第3話で明らかになった“RED事件”の裏側と、アリサ逃亡の余波——。

『小さな巨人』第4話では、香坂真一郎(長谷川博己)がついに「警察内部に裏切り者がいる」という核心に迫ります。
組織の論理に翻弄されながらも、現場の知恵と行動で突破口を探す香坂。
新聞リーク、張り込み、偽情報……緻密に張り巡らされた“情報戦”の果てに見えてくるのは、まさかの“味方の裏切り”。
所轄の矜持と現実主義のぶつかり合いが描かれた、シリーズ屈指の知略回「第4話」の全貌を振り返ります。
2017年5月7日(日)夜9時放送のドラマ「小さな巨人」4話のあらすじ(ネタバレ)と4話の感想を紹介していきます。
※以後ネタバレ注意
ドラマ「小さな巨人」4話のあらすじ&ネタバレ

第4話は、芝署編の結末を左右する「情報戦の回」。
香坂(長谷川博己)は、山本アリサ(佐々木希)を目前で取り逃がした直後、「警察内部に内通者がいる」という核心に迫ります。
上層部の一人・小野田(香川照之)が情報を握っていると睨んだ香坂は、逆手に取って新聞リークを敢行。
中田和正(桂文枝)と小野田が動く瞬間を、所轄の総力で押さえようと仕掛けます。
しかし張り込みは一筋縄ではいかず、そして“内通者”の正体は意外な人物へとつながっていく——。
芝署編クライマックスの火蓋が切られました。
取り逃がしたアリサ、そして「内部の裏切り者」
前話ラストの続きとして、香坂と山田(岡田将生)はアリサ確保に動くも、土壇場で逃げられてしまう。
この時点で香坂は、捜査情報が漏れていると確信。内部の“誰か”が敵と通じている——。
それを前提に、以降の作戦は大きく方向転換していきます。
この「内通者の存在」に気づいた瞬間が、第4話の最大の転換点でした。
「リークにはリークを」——逆インサイダー作戦
香坂が打った手は、あえて新聞社へ情報を流す“逆リーク”。
池沢菜穂(吉田羊)の供述変更を報道させれば、中田は動揺し、小野田に接触する——そのタイミングを押さえる狙いです。
情報を“守る”のではなく“利用する”。
香坂の「情報で情報を釣る」という論理が、組織の論理を逆手に取った鮮やかな戦術でした。
張り込みの夜——中田×小野田の“密会”を追う
読み通り、中田と小野田が接触。
香坂は渡部(安田顕)ら芝署員と共に、二人の会合先を張り込みます。
「チャンスは一度きり」——香坂の言葉どおり、この張り込みは所轄刑事たちにとって、自分たちの誇りを賭けた勝負。
組織の思惑が渦巻く“政治の現場”に、現場刑事たちの矜持がぶつかります。
第二の罠——「自首する」という偽情報
香坂はさらに一手を仕掛ける。
本部の会議で「アリサが明朝自首する」と偽情報を流し、アリサの隠れ家に“誰が”現れるかを見極める罠です。
別荘で香坂と山田が待ち構えるなか、忍び込むように現れた人物こそ、芝署編のすべてを揺るがす“裏切り者”。
この瞬間、第4話は最終章へと大きく舵を切ります。
浮かび上がる“内通者=三笠署長”説
香坂たちの推理で浮上したのは、まさかの三笠署長(春風亭昇太)。
左遷当夜の“日本酒事件”、池沢の取り調べ中止命令、そしてアリサ突入直前に小野田へ電話したタイミング——
これら複数の点が一本の線で結びつく。
「芝署を守るための三笠」が、実は“小野田側の伝声管”だったのではないか——。
香坂の推理が徐々に現実味を帯びていきます。
しかし証拠は“100%”に届かない
別荘での対峙でも、三笠は一歩も引かず。
「私がここに来た理由など、どうとでも言えるだろう」と言い放ち、香坂に「証拠はあるのか」と突き返す。
理屈ではつながっていても、法的証拠はまだ足りない。推理の整合性と立証の現実、その“壁”がここで立ちはだかります。
エピローグ——所轄の矜持と「真実の速度」
政治的なスピードで動く本庁に対し、香坂たちは“足と一次情報”で挑み続ける。
リーク、張り込み、偽情報、そして内部告発。
第4話は、所轄が巨大な組織に勝つための戦略マニュアルのような回でした。
「真実の速度は、現場の足でこそ掴める」——。
次回、三笠との最終対決へ。芝署編はいよいよ決着のときを迎えます。
ドラマ「小さな巨人」4話の感想&考察

第4話は、単に“熱さ”ではなく、情報の「設計美」が際立った回でした。
全体のポイントは三つ。
①香坂の“逆インサイダー”という情報戦の妙
②内通者=三笠という構図の反転
③99%の推理と100%の証拠の間にある“壁”です。
以下では、それぞれの視点から掘り下げていきます。
「情報で情報を釣る」——逆インサイダーの論理
香坂は、内部情報が漏れる状況を逆手に取り、外部メディアを戦術として利用しました。
内部から突破できないなら、報道という“世間の目”で敵を動かす。動いた痕跡を証拠化するこの構図は、“暴露”ではなく“情報設計”そのもの。
香坂が所轄という小さな現場で、足と一次情報を武器に巨体を揺らす――その過程が理詰めで描かれました。「正義の告発」ではなく「現場の戦術」として成立している点に、本作の知的なスリルがあります。
“敵は味方のフリをする”の実装——三笠署長の裏切り
第4話で最も衝撃的だったのは、内通者が三笠署長だったという反転。
香坂が守るべき“所轄の頂点”が、実は本庁側の窓口だった。キャッチコピー「敵は味方のフリをする。」が、いよいよ制度的な意味で発動した瞬間です。
三笠が流した“日本酒の夜”“電話の中止命令”“尋問の制止”という断片が、ここで一本に繋がる。味方を信じることが裏目に出る構図こそ、シリーズの核心であり、所轄という“家族の裏切り”が物語の痛みを増幅させていました。
“99%の推理”と“100%の証拠”——壁のリアリティ
別荘での対峙は、刑事ドラマらしい見せ場でありながら、「合理的疑い」という現実的な壁を突きつけてきます。
推理がどれほど整っても、法廷で通用するには“1%の余地”を潰さなければならない。この論理の断絶が、香坂の焦燥と芝署編の緊張を支えています。
前話までに描かれた「街カメラ」「勤怠原本」のような一次データが、今後100%へ届く“直証”の武器になるのは間違いありません。
小野田の“現実主義”と香坂の“方法論”
小野田(香川照之)は、香坂に「やってみろ」と許可を出しながらも、責任はすべて所轄に押し付ける。
彼は悪ではなく、“組織の生存”を優先する現実主義者です。対して香坂は、情報戦の設計と現場の足を組み合わせ、自力で“可視化の経路”を作る。
この差は、勇気ではなく“方法論”の違い。
小野田が体現する「体制の論理」と、香坂の「現場の理屈」がぶつかる構図が、本作の知的な深みを生み出しています。
山田春彦という“可変抵抗”
山田(岡田将生)は、今回も“可変抵抗”として両陣営をつなぐ存在でした。
本庁の論理を纏いながら、香坂の作戦には必要最低限の協力を惜しまない。どちらの陣営にも完全には染まらず、“揺れる論理”の象徴として描かれています。
この不安定さが、シリーズ全体のサスペンスを支えており、本庁と所轄の境界線を体現する人物像として非常に秀逸でした。
総括:「情報戦の作法」を描いた回
第4話は、外へ漏らし、内で釣り、動かして押さえるという情報戦の“作法”を具体的に描いた一章。
内通者の正体は明らかになったが、まだ“100%の証拠”には届かない。
香坂が次に取るべきは、
①外部ログの追加確保(通信・移動・決済)、
②証拠保全(チェーン・オブ・カストディ)、
③内通経路の遮断。
この三手を所轄の機動力で回せるかどうかが、芝署編の勝敗を決める鍵になるでしょう。
“情報の正義”で組織を打ち破る戦いは、いよいよ次回、決着へ。
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