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ドラマ「監察医朝顔(シーズン2)」第6話のネタバレ&感想考察。桑原は聖奈を撃った?桐谷の焼死体が崩した供述

2020年〜2021年放送のドラマ『監察医 朝顔』第2シーズン第6話では、夜の港で田村聖奈が拳銃で撃たれて死亡し、現場に居合わせた桑原へ疑いが向けられます。桑原は、聖奈の交際相手である桐谷が彼女へ銃を向けたため、その脚を狙って発砲したと説明しました。

しかし、防犯カメラに桐谷の姿はなく、後に見つかった焼死体の死亡推定時刻も桑原の供述と食い違います。夫を信じたい妻でありながら、遺体に残る事実を曲げられない法医学者でもある朝顔は、これまでにない立場へ追い込まれていきました。

この記事では、ドラマ『監察医 朝顔』第6話のあらすじ&ネタバレ、伏線、感想と考察について詳しく紹介します。

目次

ドラマ『監察医 朝顔』第6話のあらすじ&ネタバレ

監察医朝顔 シーズン2 6話 あらすじ画像

第5話のラストでは、田村聖奈に呼び出された桑原が、夜の港で誰かに銃を下ろすよう求め、発砲しました。誰が撃たれたのか、聖奈が無事なのか、桑原自身に何が起きたのかは明かされないまま、物語は第6話へ続いています。

同じ頃、警察官が殺害され、拳銃を奪われる事件も発生していました。逃走中の人物が銃を持っているという緊張の中、朝になっても桑原は万木家へ戻らず、朝顔からの電話にも応じません。

第6話では、桑原の供述、防犯映像、聖奈の遺体、桐谷とみられる焼死体という四つの情報が衝突します。桑原を信じたいという家族の感情だけでは、次々に示される客観的な事実を覆すことができません。

帰宅しない桑原と拳銃強奪事件

前夜に港へ向かった桑原は、朝になっても帰宅しませんでした。朝顔は不安を抱えますが、つぐみの前では平静を保とうとし、何が起きているのか分からないまま朝を迎えます。

朝になっても桑原から連絡がない万木家

朝顔は、何度も桑原の携帯電話へ連絡を入れます。しかし電話はつながらず、桑原から事情を知らせるメッセージもありません。

刑事である桑原が、捜査によって帰宅できなくなること自体は珍しくありません。重大事件が起きれば徹夜で聞き込みや検問に加わり、家族へ連絡を入れる余裕を失う場合もあります。

それでも今回は、桑原が聖奈から個人的に呼び出され、夜の港へ向かったことを朝顔も知っています。単なる残業だと安心するには、前夜の状況が不自然でした。

つぐみは父親が帰ってこない理由を十分には理解できません。朝顔は母親として娘の日常を守ろうとする一方、妻としては、桑原が事件や事故に巻き込まれているのではないかという恐怖を抑えられずにいました。

警察官が殺害され拳銃を奪われたというニュース

テレビでは、前夜に警察官が襲われて死亡し、所持していた拳銃が奪われたというニュースが流れます。犯人は拳銃を持ったまま逃走しており、周辺では大規模な警戒が続いていました。

桑原が帰宅していない事実と、拳銃を持つ人物が逃走している事件が重なり、朝顔の不安はさらに強くなります。ただし、この時点で朝顔は、警察官殺害事件と港での出来事がどうつながっているのかを知りません。

事件の影響で保育園や学校も休みとなり、地域の日常まで止まりました。逃走中の人物がどこにいるか分からないため、子どもたちを通常通り登園、登校させることができなかったのです。

朝顔にとって恐ろしいのは、桑原の身に何か起きた可能性だけでなく、何が起きているのかを家族である自分にすら知らされないことでした。

仙ノ浦の平が朝顔を安心させようとする

仙ノ浦にいる平から朝顔へ電話が入ります。朝顔から桑原が帰宅していないと聞いた平は、警察官殺害事件の聞き込みや検問で徹夜になっているのだろうと考え、娘を安心させようとしました。

平自身も長く刑事を続けており、捜査中に家族へ十分な連絡を入れられなかった経験があります。里子を心配させた過去を振り返りながら、桑原も同じように仕事へ追われているだけだと説明しました。

朝顔は父の言葉を受け止めますが、不安が消えたわけではありません。港へ向かった事情を平へ詳しく話せば、仙ノ浦にいる父まで心配させるため、朝顔はすべてを伝えられずにいました。

この時の平は、港で聖奈が死亡し、桑原が事件の重要な関係者として扱われていることを知りません。父に頼りたい朝顔と、遠くにいる父を心配させたくない朝顔が同時に存在しています。

第6話冒頭では、桑原の不在、拳銃強奪事件、平からの電話が並行して描かれました。

港で射殺された田村聖奈

朝顔が桑原の帰宅を待っていた頃、野毛山署管内の港には神奈川県警の捜査員が集まっていました。現場に横たわっていたのは、前夜に桑原を呼び出した田村聖奈です。

頭部を拳銃で撃たれていた聖奈

聖奈は港で倒れ、すでに死亡していました。頭部には拳銃で撃たれた痕があり、奪われた警察官の拳銃が使われた可能性も考えられます。

前夜、聖奈は交際相手をめぐる問題で桑原へ助けを求めていました。桑原は彼女から緊迫した連絡を受け、一人で港へ向かっています。

そして現場では桑原の拳銃も発砲されていました。聖奈が撃たれて死亡し、桑原がその場にいた以上、警察は桑原から詳しい事情を聴かなければなりません。

桑原が刑事であることは、疑いを免れる理由にはなりません。むしろ警察官が関係する発砲事件だからこそ、身内に甘い捜査だと受け取られないよう、県警は通常以上に厳格な対応を取ろうとしていました。

県警管理官が捜査を直接管理する

神奈川県警の管理官・瀧川雄一郎は、現場に居合わせた桑原を呼ぶよう指示します。桑原は事件の目撃者であると同時に、拳銃を発砲した当事者でもありました。

そこへ山倉、忍、森本ら野毛山署強行犯係の刑事たちも駆けつけます。しかし、県警は事件の詳しい内容を野毛山署側へ伝えず、捜査への参加も認めません。

桑原は野毛山署の仲間であり、忍にとっては弟です。近い関係にある刑事たちを捜査へ加えれば、証拠や供述へ先入観が入る危険があるため、県警が距離を置こうとする判断には一定の理由があります。

一方、山倉たちから見れば、仲間が何を疑われているのかも知らされず、現場から遠ざけられる状況です。桑原を守りたい感情以前に、同じ警察組織の中で必要な情報さえ共有されないことへ、不信と焦りを抱きます。

桑原は被害者の知人から事件の関係者へ変わる

聖奈は、桑原が以前の摘発を通して知り合った女性でした。その後、交際相手に関する悩みを相談するようになり、第5話では二人がカフェで話す姿も描かれています。

桑原にとって聖奈は、助けを求めてきた市民でした。しかし、周囲から見れば、個人的に連絡を取り合い、夜の港で二人きりになった女性でもあります。

聖奈がなぜ桑原だけを呼び出したのか、二人の間に警察へ報告されていない事情がなかったのかも調べられます。桑原の善意による行動であっても、客観的には疑いを招く材料になりました。

桑原は聖奈を守るため港へ向かったはずでしたが、彼女が死亡したことで、最も近くにいた救助者から最も疑われる人物へ変わってしまいました。港で聖奈が頭部を撃たれて発見され、野毛山署が捜査から外された経緯は、第6話の疑惑を組織全体へ広げています。

妻である朝顔が聖奈の解剖から外された理由

逃走中の人物を警戒して保育園が休みとなったため、朝顔はつぐみを連れて法医学教室へ出勤します。そこで緊急の解剖依頼を受けますが、運ばれてきた遺体は聖奈でした。

子どもたちを連れて出勤した法医学教室

保育園が休みになった朝顔は、つぐみを一人にできず、興雲大学法医学教室へ連れていきます。藤堂と絵美も学校が休みになった息子を連れており、教室には普段とは違う生活感がありました。

子どもたちは、親たちが重大事件へ対応していることを十分には知りません。大人たちは不安を抱えながらも、子どもたちの前ではできるだけ通常の空気を保とうとします。

朝顔にとって、つぐみがそばにいることは支えである一方、桑原に何が起きたのか分からない状態で娘へ向き合う苦しさも増します。父親の不在を不安にさせないよう、朝顔は自分の動揺を表へ出せません。

そこへ緊急の解剖依頼が入ります。朝顔は法医学者として準備を始めますが、遺体の身元を知った瞬間、仕事と家庭が完全に交差することになりました。

丸屋が朝顔を解剖担当から外す

運ばれてきた遺体は聖奈でした。朝顔は解剖しようとしますが、検視官の丸屋から、今回の解剖には参加できないと告げられます。

理由は、朝顔の夫である桑原が事件の関係者だからです。聖奈の解剖結果は、桑原の供述を裏づける可能性もあれば、反対に疑いを強める可能性もあります。

朝顔がどれほど誠実な法医学者でも、夫に有利な結果を望む感情を完全に持たないとは言い切れません。また、朝顔が公正に調べたとしても、後から結果の信頼性を疑われれば、解剖そのものが事件を混乱させます。

そのため、担当から外す判断は朝顔への不信だけではなく、解剖の中立性と朝顔自身を守るためにも必要でした。朝顔は納得しようとしますが、妻としては、夫に何が起きたのかを自分の目で確かめられない状況に置かれます。

藤堂が聖奈の銃創を調べる

朝顔に代わって、藤堂たちが聖奈の解剖を担当します。焦点となったのは、弾丸がどの方向から頭部へ入ったのか、どのような位置関係で発砲されたのかという点でした。

遺体には事実が残っていますが、銃創だけで現場のすべてを再現できるとは限りません。聖奈が発砲直前に身体の向きを変えた可能性や、撃った人物が移動していた可能性も考える必要があります。

藤堂たちは先入観を避け、確認できる所見を一つずつ調べます。朝顔はその過程へ加われず、廊下や別室で結果を待つしかありません。

これまで遺体を調べることで真実へ近づいてきた朝顔が、第6話では最も知りたい遺体に触れることを禁じられました。妻と法医学者の利害が衝突するため朝顔が解剖から外され、藤堂が聖奈の銃創を調べる流れとなります。

桐谷を撃ったという桑原の供述

桑原は監察官・五十嵐から厳しい事情聴取を受けます。彼の説明では、聖奈を撃ったのは交際相手の桐谷であり、桑原は彼女を守るために桐谷へ発砲したことになっていました。

聖奈からの連絡で港へ向かった桑原

桑原は、聖奈からすぐに来てほしいという連絡を受け、港へ向かったと説明します。聖奈は交際相手の桐谷をめぐる問題を抱え、以前から桑原へ相談していました。

港へ着くと、聖奈の背後に桐谷が立ち、拳銃を向けていたと桑原は供述します。その拳銃は、殺害された警察官から奪われたものだった可能性があります。

桑原は桐谷へ銃を下ろすよう求めますが、相手は応じませんでした。聖奈の命が差し迫って危険にさらされていると判断し、桑原は桐谷の脚を狙って拳銃を撃ったと説明します。

その直後、桐谷も発砲し、聖奈が倒れたというのが桑原の供述でした。桑原は自分の弾が聖奈へ当たったのではなく、桐谷が彼女を撃ったと主張します。

桐谷の脚へ発砲したという説明

桑原の供述が正しければ、桐谷の脚には銃弾による傷が残っているはずです。失血や歩行への影響も考えられるため、負傷した状態で港から逃げた人物の痕跡が見つかる可能性があります。

しかし現場は大雨で、血痕や足跡などが流された可能性がありました。さらに港には防犯カメラの死角もあり、桑原の言う桐谷が映像へ残っていなくても、直ちに存在しなかったとは言い切れません。

それでも、警察が確認できる範囲の映像には、桑原と聖奈しか映っていませんでした。供述上は三人いたはずの現場に、第三者を示す客観的な記録が見つからないのです。

桐谷を捜し出し、脚の傷を確認できれば、桑原の供述は大きく裏づけられます。反対に桐谷が見つからなければ、桑原が存在しない人物へ罪を負わせているという疑いが強くなります。

五十嵐が繰り返す厳しい事情聴取

監察官の五十嵐は、桑原へ同じ点を何度も確認します。なぜ一人で港へ行ったのか、なぜ応援を呼ばなかったのか、聖奈との間にどのような関係があったのかを追及しました。

桑原から見れば、目の前で人の命が危険にさらされ、迷っている余裕のない状況でした。しかし、組織としては、警察官が私的に連絡を取っていた女性の死亡現場で発砲している以上、供述だけを信じることはできません。

五十嵐の態度は桑原を最初から犯人と決めつけているようにも見えます。それでも、警察官による発砲を警察内部の信頼関係だけで処理すれば、捜査の公平性は保てません。

桑原の説明には一貫性がありましたが、それを裏づけるはずの桐谷の姿も、脚を撃たれた痕跡も、この時点では確認できませんでした。桑原は桐谷が聖奈へ銃を向けたため脚を狙って撃ったと供述しますが、防犯映像に桐谷の姿は残っていません。

忍と平が支えた朝顔とつぐみ

桑原が事情聴取を受けている間、朝顔とつぐみは万木家で帰りを待ち続けます。事件の詳しい内容を知らされない二人を支えたのは、桑原の姉である忍と、遠く仙ノ浦にいる平でした。

食事を持って万木家へ来た忍

忍は、朝顔とつぐみのために食事を用意し、万木家を訪れます。桑原の姉である忍も、弟の状況を詳しく知らされているわけではありません。

それでも忍は、弟が聖奈を故意に撃つはずはないと信じています。刑事になったばかりの忍には捜査へ直接加わる権限がなくても、家族のそばにいて生活を支えることはできます。

朝顔はつぐみの前で動揺を見せないようにしていますが、食事や家事を普段通りに続ける余裕を失っています。忍が日常の部分を引き受けたことで、朝顔は一人で母親と妻の役割を抱え込まずに済みました。

忍の信頼は、証拠を検討したうえでの判断ではなく、弟を長く見てきた家族としての確信です。そのまっすぐさは朝顔を支えますが、法医学者として事実を無視できない朝顔とは、信じ方が少し異なっていました。

山倉たちが独自に桐谷を捜し始める

山倉は警察学校時代の同期などを頼り、桑原がどのような状況に置かれているのかを探ります。そして着替えを持って事情聴取中の桑原を訪ねますが、五十嵐から長く話すことを認められません。

短い接触の中で、桑原は桐谷を捜してほしいという意思を山倉へ伝えます。自分の供述を証明するには、港にいたと主張する桐谷を見つけるしかないからです。

山倉、忍、森本ら野毛山署の仲間は、正式な捜査から外されていても、桐谷の行方を追い始めます。仲間を守るために都合のよい証拠を作るのではなく、桑原の話が事実かどうかを確認しようとしました。

ただし、彼らは桑原へ近い人物です。県警側から見れば、無実を証明したい感情が捜査をゆがめる可能性もあり、野毛山署と県警の緊張はさらに強まります。

仙ノ浦の平へ事件を話せない朝顔

平は仙ノ浦で、里子の歯を隠していたことを浩之から謝られます。浩之は自身の体調や入院についても考えており、平に仙ノ浦で暮らすことを勧めました。

平自身も里子を捜すため仙ノ浦へ移る意志を固めています。しかし、その大きな生活の変化を前にしている父へ、朝顔は桑原の事件をすぐには伝えられません。

平に話せば、刑事として何かしようと動くでしょう。けれども、県警が情報を管理している中で、平が神奈川へ戻ってもできることは限られ、仙ノ浦の浩之を一人にすることにもなります。

朝顔は家族へ助けを求めたいのに、家族を心配させないため自分から情報を抱え込む側へ回っていました。忍は万木家の日常を支え、山倉たちは桐谷を捜し、平は事情を知らないまま仙ノ浦から朝顔を案じています。

桐谷の焼死体が桑原の証言を崩す

聖奈の解剖が続く中、法医学教室には別の緊急解剖依頼が入ります。今度は朝顔が担当できる遺体でしたが、その焼死体が桑原の供述を根本から揺るがすことになります。

特徴的な刺青がある男性の焼死体

運ばれてきたのは、全身を焼かれた男性の遺体です。外見からの身元確認は難しく、なぜ焼かれたのか、火災の中で亡くなったのかも分かりません。

朝顔は遺体を調べ、身体に特徴的な刺青があることを確認します。刺青は本人を識別する重要な手がかりとなり、行方を追われていた桐谷の情報と結びつきました。

桑原は、前夜の港で桐谷の脚を撃ったと供述しています。その桐谷とみられる人物が焼死体で見つかったなら、脚の銃創が確認できる可能性もあります。

朝顔にとっては、夫の供述を裏づけるかもしれない遺体です。しかし、桑原と関係する可能性を知る前から解剖を始めており、遺体に残された事実を通常通り読み取るほかありません。

男性は生きたまま焼かれたのではなかった

解剖を進めると、男性は火によって死亡したのではなく、死亡後に遺体を焼かれた可能性が高いと分かります。焼却は死因ではなく、身元や死亡時の状況を隠すために行われたと考えられました。

さらに、男性の直接的な死因は頭部への強い打撃とみられます。誰かに頭を殴られて死亡した後、遺体を焼かれた可能性が浮かびました。

つまり、警察官から奪った拳銃を持って港から逃げ、その後に死亡したという単純な流れではありません。港の事件とは別に、男性を殺害して焼いた人物が存在する可能性があります。

一方、焼死体が本当に桐谷であれば、なぜ港から逃げた後に別の場所で殺されたのかを考えなければなりません。桑原の供述を裏づけるはずの遺体は、事件をさらに複雑にしました。

死亡推定時刻は聖奈の事件より前だった

朝顔たちが遺体の状態を調べると、男性は聖奈が撃たれた時刻よりも前に死亡していた可能性が高いと判断されます。解剖時点から見て、一日半から二日ほど前に亡くなっていたとみられました。

刺青などの情報から遺体が桐谷と考えられるなら、桑原が港で見たという桐谷は、その時点ですでに死亡していたことになります。死者が聖奈へ銃を向け、桑原に脚を撃たれて逃走することはできません。

桑原が人違いをしていたのか、桐谷の名前を使う別の人物がいたのか、それとも桑原自身が虚偽の供述をしているのか。この結果だけでは答えを決められませんが、少なくとも供述をそのまま信じることは難しくなりました。

桐谷を見つければ桑原の無実が証明されるはずでしたが、見つかった桐谷の遺体が、逆に桑原の証言を成立しないものへ変えてしまいました。焼死体は死後に焼かれ、頭部への打撃で死亡しており、死亡推定時刻は聖奈の事件より前と判断されます。

聖奈を撃てたのは桑原だけなのか

焼死体の身元と死亡推定時刻が示されたことで、桑原への疑いは決定的に強まります。防犯映像、銃創の方向、桐谷の死亡時刻を組み合わせると、港で発砲できた人物は桑原しかいなかったように見えました。

防犯カメラには桑原と聖奈しか映っていない

港周辺の防犯カメラ映像には、桑原と聖奈の姿は確認できても、桐谷とみられる第三者は映っていませんでした。桑原は桐谷がその場にいたと供述していますが、映像からは存在を裏づけられません。

もちろん、防犯カメラには撮影範囲があり、死角もあります。映像に残っていないことは、必ずしもその人物が存在しなかった証明にはなりません。

それでも、桑原の供述を支える血痕、足跡、目撃者も見つからない中、防犯映像に第三者がいない事実は重く扱われます。桐谷が脚を撃たれながら、何の痕跡も残さず逃げたという説明は次第に苦しくなりました。

大雨が証拠を流した可能性はありますが、可能性だけでは供述を証明できません。県警は、確認できない桐谷より、現場にいたことが確実な桑原へ疑いを向けます。

聖奈の銃創の方向も供述と合わない

藤堂たちが聖奈の頭部を調べた結果、弾丸は前方から入った可能性が高いと考えられます。一方、桑原の供述では、桐谷は聖奈の背後にいたことになっていました。

この位置関係が正しければ、桐谷が背後から聖奈を撃ったという説明と、銃創の方向が一致しません。聖奈が発砲直前に振り返った可能性などはありますが、それを示す確実な証拠はまだありませんでした。

桑原は聖奈の正面側にいたとみられます。防犯映像に第三者が映らず、弾丸が前方から入ったとすれば、桑原の拳銃から発射された弾が聖奈へ当たったという見方が強まります。

ただし、この段階で弾丸と拳銃の関係、発砲時の正確な位置、聖奈の動きがすべて確定したわけではありません。複数の所見が桑原を指しているように見えても、まだ説明できない部分は残っています。

朝顔が夫への疑いを耳にしてしまう

法医学教室では、焼死体の死亡推定時刻と聖奈の銃創に関する情報が整理されます。桐谷が事件前に死亡していたなら、桑原の供述は成立せず、聖奈を撃てたのは桑原だけだという見方が出てきました。

朝顔はつぐみを追って教室へ戻り、その検討結果を聞いてしまいます。桑原を信じたいという妻の感情と、自分たちが明らかにした遺体の事実が正面から衝突しました。

朝顔は、桑原が聖奈を殺したとはすぐに考えられません。しかし法医学者である以上、夫だからという理由だけで死亡推定時刻や銃創の方向を否定することもできません。

第6話の結末で朝顔へ突きつけられたのは、夫を信じるか、証拠を信じるかという単純な二択ではなく、夫を信じながら不利な証拠も受け入れなければならない苦しさでした。

桑原は桐谷が聖奈を撃ったと供述しました。しかし防犯映像に桐谷は映らず、桐谷とみられる焼死体は聖奈の事件より前に死亡していたと判断されます。

さらに聖奈の銃創の方向も、桑原が説明した桐谷の位置と一致しない可能性が浮かびました。無実を信じる感情だけでは覆せない複数の事実を朝顔が聞き、事件は解決しないまま次回へ続きます。

ドラマ『監察医 朝顔』第6話の伏線

監察医朝顔 シーズン2 6話 伏線画像

第6話では、桐谷とみられる焼死体が見つかり、桑原の供述は大きく崩れました。しかし、桑原が聖奈を撃ったと断定するには、まだ説明できない点が残されています。

ここでは、第6話の時点で確認できる映像、遺体所見、組織の動きをもとに、次回へ持ち越された伏線を整理します。

桑原の供述に残る未解決の証拠

桑原の説明が事実なら、港には桐谷が存在し、脚へ銃弾を受けています。焼死体が桐谷とみられる一方、その死亡時刻は供述と合わず、身元と時系列の両方を改めて検証する必要がありました。

桐谷の脚には銃創があるはず

桑原は、聖奈へ拳銃を向けていた桐谷の脚を狙って発砲したと説明しています。供述が正しければ、桐谷の脚には桑原の拳銃による傷が残っているはずです。

焼死体は損傷が激しく、外見だけで細かな傷を確認することは難しい状態でした。それでも解剖によって、骨や深部組織に銃弾の痕跡がないかを調べられる可能性があります。

脚の銃創が確認されれば、死亡推定時刻との矛盾は残っても、少なくとも桑原が誰かの脚を撃ったという供述の一部は裏づけられます。反対に傷がなければ、桑原が港で撃った相手は焼死体の男性ではなかった可能性が高まります。

第6話では、焼死体の死因と死亡推定時刻が大きく扱われましたが、桑原が説明した脚の傷については、まだ決定的な整理が示されていません。

焼死体は本当に桑原が見た桐谷なのか

焼死体は、特徴的な刺青などから桐谷とみられています。しかし、桑原は聖奈の交際相手を桐谷という姓で把握していても、その人物の身元情報をすべて確認していたとは限りません。

刺青や周辺情報が一致しても、身元確認の方法に見落としがないかを検証する必要があります。第2話で双子がユニフォームを交換したように、外見上の特徴や周囲の認識だけで本人を確定すると、前提そのものを誤る危険があるからです。

焼死体が桑原の見た桐谷と同一人物なのか、それとも同じ名前や似た特徴を持つ別人なのかは、第6話の段階では疑う余地が残っています。

ただし、別人だと考えるにも証拠が必要です。桑原を信じたいという感情から、都合よく身元確認を否定することもできません。

大雨と防犯カメラの死角

防犯カメラに桐谷が映っていないことは、桑原へ疑いを向ける重要な材料です。しかし、カメラは港全体を撮影しているわけではなく、死角も存在します。

さらに現場では大雨が降っていました。雨によって血痕や足跡が流れ、負傷した人物が移動した痕跡を確認できなくなった可能性があります。

映像にいないことと、現場にいなかったことは同義ではありません。第6話では県警が防犯映像を強く重視していますが、映像が記録できた範囲そのものを検証する必要があります。

防犯カメラは客観的な記録ですが、映っているものだけが現場のすべてとは限りません。桐谷の脚の傷、焼死体の身元、防犯カメラの死角は、桑原の供述を再検証する重要な伏線です。

聖奈の遺体と二つの拳銃に残る謎

聖奈の頭部を撃った弾丸が、どの拳銃から、どの位置で発射されたのかが事件の中心です。桑原の拳銃と、警察官から奪われた拳銃の存在を分けて考えなければなりません。

聖奈の銃創は本当に正面からのものなのか

藤堂たちの検討では、聖奈は前方から撃たれた可能性が浮かびます。この所見は、聖奈の背後にいた桐谷が発砲したという桑原の供述と食い違います。

ただし、被弾時に聖奈がどちらを向いていたかは、防犯映像や遺体所見だけで完全に再現できるとは限りません。桑原と桐谷の間で言葉が交わされる中、聖奈が身体や顔を動かした可能性もあります。

弾丸の入口と出口、身体の向き、発砲者の高さや距離を総合して初めて、位置関係を考えることができます。前方からの銃創という一つの情報だけで、桑原の発砲だと確定するのは早いでしょう。

第6話の段階では、藤堂たちが得た所見が桑原へ不利に働いていますが、現場の動きを説明し切るところまでは至っていません。

桑原の拳銃と奪われた拳銃

港には、桑原が所持していた拳銃と、殺害された警察官から奪われたとみられる拳銃が存在した可能性があります。聖奈の身体から得られる弾丸や射撃痕を調べれば、どちらが使われたのかを絞り込めるはずです。

桑原は自分の拳銃で桐谷の脚を撃ったと供述しています。一方、聖奈を撃ったのは桐谷が持つ奪取拳銃だったという説明です。

どの拳銃から何発発射され、弾丸がどこへ向かったのかを整理できれば、桑原の話の真偽へ近づけます。しかし第6話では、発砲数や弾丸と拳銃の対応が最終的に確定したとは描かれていません。

発砲の瞬間だけを見れば一つの銃声に聞こえても、同時に近いタイミングで複数の銃が使われた可能性があります。音の印象より、薬莢や弾丸などの物証を優先する必要があります。

聖奈は撃たれた直後にどうなったのか

聖奈は頭部を撃たれて港で発見されました。しかし、被弾した瞬間にどの程度の意識や身体機能が残っていたかは、第6話の時点では詳しく整理されていません。

第4話の亜衣も、首を絞められた直後に死亡したと思われながら、一度意識を取り戻して自分で動いていました。見つかった場所や姿勢が、そのまま攻撃を受けた瞬間の位置とは限らないということです。

聖奈が被弾後に動いたと断定することはできません。それでも、桑原、聖奈、桐谷の位置関係を考えるうえでは、遺体が発見された位置だけでなく、被弾後の経過も検討する必要があります。

聖奈の死因が銃撃だと分かっても、発砲時の三人の位置と、その後に起きたことまでは確定していません。

焼死体の死亡推定時刻と県警の捜査

焼死体が聖奈より先に死亡していたという結果は、桑原への疑いを一気に強めました。しかし、強く焼かれた遺体の死亡推定時刻には、どのような所見が使われたのかを慎重に見る必要があります。

激しく焼かれた遺体の死亡推定時刻

焼死体は死後に焼かれており、遺体の状態も大きく変化しています。通常の遺体より、死亡からの経過時間を判断するための情報が失われている可能性があります。

朝顔たちは残された身体所見から死亡推定時刻を判断しましたが、推定には一定の幅があります。一日半から二日前という結果が、どの程度まで絞り込めるものなのかも重要です。

また、火にさらされたことによって、遺体の乾燥や組織変化が通常と異なって見える可能性も考えなければなりません。朝顔たちが誤ったという意味ではなく、推定の前提を再確認する余地があるということです。

桑原の無実を望むため結果を疑うのではなく、焼死体という特殊な条件が鑑定へどう影響したかを検証する必要があります。

死後に焼かれた理由

男性は火によって亡くなったのではなく、頭部への打撃で死亡した後に焼かれています。犯人は遺体の身元や殺害方法を隠そうとした可能性があります。

焼死体が本当に桐谷なら、彼は聖奈の事件とは別の場所で誰かに殺されたことになります。誰が桐谷を殺し、なぜ焼いたのかという新たな事件を解明しなければなりません。

また、遺体を桐谷だと思わせるために焼却した可能性も、完全には否定できません。刺青だけを残し、それ以外の身元情報を失わせる行為だったとすれば、誰かが捜査の方向を操作しようとしたことになります。

第6話では焼死体が桑原を追い詰める証拠として機能しましたが、遺体を焼いた人物の目的はまだ分かっていません。

県警が野毛山署を遠ざける動き

県警が野毛山署の刑事たちを捜査から外した判断は、桑原との近さを考えれば理解できます。一方、現場や桑原の人間関係をよく知る刑事たちから情報を遮断することで、見落としが生まれる可能性もあります。

山倉たちは桑原を信じていますが、彼らが求めているのは無条件な不起訴ではなく、桐谷を見つけて事実を確かめることです。県警と野毛山署が対立すれば、必要な証拠が別々の場所に集まり、事件全体を見通せなくなります。

監察官の厳しい姿勢は組織の公平性を守るために必要です。しかし、桑原を犯人とする筋書きへ早く収束しすぎれば、供述の矛盾を生んだ別の理由を見逃す危険があります。

県警が身内への甘さを排除しようとするほど、逆に桑原を疑う先入観へ傾いていないかも検証する必要があります。

里子のハンカチと家族へ伝えられない真実

桑原の事件が進む一方、仙ノ浦では浩之が里子の歯を隠していたことを平へ謝ります。港の事件とは直接関係しませんが、家族に真実を伝えることへの恐怖という点で重なっていました。

浩之が平へ渡す里子のハンカチ

浩之は、「里子」と刺繍されたハンカチに歯を包んで保管していました。歯は里子の手袋が見つかった場所の近くで拾われたもので、里子のものかもしれません。

平へ渡すことは、長く一人で抱えていた恐怖を家族と共有する行為です。同時に、歯を調べるかどうかという重い決断を、平や朝顔にも背負わせることになります。

浩之は隠していたことを謝りますが、平はすぐに責めませんでした。妻を見つけたい平にも、娘の死を確定させたくない浩之の気持ちが理解できるからでしょう。

桑原の事件では、確認された証拠が家族の願いと反対の方向を示しています。里子の歯についても、調べれば家族が望んでいない事実へ近づく可能性があります。

平が仙ノ浦で暮らすことを勧められる

浩之は自身の入院を考え、平に仙ノ浦の家で暮らすことを勧めます。平はすでに、里子を捜すため生活の拠点を仙ノ浦へ移す意思を固めていました。

しかし神奈川では、娘の夫である桑原が重大事件へ巻き込まれています。朝顔が事実を伝えれば、平は仙ノ浦に残るのか、家族のもとへ戻るのかという選択を迫られます。

朝顔が平へ話せないことは、父を信頼していないからではありません。父に里子と浩之へ向き合う時間を使ってほしい気持ちと、自分を助けてほしい気持ちが衝突しているのです。

家族へ何をいつ伝えるのか

浩之は歯の存在を長く言えず、朝顔は桑原の事件を平へ言えずにいます。どちらも、家族を心配させたくないという思いから生まれた沈黙です。

しかし、伝えない間にも状況は変化します。桑原への疑いが強まり、浩之の体調にも不安がある以上、家族が話し合える時間がいつまでも残るとは限りません。

第6話では、証拠だけでなく、家族が情報をどこまで共有するかも重要な伏線となりました。真実を知らせることが相手を傷つけても、知らないままにすることが本当に相手を守るとは限りません。

ドラマ『監察医 朝顔』第6話を見終わった後の感想&考察

監察医朝顔 シーズン2 6話 感想・考察画像

第6話は、朝顔が初めて法医学者としての立場と妻としての感情を、完全には両立できない場所へ置かれた回でした。これまで朝顔は、遺族の思いへ寄り添いながらも、遺体に残る事実を優先してきました。

しかし今回、その事実が疑っているのは自分の夫です。桑原を信じると言い切ることも、解剖結果に従って疑うことも、朝顔には簡単に選べませんでした。

朝顔を聖奈の解剖から外した判断は妥当だったのか

視聴者としては、朝顔なら私情を挟まず正確に解剖できると信じたくなります。それでも、事件と法医学の公平性を考えれば、担当から外す判断は必要だったと考えられます。

技術的に公平でも疑念は残る

朝顔はこれまで、遺族の希望と異なる結果であっても、遺体の所見を曲げずに伝えてきました。夫が関係する事件でも、故意に証拠を隠す人物ではないでしょう。

しかし、公平性には、実際に公正であることだけでなく、外部から公正に見えることも必要です。朝顔が聖奈を解剖し、桑原に有利な結果を出した場合、どれほど正確でも疑いを持たれます。

反対に、夫へ不利な結果を出せば、朝顔自身が一生その判断を背負うことになります。自分の手で夫を容疑者へ近づけたという感情が、その後の家族関係へ影響する可能性もあります。

担当から外すことは朝顔の能力を否定するのではなく、法医学教室と朝顔の双方を不必要な疑念から守る措置だったと受け取れます。

参加できないことが朝顔へ与えた苦しさ

朝顔は、母・里子の行方が分からない苦しさを抱えてきました。分からないからこそ、遺体を調べ、事実へ近づくことを仕事にしています。

ところが聖奈の事件では、遺体が目の前にあるのに、自分で調べることができません。桑原の供述を裏づける証拠があるかもしれないのに、結果を待つ側へ回されました。

法医学者である朝顔にとって、何もできず待つことは、一般の家族とは違う苦しさを持ちます。知識があるからこそ、どの所見が桑原を救い、どの所見が追い詰めるかを想像できてしまうからです。

専門家から家族へ戻された朝顔は、これまで遺族へ求めてきた「結果を待つ時間」を、自分自身で経験することになりました。

解剖から外れることも専門職としての責任

朝顔が強引に解剖へ参加し、自分なら公平にできると主張する展開にしなかった点は重要です。専門性への自信があっても、利益相反を認めることも専門職としての責任だからです。

朝顔は納得できない感情を抱えながらも、藤堂たちへ任せます。自分の望む結果を得るためではなく、誰が見ても信頼できる結果を残すための選択でした。

朝顔が解剖から外されたことは法医学者としての敗北ではなく、公平な死因究明を守るために自分の立場を手放した専門家としての判断でした。

朝顔が「桑原を信じる」とだけ言えない理由

忍は弟の無実をまっすぐに信じます。一方の朝顔は、桑原への愛情がありながら、遺体や映像が示す事実を無視して信じるとは言えません。

その慎重さは、夫への不信ではないと考えられます。

忍の信頼と朝顔の信頼は種類が違う

忍は桑原の姉として、弟が聖奈を殺すはずはないと信じています。長年見てきた性格や行動から生まれた、家族としての信頼です。

朝顔も桑原の人柄を知り、彼が人を助けるために港へ向かったと考えています。しかし同時に、朝顔は事実と人柄を分けて考える訓練を受けた法医学者です。

善良な人物でも、混乱した現場で誤って発砲する可能性はあります。本人が記憶している状況と、実際に起きたことがずれる場合もあります。

朝顔が証拠を確認しようとするのは、桑原を疑いたいからではありません。信じたい相手だからこそ、感情だけでは崩れない客観的な根拠を求めています。

信じることと事実を否定することは違う

桐谷の焼死体は聖奈より前に死亡しており、防犯映像にも第三者は映っていません。朝顔が桑原を信じるためにこれらを否定すれば、これまで守ってきた法医学者としての姿勢を失います。

一方、証拠が桑原を指しているように見えるからといって、すぐに夫が嘘をついていると決めれば、説明できない部分を放棄することになります。

朝顔に必要なのは、桑原の無実を証明する証拠だけを探すことではありません。桑原が何を見て、なぜ桐谷がいたと確信したのかを、反対の可能性も含めて検証することです。

本当に桑原を信じることは、不利な証拠から目を背けることではなく、不利な証拠を含めてもなお成立する真実を探し続けることだと考えられます。

朝顔が恐れているのは夫の嘘だけではない

朝顔は、桑原が故意に聖奈を撃ったとは考えたくありません。しかし、混乱の中で桑原の弾が誤って聖奈へ当たり、本人が正しく認識できていない可能性も否定できません。

その場合、桑原は悪意のある殺人犯ではなくても、人を死なせた事実と向き合わなければなりません。朝顔やつぐみの生活も大きく変わります。

さらに桑原が家族を守るため事実を隠している可能性を考えれば、夫婦の信頼そのものが揺らぎます。朝顔が動揺したのは、桑原を悪人だと思ったからではなく、どの真実でも家族が傷つくと分かったからでしょう。

防犯映像は「映っていない人物」を否定できるのか

第6話では、防犯カメラに桐谷が映っていないことが桑原への疑いを強めます。しかし、映像は現場の一部を切り取った記録であり、すべてを映すものではありません。

客観的記録にも範囲と角度がある

人の証言は記憶違いや思い込みの影響を受けます。それに比べ、防犯カメラ映像は客観的で信頼性が高い証拠です。

ただし、カメラには設置位置、撮影角度、画質、時間帯などの限界があります。死角にいた人物や、画面外から短時間だけ現れた人物は記録されません。

桑原と聖奈しか映っていない映像は、その二人が現場にいた証拠にはなります。しかし、ほかの人物が絶対にいなかったという証明にするには、港全体のカメラ配置を確認する必要があります。

映像のない部分を桑原の供述だけで埋めることも、映っていないから存在しないと決めることも危険です。

大雨が物証を消した可能性

港では雨が降っており、地面に残った血や足跡が流れた可能性があります。桐谷が脚を撃たれていたなら、通常は逃走経路へ血痕が残るはずですが、悪天候が確認を難しくしました。

この事情は桑原の供述を裏づける証拠ではありません。痕跡が見つからない理由として考えられるだけです。

しかし、物証がないことを「物証を残す人物はいなかった」と同じ意味にすると、天候や現場環境を無視することになります。痕跡が失われた可能性と、最初から存在しなかった可能性の両方を残すべきです。

映像が作る分かりやすい物語

映像にいるのは桑原と聖奈だけで、聖奈は銃で死亡し、桑原は拳銃を発砲しています。この三点を並べると、桑原が聖奈を撃ったという物語は非常に分かりやすくなります。

警察組織にとっても、その説明で事件を整理できれば、逃走中の第三者を捜し続ける必要がなくなります。しかし、分かりやすい説明が正しい説明とは限りません。

第1話で佐々木が群衆事故の犯人にされかけたように、本作は繰り返し、複数の事実から誤った物語が作られる危険を描いてきました。桑原の事件でも、疑いを向けることと結論を急ぐことは分ける必要があります。

警察組織と現場刑事の緊張

県警は野毛山署を捜査から外し、五十嵐は桑原へ厳しい聴取を続けます。身内への配慮を排除するための対応ですが、仲間だから知っている情報まで切り捨てる危険もあります。

県警が桑原を特別扱いできない理由

桑原は現職の刑事です。警察官が発砲した事件を仲間同士で処理すれば、外部から隠蔽を疑われます。

そのため、監察部門が通常以上に厳しく供述を検証することは必要です。桑原が正義感の強い刑事だという評価も、捜査上の免罪符にはなりません。

県警が野毛山署を外すことにも、利害関係を切り離す意味があります。忍が実姉で、山倉や森本も長く一緒に働いてきた以上、完全な中立を求めるのは難しいでしょう。

五十嵐の追及は先入観なのか

五十嵐は桑原へ同じ質問を繰り返し、供述の矛盾を探します。その態度は、桑原を最初から犯人として扱っているように感じられます。

しかし、供述が客観証拠と食い違う以上、厳しく確認すること自体は監察官の役割です。桑原の説明を一度聞いて納得すれば、身内へ甘い捜査になってしまいます。

問題は、追及の厳しさではなく、別の可能性も同じ強さで調べているかどうかです。桑原を疑う証拠だけを集め、供述を裏づける可能性を最初から排除していれば、公平な捜査とは言えません。

山倉たちの捜査は身内びいきなのか

山倉たちは桑原の無実を信じ、桐谷を捜します。この行動は身内びいきにも見えますが、桑原の供述を検証するためには必要な捜査でもあります。

桐谷が実在し、脚を撃たれていたと分かれば、桑原の説明は裏づけられます。桐谷が見つからず、焼死体との関係も否定できなければ、山倉たちも桑原を守る根拠を失います。

仲間を信じることと、証拠を作ることは違います。山倉たちが桑原に都合のよい結論ではなく、桐谷の実在を確かめようとしている限り、その行動には捜査上の意味があります。

ドラマ『監察医 朝顔』第6話を見終わった後の感想&考察

第6話は、犯人を当てる面白さよりも、信頼している家族へ疑いが向いた時に、何を根拠として信じるのかを描いた回でした。証拠を無視して信じることは簡単ですが、それでは桑原の無実を社会的に証明できません。

朝顔が選ばなければならないのは、夫か法医学かではありません。夫を守るためにも、法医学者として事実を最後まで調べることが必要になっています。

家族が事件の当事者になった時も法医学者でいられるか

朝顔はこれまで、遺族へ厳しい事実を伝える立場でした。第6話では自分が当事者家族となり、結果を待つしかない遺族の苦しみを経験します。

これまでの朝顔なら事実を優先できた

朝顔は、死者の身体に残された事実を最優先してきました。遺族が望む結論と違っても、確認できないことを断定せず、分かったことだけを伝えています。

その姿勢によって、誤って犯人にされた人の名誉を回復し、生き残った家族の罪悪感を解いてきました。朝顔にとって法医学は、感情から距離を置くことで死者を守る仕事です。

しかし今回は、事実が夫を疑っています。桑原を守りたい感情がある以上、これまでと同じ距離で遺体を見ることはできません。

朝顔を解剖から外したことで、本作は「優秀な専門家なら家族の事件でも平常心を保てる」という非現実的な英雄像を避けました。

法医学者である前に妻であってよい

朝顔が動揺することは、専門家として弱いという意味ではありません。夫の安否も分からず、殺人の疑いまで向けられれば、妻として不安になるのは自然です。

専門家であることを理由に、家族への感情まで消す必要はありません。重要なのは、感情があることを認めたうえで、自分が公平に担当できない場面から距離を取ることです。

朝顔は桑原を心配しながらも、藤堂たちへ結果を変えるよう求めません。夫へ不利な所見を聞いても、法医学が間違っていると感情的に否定しませんでした。

朝顔の強さは何が起きても冷静でいることではなく、冷静でいられない自分を認めながら、事実を壊さないことにあります。

真実を調べることが夫を守る唯一の方法

朝顔が桑原を救うために解剖結果を曲げれば、一時的に疑いを弱められるかもしれません。しかし不自然な鑑定は必ず検証され、桑原だけでなく法医学教室全体の信用を失わせます。

桑原が無実なら、客観的な証拠を積み上げることでしか、その無実を社会へ示せません。妻の証言や同僚の信頼だけでは、疑いを完全に晴らせないからです。

その意味で、朝顔が法医学者であり続けることは、桑原を疑うことではなく、最終的に守るための道です。感情的には残酷でも、事実を追う以外に家族を救う方法はありません。

忍の無条件の信頼と朝顔の慎重さ

忍は弟を信じ、朝顔は事実を確かめようとします。二人の反応は異なりますが、どちらも桑原を大切に思っていることに変わりはありません。

忍の信頼が朝顔を支えた理由

忍は、弟が聖奈を殺すはずはないと疑いません。証拠を検討した結論ではなく、家族として桑原を知っているという確信です。

客観的には弱い根拠でも、朝顔にとって忍の言葉は大きな支えになります。周囲が桑原を疑う中、家の中にまで疑いを持ち込まずに済むからです。

また、忍が食事やつぐみの世話を支えることで、朝顔は桑原のことだけを考えて生活が崩れるのを防げました。信頼は言葉だけでなく、家族の日常を守る行動として示されています。

朝顔が同じように言い切れないのは愛情が弱いからではない

朝顔は、忍のように証拠を見ず無実を断言できません。法医学者として、どれほど親しい人物でも身体所見より優先しない姿勢を身につけているからです。

また、桑原が嘘をついているとは思わなくても、本人が見た状況を誤認している可能性はあります。極度の緊張、暗闇、大雨、発砲が重なる中では、記憶が実際の順序とずれる場合もあるでしょう。

朝顔は夫の人間性を信じながら、供述の正確さまで無条件には信じません。その区別ができることは、冷たさではなく専門家としての誠実さです。

二つの信じ方が家族を支える

忍の信頼は、朝顔とつぐみに安心できる場所を残します。朝顔の慎重さは、桑原の無実を事実によって証明する可能性を残します。

どちらか一方だけでは足りません。家族全員が疑えば桑原は孤立し、家族全員が証拠を無視すれば真相から遠ざかります。

無条件に帰る場所を守る忍と、厳しい事実にも向き合う朝顔がいることで、桑原は家族としても刑事としても守られる可能性があります。

信じるとは同じ言葉を繰り返すことではなく、相手が真実へ戻ってこられる場所と道筋の両方を残すことだと受け取れます。

県警の捜査は桑原へ厳しすぎるのか

五十嵐の事情聴取や野毛山署を排除する対応は、桑原を犯人と決めつけているように映ります。しかし、警察官が関係する事件だからこそ、厳しい検証が必要なのも事実です。

身内を疑う捜査の必要性

警察官が拳銃を発砲し、その現場で市民が死亡しました。桑原が善良な刑事だという理由だけで供述を信用すれば、警察組織への信頼は保てません。

監察部門には、現場の仲間意識から距離を置き、警察官の行動が適切だったかを検証する役割があります。五十嵐が厳しい質問を繰り返すこと自体は、組織として必要な過程です。

特に桑原は、聖奈と個人的に連絡を取り、応援を呼ばず一人で港へ向かっています。その判断に問題がなかったかも含め、発砲前の行動を調べる必要があります。

厳格さと結論ありきは違う

一方、供述と証拠が食い違うからといって、桑原の虚偽を最初から前提にするべきではありません。矛盾には、記憶違い、身元誤認、死亡推定時刻のずれなど、複数の原因があり得ます。

監察官が桑原を追及するのと同じ強さで、焼死体の身元や防犯カメラの死角も調べているかが重要です。桑原だけを疑えば、別の人物が作った偽装を見逃す可能性があります。

厳格な捜査は、最も疑わしい人物を早く処分することではありません。疑いにくい可能性まで検討し、誰が見ても納得できる証拠を残すことです。

警察組織の分断が真相を遠ざける危険

県警は事件の中立性を守るため野毛山署を外しました。しかし、野毛山署は桑原や聖奈の関係、桐谷をめぐる相談の経緯を比較的よく知っています。

情報を完全に遮断すれば、県警は重要な背景を知らずに物証だけを読み、野毛山署は物証を知らずに桑原の供述だけを信じることになります。双方が一部の情報しか持たない状態では、同じ事件から別々の物語を作ってしまいます。

組織の公平性を守りながら、必要な情報をどう共有するかが問われます。桑原の事件は、個人の疑いだけでなく、警察組織が身内の事件をどう調べるかという問題にも広がっていました。

第6話が作品全体に残した「信じる責任」

本作では、死者の身体に残る事実と、生きている人が作った物語のずれが繰り返し描かれています。第6話では、そのずれの中心に桑原と朝顔自身が置かれました。

桑原の人柄だけでは無実を証明できない

桑原は、聖奈を助けるために港へ向かったと考えられます。家族や同僚も、彼が故意に人を殺す人物ではないと知っています。

しかし、事件の外にいる人々は桑原の人柄を知りません。防犯映像、銃創、死亡推定時刻を見れば、桑原へ疑いを持つのは自然です。

家族がどれだけ信じても、証拠へ答えなければ社会的な疑いは晴れません。信じる責任とは、相手に不利な事実まで調べ、そのうえで真実へたどり着くことです。

朝顔は遺族と同じ立場へ移った

これまで朝顔は、解剖結果を遺族へ伝える側でした。遺族が真実を受け入れられなくても、確認された事実を変えることはできません。

第6話では朝顔自身が、受け入れたくない結果を聞く側へ回ります。桐谷の死亡推定時刻も、聖奈の銃創も、自分たち法医学者が積み上げた事実です。

遺族へ真実を伝える仕事の重さを、朝顔は自分の家族を通して経験します。事実を知ることが救いだけではなく、家族への疑いと恐怖を生む場合もあると改めて示されました。

次回に向けて必要なのは桑原を救う証拠ではない

朝顔や山倉たちが求めるべきなのは、桑原へ都合のよい証拠ではありません。港で本当に起きたことを説明できる証拠です。

その結果が桑原の無実を示すとは、第6話の段階では断定できません。けれども、矛盾した供述、映像にいない人物、事件前に死亡した焼死体という不自然さを放置したまま、桑原だけを犯人にすることもできません。

第6話は、愛する人を信じることを感情の問題で終わらせず、信じるからこそ不都合な事実まで調べる責任があると描いた回でした。

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