MENU

ドラマ「マルモのおきて」第9話のネタバレ&感想考察。護の手が薫に当たった理由と父の日の仲直り

ドラマ「マルモのおきて」第9話のネタバレ&感想考察。護の手が薫に当たった理由と父の日の仲直り

『マルモのおきて』第9話は、薫を失ったかもしれないという護の恐怖が、再会した瞬間に怒りへ変わり、最も守りたかった薫を自分の手で傷つけてしまう回です。護の心配の深さは理解できますが、その感情が薫への加害を正当化するわけではありません。

一方、薫は母親とは知らないまま、青木あゆみと偶然再会します。服を買ってもらい、一緒に過ごした薫にとって、あゆみは自分を助けてくれた優しい女性です。

そのあゆみを一方的に追い返す護の態度は、薫には理不尽に映ります。

第9話で描かれるのは、親になるとは強く心配することではなく、自分の恐怖で子どもを傷つけた後、その事実から逃げずに謝り、関係を修復する責任を持つことだという現実です。この記事では、ドラマ『マルモのおきて』第9話のあらすじ&ネタバレ、伏線、感想と考察について詳しく紹介します。

目次

ドラマ『マルモのおきて』第9話のあらすじ&ネタバレ

マルモのおきて 9話 あらすじ画像

第8話では、護が隠してきた双子との生活が、かなと職場の同僚へ知られました。かなは薫と友樹を拒絶したわけではありませんが、すでに成立している三人の家族へ自分の居場所を見つけられず、護との別れを選びます。

護は恋愛を失った一方、職場では子育てへの協力を得て、双子からも仕事と家庭の両方を認められました。第9話の冒頭では、以前のように家族の存在を隠すことなく、ボーナスで薫と友樹へ服を買いたいと同僚へ相談する姿が描かれます。

ボーナスで双子の服を買おうとするマルモ

第8話で家庭と職場を分断する生活を終えた護は、双子のことを会社でも自然に話せるようになっています。ボーナスの使い道として新しい服を贈ろうと考える姿には、保護者として二人の成長を楽しむ気持ちが表れます。

ボーナスを楽しみにする護と夕食を気にする友樹

ボーナスが出ることになり、護は朝から上機嫌です。友樹が夕食の献立を気にすると、護は週末に三人でおいしい物を食べに行こうと提案します。

以前の護にとって、給料や休日は自分の趣味や恋愛に使うものでした。しかし現在は、双子と何を食べるか、どこへ連れていくかを考えることが、ボーナスの楽しみになっています。

護はかなとの別れで落ち込んでいましたが、薫と友樹との暮らしを恋愛を失った原因として責めません。失恋の痛みを抱えながらも、今いる家族と楽しい時間を作ろうとしています。

友樹も、特別な食事の話を聞いて期待を膨らませます。食べることを楽しみにする友樹の素直な反応は、護にとって家族のために働く喜びを実感できる時間でもあります。

薫と友樹へ新しい服を贈ろうと決める護

護は外食だけでなく、薫と友樹へ新しい服をプレゼントしようと密かに決めます。二人が何を好むのか、自分だけでは判断できないため、会社の同僚へ相談しました。

第3話のランドセル選びでは、護は薫の好みを十分に理解できず、実用性や自分の感覚を優先しています。その経験を経た護は、子どもの服を自分の判断だけで選ばず、周囲の意見を聞こうとします。

大切なのは、服を買う行為そのものではありません。護が双子の成長や好みへ関心を持ち、二人が新しい服を着て喜ぶ姿を想像していることです。

護は純一郎への償いとして双子へ物を与えるのではなく、自分の子どもに近い存在へ贈り物を選ぶ父親のような喜びを感じ始めています。

職場で双子の話を自然にできるようになった護

第8話までの護は、双子の存在を知られれば仕事で不利になるのではないかと恐れていました。かなとの恋愛でも、子ども二人と暮らす自分を隠し、独身男性として見られようとしています。

しかし家族の存在が公になった後、同僚は護を責めるのではなく、仕事と子育ての両立へ協力すると申し出ました。その経験によって、護は家族を隠す必要がないと実感します。

服選びの相談は小さな会話ですが、護の変化をよく示しています。薫と友樹を育てている自分を、会社員としての自分から切り離さなくなったからです。

家庭と仕事が一つにつながったことで、護は双子を守る責任だけでなく、二人を家族として語る誇らしさも持つようになっています。

元夫の再婚を知らされる彩

その頃、居酒屋「クジラ」には、彩の元夫・達也から電話が入ります。彩は複雑な気持ちを抱えながら彼と会い、返しそびれていた腕時計を返しました。

達也が彩へ伝えたのは、再婚するという知らせです。彩は離婚後、実家へ戻り、護や双子を支えながら自分の生活を立て直してきましたが、元夫が別の人生へ進む事実を改めて突きつけられます。

この出来事を、直ちに彩と護の恋愛へ結びつけることはできません。彩が感じるのは、元夫への未練だけではなく、自分が置いてきた結婚生活が完全に過去になる寂しさや、自分だけが立ち止まっているような感覚にも見えます。

護が双子との生活を社会へ開き始める一方、彩も過去との関係へ区切りをつけ、新しい自分の居場所を考える段階へ進みます。

雨に濡れた薫と実母あゆみの偶然の時間

護が双子への服を選ぼうとしている頃、薫は友樹と別行動を取り、同級生のまなみの家へ遊びに行きます。帰り道で偶然あゆみと出会い、母親とは知らないまま、二人だけの時間を過ごすことになります。

まなみの家へ一人で遊びに行く薫

薫は、同級生のまなみたちと女の子だけで遊ぶ約束をし、友樹とは別行動を取ります。双子はこれまでほとんどの時間を一緒に過ごしてきましたが、小学校へ入り、それぞれ別の友人関係を持ち始めています。

友樹から離れて一人で友達の家へ行く行動には、薫の成長が表れます。第1話では、薫と離された友樹が親戚宅を飛び出すほど、二人は別離へ強い不安を抱えていました。

現在は、帰る家とマルモがいる安心によって、数時間別々に過ごすことができています。家族としての安定が、双子それぞれの世界を広げ始めているのです。

ただし、護は薫が何時頃帰宅するのか、途中で何かあった場合にどこへ連絡するのかを十分に確認していません。子どもの行動範囲が広がる一方、家庭側の安全確認はまだ追いついていません。

雨上がりの道で車の水を浴びる薫

夕食の時間が近づき、薫はまなみの家を出ます。雨が上がった道を一人で楽しそうに歩きながら、護と友樹が待つ「クジラ」へ帰ろうとしていました。

その途中、走ってきた車が水たまりを通り、薫は激しく水を浴びます。服はぬれ、突然の出来事に驚いた薫は、その場で動けなくなります。

偶然近くを歩いていたあゆみは、薫の姿を見つけていました。第7話の誕生日会では護の友人として会ったものの、母親である事実は伏せたままです。

あゆみは水を浴びた薫を見ると、考えるより先に駆け寄ります。目の前で子どもが傷ついたことへ、母親としての反応が抑えられなかったのでしょう。

あゆみが思わず薫を抱きしめる

あゆみは、ぬれた薫へ駆け寄り、思わず抱きしめます。薫にとっては少し驚く行動ですが、以前誕生日会で会った護の友人であり、友樹を手当てしてくれた優しい女性でもあります。

あゆみは母親だと名乗れないまま、薫の体や服を心配します。母親として抱きしめたい感情と、事実を明かしてはいけないという慎重さの間で揺れています。

薫はあゆみの本当の関係を知りません。それでも、自分を心配して駆け寄り、ぬれた体を気遣ってくれる態度に安心し、警戒を解いていきます。

血縁が二人を自動的に親子へ戻したのではなく、目の前で困っている薫をあゆみが助け、薫がその優しさを受け取ったことで、知らない者同士の信頼が一つ積み重なります。

あゆみが新しい服を買い薫と一緒に過ごす

あゆみは、ぬれてしまった薫のために新しい服を買います。護へ連絡するより先に二人で店へ向かったため、結果として帰宅は遅くなりました。

あゆみにとって、娘の服を選び、着替えを用意する時間は、失っていた母親としての日常を一瞬取り戻す経験です。誕生日会では友人として話を聞くだけでしたが、今回は薫の身の回りの世話を直接できます。

薫も、新しい服を選んでもらい、おやつや食事を共にする時間を楽しみます。母親だとは知らないからこそ、過去の傷や疑問に妨げられず、親切な大人としてあゆみへ自然に心を開いています。

一方、あゆみは薫との時間を喜びながらも、自分が誰なのかを言えません。母親として世話をする喜びと、娘に母親と呼ばれない痛みを同時に抱えています。

あゆみとの楽しい時間が帰宅の遅れへつながる

薫とあゆみは楽しい時間を過ごし、帰宅時間が遅くなっていきます。薫はあゆみに助けてもらった安心から、護がどれほど心配しているかをまだ想像できていません。

あゆみも、久しぶりに娘へ服を選び、一緒に食事をする喜びに心を奪われています。護へ連絡しなければならないという判断が遅れたことには、母親としての時間をもう少し続けたい気持ちも影響したと考えられます。

二人に悪意はありません。しかし、護から見れば、帰宅予定を過ぎても連絡がなく、薫の居場所が分からない状態です。

あゆみが薫を助けた事実と、保護者へ連絡せず長時間一緒にいた問題は、分けて考える必要があります。この説明がないまま、護は薫を失った最悪の事態を想像していきます。

薫を捜して川へ飛び込んだ護

会社から帰った護は、薫がまだ帰宅していないと知ります。最初は友達の家で遊んでいるだけだと考えますが、道に落ちた傘と川に浮かぶハンカチを見つけたことで、恐怖は一気に最悪の想像へ変わります。

帰宅していない薫を友樹と捜し始める護

護が仕事から帰っても、薫は家に戻っていません。夕食の時間が近づいているため、護は遊びに夢中になっているだけなのか、それとも何かあったのかと心配します。

友樹に案内され、護は薫が遊びに行ったまなみの家を訪ねます。しかし、まなみの家族から、薫はかなり前に帰ったと知らされました。

護はその言葉で、薫が友達の家にも自宅にもいない時間が長く続いていると知ります。単なる帰宅の遅れではなく、帰る途中で何か起きた可能性を考え始めます。

第2話では、双子がアイスを買いに出て迷子になり、第4話では友樹が雨の夜に一人で学校へ向かいました。子どもが大人の想像を超えて行動する危険を経験してきた護は、すぐに捜索を始めます。

道に落ちた薫の傘を見つける

護と友樹は、薫が通ったと思われる道を捜します。すると歩道に、薫の名前が書かれた傘が落ちていました。

普段なら、傘を落としただけだと考えられるかもしれません。しかし、薫が帰宅しておらず、友達の家を出てから長い時間がたっている状況では、不吉な手がかりに見えます。

護は、薫が自分の意思でどこかへ行ったのではなく、事故や事件へ巻き込まれた可能性を強く意識します。名前の書かれた持ち物だけが残り、本人がいないことに、純一郎を突然失った経験も重なったと考えられます。

友樹も薫の不在へ不安を募らせますが、護は自分の恐怖を抑え、さらに周囲を捜します。ところが川の近くで、今度は薫の物と思われるハンカチが見つかります。

川に浮かぶハンカチから最悪の事態を想像する護

護は川に薫の物らしきハンカチを見つけます。道に落ちた傘と川の中の持ち物がつながり、薫が川へ落ちたのではないかという考えに取りつかれます。

護は確認できた事実と自分の想像を区別できないほど追い詰められています。薫が川へ入った場面を見たわけではありませんが、最悪の可能性を考えずにはいられません。

純一郎の死は、護にとって突然でした。最後の電話を十分に聞けず、何もできないまま親友を失った後悔があるため、今度こそ大切な人を救わなければならないという焦りが生まれます。

護は薫を捜している現在と、純一郎を救えなかった過去を重ね、また自分の手が届かないところで家族を失う恐怖に支配されていきます。

護が川へ入り薫の名前を叫ぶ

護は川へ入り、薫の名前を何度も叫びます。服がぬれることも、自分の安全も気にせず、川の中に薫がいないか必死に捜します。

この行動は、護が薫をどれほど大切にしているかを示します。しかし同時に、恐怖によって冷静な確認ができなくなっている状態も表しています。

護は、薫を守る大人である自分が帰宅時間や行き先を十分に確認していなかったことへ、強い後悔も抱いたでしょう。子どもを失う可能性は、親としての責任を果たせなかったという自己否定へつながります。

友樹にとっても、護が川へ入り姉の名前を叫ぶ姿は強く残ります。後に薫へ、マルモがどれほど必死に捜していたかを伝えるのは友樹です。

薫が見つかったという連絡で恐怖が途切れる

護が川で捜していると、薫が見つかったという連絡が入ります。最悪の事態は避けられ、薫が生きていることが分かりました。

本来なら、その瞬間に護は安心し、薫を抱きしめたいはずです。しかし、極限まで高まった恐怖はすぐには消えません。

安堵した後、護の中には「なぜ連絡をしなかったのか」「誰が薫を連れ回したのか」という怒りが立ち上がります。自分がどれほど怖かったかを言葉にする代わりに、誰かへ責任を向けることで感情を処理しようとします。

薫を失う恐怖から解放された護は、その恐怖を悲しみや安堵として出せず、あゆみと薫を支配する怒りへ変えてしまいます。

安堵を怒りに変え、薫を傷つけた護

護が「クジラ」へ戻ると、新しい服を着た薫とあゆみがいました。薫の無事を喜ぶ前に護はあゆみを責め、部屋へ戻った後も薫へ二度と会わないよう命じます。

口論の末、薫の腕を振り払った勢いで、護の手が薫へ当たってしまいます。

新しい服を着た薫とあゆみを見つける護

「クジラ」へ戻った護は、無事な薫の姿を確認します。薫はあゆみに買ってもらった新しい服を着て、けがもなくそこにいました。

護は川へ落ちたかもしれない薫を想像し、命を失う恐怖にまで追い込まれていました。無事な姿を見た瞬間には、大きな安堵があったはずです。

しかし、護はその安堵を薫へ伝えません。心配した、無事でよかったと抱きしめる代わりに、あゆみへ強い口調で事情を問い、怒りをぶつけます。

薫から見れば、あゆみはぬれた自分を助け、新しい服を買い、楽しい時間を過ごさせてくれた人です。そのあゆみを護が責める理由が理解できません。

事情を聞きながらもあゆみへ帰るよう求める護

あゆみは、薫が車の水を浴びて服をぬらしたため、新しい服を買った経緯を説明します。薫を危険な場所へ連れ出したのではなく、困っているところを助けたのです。

ただし、護へ連絡せず長時間一緒に過ごしたことは問題です。護が心配した事実や、保護者として居場所を把握できなかった状況について、あゆみにも配慮が足りませんでした。

護はその点を落ち着いて伝えるのではなく、あゆみへ責任を一方的に向け、帰るよう求めます。あゆみが実母であることと、現在の保護者が護であることをめぐる緊張も、怒りを強めています。

護は薫の安全を守ろうとしている一方、あゆみが薫へ自然に近づき、母親として世話をしたことに、自分の家族を奪われる恐れも感じています。

あゆみが反論せずその場を離れる

あゆみは護へ強く反論せず、その場を離れます。薫と一緒に過ごしたことには保護者へ連絡しなかった問題があり、護が激しく心配したことも理解しているのでしょう。

同時に、あゆみは母親だと名乗れないため、自分には薫と過ごす権利があると主張できません。実の娘を助け、服を買ったとしても、現在の双子にとって自分は護の友人にすぎません。

あゆみが黙って去ったことで、薫には護だけが一方的に優しい女性を追い出したように見えます。母親問題の全体を知らない薫は、護の怒りを理解するための情報を持っていません。

護は子どもを守るため真実を伏せてきましたが、その嘘によって、自分の行動を薫へ説明できなくなっています。

薫があゆみに冷たくした護を責める

部屋へ戻った薫は、あゆみに冷たくした護を責めます。薫にとって、あゆみは自分を助けてくれた人であり、護が謝るべき相手に見えています。

護は薫へ、今後あゆみには会わないよう求めます。しかし、あゆみがなぜ特別に警戒すべき人物なのかは説明しません。

薫は理由を教えられないまま行動だけを禁止され、納得できません。第6話で護は、嫌いになっても家族だと話し、本音を出してよい関係を約束しました。

その薫が疑問や怒りを口にすると、護は対話より命令を優先します。護は家族を守ろうとするあまり、薫自身が誰と会い、何を感じたのかを聞く余裕を失っています。

護の恐怖が「もう会うな」という支配へ変わる

護があゆみに会ってほしくない理由には、薫が母親の存在を知って混乱する危険があります。また、あゆみが再び突然姿を消せば、薫の見捨てられ不安を深める可能性もあります。

しかし護は、その懸念を薫へ説明できません。母親は亡くなったと信じている薫へ真実を伏せたまま、ただ会うなと命じます。

護の保護欲は、薫のために危険を判断する責任から、薫の人間関係を自分だけで決める支配へ変わり始めています。薫を失いたくない気持ちが強いほど、護は薫を自分のそばへ閉じ込めようとします。

愛情は相手を守る力になりますが、喪失への恐怖を処理できなければ、相手の意思を奪う支配や加害にも変わります。

薫の腕を振り払った勢いで護の手が当たる

口論が続く中、薫は護の腕をつかみます。護がその腕を振り払った勢いで、手が薫へ当たり、叩く形になってしまいました。

この場面を、護が冷静に薫へ平手打ちをしたと断定するのは正確ではありません。しかし、意図的でなかったとしても、護の動作によって薫が傷つけられた事実は変わりません。

護は大人であり、薫は小学校一年生の子どもです。恐怖や怒りが高まっていたとしても、力の差がある相手へ身体的な傷を与えた責任は護にあります。

護が薫を心配していたことは行為の原因を説明しますが、加害を仕方のないものにはしません。心配したから許されるのではなく、恐怖を怒りとして薫へ向けた自分と向き合う必要があります。

薫が「大嫌い」と言い物置へこもる

護の手が当たった薫は、強い衝撃を受けます。痛みだけでなく、嫌いと言っても離れないと約束したマルモから、身体的に傷つけられたことへの恐怖があります。

薫はマルモなど大嫌いだと言い、物置へこもります。第6話でも薫は護へ嫌いと言いましたが、そのときは理解してもらえない悲しみから出た言葉でした。

今回は、信頼していた大人に手を当てられた直後です。薫の「嫌い」には怒りだけでなく、護を安全な存在として信じてよいのか分からなくなった戸惑いが含まれます。

護も、自分が何をしたのか理解し、言葉を失います。謝らなければならないと分かっていても、罪悪感と自己否定によって薫へ近づけず、家庭内には重い沈黙が残ります。

父親としての失敗と陽介の言葉

薫と口をきけないまま出勤した護は、職場で商品開発部への異動可能性を知らされます。仕事では評価を得る一方、家庭では親として最も深刻な失敗をしたことで、護は自分に双子を育てる資格があるのか思い悩みます。

鮫島から商品開発部への異動可能性を告げられる

翌日、護は鮫島から呼び出され、商品開発部への異動の可能性があると知らされます。顧客の声をもとに考えた新商品の企画が評価され、護の仕事に新しい道が開き始めています。

以前の護なら、商品開発部への異動を素直に喜んだかもしれません。自分の案を形にする仕事は、お客様相談室で苦情を受け続けるより華やかに見えます。

しかし現在の護には、薫と友樹との生活があります。部署が変われば働き方や時間がどう変化するのか、家庭と両立できるのかを考えなければなりません。

さらに、家庭では薫を傷つけた直後です。職場で認められる自分と、家で親として失敗した自分の落差が大きく、護は異動の話を単純には喜べません。

かなと元の同僚へ戻ろうと話す護

護は、別れて以来きちんと顔を合わせていなかったかなと再会します。気まずい関係を残さないため、以前の同僚として接していこうと話しました。

かなとの別れは、護が双子を家族として手放せない自分を知る出来事でした。しかし、恋愛が終わったからといって、職場で相手を避け続けるわけにはいきません。

護はかなとの関係にも区切りをつけ、仕事上の仲間として戻ろうとします。第8話で家族を隠したことへの責任を考えれば、以前とまったく同じ関係には戻れなくても、互いを否定せず働くための選択です。

仕事や恋愛では少しずつ整理を進められる護ですが、最も近い薫には、まだ謝罪の言葉を出せません。

食卓で薫の機嫌をうかがう護

夜、護は薫の機嫌をうかがうように話しかけます。しかし薫は護と口をきこうとしません。

護は何事もなかったように食事の会話へ戻ろうとしますが、薫が求めているのは機嫌を直すための雑談ではありません。自分を傷つけたことについて、護がどう考えているのかを聞きたいのです。

護は謝罪すれば、自分が親として失格だと認めることになるように感じ、言葉を出せないのかもしれません。しかし、失敗を認めないまま日常へ戻ろうとする方が、薫の信頼をさらに傷つけます。

友樹は、護と薫が互いを気にしながら直接話せない様子を見ています。家族の沈黙を終わらせるため、友樹は二人の間へ入ります。

友樹が糸電話で護と薫の間をつなぐ

友樹は、護と連絡を取るための糸電話を作ります。同じ家にいるのに直接話せない二人を、細い糸でつなごうとする子どもらしい仲介です。

護は糸電話を通じ、薫へ素直に謝れないと友樹へ打ち明けます。友樹は、仲直りのための仕草として「ペコりんこビーム」を教えると約束します。

友樹の行動は、けんかの原因を理解して解決するものではありません。それでも、護が謝罪へ近づくための入口を作り、薫と護が完全に孤立することを防ぎます。

友樹は無邪気な言葉や遊びによって、護と薫が直接口にできない「本当は仲直りしたい」という気持ちを表面へ出します。

陽介へ薫を傷つけたことを相談する護

護は、薫を叩く形になってしまったことや、仲直りできないことを陽介へ相談します。自分は親として失格ではないかと落ち込み、双子を育てる資格そのものを疑っています。

陽介は、子どものことを本気で考え、傷つけたことに苦しんでいる護は、すでに親なのだと励まします。この言葉は、護の行為を正当化するものではありません。

むしろ、親であるなら、傷つけた相手へ謝り、同じことを繰り返さない責任を引き受けなければならないと示しています。失敗したから親ではないと逃げるのではなく、親だから修復へ動く必要があります。

陽介が護へ与えた「親」という承認は免罪符ではなく、薫を傷つけた責任から逃げないための立場です。

父の日の仲直りと明かされた母親の写真

薫は、護が自分たちへ服を買おうとしていたことや、帰らない自分を捜して川へ入ったことを知ります。護の加害が消えるわけではありませんが、護も自分を失う恐怖で傷ついていたことを理解し、父の日の贈り物を準備します。

薫が服へ印をつけたチラシを見つける

護が純一郎の墓参りへ出かけている間、薫と友樹は家の中で、洋服に印がつけられたチラシを見つけます。護がボーナスで二人へ新しい服を贈ろうとしていた証拠です。

薫は、護が普段から自分たちのことを考えていたと知ります。あゆみが新しい服を買ってくれたことへ護が怒ったため、護には自分を喜ばせる気持ちがないように感じていたかもしれません。

しかし実際には、護も薫と友樹の服を選ぼうとし、同僚へ相談していました。あゆみへの怒りは、薫へ物を与えたくなかったからではなく、連絡なく薫と過ごしたことや、実母として近づくことへの恐怖から出ています。

薫は護の行動のすべてを許すわけではありませんが、護が自分を大切にしていないという見方は少し揺らぎます。

友樹から護が川へ入って捜したと聞く薫

友樹は薫へ、帰宅しなかった姉を捜すため、護が川へ入り、何度も名前を叫んでいたことを話します。薫は、自分があゆみと楽しく過ごしていた間、護が命の危険まで想像していたと知ります。

護が心配したから薫を傷つけてもよいわけではありません。ただ、護の怒りが自分を嫌っていたためではなく、失うことへの恐怖から生まれたと分かります。

第6話で薫は、護から嫌われれば家を追い出されるのではないかと恐れました。今回は反対に、護も薫を失うことを強く恐れていると知ります。

薫が受け取ったのは暴力の言い訳ではなく、自分がマルモにとって失いたくない家族であるという事実です。その理解が、護の謝罪を受け取る準備へつながります。

陽介から護も傷ついていると聞く薫

陽介は薫へ、護も自分のしたことに傷つき、苦しんでいると伝えます。護をかばって薫へ我慢を求めるのではなく、二人がそれぞれ傷を抱えていると説明します。

薫は手を当てられた側であり、まず護が謝るべきです。その立場は変わりません。

ただし、護が何も感じず日常へ戻ろうとしているのではなく、自分の行為を後悔し、どう謝ればよいか分からずにいると知ることで、薫は護を完全な敵として見なくて済みます。

家族の修復には、加害した側の責任を明確にしながら、相手が謝罪へ進もうとしていることを伝える第三者の存在も必要です。陽介と友樹は、それぞれ異なる方法で二人の間をつなぎます。

双子が父の日の手紙と金メダルを用意する

薫と友樹は、父の日に護へ感謝を伝えるため、手紙と手作りの金メダルを準備します。護が純一郎の墓参りから帰ると、双子は物置で宿題をしていると伝えられます。

護は二人を待つうちに眠ってしまいます。目を覚ますと、首には金メダルがかけられ、机には感謝の手紙が置かれていました。

手紙には、マルモが一番大好きだという気持ちが記されています。正確な全文を補う必要はありませんが、双子が護を父親という肩書ではなく、マルモとして深く慕っていることが伝わります。

父の日の贈り物は、護が失敗しなかったから渡されたのではなく、失敗しても自分たちを捜し、世話をし、同じ家へ帰る人として認められた証しです。

護が土手まで双子を追いお礼を伝える

手紙を読んだ護は、部屋を飛び出し、彩とムックの散歩へ出ていた双子を追います。土手で薫と友樹を見つけると、贈り物へのお礼を伝えました。

双子も、父の日だから改めて感謝したのだと説明します。護は実の父親ではありませんが、食事を作り、洗濯や掃除をし、学校や病気に対応しています。

薫と友樹は、父親の役割だけでなく、母親のように家事をする役割も護が担っていると感じています。そのため、父の日も母の日もマルモの日だという思いを伝えます。

護は、血縁も正式な父親という肩書もない自分が、双子の生活の中では両親に近い役割を持っていると知り、涙を流します。

「ペコりんこビーム」で護が薫へ謝る

護は、友樹から教わった「ペコりんこビーム」の仕草を使い、薫へ謝ります。コミカルな形ではありますが、護が大人の威厳へこだわらず、子どもの方法を借りて頭を下げる行動です。

薫は、護の加害を忘れたわけではありません。護が自分を心配していたことや、自分の行為を後悔して謝ろうとしていることを受け取り、仲直りを選びます。

重要なのは、薫が父の日の贈り物を渡したから護の行為が許されたのではないことです。護が謝罪し、薫の傷を認め、二人が関係を続ける意思を示したことで修復が始まります。

家族の仲直りとは傷をなかったことにすることではなく、傷つけた側が責任を認め、傷つけられた側が自分の意思で再び関係へ戻ることです。

家族写真をアルバムへ貼る護

夜、護はこれまで三人で撮ってきた写真をアルバムへ貼り、整理します。誕生日、学校、日常の風景が積み重なり、三人の家族には現在の歴史ができ始めています。

護は、写真を残すことで、薫と友樹との生活を形にしようとします。血縁を証明する写真ではなく、一緒に過ごした時間を証明する記録です。

第7話では、幼い双子を知らない護が保育園の連絡帳から過去を受け取りました。今回は、護自身がこれからの双子へ残す記録を作っています。

しかし、そのアルバムの近くには、護が薫と友樹へ見せないよう隠してきた別の家族写真がありました。

薫があゆみと純一郎の写る写真を見つける

深夜、トイレに起きた薫は、机の下へ写真が落ちていることに気づきます。アルバムを取り出すと、そこから包みが落ちました。

ムックは慌てて包みを隠そうとしますが、薫はそれを取り上げ、中身を確認します。そこに写っていたのは、あゆみ、純一郎、そして赤ちゃんの頃の薫と友樹です。

薫は、自分たちと純一郎のそばに、護の友人として紹介されたあゆみがいることへ気づきます。偶然会い、服を買ってくれた女性が、過去の家族写真に写っている事実は、母親との関係を強く示しています。

ムックの声で目を覚ました護が部屋へ来ると、薫は写真を手に、母親は生きていて、あゆみなのかと尋ねました。

第9話の結末で修復されたばかりの護と薫の信頼は、護が母親の真実を隠していたという別の問題によって、再び大きく揺らぎ始めます。

ドラマ『マルモのおきて』第9話の伏線

マルモのおきて 9話 伏線画像

第9話では、護が双子を家族として社会の中へ開き始めた一方、母親の真実だけは家庭内へ隠し続けています。薫を守るための秘密だったはずが、写真の発見によって、子どもの過去を本人へ知らせない嘘として表面化しました。

また、商品開発部への異動可能性や彩の元夫の再婚は、護と彩の生活が次の段階へ進む可能性を示します。ただし、第9話時点では、仕事や恋愛の結末へ直結させず、人物が自分の将来を選び直す材料として見る必要があります。

薫を失う恐怖と護の加害に残る伏線

護は薫を失ったと思い、川へ入り、名前を叫びます。その恐怖が再会後の怒りへ変わり、あゆみを追い返し、最後には薫を傷つけます。

愛情と加害が同じ人物の中に共存することが、今後の親子関係へ重い課題を残しました。

双子へ新しい服を買おうとした護の父性

第9話の冒頭で、護はボーナスを使って双子へ服を買おうとします。職場でも二人の話を自然にし、保護者としての生活を隠さなくなっています。

この場面だけを見れば、護は双子を大切にする立派な父親に近づいています。しかし、その同じ回で薫を傷つけるため、愛情があれば加害をしないとは限らないことが示されます。

服を買おうとする優しさも、川へ入って捜す必死さも本物です。それでも、恐怖や怒りを制御できなければ、守りたい相手へ力を向けてしまいます。

護の父性を評価するには、愛情の強さだけでなく、自分の感情を子どもへぶつけず、失敗後に責任を取れるかを見る必要があります。

川で薫を捜す護が純一郎の喪失をなぞる

護は、薫の傘とハンカチを見つけ、川へ落ちたと考えます。そこには、純一郎を突然失い、最後の電話を聞けなかった過去が重なっているように見えます。

純一郎の死では、護は何もできませんでした。薫の捜索では、自分の体を川へ入れ、今度こそ救おうとします。

過去の後悔が護を行動へ動かす一方、最悪の想像へ急速に支配される原因にもなっています。薫が無事だった後も感情を切り替えられず、恐怖が怒りとして残ります。

護が今後、純一郎を失った悲しみと、薫や友樹の現在を分けて考えられるかが重要です。過去の喪失を埋めるために双子を守ろうとすれば、二人の意思より護自身の不安を優先しかねません。

あゆみへ向けた怒りに混ざる家族を奪われる恐れ

護があゆみを責めた理由には、保護者へ連絡せず薫と長時間過ごした問題があります。薫の居場所を知らせる責任を考えれば、護が怒ること自体には理解できる部分があります。

しかし、護は事情を聞いた後も、あゆみへ帰るよう求め、薫にも二度と会うなと命じます。そこには安全上の懸念だけでなく、あゆみが薫と自然に親しくなることへの恐れがあるように見えます。

第8話でかなから、護と双子はすでに家族だと言われた直後です。その家族の前へ実母が入れば、自分の役割が奪われるのではないかという不安が動きます。

家族を所有しない愛情を持つには、護が一番必要とされ続けることより、薫と友樹に必要な関係を考える必要があります。

手が当たった事実を「事故」だけで終わらせないこと

護は、薫の腕を振り払った勢いで叩く形になりました。故意に平手打ちしたと断定するのは正確ではありませんが、偶然手が触れただけともいえません。

護は怒りの中で強い動作を取り、その結果、子どもへ身体的な傷を与えました。意図がなかったことは責任を消しません。

今後重要なのは、護が「叩くつもりはなかった」と自己弁護するのか、薫が怖い思いをした結果へ責任を持つのかです。第9話では謝罪へ進みましたが、同じことを繰り返さない行動まで求められます。

親として成長するとは、自分の愛情を説明することではなく、自分の行動が子どもへ与えた傷を基準に考え直すことです。

仕事と家族の両方で認められた護の伏線

護は商品開発部への異動可能性を知らされ、陽介からはすでに親だと認められます。仕事と家庭の両方で役割を広げる機会が訪れますが、その承認には新しい責任も伴います。

商品開発部への異動可能性が生活へ与える影響

護が提案した新商品の企画は、顧客の苦情を受け止めてきた経験から生まれています。商品開発部への異動可能性は、護の仕事上の成長が評価された結果です。

一方、新しい部署へ移れば、勤務時間や仕事の内容が変わる可能性があります。薫と友樹の学校生活との両立や、急な病気への対応がどうなるかは、第9話時点では分かりません。

護は家族のために仕事を諦めるのでも、仕事のために家族を隠すのでもない形を探し始めています。異動話は、家庭と仕事の両方を続けられるかを改めて問う材料です。

かなと同僚へ戻る選択

護は、かなとの恋愛関係を無理に取り戻そうとせず、同僚として関係を作り直そうとします。失恋をなかったことにはできませんが、仕事の場で互いを避け続けないための整理です。

第8話では、護が家庭の存在を隠したため、かなには交際を選ぶための十分な情報がありませんでした。護が自分の説明不足を理解し、かなへ別の関係を強要しないことには意味があります。

恋愛での失敗を受け止める経験は、薫との関係にも重なります。相手が自分を許してくれるまで待つのではなく、自分から責任を認め、適切な距離を作る必要があります。

陽介の「もう親だ」という承認

陽介は、子どものことを本気で考え、傷つけたことで苦しむ護を親だと認めます。この言葉は、血縁がなくても日常の責任を積み重ねた護への評価です。

ただし、親と認められたから行為が許されるわけではありません。親だからこそ、謝罪と再発防止の責任が明確になります。

護が「自分は父親ではないから失敗した」と逃げれば、薫を傷つけた責任まで立場の曖昧さへ押しつけることになります。陽介の言葉は、護を逃がさず、親として修復へ戻すものです。

親であることは失敗しない資格ではなく、失敗した後も子どもの前から逃げず、関係を直す責任を持つことです。

糸電話で家族をつなぐ友樹の役割

護と薫が直接話せない中、友樹は糸電話を作ります。友樹は事件の中心にはいませんが、姉と護の沈黙によって家族全体が苦しくなっていることを感じています。

友樹は護へ仲直りの方法を教え、謝罪へ進むための形を与えます。無邪気な「ペコりんこビーム」は、護が大人としての意地を捨てるきっかけになります。

友樹は薫の傷を代わりに解決するのではなく、二人が直接向き合う入口を作ります。家族の本音を表面化させる友樹の役割が、今回も重要です。

父の日と母親の写真が示す家族の真実

父の日の手紙は、護が生活の中で親になった証しです。しかし同じ夜、薫は実母あゆみの写真を見つけます。

育てる人への感謝と、生みの親を知る権利が、同時に家族へ持ち込まれます。

父の日の贈り物が護を親として認める

薫と友樹は、護へ金メダルと感謝の手紙を贈ります。護は実の父親ではありませんが、毎日の食事、学校、病気、けんかへ向き合っています。

双子にとって親とは、名字や血縁だけで決まる人ではありません。困ったときに帰り、失敗しても仲直りし、日々の生活を支える人です。

父の日と母の日の両方をマルモの日だと考えた言葉には、護が一人で複数の役割を担ってきたことへの感謝があります。血縁のない護が生活によって親になった証しです。

彩の元夫の再婚が示す再生の段階

彩は元夫から腕時計を返し、再婚を知らされます。この出来事によって、過去の結婚生活はさらに遠いものになります。

彩はこれまで護と双子を支えることに多くの時間を使ってきましたが、自分自身の再生も必要です。元夫の再婚を、護との恋愛が成立する合図と断定することはできません。

ただし、過去へ残していた物を返し、相手が新しい生活へ進むと知ったことで、彩も自分の今後を考える段階へ入ったと受け取れます。

写真があゆみと双子の血縁を可視化する

薫が見つけた写真には、あゆみ、純一郎、赤ちゃんの頃の双子が写っています。護の説明がなくても、四人がかつて家族だったことを強く示す構図です。

第7話であゆみは護の友人として紹介されました。薫はその説明を信じていたため、写真は護の言葉と目の前の証拠が食い違う瞬間になります。

写真は血縁を証明するだけでなく、護が双子の過去を意図的に隠していたことも明らかにします。家族を守るためだった嘘が、薫の知る権利と衝突します。

守るための嘘が信頼を壊す嘘へ変わる

護があゆみの存在を隠したのは、薫と友樹を突然の真実から守るためでした。母親は亡くなったと信じる二人へ、実は生きていると伝えるには慎重さが必要です。

しかし、慎重に伝える時期を考えることと、子どもへ何も知らせないまま関係を操作することは違います。薫は、あゆみに会うなと命じられ、理由も教えられず、その後自分で写真を発見しました。

秘密が子どもの安全を守る段階を越え、子どもが自分の過去を知る機会を奪い始めたとき、保護のための嘘は信頼を壊す嘘へ変わります。

第9話のラストで、護は母親の真実に答えなければならない場所へ追い込まれます。ただし、この時点では、護が何を答えるのか、薫がどう受け止めるのかはまだ明らかになっていません。

ドラマ『マルモのおきて』第9話を見終わった後の感想&考察

マルモのおきて 9話 感想・考察画像

第9話は、護の愛情を最も強く描きながら、その愛情が加害へ変わる危険も隠さなかった回です。川へ入って薫を捜す姿だけなら、護は子どものために命懸けで動く立派な親に見えます。

しかし、その恐怖を自分で処理できず、薫へ怒りをぶつけ、手を当ててしまいました。本作は護の心配を感動だけで終わらせず、親の強い感情が子どもを傷つける可能性まで描いています。

護の恐怖は理解できても加害の正当化にはならない

薫が帰らず、傘やハンカチが見つかれば、護が最悪の事態を想像するのは自然です。しかし、どれほど怖かったとしても、その感情を薫へ身体的に向けた責任は消えません。

川へ飛び込んだ行動に見えた本物の愛着

護は薫が川へ落ちたと思い、ためらわず水へ入ります。双子を引き取った当初のような、純一郎への罪悪感だけでは説明できない行動です。

護にとって薫は、親友から預かった子どもではなく、自分が失いたくない家族になっています。薫の命が危険だと考えた瞬間、自分の安全より捜すことを優先しました。

この愛着は本物です。だからこそ、その直後に薫を傷つけた事実が重くなります。

深く愛していることと、安全な大人でいられることは同じではありません。愛情があっても、恐怖や怒りを制御する力がなければ、子どもにとって危険な存在になる可能性があります。

安堵を言葉にできず怒りへ変えた護

護は薫を見つけた瞬間、「無事でよかった」と言えません。代わりにあゆみを責め、薫へ命令し、反論されるとさらに感情を高ぶらせます。

これは、強い恐怖の後に怒りが出る典型的な流れにも見えます。怖かった、失いたくなかったと認めるより、相手が悪いと責める方が、自分の弱さを隠せるからです。

護は父親らしく強くいようとするあまり、自分が薫を失うのを怖がっていたと口にできません。その結果、愛情の言葉になるはずだった感情が、支配的な「会うな」へ変わります。

護に必要だったのは、あゆみへ問題点を伝える前に、薫の無事を確認し、自分がどれほど心配したかを落ち着いて話す時間でした。

意図がなかったことと責任がないことは違う

護は薫を故意に平手打ちしようとしたわけではなく、腕を振り払った勢いで手が当たりました。動作の経緯は慎重に書く必要があります。

しかし、「わざとではない」ことを中心にすれば、薫が受けた恐怖や痛みが後回しになります。大人の強い動作によって子どもが傷ついた以上、結果への責任があります。

護が親として成長するために必要なのは、自分の意図を説明して理解してもらうことではありません。薫が怖かったことを認め、二度と同じ形で感情をぶつけない方法を考えることです。

「愛情ゆえ」「心配したから」という言葉は原因の説明にはなっても、加害を軽くする理由にはなりません。

謝罪できない護にも残っていた自己防衛

護は、自分が薫を傷つけたと理解しながら、すぐに謝れません。食卓では機嫌をうかがい、普通の会話へ戻そうとします。

謝れば、自分が親として失格だと認めることになるように感じていたのかもしれません。護の自己否定は深いものですが、その苦しさを優先すると、薫は謝罪を受けられないままになります。

親が自分を責め続けることは、子どもへの責任を果たすこととは違います。必要なのは「自分は駄目だ」と落ち込むことではなく、「自分が悪かった」と相手へ言い、行動を変えることです。

薫があゆみをかばった理由

薫は母親とは知らず、あゆみを自分へ優しくしてくれた女性として見ています。そのため、事情を説明せずあゆみを追い返す護は、薫には恩人を傷つける不公平な大人に見えました。

薫にとってあゆみは自分を助けた優しい女性

あゆみは、ぬれた薫へ駆け寄り、抱きしめ、新しい服を買います。薫はあゆみの過去も、母親として家を出た事実も知りません。

薫が判断できるのは、目の前で自分へ何をしてくれたかです。その基準では、あゆみは困っている自分を助け、楽しい時間をくれた人です。

護が何の説明もなくあゆみを責めれば、薫が反発するのは自然です。護が正しい保護者で、あゆみが危険な人物だという前提は、薫には共有されていません。

子どもへ真実を隠しながら、大人の判断だけへ従わせようとすることには限界があります。

護の命令が薫の意思を無視している

護は薫へ、あゆみにはもう会うなと命じます。双子を守るための判断ですが、薫があゆみをどう感じたのかは聞きません。

薫は第6話で、自分の傷を聞かず隼人へ謝罪を求めた護へ反発しました。今回も、護は自分が正しいと考える結論へ急ぎ、薫の経験を置き去りにします。

家族を守る責任は、子どもの意思をすべて優先することではありません。しかし、危険を説明せず、質問も許さず、会う相手を禁止するだけでは信頼を作れません。

護があゆみの存在をどう伝えるか決められずにいる間、薫の側ではすでにあゆみとの関係が始まっています。

薫は護の一方的な拒絶を不公平だと感じる

薫は、あゆみに助けてもらった自分だけが事情を知っています。護は川へ飛び込むほど心配しましたが、その姿を薫は見ていません。

そのため、二人が見ている出来事は大きく違います。護には「連絡なく薫と過ごしたあゆみ」、薫には「困っていた自分を助けてくれたあゆみ」です。

互いの情報が共有されないまま、どちらが正しいかを争えば衝突します。父の日の仲直りは、友樹や陽介が二人の知らない事情を伝えたことで初めて可能になります。

家族の衝突を修復するには、相手の行動を評価する前に、相手が何を見て、何を知らなかったのかを共有する必要があります。

父の日の贈り物が示した護の親としての位置

父の日の手紙と金メダルは、護を免責するための道具ではありません。薫と友樹が、傷つける失敗をした護も含め、日常の中で親としての役割を担ってきたと認める贈り物です。

血縁ではなく日常で親になった護

護には薫と友樹との血縁がなく、制度上の父親と断定することもできません。それでも二人は、父の日に護へ感謝します。

護が毎日食事を作り、洗濯し、学校や病気へ対応してきたからです。親であることは一度の宣言ではなく、日々の責任を積み重ねることで双子の中へ定着しています。

父の日も母の日もマルモの日だという考えは、護が純一郎やあゆみを上書きしたという意味ではありません。現在の生活で、両方に近い役割を担っていることへの感謝です。

贈り物は薫が傷を忘れた証拠ではない

薫が金メダルを用意したからといって、手を当てられた恐怖が消えたわけではありません。薫は、護の愛情を知ったうえで、謝罪を受け取る方を選びました。

子どもが大人を許した場面を、問題が小さかった証拠として扱うべきではありません。薫は護を失いたくない気持ちも持っており、関係を続けるために許そうとする可能性があります。

だからこそ護には、仲直りできたことで安心せず、自分の怒りの扱い方を変える責任が残ります。

ペコりんこビームが謝罪を行動へ変える

護は、自分の言葉だけでは謝れず、友樹の教えた仕草を借ります。大人から見れば幼い遊びですが、薫と同じ世界へ降り、頭を下げるための方法です。

謝罪は完璧な言葉を用意することではありません。間違いを認め、相手へ近づき、関係を直したい意思を見せることです。

護が友樹の方法を使ったことで、家族全員が修復に関わります。友樹が橋を作り、護が謝り、薫が受け取るという形です。

第9話の仲直りが温かいのは、傷が小さかったからではなく、三人が傷を残したまま関係を終わらせない行動を選んだからです。

写真の発見で「守るための嘘」が問われる

父の日で親として認められた直後、護は母親の真実を隠していた大人として薫に問われます。生活で築いた信頼があるからこそ、嘘をつかれていた衝撃も大きくなります。

家族写真は護の説明より強い証拠になる

薫は、あゆみ、純一郎、幼い双子が並ぶ写真を見つけます。言葉による説明がなくても、自分たちがかつて四人で家族だったことを理解できる写真です。

あゆみが単なる護の友人なら、赤ちゃんの頃の双子を抱き、純一郎と同じ写真に収まっている理由を説明できません。

薫が「あゆみが母親なのか」と尋ねるのは、子どもなりに事実をつなげた結果です。護はもう、知らない人だとごまかせる状況ではありません。

護の嘘には双子を守る目的があった

護は、母親が生きていると突然知らせれば、双子が混乱すると考えていました。あゆみが今後どうしたいのかも定まらず、真実を伝える準備が不足していたことは確かです。

子どもへ重い事実を伝えるには、時期と方法を選ぶ必要があります。その意味で、すぐ話さなかった判断には理解できる部分があります。

しかし、あゆみへ会うなと命じ、写真を隠し、子どもの質問を避け続ければ、保護ではなく情報の支配になります。薫の過去は護だけのものではありません。

父の日の信頼と母親を隠した不信が同時に生まれる

薫はその日、護へ父の日の贈り物を渡し、仲直りしました。マルモが自分たちの大切な家族であることを確認したばかりです。

その直後、護が母親の存在を隠していたと気づきます。愛されている安心と、真実を知らされなかった不信が同時に生まれます。

護が家族だからこそ、薫は正直に話してほしかったと感じるでしょう。家族であることは、子どものためなら何を隠してもよい権利ではありません。

第9話が最後に残した問いは、子どもを傷つけないための嘘と、子どもの人生を本人から奪う嘘を、どこで分けるのかという問題です。

この時点では、護が薫へ何と答えるのか、母親の真実をどこまで話すのかは明らかではありません。第9話は、身体的な加害を謝って修復した護へ、今度は言葉と真実に対する責任を突きつけて終わります。

ドラマ「マルモのおきて」の関連記事

全話の記事のネタバレはこちら↓

次回以降の話についてはこちら↓

過去の話についてはこちら↓

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA

目次