草彅剛さん主演のドラマ『嘘の戦争』9話が終了しました。

浩一が三瓶までも復讐するのかなと思いきや、浩一が思いとどまりましたね。復讐の鬼かと思いきや、なんとかして立て直すことができましたね。
そして、かずきやマスターが浩一を裏切ってどん底になってしまいましたね。浩一はこのまま警察に捕まらずに逃げ切れるでしょうか。
2017年3月14日(火)夜9時スタートの新ドラマ「嘘の戦争」10話のあらすじ(ネタバレ)と感想を紹介していきます。
※以後ネタバレ注意
ドラマ「嘘の戦争」10話(最終回)のあらすじ&ネタバレ

最終回は、“嘘が人を救う瞬間”と“嘘が人を断罪する瞬間”が、同じ盤上で交錯する回。
録音データを失い、警察に追われる一ノ瀬浩一(草なぎ剛)。
追い詰められた詐欺師が選んだ最後の一手は、証拠の空白を「あるように見せる」徹底したハッタリと、相手の心の弱点を突く“心理の罠”。
そして二科家の三きょうだい(隆・晃・楓)の選択が、復讐劇の決算を静かに書き換えていく。
冒頭──警察に追われる浩一と、三瓶の“遅すぎた証言”
百田(マギー)とカズキ(菊池風磨)の裏切りにより、二科興三(市村正親)の謝罪会見は失敗。
浩一は脅迫の主として警察に追われる身となる。
逃走の末、彼を拾ったのは児童養護施設「宮森わかばの家」の園長・三瓶守(大杉漣)。
三瓶は30年前、浩一の父・千葉豊(迫田孝也)から預かっていた“被害女性の解剖所見のコピー”の存在を明かし、「今度こそ力になりたい」と協力を申し出る。
だが再捜査を動かす決定力には欠け、浩一は“無くても在るように思わせる”――つまり証拠の演出で二科家を追い詰める決意を固める。
六車を盤外へ――警察を使った逆転の逮捕劇
興三はなおも実行犯・六車了司(神保悟志)に命を下すが、三瓶抹消に向かった六車を待っていたのは警察の包囲網だった。
三瓶の“わざと聞かせる嘘”に誘われ銃を構えた六車は、その場で逮捕。
浩一は百田に動線をリークさせ、危険な“殺しの手”を合法的に盤外へ排除する。詐欺師が自らの手を汚さず、制度の刃で切り返す構図が見事だった。
最終決戦の布石――“決定的証拠”のハッタリと設計図
一方で、カズキが盗み出したニシナの機密――手術支援ロボットの設計データは、浩一にとって最後の交渉カードとなる。
警察の尾行なしで会うことを条件に、興三と隆(藤木直人)を“海辺の家”へ誘い出す。
表向きは「新証拠と証人を確保した」ことの虚実を装い、狙いは興三の心を折る一点に絞られていた。
海辺の家──“楓の爆死”に見せる生配信、興三の崩落
海辺の家で浩一は、楓(山本美月)がハルカ(水原希子)に監禁されている映像を提示。小屋には爆薬、制限時間。
ネット生配信で30年前の罪を告白し、被害者遺族に謝罪すれば娘は助かる――極限の“ゲーム理論”を仕掛ける。
興三は「部下が勝手にやった」と責任転嫁を続けるが、最後に崩落。爆発が起き、映像の小屋は炎上。
娘の死を目の当たりにした興三は悲嘆に沈む。……しかしこれは時間差映像を使った偽装。
楓は無傷で安全圏におり、“娘の死”を一瞬でも体験させることが浩一の狙いだった。
刺傷と転落──“晃の刃”は嘘か真か
警察が海辺の家を包囲する中、長男・晃(安田顕)が人混みを割って現れ、浩一の腹部を刺す。
血飛沫、転倒、岩場からの転落。隆は愕然とし、晃は現行犯逮捕。
だが勾留中の晃の表情、隆への返答が示すように、これは“第三の嘘”。晃は事前に浩一と手を組み、刺傷も死も偽装だったことがやがて明かされる。
復讐の連鎖に兄を呑み込ませないために、浩一は“罪と罰の演出”を引き受けたのだ。
片付け――データ返還、楓の無事、そして旅立ち
嵐が去った後、ニシナの機密データは隆の手に戻る。
浩一は会社と社員を路頭に迷わせる選択を避け、狙いを終始“興三の謝罪と絶望/父の名誉回復”に限定したままゲームを畳む。
愛と憎しみの間で揺れた楓は生還。
六車は逮捕され、30年前の“一家心中ではない”という事実は世間に共有される。
浩一はすべてを終え、姿を消す。
ただし、相棒・ハルカに“オウム(インコ)の合言葉・チャオプラヤ”という置き土産を残す。タイへ戻ったのだと悟ったハルカは、笑顔で彼を追う。
ラストショットに残るのは、嘘の余韻ではなく“生き直し”の可能性だった。
ドラマ「嘘の戦争」10話(最終回)の感想&考察

最終回のキーワードは三つ――①“嘘の倫理”、②“断罪の主体”、③“家族の再定義”。
詐欺という不道徳な手段が、なぜここまで清々しく機能したのか。その理由を、構造的に分解していく。
① “嘘の倫理”──嘘は武器か、盾か
浩一の嘘は二種類ある。
攻撃の嘘(興三の心を折るための爆死偽装)と、保護の嘘(晃の刺傷偽装で彼を“加害者”から救う)。
前者は加害の疑似体験を作り出し、責任転嫁を続けた興三に一瞬の“喪失”を返した。後者は、復讐の渦に晃を引きずり込まないための防壁。
どちらも法廷の証拠にはならない。
だが、法で裁けない心の領域に嘘を用いたことで、物語は“心の裁き”に到達した。加害者を断罪し、仲間を罪から守る。嘘を“盾”として機能させたからこそ、視聴後に残るのは嫌悪ではなく解放感だった。
② “断罪の主体”──誰が誰を裁くのか
刑罰が興三を裁いたわけではない。
六車は逮捕されたが、興三の裁きは“家族と世論”が担った。ネット配信という“公開の恥”によって、興三は社会的な死を迎える。
私的復讐と公共の可視化を接続する構図の中で、浩一は会社崩壊という“無関係な被害”を避け、標的を興三本人の心と名誉に限定。
だからこそ、痛快さが成立した。被害が正しく偏在していたからだ。
③ “家族の再定義”──二科三きょうだいの選択
隆は企業と社員を背負う合理主義者として、晃は情と贖罪の人として、楓は医師の矜持を貫いた。
最終回で三人はそれぞれ、血よりも高い倫理に従う。
隆は会社を守るためデータを回収し、晃は“偽りの加害”を引き受けて兄としての役割を果たし、楓は父に向き合い、家の呪縛を断ち切る。彼らは“興三の手駒”から独立した人格へと変わり、浩一の復讐もその瞬間に役目を終えた。
彼の戦いは二科家の破壊ではなく、“再生の儀式”だった。
仕掛けの精度──ハッタリと実利の二重奏
「証拠が無いなら、あると思わせればいい」――これが最終回の設計思想。
三瓶の解剖所見は不完全だが、「新証拠と証人」の虚実が、六車逮捕という実利と楓爆死偽装という心理戦を繋ぐ。
さらに晃との共謀による“刺傷→海へ”の連鎖で、警察の包囲網を脱する。複数のフェイクを並列実行し、互いの弱点を補完する“多重嘘の合成”。この精度こそが、シリーズ全体の快楽構造を最高潮に引き上げた。
テーマの射程──“正しさ”はどこにあるのか
興三が最後に吐いた「お前の父親は本当に正しかったのか?」という毒は、物語の芯を突いていた。
父・豊の“正義”は、家族を危険に晒した頑なさでもあったかもしれない。
それでも浩一が辿り着いたのは、“父の正しさの証明”ではなく、“自分がこれ以上間違いを増やさないこと”。
復讐に燃料を注ぎ続ければ、自分が興三になる――その寸前で引き返した。最終台詞「嘘をつき続ければ、一つくらい本物になるかもな」が示すのは、
正義の完勝ではなく、“誤りと共に生き直す”選択だ。
ラストカットの意味──“チャオプラヤ”という救い
オウム(インコ)が繰り返す「チャオプラヤ」は、ハルカだけが解読できる合言葉。
相棒にだけ残された“嘘の手掛かり”は、信頼の証であり、同時に距離の宣言でもある。恋愛の成就ではなく、“嘘で結ばれた仕事の相棒”としての再会の予告。
日本社会で赦されなかった浩一が、異国で“別の人間として生き直す”道を選ぶ――その選択は、この物語の倫理に最も忠実なエピローグだった。
総括
最終回は、“嘘の倫理”を軸に、復讐=歴史の修正という主題を美しく完結させた。
嘘は武器であり、盾であり、赦しの代替でもある。
「誰が誰を裁くのか」「家族とは何か」――すべての問いに、配置と設計で答えた物語だった。
浩一の旅立ちは敗北ではない。虚史が訂正され、沈黙が破られ、責任が始まる。復讐者のいない世界で、正しさを更新し続ける者たちの未来だけが、確かに残った。
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