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ドラマ「リーガルハイ2」第7話のネタバレ&感想考察。パワハラ裁判の勝敗と穂積が訴えを取り下げた理由

『リーガルハイ』第2シリーズ第7話では、世界的なアニメ監督・宇都宮仁平のもとで心身を壊した元スタッフ・穂積孝によるパワハラ訴訟が描かれます。長時間労働、低賃金、人格を傷つける言葉が並ぶ一方、穂積は宇都宮を恐れながらも、その評価から完全には離れられません。

第6話で古美門法律事務所を解雇された黛は、羽生のNEXUSへ移り、古美門の外で初めて自分の弁護士像を試します。しかし争いを避けようとするNEXUSで働いたからこそ、黛は依頼人を守るには勝たなければならないという、古美門から受け継いだ部分に気づいていきます。

第7話は、他人が苦しみと判断する関係にも、本人だけが求める承認や夢があることを描く回です。ただし、穂積が再び宇都宮へ挑もうとする結末は、パワハラや過酷な労働環境が正しかったという意味ではありません。

この記事では、ドラマ『リーガルハイ』第2シリーズ第7話のあらすじ&ネタバレ、伏線、感想と考察について詳しく紹介します。

目次

ドラマ「リーガルハイ2」第7話のあらすじ&ネタバレ

リーガルハイ 第2シリーズ 7話 あらすじ画像

第6話で黛は、古美門から指示される前に養子縁組という逆転策へたどり着きました。その成長を知った古美門は、黛を見限ったのではなく、一人で戦える弁護士として外へ出すために解雇を告げます。

第7話では、NEXUSへ移った黛と古美門が、師弟ではなく敵側の弁護士として向き合います。中心となるのはアニメ制作会社におけるパワハラ訴訟ですが、二人の間には複数の小さな案件も持ち込まれ、古美門は執拗なまでに黛の反対側へ立ち続けます。

NEXUSへ移った黛と古美門の新しい距離

古美門法律事務所を追い出された黛は、羽生、本田ジェーン、磯貝が待つNEXUSへ初出勤します。新しい職場には解放感がありますが、古美門に本当に必要とされなくなったのではないかという寂しさも消えていません。

羽生たちに温かく迎えられる黛

NEXUSへ出勤した黛を、羽生たちは新しい仲間として歓迎します。古美門法律事務所では失敗を責められ、成果を上げても素直に評価されなかった黛ですが、NEXUSでは仕事の速さや判断力を認められ、困った時には仲間がすぐ助ける環境が整っていました。

羽生が重視するのは、弁護士同士が競争することではなく、それぞれの長所を組み合わせて依頼人を救うことです。黛も当初は、古美門に振り回されない穏やかな職場を新鮮に感じますが、仕事の成果を仲間全員のものとして扱う空気には、どこか物足りなさも覚えているように見えます。

古美門のもとでは、自分の判断が正しいかどうかを常に試されました。一方のNEXUSでは、仲間が肯定し、争いそのものを避けようとします。

黛にとって楽に働ける場所と、弁護士として鍛えられる場所が同じではないことが、初日から浮かび上がりました。

古美門が困っていると思い事務所へ戻る黛

黛は、古美門が新しい助手を探していると聞き、古美門法律事務所の様子を見に行きます。表向きは忘れ物や近況確認を理由にしていますが、古美門が自分を解雇したことを後悔し、仕事に困っている姿を期待していたのでしょう。

ところが事務所で行われていたのは、弁護士としての能力を見る面接ではなく、派手な助手選びでした。古美門は女性候補たちを前に浮かれ、黛がいなくなって困っている様子を一切見せません。

黛は、自分がいなければ古美門は何もできないと思いたかったのに、すぐ代わりを探している光景を見せられます。解雇は卒業だったと理解しようとしても、古美門のそばに自分だけの役割が残っていてほしいという気持ちは消えていませんでした。

黛が古美門事務所を訪れたのは、戻りたいからだけではなく、自分が古美門にとって必要な存在だったと確かめたかったからです。

黛の新案件を知った古美門が敵側へ回る

黛が事務所を去った後、蘭丸は黛がNEXUSで新しい案件を担当していることを古美門へ伝えます。古美門は興味がないように振る舞いながら、その案件の相手側へ回り、黛と羽生をまとめて打ち負かすと決めました。

古美門が黛を独立させたのなら、黛の仕事を遠くから見守るだけでもよいはずです。それでも自ら反対側の代理人となるのは、黛が古美門から学んだ力を本当に使えるのか、敵として試したいからだと考えられます。

同時に、NEXUSで羽生の影響を受ける黛を放置できない執着も見えます。古美門は黛を手放しながら、誰よりも黛の案件を追い、最も厳しい相手として立ちはだかることで関係を続けようとしていました。

アニメ制作会社を逃げた穂積孝の訴え

NEXUSへ持ち込まれたのは、世界的な成功を収めたアニメ制作会社の元社員・穂積孝による相談です。穂積は夢だった仕事へ就きながら、監督・宇都宮仁平のもとで心身を壊し、現在も絵を描けない状態に苦しんでいました。

大ヒット作品を支えたスタジオ小春日和

宇都宮が率いるスタジオ小春日和は、長編アニメ映画『コンビニ帰りの花ちゃん』を大ヒットさせた制作会社です。作品は記録的な観客動員を達成し、宇都宮は日本を代表する天才アニメ監督として称賛されていました。

しかし華やかな成功の裏では、スタッフが睡眠時間を削り、長時間働き続けています。納期へ間に合わせるため泊まり込みが続き、倒れる者や精神的に追い詰められる者もいました。

低い賃金と不安定な立場で働くスタッフに対し、宇都宮は完成度を理由に何度も描き直しを命じます。世界的な作品を作る現場という誇りはあるものの、その誇りによって過酷な労働を我慢させる構造も存在していました。

描き直しと暴言で追い詰められた穂積

穂積も、宇都宮から何度も絵を描き直すよう命じられていました。努力して提出しても厳しい言葉で否定され、どこを直せば認められるのか分からないまま作業を繰り返します。

穂積は宇都宮から自分だけを狙われ、制作現場の見せしめにされていると感じていました。ほかのスタッフを緊張させるため、一人を徹底的に責める対象へ選び、その役割を自分が背負わされたというのです。

追い詰められた穂積は、ついに宇都宮へつかみかかり、そのまま姿を消します。約2か月後、青函トンネルを歩いているところを発見されましたが、精神状態は不安定で、現在も自宅で療養を続けていました。

鉛筆を握ると手が震える穂積の現在

穂積はアニメーターを目指して長年努力してきましたが、宇都宮のもとを離れた後も絵を描けません。鉛筆を握ろうとすると手が震え、めまいや強い苦痛に襲われる状態が続いていました。

そこで穂積は、治療に必要な費用、精神的損害への賠償、そして宇都宮本人からの謝罪を求めます。単に金銭を得たいのではなく、自分が受けた扱いは指導ではなく加害だったと認めさせたいという訴えでした。

黛は、過酷な労働環境と宇都宮の言動が穂積を壊したとして、NEXUSの仲間と訴訟準備を始めます。ところが宇都宮側の代理人として現れたのは、古美門でした。

古美門は宇都宮側の要求を全面的に拒否する

古美門は、穂積が求める治療費、賠償、謝罪のすべてを拒否します。宇都宮の言葉が厳しかったとしても、一流の作品を作る現場では高い要求が必要であり、それを直ちに違法なパワハラとは呼べないという立場です。

さらに古美門は、穂積が自分からアニメ制作会社へ入り、宇都宮の作品に参加したことを重視します。厳しい監督だと知りながら、その環境で働く道を選んだ以上、期待した評価を得られなかった責任まで宇都宮へ押しつけるべきではないと反論しました。

この主張は穂積の苦痛を切り捨てるように響きます。しかし古美門が狙っているのは、宇都宮の人格を善良に見せることではなく、厳しい指導と法的責任の境界を曖昧にし、穂積側へ立証を求めることでした。

黛の担当事件すべてに現れる古美門

古美門は宇都宮事件だけでなく、黛がNEXUSで担当する小さな案件にも次々と相手側代理人として現れます。黛は平和的な解決を掲げるNEXUSにいながら、依頼人を守るには古美門へ勝つしかないと考え始めました。

インコと近隣トラブルでも古美門に敗れる黛

黛が担当した案件には、飼育されているインコの返還をめぐる争いがありました。かつて自分が飼っていた鳥だと主張する人物と、現在その鳥を世話している側のどちらに権利があるかが争われます。

別の案件では、隣家にいた裸の男性を目にした女性が精神的苦痛を訴えました。黛側は被害を主張しますが、古美門は当事者の行動や証言を細かく崩し、被害者と加害者という単純な構図を反転させます。

いずれの案件でも、古美門は黛の正義感が作る前提を突き、法的に勝てる争点へ組み替えました。NEXUSは当事者同士の気持ちを整えようとしますが、古美門は相手が歩み寄る前に、黛側の立証そのものを壊してしまいます。

「愛と平和」では依頼人を守れないと苛立つ黛

敗北が続いても、羽生たちは黛を責めません。勝ち負けにこだわらず、争いを終わらせ、依頼人が前へ進めればよいと励まします。

しかし黛は、その言葉へ次第に苛立ちを覚えます。依頼人は現実に権利や賠償を求めており、相手側には古美門が立っています。

負けた後に「全員が納得できればよい」と言っても、依頼人が望んだ結果を失った事実は消えません。

古美門のもとにいた頃、黛は勝利だけを求める姿勢を批判していました。ところがNEXUSへ移ったことで、勝つことを放棄した正義も依頼人を救えないと実感します。

黛は古美門から離れて初めて、自分の中にも「依頼人のために勝たなければならない」という古美門的な執着があることに気づきました。

貴和が黛へ古美門を倒すよう迫る

敗北した黛が安藤貴和と接見すると、貴和は古美門に勝てない黛を厳しく評価します。古美門のもとを離れただけで独立したつもりになっても、実際に敵として勝てなければ、古美門の付属物から抜け出したことにはならないと見ているのです。

黛は、古美門との才能差を痛感し、自分では勝てないかもしれないと弱音を吐きます。しかし貴和は、古美門を倒すことを古美門自身も望んでおり、黛も本当は勝ちたいのだと指摘しました。

貴和の言葉によって、黛はNEXUSの理念へ逃げ込むのをやめます。宇都宮事件で古美門へ正面から勝ち、穂積の訴えを法的に認めさせると決意しました。

羽生も勝利が必要だと認め蘭丸へ接触する

黛の決意を知った羽生も、理想を実現するためには時に勝利が必要だと考え直します。古美門へ正面から勝つことで、NEXUSの方法でも依頼人を守れると証明しようとしました。

羽生は、古美門の調査と工作を担う蘭丸へ接触します。少なくとも宇都宮事件では古美門へ協力しないよう働きかけ、古美門の法廷外の手を封じようとしました。

争いを避けてきた羽生が、勝つために相手側の調査役へ介入したことは大きな変化です。黛の闘争心に引っ張られる形で、羽生自身も古美門との競争へ深く入り始めました。

NEXUSは古美門と違う世界を作るため、古美門に勝つという古美門と同じ競争原理へ近づいていきます。

宇都宮仁平は天才監督かパワハラ上司か

宇都宮事件の審理では、制作スタッフが劣悪な労働環境と暴言を証言します。ところが古美門は、宇都宮への恐怖だけでなく、その作品によってスタッフの雇用や仕事が支えられてきた側面を示し、一方向の搾取という構図を崩していきます。

スタッフが明かす宇都宮の暴言と見せしめ

制作会社のスタッフは、宇都宮が気に入らない絵を何度も描き直させ、能力を否定する言葉を浴びせていたと証言します。宇都宮の機嫌や判断一つで作業が振り出しへ戻り、現場全体が常に緊張していました。

さらに宇都宮は、一人のスタッフを徹底的に責め、ほかの社員へ恐怖を与える傾向があったと語られます。穂積は今回その標的にされ、以前にも同じように追い詰められた人物がいたというのです。

黛は、厳しい指導という言葉では説明できない人格攻撃と精神的圧力があったと主張します。仕事の質を上げるためであっても、人間としての尊厳を壊す方法まで許されるわけではありません。

古美門が証人の実力と立場を容赦なく崩す

古美門は、宇都宮を批判したスタッフの絵を法廷で取り上げ、その技術や完成度へ疑問を向けます。宇都宮の言葉が不快だったことと、修正を求める業務上の理由がなかったことは別だと切り分けました。

さらに証人が会社へ入るまでの経緯や人間関係にも触れ、実力だけで現在の立場を得たのかを問い直します。宇都宮への批判が、純粋な被害の告発だけでなく、自分を評価しなかった監督への不満を含む可能性を示したのです。

古美門の反対尋問は証人へ別の傷を与えるほど苛烈でした。それでも、宇都宮が厳しい言葉を使ったという事実だけでは、個々の指示すべてが不必要な嫌がらせだったとは証明できないという法的な弱点を突いています。

宇都宮の作品が会社と雇用を支えていた現実

古美門はスタジオ小春日和の経営資料を示し、会社の収益が宇都宮作品へ大きく依存していることを明らかにします。ヒット作がなければ制作会社の経営は立ち行かず、多くのスタッフが仕事を失う可能性がありました。

宇都宮は監督として大きな権力を持っていますが、作品が失敗した時に最も重い責任を負う立場でもあります。スタッフの生活を守りながら、作品の質と納期を維持するため、妥協できないという説明です。

ただし、会社を支えている功績があるからといって、長時間労働や暴言が自動的に許されるわけではありません。古美門が示したのは宇都宮が善良な上司だという証明ではなく、現場が宇都宮一人の才能と責任へ依存することで、加害的な指導を止めにくくなっていた構造でした。

スタッフも宇都宮のもとで作ることを望んでいた

宇都宮を恐れるスタッフたちにも、彼の作品へ関わりたいという思いがあります。世界中の観客へ届く作品を作れること、自分の絵が宇都宮の演出によって完成へ近づくことは、ほかの現場では得にくい経験でした。

そのため、会社を辞めれば苦痛から逃れられると分かっていても、簡単には離れられません。宇都宮のもとで評価されれば、自分も一流の創作者になれるという期待が、過酷な環境へスタッフをつなぎ止めています。

穂積も同じです。宇都宮を恐れ、謝罪を求めながら、その心の奥では宇都宮から才能を認められることを諦め切れていませんでした。

スタジオ小春日和の問題は、暴君に無力な社員が支配されているだけでなく、創作者たちの夢と承認欲求が過酷な環境を支えていたことです。

宇都宮が語った才能と努力の残酷な論理

穂積は法廷で自分の症状と苦しみを明かし、黛は宇都宮が期待していたからこそ穂積へ厳しくしたという筋道を作ります。ところが宇都宮本人は、黛が用意した救いの言葉を拒み、さらに残酷な才能論を突きつけました。

穂積が法廷で見せた鉛筆を握れない苦しみ

穂積は、宇都宮のもとを離れた後も続く症状を法廷で説明します。絵を描こうとすると手が震え、鉛筆を持つことさえできないため、アニメーターとしての人生を失ったと訴えました。

穂積が求める謝罪には、宇都宮を社会的に罰したいという思いだけでなく、自分が受けた苦しみを本人に認めてもらいたい願いがあります。宇都宮から一度でも、やりすぎた、傷つけたと認めてもらえれば、自分の挫折が能力不足だけではなかったと確認できるからです。

黛は、若い創作者を同じ目に遭わせないためにも、宇都宮の責任を明らかにする必要があると訴えます。穂積の個人的な賠償だけでなく、制作現場全体を変える裁判として位置づけました。

古美門が持ち出した王とピラミッドの論理

古美門は、宇都宮を頂点に置く制作現場を、巨大な建造物を作る王と労働者の関係になぞらえます。歴史に残るものを作るには、強烈な指導者と、それに従って働く大勢の人間が必要だという極端な論理です。

この主張は、宇都宮の作品を文化的成果として高く評価し、その制作へ参加したスタッフも歴史的な仕事の一部になったと見せます。古美門はスタッフを対等な創作者としてではなく、宇都宮の構想を現実にする役割として位置づけました。

もちろん、作品が優れていることは労働者の権利を奪う理由にはなりません。古美門の弁論は倫理的な正当化ではなく、穂積自身が宇都宮の作品へ参加する価値を認めていた点を利用し、被害だけで関係を説明できないと示す法廷戦術でした。

黛が過去の標的から宇都宮の後継者育成を推理する

黛は、宇都宮が過去に厳しく当たったスタッフについて調べます。その中にはスタジオを離れた後、自ら監督や中心的な制作者として成功した人物がいました。

そこで黛は、宇都宮が無差別に弱い社員を攻撃していたのではなく、将来性を感じた人物へあえて厳しく接し、自分を超える創作者へ育てようとしていたのではないかと考えます。穂積も見込みがあったからこそ、集中的に描き直しを命じられたという推理です。

この説明が成立すれば、宇都宮の方法に問題はあっても、穂積を見下して壊そうとしたわけではないことになります。黛は宇都宮へ、穂積に期待していたと認め、伝え方を誤ったことだけでも謝るよう求めました。

宇都宮は穂積に才能を感じていなかったと否定する

ところが宇都宮は、穂積を特別な天才だと思ったことはないと否定します。過去に厳しくしたスタッフについても、最初から才能を見抜いていたわけではなく、努力を重ねた結果として力を身につけただけだと語りました。

宇都宮自身も、自分を生まれつきの天才だとは考えていません。作品を作るたびに体を削り、描き続け、考え続けることで能力を作ってきたため、努力せずに才能の有無を語る人間へ強い怒りを抱いています。

この言葉には、才能を持たないと決めつけられた人間を鼓舞する力があります。一方で、努力すればできるという信念によって、心身の限界や労働環境の問題まで本人の努力不足へ変えてしまう危険もあります。

宇都宮の才能論は穂積へ再び立ち上がる理由を与えましたが、壊れるまで働かせた責任への謝罪にはなっていません。

訴えを取り下げた穂積が取り戻したもの

宇都宮から謝罪も才能への評価も得られなかった穂積は、当初の請求を続ける意味を失います。しかし絶望してすべてを諦めるのではなく、被害者として宇都宮に認められる道から、創作者として宇都宮を超える道へ向きを変えました。

謝罪や賠償ではなく宇都宮を超える道を選ぶ

宇都宮の言葉を聞いた穂積は、自分には才能があると認めさせるため、法廷で謝罪を引き出すことをやめます。宇都宮が評価しないなら、自分の作品によってその判断を間違いだったと証明すると決めました。

穂積は宇都宮へ、将来その座を奪い、宇都宮以上の作品を作るという意思をぶつけます。宇都宮も優しい励ましを返すのではなく、言葉だけでは何も証明できないという態度を崩しません。

二人の関係は、傷つけた上司と謝罪を求める被害者から、互いの作品で優劣を決めようとする創作者同士へ変わります。穂積が宇都宮の支配から完全に自由になったとはいえませんが、少なくとも謝罪を待つだけの状態から、自分で次の目標を選びました。

再び絵を描くことはパワハラを許した意味ではない

穂積は再び鉛筆を握り、宇都宮を超えるために絵を描こうとします。ただし症状が完全に消えたわけでも、過酷な労働環境が正しかったと納得したわけでもありません。

宇都宮の言葉を受けて創作意欲を取り戻したことと、宇都宮による暴言や長時間労働の責任は別問題です。穂積が師へ挑む道を選んだからといって、同じ環境をほかのスタッフにも受け入れさせてよいことにはなりません。

また、穂積がスタジオ小春日和へ正式に復職したとは断定できません。明確に描かれたのは、穂積がもう一度絵を描き、宇都宮を超える創作者になるという目標を取り戻したことまでです。

穂積が取り戻したのは安全な職場でも宇都宮の謝罪でもなく、自分が何のために絵を描くのかを自分で決める力でした。

穂積の訴え取り下げで古美門側が勝利する

穂積は最終的に、宇都宮への訴えを取り下げます。そのため賠償や謝罪を命じる判決は出ず、法廷上の結果は宇都宮と古美門側の勝利となりました。

重要なのは、裁判所が宇都宮の言動を適法と認定し、パワハラが存在しなかったと判断したわけではないことです。穂積本人が請求を続けないと決めたため、責任の有無が判決によって確定する前に訴訟が終わりました。

古美門は、二つの小案件に続いて宇都宮事件でも勝ったとして、黛たちに対する3連勝を誇ります。一方の黛は、裁判には負けたものの、穂積が再び絵へ向き合えたことを単純な失敗とは感じていません。

第7話では、法的な勝者は古美門側でしたが、穂積が人生を取り戻したことを黛側の敗北だけで片づけることもできません。

羽生と黛が判決なら勝てたと考える

NEXUSへ戻った黛は、事務所の方針を無視して古美門との勝負へこだわり、結果的に訴訟を取り下げられたことを仲間へ謝ります。ところが羽生は黛を責めず、今回の行動を支持したのは自分たちだと受け止めました。

羽生と黛は、もし穂積が訴えを続け、裁判所の判断まで進んでいれば、自分たちが勝っていた可能性もあると考えます。労働環境と精神的損害を示す材料はあり、古美門も完全に安全な立場ではなかったからです。

ただし、依頼人が請求をやめた以上、弁護士が勝つためだけに訴訟を続けることはできません。黛は依頼人の選択を受け入れながら、古美門に法廷で勝てなかった悔しさも抱え続けます。

安藤貴和が古美門ではなく黛を選ぶ

宇都宮事件後、黛は安藤貴和と接見します。古美門の事務所を離れ、法廷でも敗北した黛に対し、貴和は見限るのではなく、引き続き自分の弁護を担当するよう求めました。

接見に来なかった古美門を貴和が見抜く

黛が一人で接見へ来ると、貴和は古美門が姿を見せない理由を尋ねます。黛は宇都宮事件で古美門に負けたことを報告し、自分には古美門を超えられないかもしれないと落ち込んでいました。

貴和は、古美門が来ないのは黛に勝ったことを誇るためではなく、どこか後ろめたさや照れがあるからではないかと見ます。古美門は黛を外へ出し、その直後から黛の案件をすべて追いかけ、徹底的に打ち負かしました。

それは黛を潰すためだけの行動ではなく、自分のもとを離れた弟子がどこまで立ち上がれるかを見る試験だった可能性があります。古美門自身も、黛を敵として扱うことに慣れていないのでしょう。

貴和が黛へ弁護の継続を求める

黛は宇都宮事件で法的な勝利を得られませんでした。それでも貴和は、黛に引き続き自分の弁護人を務めるよう求めます。

貴和が評価したのは、黛が古美門に勝ったかどうかだけではありません。依頼人の言葉を額面どおりに受け取らず、その奥にある本人の望みを考え、失敗しても向き合い続ける姿勢を見ていたと考えられます。

第1話以来、黛は貴和が犯行を認めた理由を疑い、本人が拒絶しても見捨てませんでした。古美門の補助としてではなく、一人の弁護士として貴和へ接し続けたことが、ここで信頼へ変わります。

貴和が黛へ弁護を求めたことは、黛が古美門の付属物ではなく、依頼人から直接選ばれる弁護士になった証明です。

NEXUSへいても古美門の視線から離れられない黛

NEXUSは、方針と違う戦い方をした黛を追い出しません。羽生は理想の世界を一緒に作ろうと改めて語り、黛を重要な仲間として受け入れます。

それでも黛は、古美門の癖や法廷での反応について話し続けています。NEXUSの一員になっても、弁護士としての判断基準には古美門が深く残っており、古美門に勝つことが自分の成長を測る尺度になっていました。

一方の古美門は、派手な選考を行ったにもかかわらず、結局新しい助手を決めません。服部は、黛を敵側へ送り込むことでさらに成長させようとしているのではないかと古美門へ問いかけますが、古美門は本心を明かさず強がります。

古美門と黛は別の事務所へ所属しても、互いを最も強く意識する関係を続けています。第7話のラストは、黛がNEXUSで自分の道を試しながら、安藤貴和事件では古美門と切り離せない立場へ戻っていく不安を残しました。

ドラマ「リーガルハイ2」第7話の伏線

リーガルハイ 第2シリーズ 7話 伏線画像

第7話では穂積の訴訟が取り下げられ、単発案件には決着がつきます。しかし古美門と黛の師弟関係、羽生の変化、穂積と宇都宮の執着、貴和が黛を選んだ理由には、今後へつながる重要な動きが残されました。

古美門が黛の担当事件を追い続けた理由

古美門は黛を一人で戦わせるために解雇したはずですが、黛の担当案件をすぐ把握し、すべての反対側へ回ります。黛を手放した行動と、黛から離れられない行動が同時に描かれています。

黛を潰すより成長を試しているように見える古美門

古美門は小さな案件でも手加減せず、黛の主張にある甘さを徹底的に崩します。黛がNEXUSで穏やかな解決だけを学び、自分から受け継いだ勝つ力を失わないか確認しているようにも見えました。

黛が本当に独立するには、古美門の指示がなくても依頼人を守り、古美門本人へ勝たなければなりません。その意味で古美門は、黛にとって最も厳しい卒業試験を自ら用意しています。

ただし、教育だけであれば一つの事件で十分です。複数の案件へ次々と現れた行動には、羽生のもとへ移った黛を取り戻したい気持ちや、自分以外の弁護士像へ染まることへの嫉妬も含まれていると考えられます。

新しい助手を決めなかった古美門の本音

古美門は派手な選考を行い、黛の代わりはいくらでもいるように振る舞いました。しかし最終的には、どの候補者も正式な助手として選びません。

黛は容姿や従順さで選ばれた助手ではなく、古美門の手法へ反発し、暴走を止め、時には同じ答えへ先回りできる存在です。表面的な条件を満たす候補者がいても、その役割までは代われませんでした。

服部が黛を敵陣へ送り込んだ意図を問うと、古美門は吸収される程度なら価値がなかったという態度を取ります。裏返せば、黛なら羽生にのみ込まれず、自分の答えを持って戻ってくると期待しているように見えます。

NEXUSの平和主義に生じた変化

NEXUSは勝敗を作らない法律事務所として始まりました。しかし古美門に連敗した黛の苛立ちをきっかけに、羽生も理想を実現するには勝つ必要があると考え始めます。

「勝たなくてもよい」という言葉への黛の違和感

羽生たちは、依頼人同士が争わずに済むなら、法廷上の勝敗は重要ではないと考えています。しかし黛は、相手が権利を譲らず、依頼人が具体的な救済を求めている時まで、勝利を避けてよいのか疑問を持ちました。

穂積が求めていたのは、曖昧な関係修復ではなく、治療費、賠償、謝罪です。それを実現するには宇都宮側の責任を認めさせなければならず、双方が笑顔になるだけでは足りません。

黛の苛立ちは、古美門の勝利至上主義へ戻ったのではなく、依頼人のために戦うことまで放棄する平和主義への疑問です。

蘭丸へ接触した羽生が競争へ踏み込む

羽生は黛の決意を支持し、宇都宮事件で古美門へ勝とうとします。そのために古美門の調査役である蘭丸へ働きかけ、古美門側の手を一つ封じました。

この行動は、証拠の偽造や悪意ある妨害とは異なります。それでも、争いを超越しようとしていた羽生が、相手の戦力を減らして勝負を有利にしようとした点は重要です。

古美門を否定しようとするほど、羽生は古美門との勝敗に執着していきます。理想の証明が目的でも、勝つために人の配置や行動を変え始めれば、善意による介入はさらに強くなる可能性があります。

穂積が宇都宮の評価から離れられないこと

穂積は宇都宮を訴え、謝罪を求めながら、最後には宇都宮を超えることを人生の目標にします。恐怖から逃れるはずの裁判が、再び宇都宮を中心とした人生へ戻る結末になりました。

謝罪を求めた奥にあった承認への執着

穂積は、宇都宮に傷つけられた事実を認めさせようとしました。しかし宇都宮から期待していたと言われれば、それだけで苦しみの意味が変わる可能性もありました。

黛が「見込みがあったから厳しくした」という筋道を作った時、穂積が強く反応したのは、宇都宮の評価をまだ求めていたからだと考えられます。自分は才能がないから捨てられたのではなく、後継者として鍛えられたと思いたかったのでしょう。

宇都宮はその救いさえ与えませんでした。それでも穂積は宇都宮を忘れるのではなく、作品で評価を覆す道を選びます。

師への依存を競争心へ変えただけで、完全に解放されたとは言い切れません。

法廷上の敗北と本人の再起が逆方向へ進む

穂積は訴えを取り下げたため、法的には賠償も謝罪も得られません。パワハラ被害の救済という目的だけを見れば、黛側は結果を残せなかったことになります。

一方、穂積は描けない状態から、もう一度絵で宇都宮へ挑もうとします。法律上の権利を得られなかったことと、人生の目標を取り戻したことが逆方向へ進みました。

この構図は第2シリーズ全体の「勝利と幸福の不一致」へつながります。弁護士が法廷で勝たせることと、依頼人が自分の人生を選び直せることは、必ずしも同じではありません。

安藤貴和が黛個人を弁護人として選んだ意味

第1話から貴和事件を担当してきた黛ですが、これまでは古美門の補助という立場でした。第7話では、古美門事務所を離れた黛に対し、貴和が弁護の継続を直接求めます。

貴和は勝率ではなく黛の向き合い方を見ている

貴和が勝率だけを重視するなら、宇都宮事件で敗れた黛を選ぶ理由はありません。無敗記録を持ち、貴和事件の黒星を消そうとしている古美門の方が、法廷技術でははるかに頼りになります。

それでも貴和は黛を残します。黛が貴和の挑発や嘘に振り回されながらも、本人が語らない事情まで考え、死刑を受け入れる言葉をそのまま本心と決めなかったからでしょう。

古美門が依頼人の法的利益を守る弁護士なら、黛は依頼人自身がまだ言葉にできない望みを見つけようとする弁護士です。貴和はその違いを評価し始めています。

古美門と離れた黛が貴和事件へ戻る不安

黛はNEXUSの所属となり、羽生の理念を試す立場にいます。一方で、貴和事件は古美門にとって初黒星を取り戻す最大の案件であり、黛だけで切り離して進められるとは考えにくいものがあります。

貴和が黛へ弁護を求めたことで、古美門、黛、羽生の関係は単発訴訟だけでなく、死刑判決を受けた貴和の上告へ直接つながり始めます。

第7話のラストは、黛の独立を証明すると同時に、その独立が古美門との最も大きな対決へ向かう可能性を残しました。

ドラマ「リーガルハイ2」第7話を見終わった後の感想&考察

リーガルハイ 第2シリーズ 7話 感想・考察画像

第7話はパワハラ裁判を扱いながら、厳しい指導を美談として正当化するだけの物語にはなっていません。穂積が宇都宮を超えようと決めても、長時間労働や暴言によって心身を壊した事実は残ります。

同時に、外部から見れば逃げるべき関係でも、穂積本人は宇都宮の評価と作品へ自分の夢を重ねていました。弁護士がその執着を切り離すことと、本人が自分で関係を選び直すことの違いが描かれています。

穂積の選択はパワハラの肯定ではない

穂積は賠償や謝罪を求める訴えを取り下げ、宇都宮を超えるため再び絵へ向かいます。しかし、この選択を「厳しい指導のおかげで成長できた」と単純に美談へ変えるべきではありません。

穂積が描き始めても受けた被害は消えない

穂積は宇都宮の言葉に追い詰められ、行方不明となり、発見後も鉛筆を持てない状態へ陥りました。本人が後から創作意欲を取り戻しても、その過程で受けた精神的、身体的な損害までなかったことにはなりません。

宇都宮の才能論が穂積を奮い立たせたことは事実ですが、同じ言葉が別の人間には再起不能の傷を与える可能性があります。結果的に一人が立ち上がったからといって、指導方法全体が正しかったと評価することはできません。

さらに穂積は、宇都宮から謝罪を得られないまま訴えをやめています。心から許したのではなく、法廷で相手へ認めさせるより、自分の作品で見返す方を選んだのです。

穂積の再起は宇都宮の正しさを証明したのではなく、宇都宮に壊されたまま終わらないと穂積自身が決めた結果です。

師を超えたい思いと労働環境改善は両立する

穂積が宇都宮のもとで作品を作りたい、あるいは宇都宮を超えたいと思うことと、制作現場の労働条件を改善すべきだと訴えることは矛盾しません。尊敬する相手から学びたいからこそ、人格を壊されず働ける環境が必要です。

宇都宮の高い要求が作品を生んだとしても、長時間労働や低賃金を当然とする理由にはなりません。監督の才能に会社全体が依存すると、異議を唱えた人物が作品へ情熱のない人間として排除されやすくなります。

第7話では穂積個人の訴えが取り下げられたため、制作現場の構造は解決していません。穂積が再び絵を描けたことだけで、残されたスタッフも救われたと考えるのは早いでしょう。

宇都宮の才能論が魅力的で残酷だった理由

宇都宮は、才能を生まれつき与えられたものとは考えず、努力によって自分で作るものだと語ります。この考え方は可能性を広げる一方、努力できない状態まで本人の責任へ変える危険を持っています。

天才でなくても努力で届くという希望

才能は最初からある者だけのものだと考えれば、評価されない穂積には諦める以外の道がありません。宇都宮の言葉は、現在の実力だけで将来を決めず、努力を続ければ自分で力を作れるという希望を与えます。

宇都宮自身も、特別な才能へ甘えたのではなく、体を削りながら作品を作り続けてきました。その覚悟があるからこそ、まだ限界まで努力していないと見える若者へ厳しくなります。

穂積は「才能がなかった」と認める代わりに、「これから宇都宮を超える力を作る」と考えられるようになりました。被害者という位置から創作者へ戻るきっかけとして、宇都宮の言葉が働いたのは確かです。

努力不足という言葉が搾取を隠す危険

一方、努力によって才能を作れるとする考えは、成果が出ない理由をすべて本人へ戻します。長時間働いて心身を壊しても、それを限界ではなく根性不足と見なせば、組織は環境を変えずに済みます。

宇都宮は自分も体を削っているため、他人にも同じ犠牲を求めます。しかし指導者が自発的に選んだ生き方と、低い立場のスタッフへ事実上強制される働き方は同じではありません。

宇都宮の才能論は夢を諦めさせない言葉であると同時に、夢を持つ人間ならどこまでも耐えるべきだとする搾取の論理にもなります。

第7話が宇都宮を完全な悪人にも理想の師にも決めなかったからこそ、創作現場における情熱と労働の境界が重く残りました。

NEXUSへ移った黛が自分の中の古美門に気づく

黛は古美門の勝利至上主義を批判し、羽生のNEXUSへ移りました。ところが古美門と敵として向き合ったことで、勝つことを最も求めていたのが自分自身だったと気づきます。

優しい職場で感じた物足りなさの正体

NEXUSでは失敗しても責められず、仲間が黛を励まします。本来なら理想的な職場ですが、黛は連敗しても勝敗を気にしない態度へ納得できません。

それは古美門に洗脳されたからではなく、依頼人が失う権利や利益を現実に見てきたからです。法廷では、正しい気持ちを持っているだけでは相手の請求を退けられず、負ければ依頼人へ具体的な不利益が残ります。

古美門は勝利を自分の存在価値にしていますが、黛は依頼人を守る手段として勝利を必要とします。似ているようで、勝たなければならない理由には違いがあります。

NEXUSへの移籍は黛を古美門から遠ざけるのではなく、古美門から何を学び、何を受け継がないかを自分で選ばせる時間になりました。

古美門の追跡は執着であり卒業試験でもある

古美門が黛の案件すべてへ現れる行動は、かなり大人げなく見えます。羽生のもとへ行った黛を打ち負かし、自分の方が優れていると証明したい嫉妬もあるでしょう。

しかし古美門は、黛が一度負けた程度で戻ってくることを望んでいません。複数の敗北を経験しても立ち上がり、自分なりの勝ち筋を探せるかを確かめています。

宇都宮が穂積へ厳しくした理由と重ねると、古美門も弟子を外へ出し、敵として鍛えているように見えます。ただし、それが黛のためだからといって、古美門の嫌がらせや感情的な執着まで美化するべきではありません。

古美門と宇都宮は、相手を強くするという名目で傷つける師です。黛と穂積がその関係を受け入れるか、別の形へ変えるかは、師ではなく本人が決めなければなりません。

羽生も古美門との勝負に支配され始めている

羽生は争いのない世界を目指していましたが、第7話では古美門に勝つことを明確に意識します。理想を実現するための勝利であっても、古美門を基準に行動するほど、自分の理念が変質する可能性があります。

黛を尊重する羽生の誠実さ

羽生は、黛がNEXUSの方針から外れて古美門との勝負へ進んでも、一方的に止めません。穂積が訴えを取り下げようとした時も、すぐ結論を押しつけるのではなく、宇都宮の話を聞いてから本人に決めさせようとします。

第6話までの羽生は、本人にとって何が幸福かを先回りして決める場面が目立ちました。第7話では、少なくとも最終的な判断を穂積へ返そうとする誠実さが見えます。

NEXUSへ戻った黛も責めず、失敗を組織全体の責任として受け止めました。古美門にはない羽生の強さは、負けた人間を切り捨てず、もう一度挑戦できる場所を残すことです。

古美門を否定するため古美門へ近づく矛盾

一方、羽生は古美門へ勝つために蘭丸へ接触し、古美門側の手を減らします。平和的解決を掲げながら、相手の戦力へ介入し、自分たちの勝率を高めようとしました。

黛が勝利を求めるのは依頼人の権利を守るためですが、羽生には古美門より自分の理念が優れていると証明したい対抗心もあります。全員の幸福という目的に、古美門へ勝ちたい個人的な欲望が混ざり始めました。

羽生は古美門と違う弁護士になろうとするほど、古美門を倒すことへ自分の価値を預け始めています。

冬海となつが互いとの比較から離れられなかったように、古美門と羽生も相手を否定しながら、相手との勝敗によって自分の正しさを確認する関係へ近づいているように見えます。

貴和が黛を選んだことが独立の証明になる

第7話の最後に黛が得た最も大きなものは、古美門への勝利ではありません。死刑判決を受けた貴和から、自分の人生を預ける弁護士として選ばれたことです。

勝てなかった黛を貴和が見捨てなかった理由

貴和は黛へ甘い言葉をかけず、古美門に負けた事実も容赦なく突きつけます。それでも弁護の継続を求めたのは、勝率だけでは測れない黛の役割を理解しているからでしょう。

古美門は、貴和が嘘をついても法廷で勝つ方法を探します。黛は、なぜ嘘をつくのか、何を守るために死刑を受け入れようとしているのかを考え続けます。

貴和にとって必要なのは、自分の言葉を信じ切る弁護士でも、自分の利益だけを計算する弁護士でもありません。語らない自由を認めながら、沈黙の奥にある本心を見捨てない黛だったと考えられます。

第7話が残した師弟と承認の問い

穂積は宇都宮から才能を認められたいと願い、黛は古美門から一人前と認められたいと願ってきました。二人とも師の評価を追うことで、自分の価値を確認しようとしています。

しかし穂積が本当に創作者になるには、宇都宮の評価だけに人生を支配されず、自分の作品を作らなければなりません。黛も本当に独立するには、古美門へ勝つことだけでなく、自分を選んだ依頼人を自分の方法で守る必要があります。

第7話は、師に認められることを卒業の条件にするのではなく、認められなくても自分の道を選び続けることが独立だと描いた回でした。

穂積は宇都宮を超える道へ進み、黛は貴和の弁護人として次の事件へ向かいます。どちらも傷から完全に自由になったわけではありませんが、師に人生の結論を委ねる状態から、自分で勝負を選ぶ側へ変わりました。

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