『キンパとおにぎり』第1話は、恋が始まるにはあまりに静かな一夜から始まります。
大きな事件も、派手な告白もありません。あるのは、疲れ切った留学生と、挫折を抱えた青年、そして一つのおにぎりだけ。
元駅伝エースの長谷大河は、夢を語れなくなったまま小料理店で働き始めた男。
一方、韓国から留学してきたパク・リンは、課題と住まい探しに追われ、心も身体もすり減らしていました。
閉店後の「田の実」で差し出されたおにぎりをひと口かじった瞬間、リンの表情がほどけていく。
第1話は、その小さな変化を丁寧に追いながら、食べること・頼ること・文化を知ろうとすることが、恋の入口になっていく様子を描いています。
ここから始まるのは、急がない恋。
“はじまりのひとくち”が、二人の世界を少しずつ広げていく物語です。
※本章は、第1話「はじまりのひとくち」のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
ドラマ「キンパとおにぎり」1話のあらすじ&ネタバレ

本作は、日本と韓国、国籍も文化も違う2人が戸惑いながら惹かれ合うピュアラブストーリー。毎週月曜23:06放送で、放送と同時にNetflixでも配信されています。
大河とリン、それぞれの「いま」が苦いところから始まる
物語の中心にいるのは、小料理店「田の実」でアルバイトをする長谷大河(赤楚衛二)と、韓国から留学してきた大学院生のパク・リン(カン・ヘウォン)。
大河は、かつて大学駅伝のエースとして期待されながら、成績不振で挫折した過去を持ちます。いまは夢を語れない自分のまま、それでも「田の実」で少しずつ仕事のやりがいを感じ始めている。
一方のリンは、アニメーションを学ぶために日本へ来たものの、課題に追われ続ける毎日。締め切り直前でなんとか提出して息をついた矢先、学生寮の退去(解約)の通知が来ていることに気づきます。
「頑張ったのに報われない」
「今の私には、休む場所さえない」
そんな焦りが、リンの体力も気力も静かに削っていくんですよね。
リンが“ひとりで頑張り続ける”ほど、心がすり減っていく
リンは新しい住まいを探しますが、外国人であることもあり、日本での住まい探しは思うように進まない。
しかも、懸命に取り組んだ課題が酷評される出来事も重なり、落ち込む暇もないまま、やらなきゃいけないことだけが増えていく。
第1話の前半は、この“詰んでいく感じ”が丁寧で、見ている側も胸がきゅっとします。
異国で、言葉も空気も、当たり前のルールも違う場所で、ひとりで踏ん張っているのって、それだけで疲れる。
リンがふと空腹を感じて、目についた小料理店「田の実」へ向かうのも、すごく自然な流れでした。
「田の実」でのおにぎりが、リンの身体と心をほどく
リンが店に着いた時点では、すでに閉店していました。
それでも、彼女の空腹に気づいた大河がリンを店に招き入れます。
大河が握ってくれたおにぎりを、リンが頬張る。
その瞬間、リンの表情が少しだけやわらかくなっていくのが、この回の核でした。
さらに大河は、シシトウと牛肉のしぐれ煮を小鉢で差し出し、リンはそれを絶賛します。
リンは「韓国料理のチャンジョリムみたい」と例えるけれど、大河はその料理名が新鮮で、目を輝かせて作り方を尋ねるんですよね。
でもリンは料理が苦手で、レシピを答えられない。
罪悪感がにじむリンに対して、大河は責めないし、急かさない。リンも「料理はできないけど食べるのは得意」と笑って、その場が少し救われます。
この一連が、すごく“優しい出会い”でした。
恋の始まりって、派手な事件じゃなくて、「あなた、今日ちゃんと食べた?」みたいな、小さな気づきだったりするんだよなって。
大河が“知らない味”を追いかけ始める
リンと別れたあと、大河はリンから聞いたチャンジョリムを研究し始めます。
でも、なかなか感覚がつかめない。
ここ、私はすごく好きでした。
誰かを好きになる時って、まず“その人の世界”を知ろうとして、ちょっと背伸びするじゃないですか。
大河にとっては「韓国の味」を知ることが、リンを知ることの入り口になっていく。
それが押しつけじゃなくて、好奇心から始まっているのがいいんです。
定休日の再会、「頼る」ことでリンの笑顔が戻る
翌日、リンはもう一度「田の実」へ向かいます。
でもその日は定休日で、肩を落とすリン。そこに大河が現れ、「韓国風料理にアドバイスがほしい」とリンを頼ります。
この「頼ってくれる」瞬間に、リンがぱっと笑顔になるのが、すごく象徴的でした。
頑張っても評価されない、住む場所も決まらない、正解が見えない。そんな日々の中で、「あなたが必要」と言われることが、救いになる。
ここで2人は自己紹介を交わし、名前のある関係として動き出します。
“ネバネバ”がつなぐ、異文化の距離
リンは大河が料理する様子を見て、見慣れない「ネバネバ」食材に目を輝かせます。
大河は「韓国の人でも食べられるネバネバ料理を作ってほしい」と頼み、リンはその期待に応えようとする。
大河のほうも、「負担だな」と思いつつ挑戦してみたことで、韓国風料理の感覚をつかみ始めるんですよね。
第1話は、料理がただの小道具じゃなくて、
「相手の文化を知ろうとする行為」
「自分の世界を少し広げる行為」
として丁寧に置かれていたのが印象的でした。
連絡頻度のズレが、早くも2人を試す
そして第1話で早くも描かれるのが、日本と韓国の“連絡感覚の違い”。
連絡先を交換した後の距離感が、同じ「好きかも」でも、国や文化でスピードが違うことに気づかされます。
リンが距離を縮めようとするのが早く見える瞬間も、視聴者の間では「文化の違いとして描かれていて良かった」という受け止めがあったようです。
雨の中、シャツの“傘”がつくる王道のときめき
そんな中、リンは不動産屋の審査に落ちてしまい、大河に連絡して会うことに。
弱音をぽつりとこぼすリンに、大河は寄り添います。
そして終盤、突然の雨。
大河は自分のシャツを脱いで傘代わりにし、2人でその中に入って走ります。
リンは雨の中を走ったことで不思議と元気になった、と打ち明け、さらに「『お元気ですか?』と送ったのも、本当は自分自身に聞きたかったのかもしれない」と語る。
住まい探しに落ちてしまったこと、でももう少し日本にいたいことも笑って話します。
その言葉を受けて大河は、まっすぐにリンを見つめて「探すの、手伝いましょうか?」と提案。
2人の距離が、恋の形に変わりそうな余韻を残して、第1話は幕を閉じます。
ドラマ「キンパとおにぎり」1話の伏線

第1話は“出会い回”なのに、すでに「この先ぶつかりそうなもの」「この先深まっていきそうなもの」が、料理みたいに小さく仕込まれていました。
ここでは、伏線(=後々効いてきそうな要素)をカテゴリ別に整理します。
物(小道具)で残った伏線
- 学生寮の解約通知
リンは課題に没頭するあまり通知を放置してしまい、退去に追い込まれました。ここには「夢に集中するほど生活が崩れる」という危うさが見えます。 - おにぎり(持ち帰りの“温度”)
大河がリンに持たせたおにぎりは、ただの食べ物じゃなくて「今日を生き延びるための優しさ」そのもの。今後、リンから大河へ“キンパ”が返される日が来たら、それは関係の節目になりそうです。 - 小鉢(シシトウと牛肉のしぐれ煮)
家庭料理の小さな一皿が、リンの心をほどいた。第1話は「胃袋を掴む」ではなく、「孤独をほぐす」ために料理が出てくるのがポイントでした。 - “ネバネバ”食材
見慣れないものを怖がらず、むしろ目を輝かせるリン。異文化に対する姿勢が、恋愛の乗り越え方にもつながっていきそうです。 - シャツの傘
王道ロマンス演出でありながら、「自分の身を差し出す」象徴にも見えました。大河がこの先、どこまでリンに踏み込むのか(踏み込みすぎないか)が鍵になりそう。
セリフで残った伏線
- 「チャンジョリムみたい」
リンの一言が、大河の“知りたい”スイッチを入れました。相手を好きになる瞬間って、告白より前にこういう小さな言葉だったりします。 - 「料理はできないけど食べるのは得意」
可愛い自己申告でありつつ、リンの“できないこと”の告白でもある。今後、リンが「できない」をどこまで言えるか、そして大河がそれをどう受け止めるかが見どころです。 - 「お元気ですか?」
連絡の言葉が、実は自分への問いかけだった。恋愛の前に「自分の心を保つ」ことがテーマとして流れている気がします。 - 「探すの、手伝いましょうか?」
住まい探しを一緒にする=生活に踏み込む、ということ。ここから一気に関係が進む“トリガー”になりそうです。
タイトルが示す伏線
- 第1話「はじまりのひとくち」
“ひとくち”って、恋のサイズ感としてすごく良い言葉。
いきなり全部わかり合わない、少しずつ味見して、少しずつ慣れていく——そんな恋の進み方を宣言しているタイトルに見えました。
沈黙(言わなかったこと)の伏線
- 大河の「挫折の深さ」はまだ全部語られていない
大河が駅伝のエースだった過去は示されましたが、その傷の形はまだ輪郭だけ。恋が進むほど、その傷が“現在の選択”に影を落としそうです。 - リンが日本に「どれくらい」いたいのか、まだ曖昧
第1話では「もう少し日本にいたい」という言葉が出ましたが、期限や事情はまだふわっとしています。ここが後々、恋の現実として刺さってきそう。 - 連絡頻度のギャップは“価値観のズレ”の前触れ
連絡のズレは可愛い違いに見えるけれど、関係が深くなるほど「寂しい」「放っておかれた」と痛みに変わりやすい。第1話の時点で描いたのは、今後の揉めポイントの“予告”にも感じました。
ドラマ「キンパとおにぎり」1話の感想&考察

第1話、全体の空気がとにかく優しかったです。
“胸が苦しくなる恋”じゃなくて、“呼吸が整っていく恋”。
大事件が起きるわけじゃないのに、心の温度が上がる瞬間が何度もあって、私は見終わってしばらくぼーっとしてました。
食で始まる恋が、こんなに丁寧なのズルい
恋愛ドラマの「料理」って、時々“映えるための道具”になりがちなんだけど、今回の料理はちゃんとリンの生存に直結していました。空腹を満たすことは、心の余裕を取り戻すこと。
おにぎりって、豪華じゃない。
でも、手のひらの温度が残る食べ物なんですよね。
「今日、誰かに気づいてもらえた」
その実感が、おにぎりの湯気みたいに、じわっと沁みてくる回でした。
リンのしんどさが“盛られていない”のがリアル
寮の退去、住まい探しの難しさ、課題の酷評。
リンは泣きわめかないし、派手に崩れない。
その代わり、表情が少しずつ乾いていく。
あの感じ、現実の「しんどい」ってたぶんこうだよな…って思わされました。
大河の優しさは、押しつけじゃなく“余白”がある
大河が良かったのは、「助ける」より先に「尊重」があるところ。
リンが料理できなくても、責めない。わからなくても、急かさない。
優しさって、相手を正しくしようとした瞬間に、急に暴力になることがある。
だからこそ大河の距離感は安心できました。
“連絡頻度”の文化差を、恋のリアルとして描いたのが上手い
第1話で早めに「連絡の感覚の差」を入れてきたの、私はかなり効いてると思いました。
好きだからこそ不安になるし、好きだからこそ待ってしまう。
そして、その待つ時間の長さって、文化や育った環境でも変わる。
「どっちが正しい」じゃなく「そういう違いがある」と見せてくれるのが、このドラマの誠実さだなと感じました。
雨のシーンが“王道なのに新鮮”だった理由
シャツを傘にして走る、って王道なんです。
でもこのドラマは、その王道を“派手なキス”に繋げない。
代わりに、リンが弱音を吐ける場所になっていく。
雨の中でリンが「元気になった」と言うのも、「お元気ですか?」が自分への問いだったという告白も、全部が“恋の前に、生きること”へ繋がっていました。
そして視聴者の反応も、あの雨の場面の美しさやキュンに集まっていた印象です。
きゅん、って本当は「相手の事情を聞きたい」と思った瞬間に生まれるのかもしれない。
ここから先、恋は“優しいだけ”じゃ終わらない気がする
第1話は優しい。だからこそ、次からが怖い。
公式の人物紹介を見ると、大河には元カノ・宮内真澄(深川麻衣)の存在もあり、終わったはずの感情が再び動き出すと書かれています。
さらに公式サイトのエピソードあらすじでは、連絡頻度の問題がより深く出てきたり、リンの母が来日する気配も示唆されています。
恋って、優しいだけだと続かない。
現実(家族・将来・生活)と、好きという気持ちがぶつかった時に、2人がどう“相手の違い”を抱きしめるのか。
タイトル通り、「似ていてちがう」2人が、どこまで寄り添えるのか。
第1話はそのための“最初のひとくち”として、すごく綺麗な一皿でした。
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