第4話は、夫婦の間にある“言えないこと”が、ただの沈黙では済まなくなっていく回でした。
守るためについた嘘が、次の嘘を必要とし、気づけば守りたかったはずの関係そのものを削っていく。
疑いたくない。でも確かめずにもいられない。その板挟みの中で、菜穂は少しずつ「夫婦の外」に逃げ場を作ってしまいます。
ここから先では、ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」第4話の内容を、結末まで含めて整理していきます。
※この先は、4話の結末まで触れるネタバレありです。未視聴の方はご注意ください。
ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」4話のあらすじ&ネタバレ

4話は、夫婦の間にある“言えないこと”が、ただの沈黙では済まなくなっていく回。
嘘をついた瞬間は「守れた」と思うのに、その嘘が次の嘘を必要とし、気づけば守りたいものそのものを削っていく――そんな苦い連鎖が、菜穂と省吾の間で加速していきます。
同時に、菜穂の周囲の人間関係も大きく動きます。元恋人・白川徹の存在が、菜穂の“逃げ道”になってしまうこと。さらに、夫の不倫相手・浅野綾香をめぐって、徹が動き始めること。
4話は「夫婦の問題」だったはずの火種が、外側の人間を巻き込んで“選択の物語”へ変わっていく、そんな節目の回でした。
ホテルで一夜:眠る菜穂へのキス、そして“家に帰る”という苦しさ
酔いつぶれた菜穂は徹に運ばれ、ホテルのベッドで眠ります。
徹は眠っている菜穂に口づけをします。たった一瞬の行為なのに、その一瞬でふたりの距離は確実に変わる。
眠っている相手にキスをするというのは、相手の同意がないまま踏み込む行為でもある。
だからこそ、このキスは甘さより先に重さが残る。徹の気持ちがどうであれ、菜穂の人生の線が少しずれてしまう。
そして菜穂は、ホテルで一夜を過ごします。
「一晩家に帰らなかった」という事実は、言葉にしなくても夫婦の間に残る。隠そうとすればするほど、菜穂の心には罪悪感が積もります。
菜穂にとっていちばん苦しいのは、夫婦を壊したいわけではないこと。
むしろ壊したくないからこそ、昨夜のことを“無かったこと”にしたくなる。でも、無かったことにするには、嘘が必要になる。ここで嘘の連鎖が始まります。
「帰る」と決めた瞬間に、菜穂は“妻”に戻らなければいけない。
でも、昨日の夜がある以上、もう昨日までの“妻”には戻れない。戻りたいのに戻れない。この行き場のなさが、菜穂を次の選択へ追い込んでいきます。
さらに、徹のキスは、菜穂の中の“気持ちの逃げ場”を作ってしまう。
家で孤独を感じるほど、徹の存在が救いに見える。でも、その救いは同時に、夫婦の現実から目をそらす誘惑にもなっていきます。
菜穂が帰らない夜:省吾の疑心暗鬼は「心配」よりも「恐怖」で膨らむ
菜穂が家に帰ってこない。
その事実に省吾は不思議がりながらも、すぐに疑心暗鬼に陥っていきます。
省吾の胸を占めるのは、妻の身を案じる気持ちだけではありません。
自分の不倫がバレたのではないか――その恐怖が先に立ってしまう。やましさがある人ほど、相手の行動を“意味のあるもの”として読みたくなるからです。
省吾にとって菜穂の不在は、「妻が消えた」ではなく「自分の秘密が暴かれるかもしれない」に直結してしまう。
その焦りがあるからこそ、省吾の中で心配と恐怖の順番が入れ替わっていきます。
夫婦の関係は、会話だけじゃなく「いつも通りの時間」で支えられている。
帰宅の時間、連絡の頻度、朝の挨拶。そういう当たり前が崩れた瞬間、夫婦が抱えている本当の問題が、一気に表に出てきます。
省吾は、菜穂の不在を前に、自分の嘘が崩れる未来を想像し続けます。
そしてその想像が、さらに省吾を焦らせ、言葉も行動も落ち着かなくさせる。疑心暗鬼が疑心暗鬼を呼ぶ、負の循環です。
ここで省吾が“怖い”のは、菜穂がどこにいるかより、菜穂が何を知ったか。妻の安全より自分の保身が先に立つ、その順番の狂いが、省吾の今の姿を如実に表しています。
帰宅した菜穂:夫婦を保つための嘘が、夫婦の信頼を削っていく
菜穂はホテルで一夜を過ごしたあと、帰宅します。
省吾と顔を合わせた瞬間、菜穂は昨夜のことをまっすぐ言えない。言えないということは、夫婦の間に“空白”ができるということでもあります。
菜穂が選ぶのは、夫婦関係を維持するための嘘。
嘘をつきたいわけじゃない。終わりにしたくないから、嘘を選ぶ。だから、菜穂は嘘をつく自分にすら傷ついていきます。
そして菜穂は、嘘をついたことで少しだけ安心しようとしてしまう。
「これでとりあえず今日は終わる」と思いたい。でも、その安心はすぐに崩れる。なぜなら嘘は、相手の反応によって簡単に裏返ってしまうから。
一方の省吾も、菜穂の言葉を鵜呑みにできない。
疑いがあるのに問い詰められないのは、省吾自身が不倫という嘘を抱えているから。菜穂の嘘を疑いながら、自分の嘘も守る。夫婦の会話はどんどん薄くなり、沈黙が重くなる。
この時点で、夫婦は同じ家にいるのに、同じ場所に立っていない。
菜穂は“守るため”に嘘をつき、省吾は“隠すため”に嘘をつく。嘘の目的が違うからこそ、会話は噛み合わないまま、仮面だけが上手に貼り付いてしまいます。
そして皮肉にも、菜穂が嘘をつけばつくほど、省吾は「自分も嘘をついていい」と思いやすくなる。
夫婦が互いに嘘を許し合う関係になってしまうと、信頼は戻る場所を失ってしまいます。
カンナへの相談:「友だちの話」にしてしか言えない現実
菜穂はスーパーのパート仲間・カンナに相談します。
ただし、菜穂は自分のことだと明かしません。「友だちの話」として、元カレとホテルに行ったこと、そして夫の不倫疑惑を打ち明けます。
“友だちの話”という言い方は、菜穂が自分を守るための距離。
自分の名前を出した瞬間に、現実が確定してしまうのが怖い。だから他人の話にすり替える。でも、すり替えても苦しさは消えない。
むしろ、この相談は菜穂の中で「夫婦の外に逃げてしまった自分」を見せつける時間でもあります。
自分を責めながらも、今さら何もなかったことにできない。菜穂はその袋小路の中で、カンナに言葉を投げます。
カンナは、菜穂を責めずに、現実的な視点を渡します。
確証がないまま問い詰めれば、相手に逃げ道を与える。ならば、相手の反応から確かめた方がいい。つまり“カマをかける”。
カンナの言葉は、友だちの優しさというより、生活の現場に立つ人の冷静さです。
泣いても暮らしは続く。感情が落ち着くまで待っていたら、その間に相手は逃げるかもしれない。だからこそ「確かめる」という選択を勧めます。
そして菜穂は、そこで初めて「自分は何が知りたいのか」を言葉にできるようになる。
夫が不倫をしているかどうか。それだけじゃなく、もししているなら“どんな顔で自分に嘘をついているのか”。菜穂の視点が、次の段階へ進んでいきます。
カマをかける作戦:見知らぬピアスではなく、自分のピアスで反応を見る
菜穂が決めたのは、省吾にカマをかけること。
ただ、ここで菜穂は“見知らぬピアス”をそのまま突きつけません。菜穂は自分のピアスの片方を使います。
この選択が、菜穂の賢さであり、切なさでもあります。
見知らぬピアスを出せば、省吾は最初から警戒する。「知らない」で終わらせるかもしれないし、逆ギレで話を潰すかもしれない。菜穂は、その逃げ道を与えたくない。
だから、あえて安全そうに見える“自分のピアス”を差し出す。
それでも省吾が動揺すれば、それが答えになる。菜穂は夫婦の会話の中に、罠ではなく“確認”の装置を仕込んでいきます。
ここでの菜穂は、夫を責めたいというより、自分を救いたい。
疑いを抱えたまま暮らすのは、いつ爆発するか分からない爆弾を抱えて家事をしているようなもの。菜穂はその爆弾の正体を確かめたいのです。
そしてこの作戦が残酷なのは、成功した瞬間に“安心”ではなく“現実”が手に入ってしまうこと。確かめたいと願ったのに、確かめたら戻れなくなる。菜穂が今立っているのは、そんな境界線です。
省吾の動揺と嘘:一言で、菜穂の中の答えが確定する
帰宅した省吾に、菜穂はピアスを見せます。
省吾のスーツから出てきたピアスではなく、菜穂自身のピアスの片方です。
省吾は一瞬動揺します。
そして「会社で拾ったんだよ。警備室に届けようと思って忘れてた」と、動揺しながら嘘をつきます。
この一言で、菜穂の中の答えは決まります。
自分のピアスを前にしたときの省吾の“反応”が、菜穂にとって何よりの証拠になってしまう。言い訳の中身よりも、動揺していること自体が、菜穂の胸を刺す。
夫婦って、相手の嘘が“言葉”より先に“表情”で分かってしまうことがある。省吾の動揺は、菜穂に「もう戻れない」と悟らせる決定打になりました。
そして辛いのは、菜穂がその場で“正しさ”を振りかざせないこと。
自分も昨夜、嘘をついた。自分も夫婦の外側へ寄ってしまった。その自覚があるから、怒りだけでぶつかれない。だから静かに、現実を飲み込むしかない。
菜穂は省吾の不倫を確信します。
確信したからこそ、その場で大騒ぎはしない。怒鳴らない。泣き崩れない。静かに現実を飲み込む。夫婦の仮面は、音を立てずにずれていきます。
ピアスの場面:確認のはずが、夫婦の現実が決まってしまう
カンナの助言を受けて菜穂が選んだのは、「問い詰める」ではなく「反応を見る」やり方でした。
この場面で緊張を生むのは、菜穂が声を荒げるわけでも、証拠を突きつけるわけでもないこと。むしろ淡々と、日常の会話の延長で“確認”を差し込むからこそ、逃げ道が塞がっていきます。
菜穂が差し出したのは、自分のピアスの片方。
もし本当に省吾が“拾っただけ”なら、笑って「これ、落ちてたよ」と返せば済む話です。ところが省吾は、そこで動揺してしまう。
省吾は「会社で拾った」「警備室に届けようと思って忘れてた」と説明します。
言葉だけ見れば筋が通っているようでいて、菜穂が見ているのは言葉ではなく、言葉の前に出てしまう“反射”です。動揺、間、視線の揺れ。そういうものは嘘をつくときほど出やすい。
そしてこの瞬間、菜穂の中で“疑い”が“確信”へ変わってしまう。
確信は強い武器ですが、同時に刃でもあります。確信した瞬間から、菜穂はもう「信じたい」に戻れない。信じたいという気持ちを残したまま、信じられない現実だけが前に出てくる。
だから菜穂は、その場で大声を出さない。
怒りをぶつければ楽になるのに、楽になれない。自分も嘘をついたという自覚が、菜穂の口を塞いでしまう。嘘を抱えた夫婦は、怒り方さえ選べなくなる――その苦しさが、このピアスの場面に濃縮されていました。
菜穂の嘘と省吾の嘘:同じ食卓で、別々の現実を抱える
菜穂がホテルで一夜を過ごしたことは、夫婦にとって“事件”なのに、夫婦の間では事件として扱えない。
話してしまえば終わる気がするから、菜穂は言葉を飲み込み、夫婦の形を保とうとします。
一方の省吾は、菜穂の嘘を疑いながらも、強く問い詰められない。
問い詰めた瞬間、自分の嘘(綾香との不倫)が露見するかもしれないからです。だから省吾は、優しい夫の顔を貼りつけたまま、心の中でだけ怯えていく。
嘘の怖さは、相手を欺くことよりも、自分が自分を説得し始めること。
菜穂は「夫婦を守るため」と言い聞かせ、省吾は「家庭は壊したくない」と言い聞かせる。その“言い聞かせ”が増えるほど、本音は置き去りになり、夫婦の会話は薄いのに視線だけが痛くなっていきます。
そしてこの状態に入ると、怒ることも、許すことも、どちらもできなくなる。
菜穂は怒りたいのに、自分の嘘があるから怒り切れない。省吾は謝りたいのに、自分を守りたいから謝れない。4話の夫婦は、同じ食卓で別々の現実を抱え続けることになります。
徹の動き:綾香に接触し、証拠を突きつける――そして“提案”
同じ頃、徹も動きます。
徹は綾香に接触し、確固たる証拠を突きつけて、関係から身を引くように伝えます。
徹の行動は、菜穂を守るため。夫婦に戻れる可能性を残したい。菜穂がこれ以上傷つかない道を作りたい。徹はそう考えて、正面から綾香と向き合います。
けれど徹の“正面”は、綾香にとっては脅しにならない。
綾香は怯まず、徹の言葉を受け止めた上で、逆に徹へ“ある提案”を持ち掛けます。
私はあの人がほしい、あなたも欲しいでしょ。だから何もしないで…と言います。
徹がその提案をどう受け止めるのか、そしてその選択が菜穂と省吾の夫婦にどう影響するのか――次の回へ続く大きな引きになっていきます。
省吾と綾香:不倫相手から“夫婦円満”のアドバイスを受ける皮肉
省吾は綾香との関係を続けながら、家庭は壊したくないという顔も持っています。
この矛盾が、4話ではさらに露わになります。
省吾は綾香から、夫婦関係を円満に保つ秘訣のようなアドバイスを受ける場面があります。不倫相手から“夫婦円満”を語られるという皮肉が、この関係の歪みを際立たせます。
綾香の言葉は省吾を安心させるようでいて、同時に支配する言葉でもある。
省吾はそこに抗えないまま、綾香のペースに巻き込まれていく。家庭を守りたいと言いながら不倫はやめない、その都合の良さがここで浮き彫りになります。
ラスト:省吾を送り出し、シャワーを浴びて、徹の家へ――「抱いて」と懇願する
省吾の嘘を確信した菜穂は、翌朝、いつも通りの顔で省吾を送り出します。笑えるわけじゃないのに、笑ってしまう。夫婦の生活は、感情より先に動いてしまうからです。
省吾が家を出たあと、菜穂はシャワーを浴びます。
ただ身を清めるというより、「次の行動」に向けて自分のスイッチを入れるような時間。迷いを落として、決意だけを残すような洗い流し方です。
誰かを責めるより先に、自分がどうしたいのか。
菜穂はシャワーの水音の中で、その問いと向き合っているように見えます。夫婦を続けるのか、終わらせるのか。許すのか、許さないのか。そのどれもを、もう“保留”にできない。
そして菜穂は徹の自宅へ向かいます。徹の姿を見つけた菜穂は、玄関先で抱きつきます。言葉は短くて、でも重い。「徹…お願い…私を抱いて…」。
夫婦を守るための嘘が始まり、夫の嘘が露わになり、最後に菜穂が選んだのは“夫婦の外側”でした。4話は、菜穂が自分の手で一線を引き直そうとする瞬間で幕を閉じ、物語はもう後戻りできない場所へ足を踏み入れてしまいます。
ラストの玄関先での抱擁は、菜穂が「もう夫の前では泣けない」と悟った結果にも見えます。
夫に向けて泣けば、“妻としての自分”が崩れる。けれど泣かずに耐えれば、“女としての自分”が擦り切れる。菜穂はそのどちらも抱えたまま、徹の前でだけ崩れることを選んでしまう。
そして「抱いて」という言葉は、慰めや優しさの要求というより、“現実を塗り替える決意”に近い重さを持っています。
夫婦を続けるかどうか、まだ答えを出していないのに、体だけが次の場所へ動いてしまう。菜穂の選択が早すぎるほど切実に見えるのは、嘘が積もる速度がそれだけ速かったからです。
また、徹にとっても、菜穂の行動は“守る側”から“巻き込まれる側”へ立場を変える合図になります。
菜穂の苦しさを受け止めることはできても、抱きしめた先に待つのは菜穂と省吾の夫婦問題だけではない。徹が綾香に接触したことも含め、4話のラストは全員が後戻りできない位置に立たされた瞬間でした。
徹の玄関先で物語が止まることで、視聴者もまた“答えの出ないままの夜”に置き去りにされます。夫婦の家ではなく徹の家で終わるラストが、菜穂の心がどこへ向かってしまったのかを静かに示していました。
4話の結末まとめ:重なる嘘が、選択を急がせる
4話で起きた出来事を、時系列で整理するとこうなります。
・菜穂は徹に夫の不倫疑惑を相談し、酔いつぶれてホテルで一夜を過ごす。
・省吾は菜穂が帰らないことをきっかけに疑心暗鬼に陥り、「バレたのでは」と恐怖を膨らませる。
・菜穂はカンナに“友だちの話”として相談し、カマをかけるという方法を知る。
・菜穂は省吾に自分のピアスの片方を見せ、動揺と嘘の反応から不倫を確信する。
・徹は綾香に接触し証拠を突きつけるが、綾香は徹に提案を持ち掛ける。
・翌朝、菜穂は省吾を送り出し、シャワーを浴びて徹の家へ行き「抱いて」と懇願して終わる。
この回で印象的なのは、嘘が「隠す」ためだけではなく、「決めないため」にも使われていたことです。
菜穂は本当は夫婦を終わらせたくない。でも終わらせないためには、昨夜のことを言えない。言えないから嘘をつく。その嘘が、さらに菜穂の言葉を縛ってしまう。
省吾の嘘も同じで、綾香との関係を続けながら家庭も守ろうとする限り、嘘は増える一方です。
一度でも動揺した反応を見せたら、もう取り繕うほどに不自然になっていく。菜穂が“反応”から確信したのは、まさにその不自然さでした。
そして、菜穂が怒鳴ったり泣いたりせず、静かに確信を飲み込むところが、余計に胸に刺さります。
夫を責める前に、自分の嘘が頭をよぎる。だから正しさだけでは動けない。菜穂はその分、次の一歩を“自分の意思”で決めようとしてしまう。
徹の行動も、優しさだけでは片付けられない複雑さがあります。
綾香に接触して証拠を突きつけるのは、菜穂を守るためでありながら、夫婦の外側から夫婦を揺さぶる行為でもある。綾香の提案が、さらに波乱を連れてきそうな気配を残します。
ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」4話の伏線

4話は、伏線というより“嘘の綻び”が小道具で可視化される回でした。ここから先、誰が何を隠してきたのかが、じわじわ炙り出されていきそうです。
物(小道具)で積まれた伏線
- ピアス(菜穂の片方)
菜穂が“自分のピアス”をあえて見せたのが、4話最大の仕掛け。省吾の反応で嘘が確定してしまう、静かな裁判みたいな小道具でした。 - 省吾のスーツ
スーツは「会社」と「家庭」を繋ぐ皮膚みたいなもの。そこから出てくる異物は、家庭に持ち込まれた裏切りの象徴でした。3話から続くモチーフが、4話で決定打になります。 - ホテルの“一夜”
菜穂にとっては事故みたいな夜でも、事実として残る。今後、誰かに知られたら“弱み”にも“免罪符”にもなり得る危ういカードです。 - シャワー
4話のシャワーは、綺麗になるためというより“覚悟の儀式”に見えました。家の中で気持ちを整理してから、徹の元へ行く流れが、もう後戻りできない感じを強めています。
セリフが匂わせた伏線
- 「会社で拾った」
ピアスに対する省吾の言い訳。内容の整合性より、“反射で嘘を選んだ”ことが伏線回収の形になりました。嘘の癖は、この先も別の場面で出そうです。 - 「友だちの話なんだけど」
菜穂がカンナに相談するときの逃げ道。自分の人生なのに、自分の言葉で言えない。ここが今後、菜穂が自分を取り戻す鍵にも、逆に迷い続ける沼にもなりそう。 - 「身を引いて」→「提案がある」
徹が綾香に迫ったのに、綾香は引かない。それどころか提案を出す。綾香の“目的”が恋愛だけじゃない匂いが濃くなりました。
タイトルが示した伏線
- 「重なる嘘、崩れる夫婦の仮面」
嘘は一つだと隠せても、重なると必ずどこかがズレる。菜穂の嘘、省吾の嘘、徹の圧、綾香の提案。全員の“仮面”が少しずつズレ始めたのが4話でした。
沈黙(言わなかったこと)が怖い
- 菜穂が省吾に「本当の質問」をしない
「誰のピアス?」と真正面から聞かずにカマをかけたのは、戦略でもあるけれど、同時に“答えが怖い”沈黙でもある。 - 省吾が「嘘をついた理由」を語らない
嘘をつく人は、だいたい理由を語りません。語った瞬間に罪になるから。ここは今後、夫婦の修復(もしくは崩壊)に直結する沈黙です。 - 綾香が提案の“本音”をまだ見せない
提案=取引。綾香が差し出すものと、奪うもの。その釣り合いが見えるまでは、綾香の怖さは増す一方だと思います。
ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」4話の感想&考察

4話を見終わって残ったのは、ドキドキよりも、胃の奥が静かに冷える感じでした。誰かが悪い、で片付けられないのに、誰かが確実に傷ついている。
「嘘」って、他人を騙すためだけじゃなくて、自分が壊れないために使うこともある。4話は、その生々しさが刺さりました。
菜穂は“正しさ”より先に「呼吸できる場所」を探してしまった
菜穂がホテルで一夜を過ごしたのは、もちろん軽率だし、褒められることじゃない。
でも、見ていると「欲望」より「逃げ場」が勝ってしまったように感じます。夫婦としての会話も、触れ合いも、安心もない日々で、心だけが干上がっていく。そこへ徹の“否定しない優しさ”が差し出されたら、足が止まらなくなるのは分かってしまうんです。
そして何より苦しいのが、菜穂が嘘をつくところ。
夫の不倫を疑っているのに、夫婦の形を守るために自分が嘘をつく。
この矛盾って、「妻だから」じゃなくて、「今の生活を壊したくない人」なら誰でも抱え得るものだと思いました。
“カマをかける”のは、強さじゃなくて、怖さの裏返し
菜穂が省吾に真正面から問い詰めないの、弱さに見えるけど、私はむしろ“現実を直視する怖さ”に見えました。
ピアスをそのまま突き付けるんじゃなくて、自分のピアスを見せる。ここに菜穂の切実さが詰まっていた気がします。
「あなたが嘘をつくなら、私はその嘘を目撃して、諦める準備ができる」
そんなふうに見えたんですよね。
そして省吾は、嘘をついた。
その瞬間、菜穂の目の前から“夫婦”がすっと遠のいた感じがして、胸が痛かったです。
省吾の疑心暗鬼が、いちばん自分を追い詰めている
省吾は、菜穂が帰ってこないだけで、すぐに「バレたかも」と疑心暗鬼になる。
それってつまり、妻のことを信じていないというより、自分の罪を自分が一番よく知っているからですよね。
しかも省吾は、妻を失いたくない。
だけど、裏切りはやめない。
ここが一番しんどい。省吾が誰かを本気で愛しているというより、“自分が不安にならない配置”を欲しがっているように見えてしまうから。
綾香が怖いのに、目が離せない理由
綾香は「悪女」で一括りにすると簡単なんだけど、4話での振る舞いが、ただの誘惑じゃないのが怖い。
徹に証拠を突き付けられても引かない。むしろ提案を返す。相手のカードを見てから、こちらのカードを出す冷静さがある。
さらに省吾には、夫婦円満の“秘訣”を語るような顔も見せる。
あれ、倫理で見ると最悪なんだけど、人間として見ると「自分が勝つために、最適化してくる人」なんですよね。
だからこそ、綾香の“提案”の中身が怖い。恋愛の話だけじゃなく、もっと別の狙いがあるなら、夫婦は完全に盤上の駒になってしまう。
徹の優しさは救いで、同時に火種でもある
徹は、菜穂の味方でいようとする。綾香に接触してまで守ろうとする。
でも、守り方が強くなるほど、菜穂が自分で立つ機会を奪ってしまう危うさもあると思いました。
そして、酔った菜穂へのキス。
“優しい人”の行動だからこそ、罪の形が曖昧になってしまうのが怖い。
好きな人に優しくされるほど、自分の輪郭って溶ける。
菜穂が「徹の前なら息ができる」と感じたとしても、それがそのまま幸せに直結するかは別なんだよね……と、複雑な気持ちになります。
ラストの抱擁が、甘さじゃなく「限界」のサインに見えた
シャワーを浴びて、徹の元へ行く菜穂。この流れに対して、SNSでは“覚悟が決まっている”という温度の反応も見かけました。
でも私は、あれを“覚悟”というより“限界”に感じました。
もう家では泣けない、夫の前では崩れられない、だから外で崩れるしかない。
玄関先の抱擁が、恋の始まりというより、崩れる人が最後に掴む手すりみたいに見えて、息が止まりました。
4話は、誰かを断罪して気持ちよくなる回じゃなくて、むしろ「私ならどうする?」を突き付けてくる回でした。
嘘をついた瞬間に終わる関係もあるし、嘘をつかないと続かない関係もある。
その狭間で、菜穂がどこまで自分を守れるのか。次回はそこが一番怖いし、見届けたいです。
ドラマ「この愛は間違いですか~不倫の贖罪」の関連記事
全話のネタバレはこちら↓

過去の話についてはこちら↓




コメント