だった
第5話の核は、村井と深瀬がそれぞれのやり方で大切な人を守ったこと。
でもその守り方は、
- 村井は、守るために関係を壊し
- 深瀬は、守るために命を危険にさらした
という「守る=壊す」に直結しています。
そして最後に、深瀬は職を失い、村井は姿を消す。
守ったはずなのに、世界はちゃんと壊れていく。
この手応えのなさこそが、「リバース」がただのミステリーではなく、罪と贖罪のドラマであることを、改めて突きつけた回だったと思います。
ドラマ「リバース」の関連記事
次回以降のお話はこちら↓

過去の話についてはこちら↓



豪華キャストを紹介します。


コメント