『あなたの番です』の中で、一番“正体が分からないまま終わった人物”といえば、404号室の江藤祐樹ではないでしょうか。
派手な犯行描写も、直接的な悪事もないのに、重要な場面には必ず姿を見せる。
そして、なぜか赤池幸子と深い関係にある…。
さらにGPSアプリを操作する謎の行動が加わり、視聴者の疑念は一気に膨らみました。本記事では、このミステリアスな青年の“正体”に迫っていきます。
江藤祐樹とはどんな人物?まずは基本整理

まずは「江藤ってそもそも誰だっけ?」というところから軽く整理しておきます。
江藤祐樹は404号室の住人で、若いIT起業家。自分でアプリを開発していて、住民会の場でもやたらと自作アプリをすすめてくる“ちょっとウザい系の若者”として登場します。
公式プロフィールでも「IT起業家でアプリを作っている。なぜか502号室の幸子と仲がいい」と説明されていて、この「なぜか」が視聴者のモヤモヤを一気に煽るポイントでした。
しかも、最初の交換殺人ゲームには参加していない“外側の住人”なんですよね。第1話の住民会でゲームに参加したのは13人だけで、江藤はその場にいません。
つまり、
- ゲームのスタート地点にはいない
- なのに途中から重要人物っぽく前に出てくる
- そして「502号室のおばあちゃん(赤池幸子)」と妙に仲良し
この3点が揃ったことで、「こいつ絶対何かあるだろ…」と一気に黒幕候補の上位に躍り出たわけです。
ドラマ全体を見ても、“犯人そのもの”というよりは「物語の外側からゲームを見ている観察者」に近いポジションに置かれていて、その得体の知れなさが、キャラとしての一番の魅力であり怖さだと感じます。
江藤と「おばあちゃん」赤池幸子の不自然な距離感

江藤を語るうえで避けて通れないのが、502号室の「赤池幸子」との関係です。視聴者が“おばあちゃん”と呼んでいた、あの強烈キャラですね。
幸子との出会いと、やけに打ち解けた関係
ドラマ本編では、菜奈が赤池家を訪ねたとき、リビングに江藤が当たり前のように座っていて、幸子や赤池夫婦と一緒にお茶しているシーンがあります。
そこから、
- 若い独身男が、上の階の高齢女性とやけに親しい
- しかもその家はのちに凄惨な殺人現場になる(赤池夫婦殺害)
という流れになるため、「遺産狙い?」と疑われても仕方がない配置になっていました。
さらに、幸子が介護施設に入るときの引っ越しを手伝っていたのも江藤。施設で幸子の車椅子を押しているシーンもあります。
普通のご近所さんの距離感ではないですよね。「孫?」「外孫?」といった血縁説が一気に広がったのも納得です。実際、ネット上では「江藤=幸子の孫で、莫大な遺産を狙っているのでは」という考察も多く見られました。
屋上の車椅子シーンと、“幸子の最期”に漂う江藤の影

最終回で描かれた、不穏すぎるラスト。
- ビルの屋上で縛られた幸子
- その直後に落下
- 翔太と二階堂のもとに、エレベーターで「空の車椅子」が到着し、「あなたの番です」と書かれた紙が貼られている
この流れは、公式に犯人が誰かは明示されていません。
ただ、幸子の周囲で怪しく動いていた若者と言えば、どうしても江藤が浮かんでしまう。
- 「車椅子を押し慣れている」
- 「ITで監視もできる」
- 「遺産動機がありそう」
この条件が揃えば、視聴者としては江藤の影を屋上に重ねてしまうのは自然です。
江藤のGPSアプリとは?怪しい“監視ツール”の正体

視聴者の「江藤=黒幕疑惑」を一気に加速させたのが、反撃編で描かれた「GPSアプリ」の存在でした。
13話&19話で描かれた“点滅するGPS”
反撃編中盤以降、道端でパソコンを開いた江藤が、地図上の複数のポイント(GPS)を監視しているようなカットがあります。
- 地図上にはキウンクエ蔵前周辺にいくつもの光る点
- そのひとつが江藤の近くで点滅
- 振り向くと尾野が通り、そのままタクシーに乗り込む
この演出だけ切り取ると、「住民全員にアプリを入れさせてGPS監視している」と見えてしまうつくりなんですよね。
実際、「GPS11個=住民監視説」がネットでかなり強く支持されていました。
住民監視か?タクシーアプリか?二つの解釈
一方で、
- あれは“タクシー配車アプリのテスト画面”
- 足の悪い幸子のための“高齢者向け移動アプリ”
とする別解釈も存在します。
真相は明かされませんが、少なくとも「江藤が住民を監視していた」と断定する描写はありません。
個人的には、
- 住民監視にも見えるようにあえて演出し
- しかし本当にそうとは言い切れない“余白”を残す
このバランスが、いかにも『あな番』らしいミスリード構造だと感じています。
江藤は黒幕?ネットで語られた「何者説」を整理

視聴者が立てた主要な“江藤=何者か説”をまとめると、次の3つです。
① 赤池幸子殺害犯&車椅子の“あなたの番です”犯人説
- 幸子と異様に親しい
- 遺産狙いが動機として成立
- 屋上転落と車椅子演出があからさまに怪しい
ただし、証拠描写が一切ないため、あくまで“状況証拠どまり”。
② 赤池家の血筋説(孫・親族説)
- 赤池家への入り込み方が不自然に深い
- 幸子の介護施設でも献身的
- 元地主の遺産を巡る“外側の物語”として非常に魅力的な補完説
ただし、これも本編で明言なし。
③ 黒島の“後継者”/“観察者”説
- 部屋番号404(Web用語の“Not Found”)
- 見つからない犯人、姿を見せない監視者という暗喩
- 住民の動きを俯瞰的に眺めている印象
これは物語をメタ的に読む層に人気の説でした。
結局、江藤は「何者」だったのか?
公式情報で“確定”しているのは次の4点だけです。
- IT起業家でアプリ開発者
- 502号室・赤池幸子と異様に親しい
- GPSアプリらしきものを使っていた
- 交換殺人ゲームのスタート時には不在
つまり、「正体は最後まで明かされない住人」という位置づけで物語が終わっているのが事実です。
江藤と“おばあちゃん”の関係をもう少し深掘りする
個人的に最もゾワッとしたのは、幸子が“ボケたふりをしている可能性”が示唆される場面です。
- 幸子は本当に被害者なのか?
- むしろ交換殺人ゲームの裏事情を誰よりも把握している節がある
- 翔太にヒントを“わざとらしく”渡す行動も怪しい
そんな幸子と江藤が、なぜこれほど親密なのか。
- 幸子が元地主で資産家
- 施設でも江藤が世話をしている
と考えると、単なる“いい人”ではなく、何らかの利害関係や別のつながりがあるほうが自然です。
屋上の車椅子シーンは誰に向けられた“あなたの番です”なのか
最終回ラストで送られてきた空の車椅子と「あなたの番です」。
このメッセージは誰に向けられているのか?
- 幸子を殺した犯人から翔太への挑発
- 視聴者への「あなたもこのゲームの参加者」というメタ構造
どちらの解釈も可能で、公式があえて曖昧にした部分です。
もし江藤と幸子が結託していたなら、
「おばあちゃん&IT孫コンビによる第二ラウンド」
という読み方もできるし、
逆に、
「幸子が江藤からも逃れようとしていたSOS」
とも取れます。
この“決定打のなさ”こそが、江藤というキャラを永遠に不気味にしている理由です。
江藤というキャラクターの怖さと魅力
ここからは僕の個人的見解です。
露骨な“犯人演出”がないのに、一番怖い
黒島や尾野は怪しい演出が多く、「ミスリードだろう」と身構えながら見られます。
しかし江藤は、
- 出番がそこまで多くない
- 表情変化もほぼない
- なのに必ず要所に顔を出す
という“静かな不気味さ”をまとっていました。
19話のGPS確認シーンは特に象徴的で、表情を変えないまま気配を消す姿が“裏で全部見ている人”感を強烈に漂わせていた。
「答えが出ていないこと」そのものが役割
制作側は本気を出せば“黒幕江藤ルート”に進めました。しかしあえて踏み込まず、最後まで“余白”として残す道を選んだ。
- 真犯人は黒島
- しかし“監視者”は街のどこにでもいる
- その象徴が404号室・江藤
江藤が担っていたのは“怖さ”というより、
「得体の知れない現代性」
だったのだと思います。
まとめ:江藤は“黒幕”ではなく、最後まで「不穏な余白」として残された
改めて整理すると、江藤について確定している事実は、
- IT起業家
- 赤池幸子と異様に仲良し
- GPSアプリらしいものを使っていた
- 交換殺人ゲームの外側にいた
という最低限の設定だけです。
そこに、
- 屋上の車椅子ラスト
- 404という部屋番号
- Huluスピンオフや映画版の匂わせ
が重なり、“正体不明の住人”として強烈な余韻を残すキャラ になりました。
個人的な結論として、
江藤は“真犯人”ではなく、物語の外側からゲームを覗き込んでいた「現代的な観察者」の象徴。
犯人の動機や手口ではなく、“監視”“テクノロジー”“家族の歪み”といった現代の不安を担った存在だったように感じます。
だからこそ、『あな番』を見返すとき、黒島ルートとは別に
江藤と幸子の動きだけを追う“別のホラー”としても楽しめる。
正体が分からないまま終わるキャラクターほど、後からじわじわ怖くなる──江藤はまさにその代表格です。
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