シーズン1の締めくくりとなる最終回は、有希子が初めて“被疑者席”に座り、これまでの取調べの構造が反転する回でした。
夫の死にまつわる8年前の闇、裏金と殺人の線、そして警察組織の歪み――複数の真実が一気に噴き出す中で、有希子は「逃げずに向き合う者」として最後の取調べに挑むことになります。
ここから、その決着の全貌を丁寧に追っていきます。
緊急取調室(シーズン1)9話(最終回)のあらすじ&ネタバレ

シーズン1最終回の副題は「マル裸の女」。第8話「逃げる女」で“逃げた”真壁有希子が、今度は「真相からは逃げず、組織の論理をマル裸にする側」に回ります。
特別取調室の開幕――“被疑者”有希子VS“取調官”梶山
物語は、前話から続く特別取調室での対峙シーンから始まります。
元刑事のラーメン店主・嘉納肇が公園で刺殺され、その直前まで接触していた有希子は現場から取材手帳だけを持って立ち去ったため、第8話ラストで「重要参考人」として拘束されました。
今や彼女はキントリの取調官ではなく、管理官・梶山勝利に取り調べられる側です。しかし、有希子は真田の手帳を手に、逆に「夫・匡の死に警察上層部が関わっている」と梶山に斬り込んでいきます。この記事では、この構図を「梶山を取調室の椅子に座らせる逆転取調べ」と位置づけています。
小石川銃撃の報せと、堤大介の浮上
その頃、外ではキントリの他メンバーが独自に動いています。渡辺鉄次は嘉納の店周辺の防犯カメラ映像を解析し、嘉納殺しの犯人らしき男を発見。それが自分の警察学校時代の同期、元刑事・堤大介だと気づきます。
堤はすでに警察を辞めている人物で、過去の不祥事の噂もある男。渡辺は複雑な感情を抱えつつ、相馬一課長とともに堤の逮捕状を請求します。
しかしその矢先、キントリに小石川春夫が銃撃され、意識不明の重体だという一報が入る。使用された銃はサイレンサー付きの拳銃で、前話ラストの襲撃と地続きで描かれます。
この知らせは取調室にも伝えられます。有希子は動揺し、取調室を飛び出そうとするが、梶山はそれを制止。「公務執行妨害」で有希子を逮捕してしまいます。
堤の自殺と“一丁の拳銃”――犯人は死んだのか?
堤の自宅マンションに急行した監物・渡辺たち。管理人の立会いで部屋を開けると、堤はすでに拳銃自殺した姿で発見されます。
その後の鑑識結果から、堤の自殺に使われた拳銃、小石川銃撃の弾丸、8年前に真壁匡が撃たれた弾丸の旋条痕が一致し、同じ拳銃による犯行だったことが判明。
つまり、匡殺害、嘉納殺し、小石川銃撃――これら全ての事件の実行犯は堤大介だと確定した形になります。この時点で嘉納殺しの犯人が特定されたため、有希子の「重要参考人」扱いは解除され、拘置から釈放されます。
しかし有希子にとっては、夫を殺した男が真相を語る前に死んでしまっただけで、何も解決していない状況に過ぎません。
小石川が残した“靴の中のメモ”――数字の正体は裏金の貸金庫
一方、病院。昏睡状態にあった小石川が、菱本の呼びかけに反応し、かすれた声で「靴の中を見ろ」と告げます。
菱本が小石川の靴の中を調べると、そこには真田から聞き出した“数字の意味”を書き留めたメモが隠されていました。
その数字は――警察の裏金が隠されている貸金庫の番号、裏金の金額、関与する人物を示すメモなどを示すもので、取材手帳の暗号を具体的な証拠に変換したものだったことがわかります。
キントリメンバーは貸金庫のある銀行へ向かいますが、中はすでに空っぽ。監物はふと、貸金庫の防犯カメラ映像を確認しようと提案します。
映像に映っていたのは、捜査一課長・相馬一成。相馬が裏金の存在に関与していたことが疑われ、キントリは彼を控室に呼び出します。
相馬の動揺と、小石川の説得――「上は守ってくれない」
控室には、点滴をつけたまま病院から連れてこられた小石川の姿がありました。
小石川は相馬に、貸金庫から持ち出した資料を提出するよう要求。相馬は「上からの命令だ」と言い訳し、拒もうとする。
そこで小石川は、「自分まで汚れ役になっても、上は決して守ってくれない」という趣旨の言葉で説得します。
このやり取りを経て、相馬は観念し、裏金の帳簿などの資料をキントリに渡すことを決意。矛先は次第に相馬のさらに“上”――警視庁刑事部長・郷原政直へと向かっていきます。
特別取調室に郷原登場――裏金と殺人の構図
やがてキントリは、全ての鍵を握る人物として郷原政直を特別取調室に招致します。取調官席には梶山。証拠として、真田の取材手帳、小石川のメモ、相馬から押収した資料などがテーブルに並びます。
郷原は、警察組織の不祥事を内々で処理するため、裏金をプールしていたことを認めます。
彼の供述によれば――
匡は裏金の存在を知り、郷原を追及しようとした
郷原の説明では、それは「強請り」に近い行為だった
そこに目をつけた堤大介が匡を射殺
堤はその事実を盾に郷原を脅し、以後の“汚れ仕事”も請け負った
という構図になっています。
実際には、後年の考察記事などでは「匡は正義感から告発を準備していただけで、個人的な利得のための強請りではなかった」と解釈され、郷原の供述には自己正当化が含まれていることが示唆されています。
梶山の決断――「俺には取り調べる資格がない」
郷原の供述が進む中で、取調官・梶山は次第に追い詰められていきます。というのも、
梶山は長年、郷原の部下として働いてきた
キントリ設立にも郷原の意図が絡んでいる
その中には「真壁有希子を監視する」目的もあったと示唆される
からです。
やがて梶山は、郷原の取調べを途中で止め、「自分には郷原を取り調べる資格はない」と告げて、主取調官の席を有希子に譲ります。
これは単に感情的な反発ではなく、自分もまた組織の論理の一部であり、郷原の責任を“下に流してきた側”に近い立場だという自覚から出た行動だと解釈できます。
真壁有希子の“最後の取調べ”――夫の死の真相へ
主導権を握った有希子は、「夫・匡はどんな人間だったか」という切り口から郷原を攻めていきます。
匡には第二子が生まれる予定があった
家族を愛し、警察官としての正義感も強かった
そんな彼が、個人的な欲得で強請るだろうか?
この事実を突きつけられた郷原は、「真壁匡は裏金の告発を準備していた」ことを認めざるを得なくなり、最終的に「自分が裏金を管理し、堤に匡の殺害を指示した」と明確に認めます。
同時に、嘉納殺害、小石川銃撃など一連の事件も、堤に“汚れ仕事”を押しつける形で片付けてきたことが明らかになります。
この供述は、可視化設備の整った特別取調室ですべて録画されており、警察内部に証拠として残されることになります。
清濁併せ呑む結末――全部は暴けないまま
しかし物語は、ここで「すべてスッキリ解決」とはなりません。
・郷原は一連の責任を自分一人が負う形で処理される
・その背後にいるであろう、さらなる上層部には踏み込まれない
・堤はすでに死亡し、裁判の場には立てない
などの事情から、組織全体の罪は“闇の中に残されたまま”なのです。
視聴者レビューでも「真相は分かったが、全部は暴けていない」「続編を作れるような余白を残した終わり方」という声が多く、実際に第2シーズン以降へつながる“縦軸の余韻”として機能しています。
エピローグ――「お父さんは正しい人だった」
エンディングでは、有希子が子どもたち(匡との間に授かった子どもたち)に向かって、「お父さんは正しい人だった」と告げる場面が描かれます。
匡は組織の不正を見逃さなかった
その結果、命を落としたが
裏金の構造と郷原の自白が記録として残った
その事実をもって、有希子はようやく「父としての匡の名誉」と「自分の警察官としての信念」を子どもたちに伝えることができた――。
けれど同時に、「正義のために人が死ぬような組織に、正義はあるのか」という問いは、彼女の中に残り続ける。JUJU「Door」が流れる中、そのほろ苦い勝利と未完の正義が、静かな余韻として刻まれます。
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