第9話のサブタイトルは「あの人に好きだよと言われる3日前」。
この言葉通り、逃げ恥9話は「好き」という一言が、どれだけ人を救い、どれだけ人を不安にするかを、これ以上ないほど丁寧に描いた回でした。
別居状態から戻り、ようやく同じ部屋で暮らし始めたみくりと平匡。
一見すると、関係は前進しているように見えるのに、みくりの胸にはずっと残る違和感があります。
——「まだ、好きって言われていない」。
一方の平匡もまた、みくりの言葉や態度を受け止めきれず、「システムの再構築」という合理の殻に逃げ込もうとする。
嫉妬、嘘、すれ違い、そして勇気を振り絞った告白。
第9話は、ムズキュンという言葉では片づけられない、“恋愛の核心”に真正面から踏み込んだ一話です。
ここからは、逃げ恥9話のあらすじとネタバレを、感情の動きと一緒に振り返っていきます。
逃げる恥だが役に立つ(逃げ恥)9話のあらすじ&ネタバレ

第9話のサブタイトルは「あの人に好きだよと言われる3日前」。まさにその通りで、“好き”の一言を巡って、みくりと平匡の心が行ったり来たりします。
別居状態から抜け出したふたりは、いよいよ「夫婦っぽい幸せ」に手が届きそうなのに、心の中にはまだ“契約”の影が残っていて…。
別居からの復帰…のはずが、平匡が帰ってこない
前回、館山でのすれ違いを経て「もう一度ちゃんと話したい」と決めたみくり。ようやく会える…!と思った矢先、平匡は仕事の緊急トラブルに巻き込まれ、家に帰れない日々が続きます。
みくりは、あたたかい夕飯を用意して待つ。でも、帰ってこない。
それでも平匡から届くメッセージはどれも律儀で、日に日に切迫していて、読んでいるこっちまで「帰りたい」が伝染してくるような温度があります。
この時点でもう、みくりの孤独がじわじわ来るんですよね…。
「会いたい」って、言っていいはずなのに、契約の関係だと“わがまま”に感じてしまう。言い方を間違えたら、また壊れるかもしれないって怖くて。
「帰ったらハグ」じゃなくて「ハグの貯金」…平匡らしさが刺さる
ようやく帰宅した平匡は、玄関でみくりを抱きしめます。
ここ、静かに爆発するタイプのキュンなんですけど(語彙)、そのあとが平匡…。
みくりが「今日のハグは食後に」と言うと、平匡はまさかの提案。
前借りがアリなら、貯金もアリ。癒やされたい時に“払い出す”ハグ。つまり、ハグの貯金制度。
みくりの「私は常備薬ですか?」が切ないのは、冗談の形をしてるのに、ちょっと本音が混ざってるから。
“癒やし”として扱われているような、でもそれは愛情表現のつもりなのか…分からない。
そして追い打ちが、平匡の決め台詞。
「いずれにせよ、システムの再構築が必要です」
うん、わかる。わかるけど…!
いま必要なのは設計図じゃなくて、気持ちの言葉なんだよ…!って、みくりの顔と一緒に私も固まりました。
みくりの不安「好きって言われてない」—“彼女らしき存在”の怖さ
みくりが抱える最大の不安は、シンプルです。
平匡から「好き」と言われていない。
それだけなのに、だからこそ不安が増殖していく。
「彼女がいなかった人だから、初めての“彼女っぽい相手”に盛り上がってるだけかも」
「家事してくれて、ハグできる女なら誰でもいいのかも」
この想像、痛いほどリアルで…“恋愛が下手な人同士”ほど、こういう妄想って勝手に育つんですよね。
みくりは、気持ちのままに「毎日ハグしませんか?」って言えばいいのに言えない。
前回のすれ違いが“痛恨のミス”として心に残っていて、もう間違えたくないから。
平匡の不安「みくりの“してもいい”は、愛なのか?」—価値を測る癖
一方の平匡も、別の方向でぐるぐるしています。
みくりが以前口にした「してもいい」という言葉。
あれは“好き”の表現だったのか、それとも好きじゃなくてもできるタイプなのか…と、平匡は怖くなる。
平匡って、恋愛になるとずっと“価値”で考えちゃう人なんだと思うんです。
自分は価値が低い→選ばれるはずがない→だから、選ばれている現実が怖い。怖いから、理由を分析したくなる。システム化したくなる。
優しいのに、優しさの出し方が不器用で、言葉の変換がいつも一拍遅い。
それがいじらしくて、でも同時に、みくりを傷つけもする。
仕事パート:リストラの噂と、沼田の“怪しい動き”
平匡の会社では不況の影響でリストラの噂が立ち、沼田が周囲に貯蓄額を聞いて回るなど、妙にざわついた空気に。
同僚たちの会話も妙に生々しいんです。住宅ローン、子ども、将来の不安。
そこに平匡は「籍も入れていなければ…」なんて事情を言えるわけもなく、ただ曖昧に笑うしかない。
ここでまた、みくりのテーマ(“主婦という仕事”の価値)と、平匡のテーマ(“会社での評価”)が地続きになっていくのが、このドラマのえぐいところ。
五十嵐杏奈(だーりお)登場!ポジティブが、疑惑を連れてくる
第9話の波乱要員、五十嵐杏奈。
超ポジティブで、距離感もゼロ。風見にも平匡にもぐいぐい行くタイプで、職場に現れた瞬間から“嵐の匂い”しかしません。
杏奈は「穴場のお蕎麦屋さんがあるんです」と食事に誘い、平匡は「家で待ってる人がいるので」と断る。
この“断る平匡”は良い。すごく良い。なのに、みくりにはその情報が届かない。
情報が届かないと、想像だけが走るんですよね…。恋の怖いところ。
百合のモテ期到来と、強がりがほどける瞬間
同時進行で描かれるのが、百合さんの“まさかのモテ期”。
大学の同期・田島から「離婚した」「昼間の健全なデートしない?」と誘われ、百合はいつもの軽口で受け流しながらも、心のどこかが揺れる。
そして風見と話す中で、百合は自分の仕事の意味を語ります。
「与えられた価値に押しつぶされそうな女性たちが、自由になる。自由だからこその美しさ」
“かっこよく生きなきゃ”って、百合はずっと鎧みたいにそれを着てるんだけど——
不意に、涙が出てしまう。
風見がその涙を人の視線から守るように壁を作る(いわゆるソフト壁ドン)場面、ここはもう…百合さんの年齢とか立場とか全部抜きにして、「守られる」ことの救いが刺さりました。
みくり、完全に“家政婦は見た”モードへ
そして問題の“目撃事件”。
みくりは街で、平匡が若い女性(杏奈)と一緒に歩いているところを見てしまう。
「今、私完全にエツコ・イチハラ」って自分でツッコミながら尾行…こういう自虐で心を保つ感じ、共感しかないです。
しかも平匡は、みくりに「今会社だ」とメールで嘘をついていた。たとえ理由があったとしても、これはしんどい。
疑惑って“証拠”じゃなくて、“嘘”から膨らむんですよね。
「システムの再構築って何だよ!」—みくりの怒りが孤独から生まれる
不安と疲れが重なったみくりは、心の中で叫びます。
「システムでつくられた関係は、システムから逃れられない」
「曖昧だから成り立つ幸せは、曖昧な幸せ」
ここ、第9話の核心だと思う。
ふたりの関係は、最初から“契約”という骨組みがあった。だから進めた。
でも今は、その骨組みが、言葉を塞いでいる。
みくりは叫んでみてもスッキリしない。
結局、孤独な食卓に戻っていく。…この描写が丁寧すぎて、胸がきゅっとなりました。
ぶつけた本音が、恋人スイッチを入れる
帰宅した平匡に、みくりは抑えきれず本音をぶつけます。
「嫌なんです、こういうの」
「どんどん好きになっちゃうじゃないですか」
ここで平匡が言うんです。
「僕にとってみくりさんは、もう簡単に手放せる人じゃない」
みくりが返す「ずるい」は、怒りじゃなくて、嬉しさの裏返し。
“好きになるのが怖い”って、ほんとに好きな時ほどなるんですよね。
“そば屋事件”の真相と、嫉妬の告白が愛に変わる
みくりが目撃したのは、平匡が杏奈と蕎麦屋に入る姿。
でも真相は、杏奈が勧めてくれた“奥様へのお土産”の生そばを買っていただけ。
ただ、みくりが怒っているのは、浮気疑惑そのものよりも——
「嘘」と、「好きって言われてない不安」が全部繋がって爆発した結果なんですよね。
平匡は、みくりに確認します。
「嫉妬、してくれたんですか?」
みくりは「バカ!」と泣きそうな声で返す。
そして平匡は、やっと言葉で、気持ちを差し出す。
「ずっと、みくりさんが僕のことを好きならいいのにって思ってました」
ここでようやく、ふたりの関係が“雇用主と従業員”から、“恋人”へとシフトするんです。ハグは火曜だけじゃない。曜日も時間も関係ない。「抱きしめたい時に抱きしめる」へ。
ラスト「一緒にいますか、朝まで」—静かに扉が開く
そして、距離がぐっと近づいた夜。
平匡が恐る恐る「一緒にいますか…朝まで」と聞き、みくりが「うん」と答えるところで第9話は幕を閉じます。
大きなキスシーンや派手な演出じゃなくて、“言葉”でここまで積み上げたからこそ、ラストの一言がとんでもなく重い。
ムズキュンって、こういうことだよ…って、しみじみしてしまいました。
逃げる恥だが役に立つ(逃げ恥)9話の伏線

第9話は甘さもあるけど、実は伏線がめちゃくちゃ多い回です。ここから終盤に向けて「契約結婚」という土台が、現実問題として揺さぶられていきます。
「システムの再構築」=契約結婚の限界を示すサイン
平匡が口にした「システムの再構築」は、ただの理系っぽい言い回しじゃなくて、“契約のままでは恋人になれない”という警告なんですよね。
みくりが感じた「システムで作られた関係は、システムから逃れられない」というモノローグも同じ。
この先、ふたりは“契約の安心”を手放してでも、“本当の夫婦”に近づけるのかが問われていくはず。
「好きって言葉」の遅れが、次の火種になる
第9話でやっと噛み合った「好き」。
でも、ここまで拗れた原因は、言葉を出すタイミングの遅さでした。
恋愛って、黙ってても伝わる時もあるけど、不安がある時は「言わない=ない」と同じに感じてしまう。
つまり、この先も——
仕事、家族、将来、周囲の目。何かが重なった時に、言葉が遅れたらまた傷になる。
“言える関係”に育てられるかが伏線になってます。
「嘘」と「すれ違い」—信頼のテーマが強くなる予兆
平匡の「今会社だ」という嘘は、悪意じゃなくても、みくりの心には刺さった。
ここで描かれたのは、浮気云々ではなく、“信頼の貯金”の話。
ハグの貯金より先に、信頼の貯金が必要だったんだよね…って、胸が痛い。
リストラの噂=「生活の基盤」が揺れる伏線
会社のリストラの噂、沼田の不穏な動き。
これって、恋愛パートのムズキュンとは別に、生活の土台が崩れる可能性をはっきり出してきた伏線だと思います。
みくりの“主婦の価値”の悩みと、平匡の“会社での評価”が、ここで一本の線になる。
「契約結婚」は賃金が発生する。もし平匡の仕事が危うくなったら? みくりの立場は?
ふたりの関係は“愛”だけで支えられるのか?…このテーマが次に来る予感しかしません。
百合の涙と風見の壁—“大人の恋”が動き出すサイン
百合が「かっこよく生きなきゃ」と言いながら崩れてしまった瞬間。
そして風見がそれを守ったこと。
ここは、百合が「一人で完璧に立つ」人生から、「誰かと支え合う」可能性へ踏み出す合図。田島からの誘いも含めて、百合の“選択”がこれからどう揺れるのか、伏線が張られました。
逃げる恥だが役に立つ(逃げ恥)9話の感想&考察

第9話、私は正直…見終わったあと、しばらく動けなかったです。
キュンで倒れたとかじゃなくて(それもあるけど)、「わかる」が多すぎて疲れた。恋愛って、嬉しいのに苦しい。近づくほど怖い。まさにそれ。
「好き」って言葉は、確認じゃなくて“救命具”なんだと思った
みくりの「好きって言われてない」という不安。
これ、恋愛経験の多い少ないとかじゃなくて、心が弱ってる時ほど強くなるやつ。
みくりは別居で傷ついて、また失敗したくなくて、自分を抑える癖がついた。その状態で「システムの再構築が必要です」って言われたら…そりゃ“心”が置いてけぼりになる。
だから、平匡が最後にちゃんと「好き」と言って、みくりが「うん」と受け止めた流れは、ロマンチックというより、ちゃんと呼吸ができるようになる瞬間に見えました。
嫉妬って、醜い感情じゃなくて「大事にしたい」の裏側
“そば屋事件”でみくりが暴れたの、可愛いだけじゃなくて、必死だったと思う。
「嘘ついて女の子と歩いてたら誰だって…!」って、怒ってるのに泣きそうで、本当は「私のこと、ちゃんと見て」って言いたいだけで。
平匡が「嫉妬してくれたんですか?」って確認したのも、すごく平匡らしい。
普通なら慰めるところを、まず“事実確認”から入る(笑)。でも、その不器用さが逆に誠実で、みくりの気持ちを“可愛い”って受け止めたことが、救いになってました。
平匡の“男らしさ”は、急に変わったんじゃなくて「覚悟」だった
SNSでも「急にかっこよくなってずるい!」って言われた回だけど(笑)、私は“男になった”というより、覚悟を言葉にした回だと思ってます。
平匡はずっと、みくりを大切にしてた。
でも、それを「契約」や「合理性」で包んで、言葉を出さずに守ってきた。
第9話で初めて、
「手放せる人じゃない」
「ずっと好きならいいのにって思ってた」
って、弱さ込みで差し出した。
これ、めちゃくちゃ怖い告白だと思う。
だって、拒まれたら終わるから。契約よりずっとリスクがある。
だから、あの告白は“ムズキュン”の核。
不器用な人の恋は、派手じゃないけど、重い。
百合さんの涙が刺さりすぎて、私はここで一回泣いた
百合さんって、いつもかっこいい。仕事もできて、言葉も強くて、背筋が伸びてる。
でも第9話で、風見の前でこぼれた涙は、「かっこよく生きなきゃ」の副作用に見えました。
誰かの希望でい続けるのって、実はすごく孤独なんだよね。“私はこういう存在だから”って自分を定義して、その役割を崩せなくなる。
風見が壁を作って、涙を守った瞬間、見入ってしまった人が多いのもわかる…。守られたのは涙だけじゃなくて、百合さんの“プライド”だった気がします。
第9話のテーマは「再構築」じゃなくて「再定義」
平匡はシステムを再構築したかった。みくりは気持ちを伝え合いたかった。
結局、必要だったのは“再構築”ではなく、お互いをどう呼ぶかの再定義だったんじゃないかな。
雇用主? 従業員?
夫? 妻?
恋人?
肩書きが変われば、言っていい言葉が増える。
言っていい言葉が増えれば、誤解が減る。
誤解が減れば、安心して触れ合える。
第9話のラストは、その入口でした。
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