ドラマ「黒革の手帖」スペシャル(副題「拐帯行」)は、服役を終えた原口元子(武井咲)が新天地・金沢で再起をかけ、3億円を巡る熾烈な騙し合いに挑む物語です。
銀座での栄光と転落を経験した元子が、再び“不敵な悪女”として復活する姿は圧巻。
波子(仲里依紗)や市子(高畑淳子)といった因縁の相手との再会、さらには神代周吾(渡部篤郎)という新たなラスボスとの対峙も描かれ、見応え抜群のスペシャル版となっています。
「黒革の手帖」スペシャルの見どころ…服役からの再起、令和・金沢で繰り広げる3億円の闘い

『黒革の手帖』スペシャル(副題「拐帯行」)の最大の見どころは、3年の服役を経て全てを失った原口元子(武井咲)が、新たな舞台・金沢で3億円を巡る闘いに挑む姿です。
2017年の連ドラ版最終回の続編として令和の時代に描かれた今回の物語は、銀座で成り上がった“稀代の悪女”がゼロから再び這い上がる執念を映し出しています。
3年ぶりに蘇る“悪女”と豪華キャスト
連ドラで話題を呼んだ武井咲が再び元子を熱演。出産後初のドラマ復帰作となった本作で、服役を経たことで増した妖艶さと貫禄を見せました。
仲里依紗(山田波子)、高畑淳子(中岡市子)、高嶋政伸(橋田常雄)ら宿敵も再集結し、再び元子を脅かします。
さらに渡部篤郎、安達祐実、毎熊克哉、風間杜夫といった新キャストも参戦し、物語を一層スリリングに盛り上げました。
舞台は銀座から金沢へ、新天地での闘い
舞台は銀座から古都・金沢へ。新天地でゼロからの再起を図る元子は、地元経済界のドン・神代周吾(渡部篤郎)が経営する高級クラブ「アルテローズ」でホステスとして働き始めます。
そこにはプライド高きママ・板橋レイナ(安達祐実)が待ち構え、女同士の激しい確執が勃発。さらに銀座時代の宿敵・波子まで乗り込んで元子の過去を暴露しますが、堂々と切り返す元子の姿は健在でした。
3億円を巡る復讐と詐欺劇
新キャラクター森村隆志(毎熊克哉)と手を組んだ元子は、神代への復讐と巨額の奪取を目論みます。神代の愛人を利用した巧妙な“地面師詐欺”で3億円を巻き上げることに成功。
銀座での1億8千万円横領を超える規模での再起を果たしましたが、そこに再び橋田が現れ、思わぬ悲劇を招きます。
波乱の逃避行と衝撃のラスト
橋田の死をきっかけに逃避行に出た元子と森村。温泉旅館で出会った老紳士・佐藤良樹(風間杜夫)の告白により、橋田殺害の真相が明かされます。元子は「死んだら負け」と信念を語り、森村を生きる道へと導きました。最後には神代から奪った3億円を元手に「再び銀座で店を開く」と高らかに宣言。死んでも屈しない悪女の矜持が、不敵な笑みと共に描かれました。
銀座から金沢へ、そして再び銀座へ――。舞台を変えながらも“悪女・原口元子”の生き様と信念は不変。スペシャル版は、欲望と報いを描いた新章であり、元子が「死んだら負け、最後に勝つのは私」と言い切る女帝の物語の強烈な再出発でした。
「黒革の手帖」スペシャルのあらすじ&ネタバレ

ここからはドラマ『黒革の手帖』スペシャル(副題「拐帯行」)について、詳細にあらすじとネタバレをまとめていきます。
3年の服役を経てすべてを失った原口元子が、新天地・金沢で再び巨額を巡る闘いに挑む姿を時系列に沿って整理し、各場面を深く掘り下げます。
服役を終えた元子 ― 銀座から地方へ
かつて銀行から横領した1億8千万を元手に、銀座で「カルネ」を開き頂点を目指した原口元子。しかしその野望は潰え、彼女は刑務所で3年間の服役を余儀なくされました。出所したときには、地位も財産も仲間も失い、かつての華やかさは跡形もありません。
再起を期した元子は「銀座ではもう名が知れすぎた」と悟り、誰も自分を知らない土地で再びのし上がろうと考えます。そこで彼女が向かったのが古都・金沢。金沢は伝統と格式を重んじる街でありながら、経済的には地元財界の権力者が強く影響を及ぼす土地でした。ここで新たなチャンスを狙うのが、スペシャル版の幕開けです。
金沢「アルテローズ」での再出発
金沢に降り立った元子は、偶然の縁から高級クラブ「アルテローズ」でホステスとして働き始めます。ここは地元財界の大物・神代周吾(渡部篤郎)がオーナーを務めるクラブであり、金沢経済界の要人たちが集う社交場でした。
「アルテローズ」のママを務めていたのは板橋レイナ(安達祐実)。プライドが高く、神代の庇護を受けていた彼女は、新入りの元子を徹底的に見下し、女同士の火花が散り始めます。
ある晩、レイナは元子のドレスにわざと醤油をこぼして恥をかかせようとしますが、元子は動じず、その部分を大胆に裂いて即席のスリットドレスに変えてみせました。客たちは喝采し、逆にレイナは面目を潰します。この場面で「元子の度胸と才覚は健在」と印象づけられました。
やがて神代も元子の実力を認め、レイナをチーママに格下げし、元子を新ママに任命。クラブ内の主導権が一気にひっくり返り、レイナの怒りと嫉妬はさらに増幅しました。
銀座時代の因縁再燃 ― 波子と市子の登場
レイナが元子を追い落とすために呼び寄せたのが、銀座時代の宿敵たちでした。まず現れたのは元銀行員時代の同僚であり、銀座で同じママとして争った山田波子(仲里依紗)。彼女は「今度こそ銀座に自分の店を」と野心を抱き、元子の過去を暴露して失脚させようとします。
店の客の前で波子は「この女は横領で刑務所に入った犯罪者だ」と叫びました。しかし元子は怯むことなく、自らの罪を堂々と認め「富裕層の不正に立ち向かい、金を奪ったのだ」と言わんばかりの態度を示します。客たちは逆に「痛快だ」と盛り上がり、波子の暴露作戦は失敗。
元子は花輪の一輪を抜いて波子に差し出し、「お持ち帰りになります?」と皮肉交じりに笑みを浮かべます。波子は何も言い返せず、悔しさを滲ませながら立ち去りました。
さらに元子を苦しめた中岡市子(高畑淳子)も登場。連ドラ最終回で黒革の手帖を奪い、元子を逮捕に追い込んだ張本人です。市子は今も元子への恨みを忘れておらず、金沢でも因縁が再燃します。
神代周吾というラスボス
金沢で元子の前に立ちはだかる最大の壁は、神代周吾でした。日本屈指のIT企業グループCEOであり、総売上1000億円を誇る男。経済界にも夜の街にも強大な影響力を持つ彼は、元子にとって新天地でのラスボス的存在です。
神代は表向き紳士的ですが、裏では莫大な不正蓄財を抱え、愛人・美香に「店を持たせる」と約束するなど豪奢な生活を送っていました。元子は次第に神代の裏の顔を見抜き、「彼から巨額を奪うことで再びのし上がる」と決意します。
森村隆志との出会い ― 復讐心を共有する者
クラブにやって来た青年・森村隆志(毎熊克哉)は、神代に復讐心を燃やす人物でした。彼の父は神代の事業拡大に巻き込まれ、店を畳まされ自殺。森村はその恨みを晴らすため、神代の会社に潜入し内部データを流出させて小さな仕返しをしていました。
しかし元子は「その程度では意味がない。本当に勝ちたいならもっと大きな打撃を」と挑発。森村は次第に元子に引き込まれ、二人は奇妙な共闘関係を築きます。
3億円を巡る大胆な詐欺計画
元子と森村は神代の愛人・美香を利用した“地面師詐欺”を仕掛けます。架空の店舗物件を用意し、美香に「店を開ける」と信じ込ませ、神代に資金を出させる計画です。
神代は愛人を喜ばせるため、隠し財産である現金3億円を自宅の絵画裏から取り出し、美香に渡します。その大金はそのまま元子と森村の手に渡り、彼女はかつての横領額を超える巨額を手にしました。
橋田常雄の襲撃と予期せぬ悲劇
そこへ現れたのが、予備校理事長・橋田常雄(高嶋政伸)。銀座時代から元子に執着してきた彼は、3億円の噂を嗅ぎつけ「俺にも分け前を」と脅迫。力づくで迫りますが、駆けつけた森村に突き飛ばされ、倒れた橋田は頭を打って動かなくなります。
二人は「殺してしまった」と思い込み、3億円を抱えて逃避行へ。向かったのは海沿いの温泉旅館でした。
元子の過去と「死んだら負け」という信念
逃亡中、森村は絶望から自殺を図ろうとしますが、元子は「死にたいなら勝手に死ね。でも私は絶対に死なない」と一喝。さらに自分の過去を語ります。
「5歳の時、父は借金で首を吊った。その遺体を見つけたのは私だった。だから決めたの。死んだら負け。私は絶対にお金に勝ってやる」
幼少期の原体験から生まれた元子の信念が明かされ、彼女の野望が単なる強欲ではなく、生きるための執念であることが示されます。森村もその言葉に心を動かされ、自殺を思いとどまります。
老紳士・佐藤良樹の告白
旅館で出会った老紳士・佐藤良樹(風間杜夫)と妻は、優しげな夫婦でした。しかし彼こそ橋田を真に殺した人物でした。
かつて息子を裏口入学させようと橋田に800万円を渡したが、約束を反故にされ、息子は引きこもり暴力を振るうようになった。絶望の果てに橋田を殺したのだと告白します。
「死ぬ前に金を取り戻そうと思ったが、君たちを見て生きる気力を取り戻した」と語る佐藤。森村は救われ、元子も因果応報の連鎖を実感します。
エンディング ― 元子の新たな挑戦
森村は金沢に残り、亡き父の志を継いで喫茶店を開く道を選びました。一方、元子は3億円を携え再び銀座へ。
橋田の葬儀で姿を現した元子は、神代に「今度、銀座に店を開くの。あなた、出資なさる?」と囁きます。奪った金で再起を図るその大胆さに神代は何も言えず、苦笑するしかありませんでした。
ラストシーン、元子は「死んだら負け、最後に勝つのは私」という信念を胸に、不敵な笑みを浮かべます。服役しても、裏切られても、決して屈しない。稀代の悪女・原口元子の再出発を描いて物語は幕を閉じました。
「黒革の手帖」スペシャルの感想&考察

ドラマ「黒革の手帖」スペシャル(拐帯行)は、連ドラ版から3年後を描き、服役を終えた原口元子(武井咲)が再び“不敵な悪女”として蘇る物語でした。
銀座から舞台を金沢へ移し、古都ならではの人間模様や権力構図の中で3億円を巡る熾烈な駆け引きが展開。さらに、かつての因縁を持つ波子や市子との再会、新たに登場する神代周吾という強大な敵の存在が加わり、元子の野望と信念がどのように試されるのかが大きな見どころとなりました。
ここからは、スペシャル版ならではの魅力やテーマを踏まえつつ、感想と考察を掘り下げていきます。
服役を経てさらに強靭になった元子の存在感
スペシャルドラマを観てまず感じたのは、原口元子というキャラクターの圧倒的な存在感でした。連ドラ版では若さゆえの危うさを抱えつつ、綱渡りのような駆け引きで銀座をのし上がる姿が印象的でしたが、今回のスペシャルでは“3年の服役を経た元子”という設定が加わり、彼女の胆力と図太さが格段に増していました。
劇中の元子は、序盤から堂々たる態度を貫きます。スーパーで因縁の市子に過去を嘲笑されても怯まず、金沢のクラブではレイナや波子の嫌がらせに涼しい顔で切り返す。後半では3億円を巻き上げる大胆な詐欺計画を仕掛け、「死んだら負け。私は最後に勝つ」と放つ名台詞に、彼女の決意と哲学が凝縮されていました。
連ドラ版の元子は“若い悪女”としての危うさがありましたが、スペシャルでは「怖いものは何もない」という境地に達し、より完成された悪女像へと進化。武井咲自身が大人の色気と貫禄を増したことで、その妖艶さと説得力も一層高まっていたように思います。
「拐帯行」を取り入れた大胆なストーリー展開
今回のストーリーは、前半と後半で大きく趣を変える構成が印象的でした。前半は連ドラの続編として、銀座から地方へ舞台を移した元子の再起劇を描きます。しかし後半は一転し、森村隆志との逃避行というサスペンスフルな展開へ。この転換は、松本清張の短編『拐帯行』を大胆に融合させたことによるものでした。
森村と出会った元子は、人生に絶望していた青年を「死んだら負け」と叱咤し、自らの幼少期の体験を語ります。父が借金苦で自殺した過去を背負い、「お金に勝つ」と誓った彼女の人生哲学は、この逃避行の中で改めて浮き彫りになります。森村もまた父の死で人生を狂わされており、二人は「人生をやり直す」というテーマで共鳴。最後には森村が故郷で喫茶店を開き、元子が再び銀座へ戻るという対比で幕を閉じました。
後半は橋田殺害疑惑や老紳士・佐藤良樹の告白などスリリングな仕掛けが続き、冤罪や因果応報のテーマも描かれました。ハードな展開の中にも、佐藤夫婦との出会いを通じて「もう一度生き直す」という希望が示された点に温かさを感じました。結果として、前半の“黒革の手帖らしさ”と後半の“拐帯行のサスペンス”が違和感なく融合していたと思います。
続編を予感させる含みと余韻
スペシャル全体を通して感じたのは、「この先も物語が続くのでは」という含みです。ラストシーンで元子が神代に「銀座で店を開く」と宣言する場面は、まさに続編の序章のように映りました。銀座編から金沢編へ、そして再び銀座へ戻る円環構造は、ファンとして胸が熱くなる展開であり、「もう一度連ドラで観たい」という期待を強く抱かせます。
また、元子と森村の関係性にも余韻が残りました。二人は短い間に心を通わせたようにも見えましたが、最後は別々の道を選びます。元子は孤高の悪女として野望を追い、森村は地に足のついた人生を選ぶ。この対照は「生き方の選択」を象徴しており、視聴後の余韻を深めました。
さらに、金沢という舞台設定も魅力的でした。歴史ある街並みや日本海沿いの景色が映像美を高め、銀座とは異なる人間模様を際立たせていました。地方編を経て再び銀座に戻るという展開は、元子というキャラクターのスケールを広げる効果もあったように思います。
総括 ― 悪女としての進化と今後への期待
『黒革の手帖~拐帯行~』スペシャルは、連ドラ版を観ていたファンにも、初めて観る視聴者にも満足感を与える内容でした。前半は銀座の続編としての痛快さ、後半はスリリングな逃避行劇と、二度美味しい構成であり、何より武井咲演じる元子の存在感が圧倒的でした。
悪女として進化を遂げた元子の姿に、「これからも彼女の物語を観たい」という気持ちが自然と湧きます。神代周吾というラスボス級の存在を銀座でどう出し抜くのか、波子やレイナの逆襲はあるのか、新たな強敵が登場するのか…。続編の可能性を感じさせるラストは、シリーズファンにとって最大の贈り物だったのではないでしょうか。
筆者としては、今回のスペシャルを観て改めて「原口元子」というキャラクターの強烈な魅力を再認識しました。彼女の不敵な笑みは、「まだ終わらない」という宣言のように響き、今後への期待を残して幕を閉じました。ぜひ再び“元子劇場”が展開されることを願ってやみません。
ドラマ『黒革の手帖』の過去のあらすじ





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