ドラマ『ラストマン』第5話「忘れられない味」では、インフルエンサーを狙った連続強盗事件と、料理系インフルエンサー・ナオンの殺害事件が描かれます。華やかな料理が並ぶ現場で、皆実広見が注目したのは、料理の見た目ではなく、味の統一感と食卓から消えた一皿でした。
捜査を進めると、料理を作れないナオン、ランキングに執着する青嶌麻帆、顔を出さず人気1位を守るカナカナが、それぞれ異なる理由で嘘をついていたことが分かります。そして事件解決後、料理の味は皆実と護道心太朗の父親の記憶を呼び起こし、41年前の事件が本格的に動き始めました。
この記事では、ドラマ『ラストマン』第5話のあらすじ&ネタバレ、伏線、感想と考察について詳しく紹介します。
ドラマ「ラストマン」第5話のあらすじ&ネタバレ

第4話では、吾妻ゆうきが過去の盗撮被害とネット拡散による傷を抱えながらも、自分の意思で捜査へ残りました。皆実がかつて吾妻から点字の手紙を受け取っていたことも明らかになり、人材交流企画室は単に皆実を支える組織ではなく、それぞれの専門性を持つ人物が助け合うチームへ変わり始めています。
皆実と心太朗も、相手の意図を細かく説明されなくても、捜査の狙いを読み取れるバディになりました。しかし二人の間には、皆実が日本へ来た本当の目的という大きな秘密が残っています。
第5話はインフルエンサーの順位競争を巡る事件を解決しながら、その秘密が41年前の再捜査という形で表へ出る転換回です。
第5話で問われるのは、嘘をついたかどうかではなく、その嘘が誰を守り、誰の人生を奪ったのかという違いです。
インフルエンサーを狙う強盗とナオン殺害
インフルエンサーが発信した生活情報を利用され、留守中の自宅へ侵入される事件が相次ぎます。皆実は個別の空き巣として処理せず、投稿と犯行のつながりを追うため、護道京吾へ管轄を越えた協力態勢を求めました。
SNSへ公開した暮らしが犯罪者へ予定表を渡す
捜査会議では、著名なインフルエンサーを狙った空き巣や強盗が続いていることが共有されます。被害者たちは高価な持ち物だけでなく、旅行、外出、仕事の予定、部屋の様子まで日常的に投稿していました。
本人たちにとっては、フォロワーへ親しみを持ってもらうための発信です。しかし犯罪者の側から見れば、家を空ける時間、侵入経路、室内に置かれた物まで確認できる情報になります。
華やかな生活を公開する行為が、そのまま現実の生活を危険へさらしていました。
皆実は、発信した本人の責任として片づけようとはしません。生活を公開したことと、犯罪者がそれを悪用したことは別の問題だからです。
ただし被害を防ぎ、犯人へたどり着くためには、SNS上の演出と実際の行動を照らし合わせる必要がありました。
複数の地域で似た事件が起きているため、一つの警察署だけで調べれば情報が分断されます。皆実は警察庁次長である京吾へ、管轄を越えて情報を集める捜査態勢を求めました。
皆実の要求を受け入れながら目的を警戒する京吾
京吾は、広域的に情報を集める必要性を理解し、皆実の提案を受け入れます。皆実の捜査能力を評価し、日本で十分に動ける環境を整えることも、交換研修を受け入れた京吾の役割でした。
一方で、京吾は皆実の行動を全面的には信用していません。第1話から皆実が心太朗をアテンド役に選び、実父・鎌田國士や41年前の事件へ関心を向けていることを知っているからです。
皆実が管轄を越える権限を求めるたび、現在の事件だけでなく、過去の事件へ近づくために組織を利用している可能性も考えなければなりません。京吾は捜査官として皆実へ協力しながら、護道家の一員としてその本当の目的を警戒していました。
皆実も、京吾が自分を監視していることに気づいているように見えます。それでも隠れて動くのではなく、必要な協力を正面から求めます。
現在の事件を解決することと、自分の過去を調べることを、皆実は同時に進めようとしていました。
ナオンの遺体と華やかな料理が残された自宅
そんな中、料理系インフルエンサーとして人気を集めていたナオンが自宅で殺害されます。ナオンは頭部へ強い衝撃を受けて死亡しており、室内には物色されたような形跡が残っていました。
インフルエンサーを狙う強盗事件が続いていたため、ナオンも同じ犯人に襲われたように見えます。投稿から自宅や生活時間を把握され、留守を狙われるはずが、本人と鉢合わせして殺害されたという筋書きが考えられました。
しかし、現場のテーブルには撮影用と思われる華やかな料理が並んでいました。ナオンは料理を投稿するインフルエンサーであり、事件直前まで新たな写真を撮ろうとしていた可能性があります。
皆実は料理を一つずつ味わい、香り、塩味、甘味、香辛料の使い方を記憶します。心太朗には、殺人現場で食事を楽しんでいるように見えますが、皆実にとって味は作り手の癖を示す物証でした。
料理は華やかに並べられていても、その味には、一人の料理人が一つの食卓を作ったとは思えない不統一さが残っていました。
ナオンは料理を作っていなかった
皆実は現場の料理を味わい、ナオンが発信していた「自分で料理を作る人気インフルエンサー」という人物像へ疑問を持ちます。事務所や関係者への聞き込みから、料理を作っていたのはナオン本人ではないと判明しました。
皆実が味から見抜いた作り手のばらつき
テーブルに並んでいた料理は、見た目だけなら統一された華やかな食卓です。しかし実際に味わうと、味つけの方向、塩分の強さ、香辛料の使い方に一貫性がありませんでした。
家庭でも複数の料理を作れば味に変化は出ますが、同じ人物が一度の撮影用として用意した料理なら、無意識の癖がどこかに共通します。ところがナオン宅の料理には、別々の人が作ったものを一つの食卓へ並べたような違いがありました。
さらに皆実は、食卓の構成にも違和感を持ちます。写真映えを意識した献立であるにもかかわらず、一品が抜け落ちたような不自然さがありました。
犯人が料理の一部を持ち去ったか、証拠を隠すために処分した可能性が生まれます。
心太朗は皆実の食べ比べを捜査として受け入れながらも、味の記憶だけで犯人を決めることはできないと考えます。皆実も味を決定的な証拠とはせず、誰が料理を作り、誰が現場にいたのかを調べる入口として使いました。
ナオンの料理を作っていたのはスタッフたちだった
ナオンが所属するマネジメント側へ聞き込みを進めると、彼女は投稿していた料理の多くを自分で作っていなかったと分かります。複数のスタッフや関係者が料理を用意し、ナオンは自分が作ったように撮影して投稿していました。
ナオンが売っていたのは料理の技術だけではありません。美しい食卓を作り、充実した暮らしを送る人物というイメージです。
その人物像を維持するため、他人が作った料理を自分の成果として見せていました。
料理を作れないこと自体は犯罪ではありません。しかし自分の名前で料理を発信し、作り手を表へ出さなかったため、フォロワーが信じていた姿とは大きな隔たりがあります。
ナオンの人気は、実際の生活ではなく、複数の人間が支える演出によって成立していました。
ただし、この嘘が明らかになったからといって、ナオンが殺されてよい理由にはなりません。ナオンがついたのは評価を得るための嘘ですが、誰かの命を奪う青嶌の嘘とは責任の重さが異なります。
フォロワー数が料理以上の価値を持つランキング競争
料理系インフルエンサーの世界では、料理の腕だけでなく、フォロワー数や投稿への反応が仕事の価値へ直結します。企業からの依頼、広告、商品の販売、メディアへの露出も、数字によって左右されます。
ナオンは人気上位に位置し、さらに顔を出さないカナカナがランキング1位を守っていました。その下にいる青嶌麻帆は、自分の料理へ自信を持ちながらも、二人を抜けない状況へ強い焦りを抱いています。
青嶌にとってフォロワー数は、仕事上の指標だけではありませんでした。自分の料理がどれほど優れているか、自分がどれほど価値のある人間なのかを示す数字になっています。
そのため、他人の人気を自分の評価が奪われている状態として受け止めます。ナオンが実際には料理を作っていないと知れば、なおさら自分が下にいることを許せなくなったのでしょう。
皆実は青嶌を含む料理系インフルエンサーの料理を味わい、それぞれの特徴を記憶します。青嶌が作る料理には特定のスパイスを使う癖があり、その味の記憶が後に殺人現場へつながりました。
人気1位カナカナと娘・中道雲母の秘密
ランキング1位のカナカナは顔を出さず、弁当や家庭料理の写真だけを発信していました。皆実と心太朗が自宅を訪ねると、カナカナ本人ではなく、娘の中道雲母と代理人の小久保桃子が応対します。
顔を出さないカナカナに代わって雲母が応対する
ナオンがランキング上位者を意識していた可能性を調べるため、皆実たちはカナカナへ話を聞こうとします。しかしカナカナは姿を見せず、娘の雲母と代理人が対応しました。
顔を出さずに人気を得ることは、それ自体不自然ではありません。料理だけを見てもらいたい、私生活を守りたいという発信者もいます。
ただしインフルエンサーを狙う強盗事件が続いている状況では、誰が投稿し、どのような生活をしているのかを確認する必要がありました。
雲母は母親に代わって質問へ答えますが、カナカナ本人について詳しく聞かれると緊張を見せます。単にプライバシーを守ろうとしているだけでなく、知られれば現在の生活が崩れる秘密を抱えているようでした。
心太朗は、顔を見せない人物を疑うのは当然だと考えます。一方の皆実は、秘密があることと殺人に関係していることを分け、雲母が何を守ろうとしているのかを慎重に確かめました。
握手した指に残っていた料理を続けた痕跡
皆実は雲母と握手し、指先や手の状態から、日常的に料理を続けている人物だと気づきます。包丁や調理器具を扱い、繰り返し食材に触れてきたことが、手の小さな痕跡に残っていました。
雲母は表向きにはカナカナの娘であり、本人ではありません。しかし手に残る痕跡は、投稿されている料理を雲母自身が作っている可能性を示します。
皆実はすぐに秘密を暴こうとはしません。雲母がカナカナを名乗ることで利益を得ているとしても、それだけでナオン殺害へ結びつくわけではないからです。
むしろ皆実は、雲母が長い時間をかけて料理を作ってきたことへ関心を向けます。ナオンの料理が複数の作り手による演出だったのに対し、カナカナの料理には一人の生活と習慣が積み重なっていました。
雲母の弁当に残る毎日食べるための味
皆実たちは、雲母が用意した弁当も味わいます。そこにあるのは、高価な食材や目立つ盛りつけで注目を集める料理ではありません。
毎日食べる人の体調や好みを考え、無理なく続けられるよう作られた家庭の味でした。
青嶌の料理には、技術と強い個性があります。一口で作り手を印象づけ、写真や動画でも注目を集めやすい料理です。
それに対し、雲母の料理は作り手が前へ出るより、食べる人の生活を支えることへ向いていました。
皆実は、料理の価値を派手さやランキングだけで判断しません。忘れられない味とは、最も高度な技術を使った味ではなく、自分のために作られたという記憶と結びついた味でもあります。
雲母の料理には、フォロワーへ自分を見せるためではなく、見えなくなった家族とのつながりを残すための時間が込められていました。
雲母がカナカナとどのような関係にあるのかはまだ明かされませんが、その料理が数字だけを目的にしたものではないことは、皆実の味覚によって示されます。
青嶌への強盗と古郡を使った偽装
ナオンの秘密とランキング競争が明らかになる中、今度は青嶌が自宅で襲撃されます。連続強盗犯が料理系インフルエンサーを順に狙っているように見え、古郡が有力な容疑者として浮上しました。
青嶌が襲撃されて被害者側へ回る
青嶌は自宅で強盗に襲われたような状態で発見されます。室内には荒らされた形跡があり、本人も被害を訴えました。
ナオンが殺された後に青嶌まで襲われたことで、二つの事件は同じ連続強盗の一部に見えます。
青嶌はナオンとランキングを争う人物であり、当初は殺害動機を持つ側として疑われていました。しかし自分も同じ犯人に襲われたとなれば、ナオン殺害の容疑から遠ざかることができます。
さらに青嶌は、古郡が事件へ関与している可能性を捜査側へ示します。古郡は連続強盗と接点を持つ人物として疑われ、青嶌襲撃の犯人にも見えました。
心太朗や佐久良班は、古郡の行動と被害者たちの投稿を照らし合わせます。しかし皆実は、青嶌が襲われたという事実をそのまま受け入れません。
青嶌が被害者になったことで誰が最も利益を得るのかを考えていました。
既存の連続強盗へナオン殺害を重ねた青嶌
ナオンの自宅が荒らされていたことも、青嶌の自宅が襲われたことも、すでに起きていたインフルエンサー強盗とよく似ています。しかし、似ているから同じ犯人とは限りません。
青嶌は既存の連続強盗を利用すれば、ナオンを殺しても犯行を強盗の一件に見せられると考えた可能性があります。さらに自分も襲われたように演出すれば、連続犯の標的となった被害者として振る舞えます。
古郡は、青嶌がその筋書きを成立させるために利用した人物でした。青嶌は古郡へ疑いが向くようにし、自分とナオンを同じ犯人に狙われた被害者として並べようとします。
ただし、青嶌がどのような手順で古郡を動かし、自宅への襲撃を成立させたのかは、物証によって慎重に確かめなければなりません。皆実たちは青嶌の主張だけでなく、現場に残る痕跡と料理の味を再確認しました。
被害者を演じる青嶌に残った順位への焦り
青嶌は襲撃を受けた恐怖を語りながらも、ナオンやカナカナの人気について聞かれると、強い感情をにじませます。自分の命が狙われた直後であれば、通常は犯人への恐怖が中心になるはずです。
しかし青嶌の意識は、事件後のランキングや注目へも向いていました。ナオンがいなくなれば順位が一つ上がり、カナカナの正体が問題になれば、自分が頂点へ立てる可能性があります。
皆実は、青嶌が料理を愛していること自体は否定しません。問題は、料理を通して人へ何かを届けるより、数字によって自分の価値を証明することが目的になっていた点です。
青嶌は自分より料理ができないナオンが上位にいることも、顔を出さないカナカナが1位であることも受け入れられませんでした。努力が正当に評価されていないという被害者意識が、他人を排除して数字を奪う発想へ変わっていきます。
犬の足に残ったドレッシングとスパイス
ナオン宅の食卓から一品が消えていた理由は、現場にいた飼い犬が示していました。犬の足に残ったドレッシングと、そこに使われたスパイスが、青嶌の料理と殺害現場を結びつけます。
食卓から処分されたサラダが犬の足に痕跡を残す
皆実はナオン宅の料理を味わったとき、献立の一部が欠けているような違和感を持っていました。撮影用に組み立てられた食卓なら、本来はサラダを含む一皿が置かれていた可能性があります。
犯人は、そのサラダが自分へつながる証拠になると考え、現場から処分しました。しかし、サラダにかかっていたドレッシングの一部は、ナオンの飼い犬の足へ付着していました。
犬は事件の意味を理解しません。倒れた皿や床へ落ちた料理へ近づき、その場を歩いただけだったのでしょう。
その何げない動きが、犯人が消したつもりの料理を現場へ残します。
室内から皿を持ち去っても、匂いと成分までは完全に消せません。皆実は犬の足に残った匂いへ注目し、鑑識による確認と組み合わせて、処分されたサラダの存在を明らかにしました。
ドレッシングのスパイスが青嶌の料理と一致する
犬の足に付着したドレッシングには、青嶌が料理で好んで使う特徴的なスパイスが含まれていました。皆実は捜査の過程で青嶌の料理を食べ、その味と香りを記憶しています。
ナオンは自分で料理を作らず、複数のスタッフが用意した料理を投稿していました。その中へ青嶌の味が入り込んでいることは不自然です。
青嶌が事件当日にナオン宅へ料理を持ち込み、食卓へ関わった可能性を示します。
味覚だけで逮捕できるわけではありません。犬の足に残ったドレッシングの成分、処分された一皿、青嶌の料理に使われる材料、当日の行動が重なることで、物証としての意味を持ちました。
青嶌は証拠となるサラダを持ち去りましたが、自分の料理を特別に見せてきたスパイスの癖までは消せませんでした。
自分を評価してほしいという思いから磨いてきた料理の個性が、皮肉にも殺人現場へいたことを示す証拠になります。料理は青嶌の才能を証明するものだったはずが、承認欲求によって犯罪の痕跡へ変わりました。
ナオンを殺した青嶌が自分への襲撃も偽装する
青嶌はナオンを殺害し、インフルエンサーを狙う連続強盗の犯行に見せかけていました。ナオンがいなくなればランキングが上がり、自分がより注目される位置へ近づけます。
しかしライバルが殺された直後では、順位争いをしていた青嶌にも疑いが向きます。そこで古郡を利用し、自分も強盗に襲われたように見せることで、容疑者から被害者へ立場を変えようとしました。
青嶌は自分の料理が正当に評価されていないと感じ、ナオンの人気を偽物だと見下していました。ナオンが料理を作っていなかった事実は、青嶌の怒りを強める理由にはなっても、命を奪う理由にはなりません。
また、青嶌がナオンを消しても、ランキング1位のカナカナは残ります。数字への執着は一人を排除すれば終わるものではなく、常に次の上位者を敵へ変えていきます。
心太朗たちはドレッシング、スパイス、偽装襲撃、古郡との接点を重ね、青嶌を追及します。青嶌の言い逃れは崩れ、ナオン殺害と自作自演の襲撃が明らかになりました。
フォロワー数が青嶌の自己価値を支配する
青嶌が求めていたのは、料理を食べた人からの感謝だけではありません。ランキングでナオンやカナカナを抜き、自分こそ最も価値のある料理人だと数字で証明することでした。
フォロワー数は本来、多くの評価軸の一つです。料理の味、投稿の分かりやすさ、発信者の人柄、更新の頻度など、複数の要素が重なって増減します。
しかし青嶌は、数字を自分の人格全体への採点として受け取っていました。上位者がいる限り、自分は認められていないと感じます。
その不安を努力だけで埋められなくなり、他人を傷つけて順位を動かす方向へ進みました。
青嶌が殺そうとしたのは一人のライバルですが、本当に消したかったのは、自分より上に誰かがいる限り価値がないと感じる自己否定でした。
ナオンを殺しても自己否定は消えません。数字は常に変わり、より大きな注目を得る人物が現れます。
青嶌の犯罪は、順位によって自分を支える生き方が持つ終わりのなさを示していました。
誰も傷つけない嘘と忘れられない味
青嶌の逮捕後、カナカナの本当の発信者が中道雲母だったと明らかになります。雲母も多くのフォロワーへ事実と異なる姿を見せていましたが、その嘘は青嶌やナオンとは異なる事情から始まっていました。
母が家を出た後も雲母はカナカナを続ける
カナカナの発信は、もともと雲母の母親が作る弁当や家庭料理から始まっていました。しかし母親が家を出た後、雲母が自分で料理を作り、母の名前と発信を引き継いでいたのです。
雲母が正体を明かせば、カナカナという人気アカウントが終わり、収入も失う可能性があります。雲母は生活費を得るため、母親が続けていた発信を止めることができませんでした。
同時に、投稿を続けていれば、どこかで母親が見つけてくれるかもしれないという期待もありました。雲母にとってカナカナは仕事であるだけでなく、家を出た母親へ向けて料理を作り続ける場所でもあります。
雲母は、多くの人をだましていたと自分を責めます。自分が作った料理でありながら、母親が作ったように見せて評価と収入を得ていたため、正直な発信ではありませんでした。
皆実が区別した三種類の嘘
第5話では、ナオン、青嶌、雲母がそれぞれ嘘をついています。しかし、その三つを同じ重さで扱うことはできません。
ナオンは料理ができないことを隠し、スタッフが作った料理を自分の作品として発信しました。作り手の労力を見えなくし、フォロワーへ偽った人物像を示した点には問題がありますが、その嘘自体が直接誰かの命を奪ったわけではありません。
青嶌は順位を上げるためにナオンを殺し、自分も襲われた被害者だと偽装しました。嘘を使って捜査をそらし、古郡へ罪を負わせようとしています。
自分の利益のために他人の命と人生を奪う嘘でした。
雲母は母が残したアカウントを続け、生活を守りながら、母とのつながりを失わないためにカナカナを名乗っていました。事実を隠していた責任はあっても、誰かを傷つけて順位を奪おうとしたわけではありません。
皆実は嘘という形式だけを裁かず、その嘘によって誰が傷つき、何を奪われたのかを見ていました。
雲母の料理に残る母への未練と生きる力
雲母が作る料理には、母が作っていた弁当を再現しようとした時間が積み重なっています。最初から上手に作れたわけではなく、何度も失敗しながら、母の味へ近づこうとしたのでしょう。
料理を続けることは、母への未練を手放せない行為でもあります。一方で、雲母が一人で生活を続けるための技術と収入にもなっていました。
母親が戻ることを願うだけなら、雲母は過去へ止まったままにも見えます。しかし自分で材料を用意し、料理を作り、発信を続けたことで、現在を生きる力も身につけています。
皆実は、雲母に嘘を続けることを勧めるわけではありません。ただ、事情を無視して悪質な偽装と決めつけることもしません。
正体を明かした後に、雲母自身の名前と料理で生きていける道を考える必要があります。
父が作ったオムライスと肉じゃがの記憶
料理を巡る事件を通して、心太朗は幼い頃に実父が作ってくれたオムライスの味を思い出します。心太朗にとって鎌田國士は、記録上は強盗殺人犯として服役する人物です。
それでも幼い心太朗の記憶には、料理を作り、食卓を囲んだ父親の姿が残っています。犯罪者という情報だけでは消すことのできない、家庭の中にいた父親の記憶です。
皆実もまた、父親が作った肉じゃがの味を覚えていました。幼い頃に両親を失い、視力も失った皆実にとって、その味は事件より前の家族へつながる貴重な記憶です。
皆実と心太朗は父親を、被害者と犯罪者という記録だけではなく、自分のために料理を作ってくれた人としても記憶していました。
二人が覚えている料理は異なります。しかし、父親の記憶が家庭の味と結びついている点には、不自然な共通性がありました。
皆実が心太朗へ父親の料理について尋ねることにも、単なる雑談ではない意図が感じられます。
皆実が41年前の事件を調べ直す本当の目的
ナオン殺害事件が解決した後、皆実は京吾へ、41年前に自分の両親と視力を失った事件を再捜査したいと正式に申し出ます。ここから物語は、一話完結の事件と並行してきた過去の謎へ本格的に踏み込みます。
父の肉じゃがを覚えている皆実の執念
皆実が覚えている父親の肉じゃがは、懐かしい家族の思い出であると同時に、41年前の事件によって奪われた日常の証拠でもあります。火災と両親の死という強烈な記憶だけではなく、それ以前に確かに家族と暮らしていた時間がありました。
皆実は長年、事件の記録と自分の記憶の間にある違和感を抱えていたと考えられます。鎌田が犯人として服役していても、それだけでは納得できない何かが残っていました。
心太朗が語る父親の料理も、皆実にとって重要な情報です。鎌田を記録上の犯人として見るだけではなく、幼い子どもへ料理を作っていた人物として捉え直すことで、事件前後の人間関係を探ろうとしているように見えます。
ただし第5話では、鎌田が無実だと確定したわけではありません。皆実が何を疑い、どの証拠を持っているのかもまだ明かされず、再捜査を求めたという事実までが示されます。
皆実が京吾へ41年前の事件の再捜査を申し出る
皆実は京吾に対し、自分の両親が亡くなり、視力を失った41年前の事件を調べ直したいと申し出ます。交換研修生として日本の事件へ協力することだけが、皆実の来日目的ではなかったと明確になりました。
第1話では鎌田との面会を望み、第2話では鎌田が心太朗の実父だと判明しています。そして第5話で皆実は、個人的に情報を集める段階から、警察組織へ正式な再捜査を求める段階へ進みました。
京吾は皆実の申し出を簡単に退けません。過去の事件に疑問があるなら、警察として調べる必要があります。
しかし再捜査によって、護道家が長く触れずにきた情報まで明らかになる可能性がありました。
皆実は穏やかな態度を崩しませんが、再捜査を求める言葉には長年抑えてきた執念があります。事件を解決する優秀なFBI捜査官の奥に、家族を奪われた一人の当事者がいることが改めて示されました。
京吾が許可と警戒を同時に見せる理由
京吾は、皆実の再捜査を認める方向で動きながら、その行動を警戒します。事件を調べる正当性と、護道家へ及ぶ影響を分けて考えなければならないからです。
京吾は警察庁次長として、過去の捜査に誤りがあった可能性を無視できません。一方、心太朗の兄であり、護道清二の息子でもあります。
皆実が調べる事実によって、家族の関係が崩れる可能性も考えていました。
この二重性が、京吾を単純な妨害者にはしません。皆実を助けたい思いがあっても、組織と家族を守る立場から、すべてを自由にさせることはできないのです。
皆実も京吾の葛藤を理解したうえで、正面から再捜査を要求しています。隠れて調べれば護道家との対立は避けられません。
あえて正式な手続きを求めたのは、過去の事件を個人的な復讐ではなく、警察が向き合うべき真実として扱わせるためでしょう。
一話完結の事件から家族の謎へ移るラスト
第5話のナオン殺害事件は、青嶌の逮捕によって解決します。雲母がカナカナを続けていた理由も明らかになり、料理を巡る三種類の嘘は、それぞれ異なる責任として整理されました。
しかし、父親の料理の記憶から41年前の事件へつながったことで、第5話は事件解決だけでは終わりません。皆実がなぜ心太朗を選び、鎌田へ会おうとしていたのかという疑問が、再捜査の申し出によって一つの方向へ集まり始めます。
心太朗にとっても、再捜査は実父が本当に皆実の両親を殺したのかを確かめることになります。父親の罪を前提に生きてきた心太朗の正義と自己認識が、根本から揺らぐ可能性がありました。
第5話の結末で皆実は、事件を解決する交換研修生から、自分と心太朗の人生を変えた41年前の真実を追う当事者へ踏み出しました。
京吾と護道家が何を知っているのか、皆実はどこまで過去を覚えているのか、料理の記憶がなぜ二人の父親を結びつけるのか。次回以降へ向けて、バディの信頼と家族の秘密が同時に試されることになります。
ドラマ「ラストマン」第5話の伏線

第5話では、皆実が41年前の事件の再捜査を正式に求めたことで、物語の縦軸が大きく動きました。特に、皆実が覚えている父の肉じゃがと、心太朗が覚えている実父・鎌田のオムライスは、事件記録だけでは見えない家族の記憶として残されています。
父親の料理を尋ねた皆実の意図
皆実は料理を巡る事件の中で、心太朗が実父について覚えている味へ関心を向けます。単なる食事の思い出ではなく、鎌田の人物像と41年前の事件を考えるための情報として聞いているように見えました。
心太朗が覚えている鎌田のオムライス
心太朗の記憶に残る鎌田は、強盗殺人犯という記録上の人物だけではありません。幼い心太朗へオムライスを作った父親でもありました。
父親が重大な罪を犯したと知った後も、料理の味までは消えません。むしろ優しい記憶と犯罪者という情報が矛盾しているからこそ、心太朗は自分の中にも同じ二面性があるのではないかと恐れてきました。
皆実がこの記憶を確かめたのは、鎌田が家庭の中でどのような人物だったのかを知るためだと考えられます。犯罪記録だけでなく、事件前の生活と人間関係を調べることが、41年前の再捜査には必要です。
皆実が覚えている父の肉じゃが
皆実にも、父親が作った肉じゃがの味が残っています。幼い頃の記憶であっても、香りや味は言葉や映像とは異なる形で長く残るものです。
皆実が事件の匂いや音を詳細に記憶しているように、家庭の味もまた、失われた過去へつながる感覚的な情報になっています。父親の料理を思い出すことは、事件の被害者としてではなく、家族と暮らしていた自分を取り戻す行為でもあります。
第5話時点では、肉じゃがとオムライスの記憶がどのように結びつくのかは分かりません。ただ、皆実が心太朗の父の料理へ関心を持ち、自分の父の味を語ったことは、二つの家族に接点がある可能性を感じさせます。
皆実が日本へ来た本当の目的
皆実はFBIの交換研修生として来日し、日本の事件を次々に解決してきました。しかし鎌田との面会希望と再捜査の申し出によって、41年前の事件を調べることが重要な目的だったと明確になります。
鎌田との面会希望から再捜査要請へ進む
第1話の時点で、皆実が鎌田國士との面会を望んでいたことが示されていました。第2話では、その鎌田が心太朗の実父であり、強盗殺人犯として服役していると明かされます。
第5話で皆実は、鎌田個人へ話を聞くだけでなく、警察に事件全体を調べ直すよう求めました。皆実の疑問は、犯人とされた人物の供述だけでは解決できない段階にあるのでしょう。
再捜査には、当時の証拠、捜査記録、関係者、護道家が持つ情報へ触れる必要があります。皆実が日本警察の内部へ入り、心太朗をアテンド役に選んだことも、この目的と無関係ではないと考えられます。
事件を解決して信頼を得てから動いた理由
皆実は来日直後に再捜査を要求するのではなく、複数の事件を解決した後で正式に申し出ました。日本警察の捜査へ貢献し、自分の能力と判断を認めさせてから動いています。
最初から個人的な目的だけを主張すれば、交換研修を利用していると拒まれた可能性があります。皆実は日本警察と信頼を作り、自分が過去の感情だけで動く人物ではないことを示しました。
一方、この順序は心太朗にとって複雑です。皆実との信頼が深まった後で、最初から自分の出自を調べる目的があったと分かれば、利用されていたと感じる可能性もあります。
皆実の再捜査要請は過去へ近づく一歩であると同時に、心太朗へ隠してきた目的が二人の信頼を揺らす伏線でもあります。
京吾が再捜査を許しながら警戒する二重性
京吾は皆実の要求へ協力しながら、その動きを監視します。警察官として真実を調べる責任と、護道家の一員として家族を守る立場が衝突しているように見えました。
警察庁次長として再捜査を拒めない京吾
過去の捜査に誤りがある可能性が示されたなら、警察は調べ直す必要があります。皆実自身が事件の被害者であり、鎌田との面会を求める理由も持っています。
京吾は組織の都合だけで要求を退ければ、過去の隠蔽を疑われる立場です。交換研修を受け入れた責任者としても、皆実へ適切な捜査環境を与えなければなりません。
そのため、京吾は再捜査へ進むこと自体を認めます。皆実の推理力を信頼し、真実へ向き合う必要性も理解しているのでしょう。
護道家へ真相が及ぶことを恐れる京吾
京吾は心太朗の兄であり、清二の息子でもあります。41年前の事件が心太朗の実父と護道家へつながっている以上、再捜査は家族の過去を調べることになります。
京吾がどこまで事件の情報を知っているのかは、第5話では明かされません。ただ、皆実の本当の目的を警戒していることから、再捜査によって護道家に不利益な事実が出る可能性を考えているように見えます。
組織の名誉、家族の関係、過去の捜査の正当性が一度に問われれば、京吾はどの立場を優先するのか選ばなければなりません。その選択が、皆実や心太朗との関係を変える伏線になっています。
三種類の嘘が家族の秘密へ重なる可能性
第5話では、ナオン、青嶌、雲母が異なる理由で事実を隠しました。この構造は、41年前の事件でも、嘘の目的と結果を分けて考える必要があることを示しているように見えます。
自分を大きく見せる嘘と他人を傷つける嘘
ナオンは料理を作れる自分を演出し、評価を得ました。青嶌は順位を上げるために殺人と偽装を行い、古郡へ疑いを向けようとします。
どちらも自己評価と社会的評価に関わる嘘ですが、他人へ与えた被害は大きく異なります。皆実が嘘の有無ではなく結果を見る姿勢は、過去の事件を調べる際にも重要になりそうです。
41年前の記録に事実と異なる部分があったとしても、誰が何を守るために嘘をついたのかによって責任は変わります。現段階では誰の嘘かは分かりませんが、記録だけを受け入れない皆実の姿勢へつながっています。
家族を待つ雲母の嘘が示した善意の危うさ
雲母は生活と母親とのつながりを守るため、カナカナを続けました。悪意から始まった嘘ではありませんが、長く続けるほど正体を明かしにくくなります。
家族を守る目的であっても、事実を隠せば、後に別の人物の人生へ影響する可能性があります。善意による嘘も、時間がたてば当事者を縛る秘密へ変わるのです。
護道家もまた、心太朗を守るため、あるいは家族を維持するために、何かを伝えていない可能性があります。ただし第5話時点では具体的な隠蔽を断定できず、家族を守る嘘が真実から人を遠ざける構造だけが伏線として残ります。
ドラマ「ラストマン」第5話を見終わった後の感想&考察

第5話はインフルエンサーの世界を否定的に描いた回ではありません。発信によって仕事やつながりを得られる一方、数字が自己価値そのものになれば、他人の成功を自分への攻撃として感じる危険を、青嶌の犯罪を通して描いていました。
フォロワー数が青嶌の自己価値になった怖さ
青嶌は料理の技術を持ち、努力も重ねていました。しかし、その努力が誰かを喜ばせるためではなく、ランキングで他人を上回るためだけのものになったことで、料理への愛情まで歪んでいきます。
数字は分かりやすいが人間全体を評価できない
フォロワー数や反応数は、人気を把握するうえで便利な指標です。前回より増えれば成果が見え、上位へ行けば仕事の機会も広がります。
しかし数字が示すのは、ある時点でどれほどのアカウントがつながっているかという一側面です。料理の味、食べた人の記憶、作り手の誠実さ、日々の生活を支える力まで、すべてを数値化できるわけではありません。
青嶌は分かりやすい数字へ自分の価値を預けました。その結果、ナオンより下にいることを、自分の才能や人生そのものを否定された状態として受け止めます。
数字で評価されることより怖いのは、数字がなければ自分の価値を確認できなくなることです。
上位者を消しても競争は終わらない
青嶌がナオンを殺したとしても、ランキング1位のカナカナが残ります。仮にカナカナまで排除して1位になっても、新しい発信者が現れれば再び順位は揺らぎます。
数字による承認は、達成した瞬間に終わるものではありません。1位を取った後は、順位を守り続けなければ自分の価値が落ちたと感じるようになります。
青嶌の犯罪は、ナオンだけを憎んだ個人的な事件に見えて、実際には終わりのない比較へ支配された結果です。他人を排除して得る順位では、自分への信頼まで作ることはできません。
ナオン、青嶌、雲母の嘘は同じではない
第5話が面白いのは、嘘は悪いという単純な結論にしなかった点です。三人とも真実を隠していましたが、その目的、方法、被害の大きさは大きく異なります。
ナオンの嘘には作り手を消した責任がある
ナオンは他人が作った料理を、自分が作ったように投稿していました。インフルエンサーとしての人物像を守るため、実際の作り手を見えない場所へ置いています。
これは殺人と同じではありませんが、他人の労力によって得た評価を独占したという問題があります。ナオンが人気を得るほど、料理を作ったスタッフの存在は消えていきました。
一方、ナオンの嘘が明らかになったからといって、彼女の命が軽くなるわけではありません。青嶌がナオンを偽物と考えたことは、殺人を正当化する理由にはなりませんでした。
雲母の嘘は孤独の中で生活を続けるためだった
雲母もカナカナの正体を隠し、母親が発信を続けているように見せました。フォロワーから見れば、事実と異なる情報を信じさせたことになります。
しかし雲母は他人の料理を奪ったわけではなく、自分で作り続けています。収入を得て生活を守り、母親が戻るかもしれない場所を残すための嘘でした。
皆実は雲母の行動を全面的に正しいとは言いません。それでも青嶌の偽装殺人と同じ「嘘」という言葉だけで裁かず、何を守ろうとしたのかを見ます。
嘘の責任は、事実と違うことを言ったという一点ではなく、その嘘が他人の権利や人生をどれだけ奪ったかによって考える必要があります。
華やかな料理より毎日食べた味が残る
ナオン宅に並んだ料理は写真映えし、青嶌の料理は強い個性を持っていました。しかし第5話で「忘れられない味」として残ったのは、父親が作ったオムライスや肉じゃがです。
料理の価値は技術だけで決まらない
青嶌の料理には技術があり、ナオンの食卓にも華やかさがあります。それでも皆実や心太朗の人生へ最も深く残っているのは、高級な料理でもランキング上位の一皿でもありません。
幼い頃、家族が自分のために作ってくれた料理には、食卓を囲んだ時間、声、匂い、安心まで結びついています。味そのものが完璧だったかどうかは重要ではないのでしょう。
雲母の弁当も同じです。派手な一皿ではなく、毎日を生きる人のために繰り返し作る料理だからこそ、多くのフォロワーに届いた可能性があります。
味覚が事件の証拠と家族の記憶を同時に開く
皆実の味覚は、青嶌のスパイスを見抜く捜査能力として使われました。しかし事件解決後には、父親の肉じゃがを思い出す感覚として描かれます。
同じ味覚が現在の犯罪を解決し、失われた過去へもつながっている点が印象的です。皆実にとって感覚は、特別な能力ではなく、訓練によって磨いた捜査の手段であると同時に、自分の人生を記憶する方法でもあります。
心太朗もまた、父親を犯罪者という情報だけでなく、オムライスの味で覚えています。二人が父親を一面的な立場だけで語れないことが、41年前の事件を調べ直す必然性へつながりました。
再捜査を申し出た皆実と京吾の緊張
第5話のラストで、物語はインフルエンサー殺人事件から41年前の事件へ一気に重心を移します。皆実は自分が日本へ来た目的を隠し続けるのではなく、京吾へ正式に再捜査を求めました。
過去に戻るのではなく現在から調べ直す皆実
皆実は父親の味を懐かしむだけでなく、失った家族に何が起きたのかを現在の捜査官として調べようとします。過去の記憶へ閉じこもるのではなく、証拠と記録を使って真実へ近づく選択です。
皆実が事件を調べる目的は、鎌田へ復讐することとは限りません。むしろ、犯人とされた鎌田を含め、当時の捜査が本当に正しかったのかを確かめようとしています。
皆実は多くの事件で、肩書や自白をそのまま受け入れず、物証と人物心理を分けてきました。41年前の事件にも、現在の事件と同じ捜査原則を適用しようとしているのでしょう。
京吾の協力は皆実への信頼か監視か
京吾は皆実の申し出を受け入れますが、そこには純粋な協力だけでなく監視の意味もあるように見えます。皆実を組織の外で自由に動かすより、正式な捜査として管理した方が行動を把握できます。
ただし、京吾が過去の真相を隠したい人物だと第5話だけで断定することはできません。家族と組織の両方を守る立場だからこそ、皆実の執念が周囲を傷つける可能性まで考えているとも読めます。
重要なのは、再捜査によって心太朗も当事者になることです。皆実の両親を殺したとされる人物が自分の実父である以上、心太朗は捜査官としても家族としても逃げられません。
第5話から始まる再捜査は、41年前の犯人を探すだけでなく、皆実と心太朗が互いを何者として信じてきたのかを問い直す捜査になります。
忘れられない味が次回へ残した違和感
皆実の父が作った肉じゃがと、心太朗の父が作ったオムライスは、現時点ではそれぞれ別の家庭の記憶です。しかし皆実が心太朗の記憶を確認するように聞いたことには、明確な意図が感じられます。
皆実は41年前の事件について、心太朗より多くのことを知っている可能性があります。それでもすべてを話さず、心太朗の記憶を一つずつ引き出しているように見えました。
事件捜査では互いの意図を読めるようになった二人ですが、家族の過去については情報量に大きな差があります。皆実が何を知り、なぜ心太朗を選んだのかが明らかになったとき、現在のバディ関係も揺れるかもしれません。
「忘れられない味」は優しい家族の記憶であると同時に、二人がまだ知らない同じ過去へ戻るための入口になりました。

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