毎週日曜日夜9時よりフジテレビ系列で放送されるドラマ「HOPE〜期待ゼロの新入社員〜」の第4話が終了しました。

中島裕翔主演『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』第5話は、「良い企画より、通る企画」が主題。
半年に一度の新規事業企画対決で、営業三課は「イラン原油」か「バイオマス発電」かで揺れる。
安芸(山内圭哉)は現実的な案を、織田(遠藤憲一)は情熱で勝負を——その狭間で、歩(中島裕翔)は“場を勝たせる”ために奔走する。一方、香月(山本美月)は財務部長の壁に挑み、桐明(瀬戸康史)は焦りから転職を模索。
誰もが「負けたくない」と思いながら、それぞれの場所で“働く言葉”を掴んでいく。
毎週日曜日夜9時から放送の「HOPE〜期待ゼロの新入社員〜」の第5話(8月14日放送)のあらすじと感想を紹介したいと思います。
※以後ネタバレ注意
HOPE(ドラマ)5話のあらすじ&ネタバレ

副題は「負けたくない、お前にだけは」。半年に一度の新規事業企画募集が告知され、営業一課は不参加。
営業二課と営業三課の一騎打ちが幕を開けます。
営業三課では安芸(山内圭哉)が「PKS(パームヤシ殻)を使ったバイオマス発電」を推す一方、織田課長(遠藤憲一)は「イラン原油」で勝負をかける構え。“情熱で押す原油”と“現実に効くバイオマス”、二つの戦略が衝突し、会社の中に“理想と現実”の軸が立ち上がります。
企画対決の火ぶた——「イランで勝負だ」に待った
営業三課は人見(桐山照史)の情報網を駆使し、宇野営業部長(松澤一之)の嗜好を探って接待作戦を立てる。
中華料理店での席で、織田が切り出した「イラン原油」案は即座に却下され、宇野は「今回はやめておけ」と明確に釘を刺す。
営業三課は方向転換を余儀なくされ、バイオマス案へと舵を切ることになる。
三課の再設計——“コネと資料”で磨くバイオマス
織田は過去案件の資料や取引データを総動員し、PKS(パームヤシ殻)を軸とした企画を再設計。
サプライ安定性や燃焼条件、FIT(固定価格買取制度)の単価まで検証し、“実現可能性”という言語で宇野を説得する準備を進める。現場の足並みを整え、営業三課の“実務の厚み”が浮かび上がっていく。
同期線の裏側——香月の“保留案件”と財務の論理
一方、資源二課の香月(山本美月)は桧山主任(松田賢二)から何度も財務で却下されてきた案件を再設計するよう命じられる。
財務部長・浅見梢(大島蓉子)の“NO”の理由を探り、「資源の理屈」ではなく「財務の文法」で通すために、キャッシュフローや与信・償却を視点に再構築。
部署を越えた“翻訳者”としての香月の成長が静かに描かれる。
桐明の迷い——転職サイトに登録する“逃避の兆し”
鉄鋼二課の桐明(瀬戸康史)は、結城主任(丸山智己)に基礎作業ばかり課され不満を募らせ、転職サイトに登録。
「鉄鋼にパフォーマンスはいらない」という結城の現実主義に反発し、結果を急ぐ焦りが見え始める。
「速さ」と「基礎」の間で揺れる桐明の姿は、5話の“もう一つの負けたくない”線として描かれる。
宇野の“却下”からの反転——3課が作った“勝ち筋”
接待の席で敗れた三課は、実務での巻き返しに出る。
人見の情報、安芸の企画、織田の統率、歩(中島裕翔)の資料補強。
チームとして“現実を動かす設計”を整え、営業二課との最終プレゼンに挑む。だが、宇野は「練り上げは認めるが、時間がかかりすぎる」と判断し、案件は保留に。
香月の突破口——「財務の言葉」で門を開く
香月は財務の“不安”を可視化し、炭素排出権の審査資料やキャッシュコンバージョンを添えて説明。
「資源の主張」ではなく「財務が納得する形式」で通すことで、浅見から初めて評価を得る。
部署間の“壁”を“言語”で乗り越える姿は、彼女の成長を象徴していた。
“認める、しかし——” 社内政治の壁
最終判断で宇野は三課の努力を認めつつも、「次回以降に回す」と棚上げ。
さらに専務・鷹野(風間杜夫)の鶴の一声で、三課のバイオマス案は資源部へ横取りされる。実務で勝っても、政治で負ける。
この理不尽こそが、「組織で働く現実」の冷たい温度だった。
5話の着地——“負けたくない”の矢印が変わる
三課は負けていないが、勝ってもいない。
香月は“財務の言語”を掴み、桐明は逃げ道を探し、歩は「場を勝たせる」仕事の本質を学ぶ。
“負けたくない、お前にだけは”の“お前”は、隣の部署ではなく、過去の自分かもしれない——そんな余韻を残して幕を閉じる。
HOPE(ドラマ)5話の感想&考察

第5話は、“アイデアの勝負”ではなく“通すための言語”を描いた回。
良い企画も、正しい理屈も、通すための文法がなければ届かない——そんな現場の真実を丁寧に見せた。
織田の“引き算のリーダーシップ”
イラン原油へのこだわりを捨て、織田は課全体の勝ち筋に自己を合わせた。
安芸の提案、人見の情報、歩の努力を束ね、「自分の勝ち」よりも「場の勝ち」を選ぶ。第3話で見せた“部下を守る記録の言い回し”と同じく、現場の矜持は言葉ではなく選択に宿る。
香月の“翻訳”——部署間の壁を越える手腕
香月の挑戦は説得ではなく“翻訳”。
資源の理屈を財務の言葉に変えることで、立場の異なる部署を橋渡しする。この一連の行動が示すのは、「正しいことを、通る形にする」という実務的知恵。
第5話は、彼女が初めて“働く言語”を手にしたエピソードだった。
桐明の焦燥——速さと基礎のズレ
桐明は「早く結果を出したい」焦りから、結城の現実主義に反発。
しかし鉄鋼という“数字の現場”では、基礎の精度こそが命。彼の苛立ちは、職域の文法をまだ掴めていない証でもある。
「負けたくない」は他人ではなく、自分の未熟さに向けられた言葉だ。
“中身×言語×政治”の三層構造——社内政治の現実
営業三課の企画は内容でも、説得の言語でも勝っていた。
それでも資源部に取られたのは、最後の政治の一手が欠けていたから。会社では中身×言語×政治の三層がそろって初めて“通る”。
第5話は、理不尽を叩くのではなく、それを“構造として描く”ことで説得力を持たせた。
人見の情報戦——設計の精度が勝敗を決める
人見の接待は短絡的に見えるが、相手の意思決定の文脈を読むための行為。
ただ今回は、読みの浅さ=設計の不全が敗因となった。接待が悪ではなく、“設計の浅さ”が失敗を呼ぶ。
実務の現場で問われるのは、誠実さよりも“精度”だ。
タイトルの行方——“負けたくない”の矛先
「負けたくない、お前にだけは」。
この言葉は外部の敵ではなく、自分の未熟や社内の慣性に向かっている。
織田の自己抑制、香月の翻訳、歩の場づくり――三者の努力は、すべて“内なる敵”への勝利の一歩だった。第5話は、大逆転の物語ではなく、現場で折れずに立ち続ける希望を描いた回だった。
関連記事






コメント