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ドラマ「マルモのおきて」第5話のネタバレ&感想考察。節子が双子を認めた理由とハンバーグ・墓参りの意味

ドラマ「マルモのおきて」第5話のネタバレ&感想考察。節子が双子を認めた理由とハンバーグ・墓参りの意味

『マルモのおきて』第5話は、護、薫、友樹の関係が、部屋の中だけで成立する家族から、母親や職場にも認められる家族へ進んでいく回です。ところが、その変化のきっかけとなるのは、護がおたふく風邪で動けなくなるという、三人の生活基盤そのものを揺らす出来事でした。

護の母・節子は、血縁のない双子を独身の息子が育てていると知り、二人を親戚へ返すべきだと反対します。しかし節子が見ているのは、護の善意の美しさではなく、病気、食事、仕事、生活用品まで含めて子どもの毎日を守り続けられるのかという現実です。

第5話で問われるのは、護に双子への愛情があるかではなく、その愛情を続けられる生活と支援の輪が本当にあるのかという点です。この記事では、ドラマ『マルモのおきて』第5話のあらすじ&ネタバレ、伏線、感想と考察について詳しく紹介します。

目次

ドラマ『マルモのおきて』第5話のあらすじ&ネタバレ

マルモのおきて 5話 あらすじ画像

第4話では、護の何気ない言葉を信じた友樹が、雨の夜に学校の花壇へ向かい、高熱を出しました。護は自分の言葉と判断の責任を知り、体調が悪いときには我慢せず伝えるという趣旨のおきてを加えます。

友樹は回復したものの、その直後、今度は護自身が体調を崩します。家族を守る唯一の大人だと思われていた護が動けなくなったことで、三人の生活が護一人の健康に依存していた危うさが、早くも表面化することになりました。

おたふく風邪で動けなくなった護

友樹を看病していた護に、高熱と頬の腫れが現れます。病院でおたふく風邪と診断された護は、薫と友樹への感染を避けるため別室へ移され、自分が世話をする側から世話をされる側へ変わります。

友樹の回復直後に高熱を出した護

雨の中で学校へ行った友樹は、護に病院へ運ばれ、風邪と診断されました。三日後には学校へ行けるほど回復し、護もようやく安心しますが、今度は護自身に異変が起きます。

護は激しいくしゃみをした後、体調を崩して倒れます。友樹を背負って病院へ走った疲れや看病の負担も重なっていたように見えますが、やがて高熱に加え、頬の腫れまで現れました。

第4話の終盤で護は、家族全員が健康を守るため、うがいや手洗いをする趣旨のおきてを作ったばかりです。その直後に自分が病気になる展開は、正しいことを教えるだけでは生活を守れず、大人自身も無理をせず休む必要があると示しています。

薫と友樹は、いつも自分たちの食事や学校の準備をしてくれるマルモが動けなくなり、心配します。二人にとって護はすでに、家にいるのが当たり前の大人になっているため、その不在や弱った姿は生活そのものが崩れる不安につながります。

病院でおたふく風邪と診断される護

護は病院で診察を受け、おたふく風邪だとわかります。頬が大きく腫れた護の姿にはコミカルな部分もありますが、家庭にとっては笑って済ませられない事態です。

護が寝込めば、食事を作り、学校へ送り出し、緊急時に判断する大人がいなくなります。薫と友樹は小学校へ入ったばかりであり、二人だけで数日間の生活を維持できる年齢ではありません。

さらに、感染する可能性があるため、護は双子と近い距離で過ごせません。子どもを心配していても自分から世話をすれば感染させる危険があり、護は物理的にも親としての役割から外れざるを得なくなります。

護が病気になっただけで家庭が回らなくなることは、三人の家族が愛情では成立していても、生活を支える仕組みとしてはまだ脆いことを示しています。

感染を避けるため別室へ隔離される護

双子への感染を防ぐため、護は生活の中心だった部屋を離れ、別室で休むことになります。いつもなら護が薫と友樹の様子を見守っていますが、今回は二人が護の体調を気にしながら過ごします。

護は部屋にいながら双子の世話ができず、自分がいない時間に二人が困らないかを心配します。第4話では、出張中に友樹が高熱を出し、薫からの電話を受けて帰宅しました。

今回は外出ではなく病気のため、異変に気づいてもすぐ動けません。

護が双子を育てると決めたとき、病気で自分が動けなくなる場合まで十分に想定していたとは考えにくいでしょう。家族を持つ責任には、元気な日に世話をするだけでなく、自分が倒れたときの代わりを準備することも含まれます。

陽介や彩は、護の体調と双子の生活を気にかけ、できる範囲で支えようとします。三人だけの家庭で起きた病気を、「クジラ」の人々が外側から支えることで、子育てが一人の大人だけでは成り立たないことが改めて示されます。

護の体調を心配して母・節子が上京する

護がおたふく風邪で寝込んでいるところへ、母の高木節子が上京してきます。節子は、病気になった息子の面倒を見るつもりで護の部屋を訪れました。

ところが、節子が目にしたのは一人暮らしをしているはずの息子だけではありません。部屋には小学生の薫と友樹がおり、二人は護を「マルモ」と呼び、家族のように生活しています。

護はこれまで、双子を育て始めたことを母親へきちんと伝えていませんでした。自分の決断に反対されると考えたのか、説明する余裕がなかったのかは明確ではありませんが、節子にとっては、息子の人生が知らないうちに大きく変わっていたことになります。

節子は双子の存在に驚き、護へ説明を求めます。こうして、これまで護、薫、友樹と身近な協力者の間で進んできた共同生活が、護を育てた母親から初めて厳しく問われることになります。

双子を返すべきだと反対する母・節子

節子は薫と友樹を嫌っているから反対するのではありません。子どもを育てた経験を持つ母親として、独身で仕事を続ける護が、感情だけで二人の人生を背負おうとしていないかを疑います。

一人暮らしのはずの息子の家で双子と対面する節子

節子は護の部屋で、薫と友樹に初めて会います。双子も、突然現れた護の母親をどのように受け止めればよいかわからず、緊張します。

薫にとって節子は、マルモの家族です。第2話までの薫は、親戚や大人の判断によって自分の住む場所が変わる経験をしているため、節子が自分たちを受け入れるかどうかは、今の家を守れるかにも関わります。

友樹は比較的素直に相手へ近づきますが、薫は節子の反応を注意深く見ています。自分たちが護へ迷惑をかけていると思われれば、親戚へ返されるかもしれないという見捨てられ不安が再び動いたと考えられます。

一方の節子も、双子そのものを責めることはしません。驚きや困惑を向ける相手は、重要な決断を何も相談せず進めていた息子の護です。

護が純一郎の死と双子を引き取った経緯を説明する

護は節子に、親友の笹倉純一郎が亡くなったこと、その後、薫と友樹が別々の親戚へ引き取られることになった経緯を説明します。二人が離れたくないと望み、自分も一緒にいたいと思ったため、育てることを決めたと伝えました。

護にとっては、双子を追いかけて自分の意志で選んだ大切な決断です。薫と友樹も護との暮らしを望み、護の部屋を家として生活しています。

しかし節子から見れば、その決断には感情が先行しています。純一郎への罪悪感、離される双子への同情、二人から必要とされる喜びが、長期的な子育ての計画より先に護を動かしたことは否定できません。

節子は護の気持ちを完全に否定しているのではなく、その気持ちだけで十年単位の責任を続けられるのかと問います。護が二人を好きであることと、生活を守り続けられることは同じではないからです。

男一人で血縁のない双子を育てるのは無理だと反対する節子

事情を聞いた節子は、護が一人で薫と友樹を育てることに反対します。二人は親戚へ返した方がよいという節子の判断は、双子を拒絶する冷たさに見えるかもしれません。

しかし節子は、自分自身が子どもを育ててきた母親です。食事、洗濯、病気、学校、仕事との両立など、子育てが一時的な善意だけでは続かないことを経験として知っています。

実際、護はおたふく風邪になっただけで双子の世話ができず、節子や陽介、彩の力を借りています。護の判断力や愛情だけを疑っているのではなく、護一人へすべてを集中させた生活そのものを危険だと見ているのです。

節子が恐れているのは、護が今すぐ双子を愛せないことではなく、数年後に生活の重さへ耐えられなくなり、二人をもう一度手放すことです。その事態は、父親を失った双子に新たな見捨てられ体験を与えてしまいます。

節子が数日滞在して護の家庭を見極めようとする

節子は反対を告げた後、すぐに双子を連れ出したり、親戚へ連絡したりするのではなく、護のもとへしばらく滞在します。護がどのような環境で二人を育て、周囲にどのような支援者がいるのかを自分の目で確かめようとします。

護の説明だけを聞けば、親友の子どもを救った美しい話に見えます。しかし節子が知りたいのは、日々の食事が用意されているか、子どもが安心して暮らしているか、護が無理をしていないかという生活の実態です。

薫と友樹にとって、節子が滞在する数日は落ち着かない時間になります。護と暮らしたいと強く訴えれば節子を困らせ、遠慮して黙れば親戚へ返される可能性があるため、二人は自分たちの立場を測りながら過ごします。

節子は護の言葉を信じるかどうかではなく、護と双子がどのように暮らしているかを見たうえで判断しようとします。その観察の中で最初に気づくのが、子ども用の食器さえ十分にそろっていない現実でした。

子ども用の食器がない家と鮫島の理解

節子は食事を用意しようとしたことで、護の部屋には双子専用の茶碗や箸がないと気づきます。護の愛情を疑う前に、節子は日常生活に不足している物を一つずつ確認し、自分で整え始めます。

食事を作ろうとした節子が子ども用の茶碗と箸を探す

節子は寝込んでいる護と双子のため、台所に立ちます。そこで、薫と友樹が毎日使う子ども用の茶碗や箸が用意されていないことに気づきました。

護はランドセルや学校用品を準備し、入学式にも駆けつけています。双子を大切にしようと努力していることは事実ですが、食卓で毎日使う道具の細部まで目が届いていません。

子ども用食器がないからといって、護に愛情がないわけではありません。むしろ、この描写は愛情と養育の準備が別のものであることを端的に示しています。

家族は「今日からここが家」と宣言するだけでは完成せず、誰の茶碗がどこにあり、誰がどの箸を毎日使うのかという小さな定位置によって続いていきます。

節子が双子と買い物へ出かけ生活用品をそろえる

節子は薫と友樹を連れ、必要な生活用品を買いに出かけます。反対しているからといって、目の前の子どもに不便な生活を続けさせることはしません。

双子と一緒に品物を選ぶ時間を通じて、節子は二人を「護が衝動的に引き取った子ども」という説明だけでなく、それぞれ好みや反応を持つ子どもとして見るようになります。

薫と友樹にとっても、自分たち専用の茶碗や箸を選んでもらうことは、護の家に長く暮らす前提を感じられる行為です。客として一時的に泊まるだけなら、専用の物をそろえる必要はありません。

節子は口では護の子育てへ反対しながら、行動では双子の生活を整えています。この矛盾は、節子が本当は二人を嫌っているのではなく、責任の所在を確かめたいだけであることを表しています。

知らない男性だと思った双子が防犯ブザーを鳴らす

買い物の途中、薫と友樹は近づいてきた男性を知らない人だと考え、防犯ブザーを鳴らします。ところが、その男性は護の上司である鮫島でした。

学校へ通い始めたばかりの双子は、不審な相手から身を守るために教えられた行動を実践します。鮫島からすれば突然警戒される形になりますが、子どもが自分の安全を守ろうとしたこと自体は責められません。

この騒動によって、護は職場で隠してきた双子との生活を説明せざるを得なくなります。護はこれまで、真島など身近な同僚には事情を知られていても、上司へ正式に相談するところまでは進んでいませんでした。

双子の存在を伏せたままでは、急な病気や学校行事のたびに、護は家庭と仕事の間で嘘やごまかしを重ねることになります。防犯ブザーによる偶然の発覚は、護が職場へ家族の存在を開くきっかけになりました。

護が鮫島へ双子との生活を明かし異動を相談する

護は鮫島に、親友を亡くした後、その双子である薫と友樹を育てている事情を説明します。さらに、今の仕事を続けながら二人を育てられるのか不安を抱えていることも打ち明けました。

護は、子育てと両立しやすい部署へ異動できないか相談します。お客様相談室は苦情対応や急な出張もあり、学校行事や病気に合わせて動くのが難しいと感じているためです。

鮫島は、子どもがいるから現在の部署では働けないと決めつけません。異動や退職を護一人の解決策にするのではなく、今の職場でも周囲が協力できるという考えを示します。

鮫島の対応は、子育てする側だけが仕事を諦めたり移動したりするのではなく、職場も働き方を支える側になれると示しています。正式な制度が用意されたとまではいえませんが、護には事情を隠さず助けを求められる場所が生まれました。

そのやり取りを見た節子は、護が完全に一人で双子を抱えているわけではないと知ります。陽介や彩だけでなく、職場にも理解者がいることは、節子が三人の生活を見直す一つの材料になりました。

ニンジン入りハンバーグがつなぐ家族の記憶

生活用品をそろえた節子は、双子のために食事を作ります。友樹のニンジン嫌いを知った節子が用意したハンバーグは、現在の双子と、幼い頃の護や純一郎の記憶を一つの食卓でつなぎます。

ニンジン嫌いの友樹へ節子がハンバーグを作る

節子が作った夕食には、ハンバーグが並びます。友樹はニンジンが苦手ですが、節子はニンジンを細かく刻み、ハンバーグの中へ入れていました。

嫌いな物をそのまま食べるよう強く迫るのではなく、子どもが食べやすい形へ工夫するところに、節子の子育て経験が表れています。護が好き嫌いを注意するだけなら、友樹は食卓を我慢の場と感じたかもしれません。

節子は、子どもに必要な栄養を取らせるという目的と、食事を楽しい時間にすることを両立させようとします。友樹も、ニンジンが入っていると意識せずに食べ進めました。

食事を作るという行動には、相手の好みを知り、どうすれば食べられるかを考え、毎日の健康を守る時間が含まれています。節子は双子を受け入れると口にする前から、すでに養育する側の行動を取っています。

幼い護と純一郎にも食べさせた料理だと明かす節子

節子は、ニンジン入りのハンバーグを、幼い頃の護にも食べさせていたことを話します。そして、護の親友だった純一郎も、同じ料理を食べた思い出があることを語ります。

純一郎は薫と友樹の父親であり、護にとっては亡くなった親友です。節子の記憶の中では、護と純一郎は同じ食卓で育ち、同じ料理を食べた子どもたちでした。

その料理を今、純一郎の子どもである薫と友樹が食べています。血縁ではつながっていない節子と双子が、護と純一郎の幼少期の記憶を通して、一つの家族の時間へ重なっていきます。

ハンバーグは、双子が護の現在へ迎え入れられただけでなく、節子が持つ高木家と純一郎の過去へも迎え入れられたことを示す食べ物です。

友樹がニンジンを食べたことで食卓の距離が縮まる

友樹は節子の工夫によって、苦手だったニンジンを食べます。節子は、子どもを叱って従わせるのではなく、食べられた経験を作ることで友樹の好き嫌いへ向き合いました。

この食卓では、護は節子の子どもでありながら、薫と友樹を育てる大人でもあります。節子は息子の未熟さを注意する一方、双子には祖母のような距離で食事を作っています。

三世代のようにも見える食卓ですが、正式な肩書が決まったわけではありません。節子が双子の祖母になったと宣言したわけでもなく、法的な関係が生まれたわけでもありません。

それでも、同じ料理を食べ、過去の思い出を語り、嫌いな物を食べられたことを喜ぶ時間は、肩書より先に家族らしい関係を作ります。節子は観察する側から、三人の生活へ手を加える側へ少しずつ移っています。

父親と話したいという友樹の言葉が墓参りへつながる

節子から幼い純一郎の話を聞いた友樹は、亡くなった父親への思いを強くします。そして、自分も父と話したいという気持ちを口にしました。

護との生活が楽しいからといって、友樹が純一郎を忘れたわけではありません。新しい家族を好きになることと、亡くなった父親を求めることは両立します。

節子は友樹の言葉を否定せず、父親と話したいときには墓へ行けばよいと伝えます。護を父親の代わりとして押しつけるのではなく、純一郎との関係を残したまま新しい生活を続けられる道を示したのです。

こうして節子は、薫と友樹を純一郎の墓へ連れていくことにします。墓参りは、節子が双子の本当の気持ちを知り、護との暮らしを認める大きな転換点になります。

純一郎の墓で語られた「マルモが大好き」

節子は薫と友樹を純一郎の墓へ連れていきます。そこでは護が自分の覚悟を説明するのではなく、双子自身が父親へ現在の生活を報告し、マルモへの思いを語ります。

節子が双子を純一郎の墓へ連れていく

節子は薫と友樹とともに、純一郎の墓を訪れます。二人にとって墓は、父親が亡くなった事実を突きつける場所である一方、会えなくなった父へ気持ちを届けられる場所でもあります。

第1話以来、護は純一郎の願いを意識しながら双子と暮らしてきました。しかし、護が純一郎の代わりになることはできず、双子も父親の記憶を手放して護を選んだわけではありません。

節子は、父親と話したいときには墓へ来ればよいと二人へ伝えます。亡くなった人とのつながりを終わらせるのではなく、形を変えて続けられると教えています。

この言葉は、節子が護と純一郎の関係を長く見てきたからこそ出せるものです。護を新しい父親として上書きするのではなく、純一郎を父親として大切にしながら、護との家族も育ててよいと双子へ示しています。

薫と友樹が父へ護との暮らしを報告する

墓の前で、薫と友樹は純一郎へ、護と暮らし始めてからの出来事を報告します。学校へ入り、マルモやムックと過ごし、さまざまな失敗や出来事があったことを、父親へ伝えようとします。

双子の言葉からは、護の家での生活が単なる一時的な避難ではなく、自分たちの日常になっていることが伝わります。食事をし、学校へ行き、病気になれば心配される毎日が、二人にとって帰る生活になっています。

節子は、護から「二人を幸せにする」と聞くだけでは判断を変えませんでした。しかし、双子自身が今の生活をどのように受け止めているかを聞くことで、護の決断が一方的な自己満足ではないと知ります。

護が双子から必要とされたいと思っていることは事実でしょう。それでも、二人もまた護を必要としており、三人の関係は護だけの願いで成立しているわけではありません。

双子がマルモを大好きだと語り節子の表情が変わる

薫と友樹は純一郎へ、マルモのことが大好きだという気持ちを伝えます。二人は護を父親の代わりと呼ぶのではなく、自分たちだけの呼び名である「マルモ」として大切にしています。

節子はその言葉を聞き、双子にとって護がどれほど大きな存在になっているかを直接知ります。護が子どもを手放したくないだけではなく、子どもたちも護と離れたくないのです。

もし節子が二人を親戚へ返せば、生活上の不安を減らせる可能性はあります。しかし同時に、双子から自分たちが選んだ家と、愛着を持ったマルモをもう一度奪うことになります。

節子の判断を変えたのは、護の「自分なら育てられる」という説得ではなく、薫と友樹の「この人と暮らしたい」という当事者の気持ちでした。

純一郎を忘れず護も好きだという関係を節子が受け止める

双子が護を好きだと話しても、純一郎への思いが薄れたわけではありません。父親と話したいから墓へ来て、現在の生活を報告していること自体、二人が純一郎との関係を大切にしている証しです。

節子は、純一郎と護のどちらが二人の本当の家族かを選ばせません。亡くなった父親を愛しながら、今そばにいる護も愛してよいと受け止めます。

本作が描く家族は、誰かが新しく加わるたびに以前の家族を消す関係ではありません。離れた人、亡くなった人、今育てている人が、それぞれ異なる形で子どもの人生に残ります。

墓参りを終える頃、節子の中では「護に育てられるか」という不安だけでなく、「この三人を引き離してよいのか」という新しい問いが生まれています。そこへ、護が周囲へついていた嘘を一気に露呈させる恋人騒動が起きます。

彩とかなの騒動を越えて節子が出した答え

節子を安心させようとした彩は、護と交際しているふりをします。ところが、護から別の目的で婚約者役を頼まれていたかなまで現れ、護が家庭、恋愛、母親への説明を分断してきたことがコメディの形で明らかになります。

彩が双子を守るため護の恋人だと名乗る

節子が護一人で双子を育てることへ不安を抱いていると知った彩は、護と自分が交際しているという趣旨の説明をします。彩がそばにいるなら、護は完全な一人きりではなく、双子の世話にも協力できると節子を安心させようとしたのです。

もちろん、護と彩が正式に交際している事実はありません。彩の行動は恋愛関係を宣言するものではなく、双子が親戚へ返される展開を避けたいという焦りから出た方便です。

第3話では、彩が薫の遠慮を護より早く察し、入学式へ行くよう護へ伝えました。第4話では、薫が隼人を突き飛ばした後に対応し、双子の学校生活も支えています。

彩はすでに、護の家族へ外側から関わる支援者です。恋人のふりまでした行動には行き過ぎた部分もありますが、節子に三人を引き離してほしくないという強い気持ちが表れています。

見合いを断りたい護がかなへ婚約者役を頼んでいた

一方、護は母親から持ち込まれる見合いを断るため、かなに婚約者のふりをしてほしいと頼んでいました。かなへ好意を抱く護にとっては、母親へ説明する都合と、かなとの距離を縮めたい期待が重なった頼みだったと考えられます。

問題は、護がかなへ双子との生活を十分に話していないことです。かなは、護が薫と友樹を育て、学校や病気への対応に追われる家庭を持っていると知らないまま、婚約者役を引き受けています。

護は職場でも母親にも、双子の存在を長く隠していました。双子との生活を恥じているわけではなくても、説明すれば恋愛や仕事で不利になるのではないかという不安があり、生活を別々の箱へ分けていたように見えます。

護の嘘は悪意からではありませんが、家族を守るためではなく、自分が面倒な説明から逃げるための嘘になっています。その結果、家族を守ろうとする彩の嘘と、見合いを断りたい護の嘘が正面から衝突します。

恋人と婚約者が同時に現れ護の嘘が露呈する

彩が護の恋人だと説明した直後、かなが現れ、自分は護の婚約者だという立場を示します。一人の護に恋人と婚約者が同時に存在することになり、その場は混乱します。

薫と友樹にとっても、彩とかながそれぞれ何を意味しているのかわかりません。護が自分たちの家族について、周囲へどのような説明をしているのかさえ知らなかったはずです。

この騒動は笑いを生む場面ですが、同時に護が新しい家族を自分の人生全体へ統合できていないことを示します。家ではマルモとして双子を育て、職場では独身の会社員として振る舞い、かなの前では家庭の事情を伏せています。

かなが護の本当の生活を知ったとき、どのように受け止めるかは、この時点ではわかりません。少なくとも、護が家族の存在を隠したまま恋愛関係だけを進めることには、今後も大きなずれが残ります。

節子が心配を残したまま三人の生活を認める

節子は、彩とかなの騒動に振り回されながらも、護の周囲にどのような人がいるかを見極めます。陽介と彩は日常的に双子を支え、鮫島は職場で協力する考えを示し、薫と友樹は護と暮らしたいと望んでいます。

節子は、護に子育ての経験が足りないことや、生活の細部が整っていないことを忘れたわけではありません。それでも、護一人へすべてが集中しているわけではなく、支えてくれる人々がいると知りました。

節子は護へ、薫と友樹の面倒をしっかり見るよう伝え、二人を親戚へ返すよう求めることをやめます。無条件に安心したのではなく、心配を抱えたまま、息子と双子が選んだ生活を信じることにしたのです。

節子の受容とは、護を理想の父親だと認定することではなく、未熟な護を周囲と一緒に支えながら、この家族を続けさせる選択です。

駅へ向かう途中、節子は彩へ、これからも護と双子を支えてほしいと頼みます。彩は恋人としてではなく、三人の生活を身近で理解し、護が見落とす子どもの感情を補える存在として、より強い信頼を託されました。

その後、護の家では、今回の食卓を踏まえ、好き嫌いをせず食事を残さないという趣旨のおきてが加わります。これは友樹へニンジンを無理に食べさせる命令ではなく、節子が工夫した料理を家族で受け取り、食べ物や作った人の思いを大切にするための学びです。

第5話の結末で、護の家族は母親と職場からも存在を認められ始めます。しかし、かなには双子の事情が十分伝えられておらず、護が病気になると家庭が回らない脆さも完全には解消していません。

護、薫、友樹だけで閉じた家族から、陽介、彩、鮫島、節子が支える家族へ広がった一方、その支援を一時的な善意で終わらせず、毎日の生活へどう定着させるかが次の課題として残ります。

ドラマ『マルモのおきて』第5話の伏線

マルモのおきて 5話 伏線画像

第5話では、護が双子の存在を職場へ打ち明け、節子も三人の生活を認めます。家族が周囲へ開かれたことで支援者は増えましたが、かなには事情を隠したままであり、護の生活が完全に一つへつながったわけではありません。

また、子ども用食器、ハンバーグ、墓参りといった日常的な要素が、血縁とは別の家族の広がりを示しています。ここでは第5話時点で気になる関係の変化と、今後へ残されたずれを整理します。

職場へ開かれた家族と子育て支援の伏線

防犯ブザーの騒動をきっかけに、護は鮫島へ双子との生活を打ち明けます。事情を隠して一人で両立しようとしていた護が、初めて上司へ助けを求めたことは大きな変化です。

護が双子の存在を職場に隠していた理由

護は双子を大切にしながらも、職場ではその生活を十分に説明していませんでした。子どもがいると知られれば、仕事を任せてもらえなくなるのではないか、迷惑をかけるのではないかという不安があったと考えられます。

しかし、家庭事情を隠したままでは、急な病気や学校行事が起きるたびに理由を作らなければなりません。第3話の入学式や第4話の友樹の高熱でも、護は仕事と家庭の間で判断に迷いました。

今回、護が鮫島へ打ち明けたことで、家庭の問題を個人的な秘密として抱える段階から、職場と相談できる問題へ変わります。子育てを続けるには、護の努力だけでなく、働く場所の理解も必要です。

双子の存在を明かしたことは、護が家族を持つ自分を職場でも引き受け始めた最初の一歩です。今後、家庭の事情をどこまで共有し、仕事との調整を続けられるかが重要になります。

鮫島が現在の部署で協力すると示した意味

護は子育てと両立しやすい部署への異動を相談しますが、鮫島は現在の部署でも周囲が協力できるという考えを示します。これは、子どもを育てる社員だけに異動や退職を求めない姿勢です。

ただし、第5話で正式な勤務制度や特別な仕組みが整備されたと断定することはできません。鮫島が示したのは、事情を共有すれば現在の仲間も助けられるという、人間関係としての支援です。

護にとっては、子育てを続けるために仕事を捨てなければならないという二者択一が崩れます。会社員としての自分と、マルモとしての自分を同じ生活の中で続けられる可能性が見えてきました。

節子もこのやり取りを通じ、護には陽介や彩だけでなく職場の支援もあると知ります。鮫島の理解は、節子が護の家族を認めるための現実的な根拠の一つになっています。

護が病気になると家庭が止まる脆さ

職場の理解者ができても、家庭の中心が護一人であることは変わっていません。今回も、護がおたふく風邪になったことで、双子の食事や生活は節子たちの支援を必要としました。

節子は偶然上京できましたが、いつでもそばにいられるとは限りません。陽介や彩も自分たちの生活があり、毎回必ず対応できる保証はありません。

三人の家族を安定させるには、誰か一人の善意へ依存するのではなく、複数の人へ連絡できる関係や、緊急時の役割を整える必要があります。護が倒れた場合にも薫と友樹が安心できる支援の輪が必要です。

第5話で家族を支える人は増えましたが、支援はまだ関係者の好意に頼る部分が大きく残っています。その好意を、継続できる生活の仕組みへ変えられるかが伏線として残ります。

彩とかなの間に残る家族を隠したずれ

彩は双子を守るため護の恋人役を引き受け、かなは見合いを断るため婚約者役を頼まれます。笑いを生む騒動ですが、護が相手ごとに違う自分を見せている問題が明確になりました。

彩が恋人のふりをするほど家族へ入り込んでいる

彩は節子を安心させるため、護と交際していると装います。事実ではない説明をした点には問題がありますが、その動機は護との恋愛を既成事実にすることより、双子の居場所を守ることにあります。

彩は入学準備を手伝い、薫の遠慮を見抜き、学校での問題にも対応してきました。護が働いている間に双子へ関われる、身近な支援者になっています。

節子が帰り道で彩へ今後も支えてほしいと頼んだことにより、彩の役割は護の近所にいる協力者から、家族を見守る人物へさらに深まりました。ただし、これを護との交際が確定したと読むことはできません。

彩が双子へ強く感情移入する背景には、自身も離婚後に実家へ戻り、居場所を作り直している経験があると考えられます。家を失う不安を知るからこそ、薫と友樹を再び引き離すことへ強く反応します。

かなには双子の生活を隠したままであること

かなは護から婚約者役を頼まれますが、護が双子を育てている事情を十分に知らされていません。護はかなへ好意を抱きながら、自分の生活で最も大きな変化を隠しています。

護にとっては、双子のことを話せば恋愛対象として見てもらえなくなるのではないかという不安があるのかもしれません。しかし、家庭を隠して関係を進めれば、かなは後から成立した家族へ突然参加させられることになります。

薫と友樹の側にも、知らない女性がいきなり婚約者として現れれば戸惑いがあります。護がかなへ何を望み、双子へどのように説明するのかを整理しないままでは、全員が疎外感を抱く可能性があります。

恋人騒動が残した最大の伏線は、護が家族、仕事、恋愛を別々に守ろうとするほど、どこかで嘘や説明不足が生まれるという点です。

節子が彩へ今後を託したこと

節子は帰路で彩に対し、これからも護と双子を支えてほしいと頼みます。節子は彩の恋人という説明をそのまま信じたからではなく、彩が実際に双子の生活へ関わっていることを見たうえで頼んだと考えられます。

節子は遠方に住んでおり、護が病気になったたびに駆けつけられるとは限りません。そのため、日常的に三人を見られる彩の存在は大きな安心になります。

一方、彩へ支援を託しすぎれば、彩個人へ負担が集中する危険もあります。彩は護の家族を支える大切な人物ですが、双子を育てる責任を一人で背負う立場ではありません。

節子の頼みは、家族を共同体で支える方向への一歩です。今後は彩だけでなく、陽介、鮫島、真島、親族など、複数の大人がどのように関係を持つかが重要になります。

料理と墓参りがつないだ二つの家族の伏線

節子のハンバーグと純一郎の墓参りは、護との現在の生活が、純一郎との過去を消すものではないと示しました。双子は新しい家族へ迎え入れられながら、亡き父親とのつながりも守られています。

ハンバーグが双子を高木家の記憶へ迎え入れる

節子が作ったニンジン入りハンバーグは、幼い頃の護と純一郎も食べた料理でした。同じ料理を薫と友樹が食べることで、異なる世代の時間が一つの食卓へ重なります。

双子は高木家と血縁がありません。しかし、節子の料理や記憶を共有することで、護の過去を知らない子どもから、その過去へ参加する子どもへ変わります。

料理は書類のように関係を証明しません。それでも、何を嫌い、どうすれば食べられ、昔誰が同じ物を食べたかを語る時間は、生活の中でしか作れない家族の記憶です。

第5話のおきてが好き嫌いと食べ残しに関する内容になるのも、単に食事のマナーを教えるためではありません。食卓に込められた工夫や、家族の歴史を一緒に受け取ることへつながっています。

墓参りが純一郎との家族関係を残す

節子は、友樹が父親と話したいと望むと、純一郎の墓へ連れていきます。護を選んだから純一郎を忘れるべきだとは考えません。

薫と友樹は墓前で、護との生活を報告します。亡くなった父へ新しい家族のことを話す行為によって、純一郎と護は競合する存在ではなく、双子を支える異なる家族として並びます。

節子がこの関係を受け止めたことは重要です。護が純一郎の代わりになれないことを失敗として見るのではなく、護にはマルモとしての役割があると認め始めています。

純一郎本人とムックの関係を断定することはできませんが、亡くなった純一郎の記憶が、護の判断や双子の生活に影響を与え続けていることは確かです。

家族を支える人が増えたことの意味

第5話までに、護と双子の周囲には陽介、彩、真島、鮫島、そして節子という支援者が現れました。誰も護の代わりに父親になるわけではありませんが、それぞれ異なる形で三人の生活を支えています。

陽介は子育ての現実を教え、彩は子どもの感情を読み、真島と鮫島は仕事面で護を支えます。節子は生活用品や料理を通じて、護が見落としていた養育の細部を補います。

本作の家族は、護が一人で双子を所有する関係ではなく、複数の大人がそれぞれの立場から子どもを支える関係へ広がっています。

ただし、支援者が増えたことで自動的に安心できるわけではありません。誰が何を支え、護がどの場面で助けを求めるのかを、これからの生活で調整していく必要があります。

ドラマ『マルモのおきて』第5話を見終わった後の感想&考察

マルモのおきて 5話 感想・考察画像

第5話は、節子が双子を認めた感動的な回である一方、護の家族がまだ愛情だけで走っていたことをかなり厳しく見せた回でもあります。特に、子ども用の茶碗や箸がなかった描写は、護の気持ちと生活準備の差を一瞬で伝えていました。

節子の反対、鮫島の理解、彩とかなの騒動を並べて見ると、家族は当人たちがそう思うだけでは続きません。親族、職場、近所、恋愛相手へ現実を開き、必要な支援と説明を引き受けて初めて、社会の中で生活できる家族になります。

節子の反対を冷たい言葉だけで判断できない理由

節子は双子を親戚へ返すべきだと主張しますが、その反対には子育てを知る母親の現実感があります。護を守りたい気持ちだけでなく、再び捨てられるかもしれない双子の危険も見ていました。

節子が疑ったのは双子ではなく護の継続性

節子は、薫と友樹の性格や行動を知る前から二人を嫌ったわけではありません。問題にしたのは、独身で仕事を続ける護が、子ども二人を長期間育てられるのかという点です。

護の決断には、純一郎への罪悪感や、双子を離したくないという強い感情があります。その感情は本物ですが、家賃、食事、病気、学校生活を何年も支える計画とは別です。

実際、節子が来た時点で護は病気になり、双子の食事も十分に用意できない状態でした。子ども用食器さえそろっていない部屋を見れば、節子が「本当に続けられるのか」と疑うのは自然です。

節子の反対は、家族を壊したい言葉ではなく、護の一時的な熱意によって双子の人生をもう一度揺らしてはならないという警告です。

息子を守りたい母親と双子を守りたい大人が重なっている

節子には、息子の護が無理をして人生を背負い込むことへの心配があります。親友を亡くした罪悪感から、自分の能力を超えた責任を引き受けているのではないかと疑っているのでしょう。

一方で節子は、護が途中で疲れ果てれば、最も傷つくのは薫と友樹だとも理解しています。親戚へ返すという判断は、今の家を奪う危険がある反面、将来の不安定さを避けるための案でもあります。

節子の中には、息子を守る母親と、子育ての現実を知る大人の二つの視点があります。そのため、護の「大丈夫」という言葉だけでは納得しません。

数日間一緒に過ごし、食卓や買い物、職場の支援、墓前での双子の本音まで見たうえで、初めて判断を変えます。この慎重さがあるからこそ、ラストの受容はその場の感動に流されたものではなくなっています。

不安が消えなくても信じるという受容

節子は最後まで、護が完璧に子どもを育てられると確信したわけではありません。食器の不足も、病気になった場合の弱さも、仕事との両立も、一度の訪問で解決していません。

それでも節子は、双子が護を必要とし、護も二人を大切にし、周囲に協力者がいると知ります。心配だから関係を壊すのではなく、心配したまま見守る方を選びます。

家族への信頼とは、相手なら絶対に失敗しないと信じることではありません。失敗しても周囲へ助けを求め、子どもを手放さず、関係を修復できると信じることです。

節子が認めたのは護の完成した父性ではなく、未熟でも支えられながら親になろうとする護と、彼を選んだ双子の関係です。

子ども用食器とハンバーグが示した家族の本質

第5話の本質は、大きな決断より台所にあります。専用の茶碗がないこと、嫌いなニンジンを食べやすくすること、同じ料理の思い出を語ることが、家族を続ける具体的な条件として描かれました。

子ども用食器がない描写が護の未熟さを表す

護は双子のためにランドセルを買い、入学式へ走り、友樹を病院へ運びました。目立つ場面では必死に行動し、愛情を示しています。

一方、子ども用の茶碗や箸は、劇的な出来事がなくても毎日必要です。節子が気づくまで用意されていなかったことから、護が日々の生活をまだ大人一人の延長として考えていた部分が見えます。

親になるには、緊急時に走る力だけでなく、何も起きない朝や夜を整える力が必要です。食器、着替え、学校用品、薬など、目立たない準備が子どもの安心を作ります。

個人的には、節子の反対を最も説得力のあるものにしたのが、この食器の場面でした。護を批判する長い説明より、双子専用の茶碗がない台所の方が、生活基盤の未完成さを明確に見せています。

ハンバーグは食べさせる技術と記憶を同時に伝える

友樹がニンジンを嫌いだと知った節子は、ただ残さないよう叱るのではなく、細かく刻んでハンバーグへ入れます。これは、子どもの状態に合わせて目的を達成する養育の知恵です。

護は友樹へ正しさを直接伝えようとしがちですが、節子は食べられる形へ環境を変えます。子どもだけへ努力を要求せず、大人も方法を工夫する点に、経験の差があります。

さらに、その料理は幼い護と純一郎も食べた物でした。現在の友樹が同じ味を食べることで、節子の子育ての記憶と純一郎の家族がつながります。

家族の記憶は血縁だけで受け継がれるのではなく、同じ料理を食べ、過去の話を聞き、自分もその物語へ参加することで受け継がれます。

好き嫌いのおきては食事を作る側にも向いている

第5話では、好き嫌いをせず、食事を残さないという趣旨のおきてが加わります。一見すると、友樹にニンジンを食べるよう求める子ども向けの規則です。

しかし、節子のハンバーグを考えると、おきては食べる側だけの努力を意味しません。大人にも、嫌いな物を無理に押し込むのではなく、食べやすい形を考える責任があります。

食べ物を残さないことは、作ってくれた人の手間を受け取ることでもあります。同時に、作る側も子どもの好みや体調を無視せず、食卓を安心できる場所にしなければなりません。

各話のおきては、双子を縛る命令ではなく、その回で家族が失敗や経験から学んだ共同宣言です。今回のおきても、友樹だけへ好き嫌いを直させるのではなく、家族で食事を大切にする約束と受け取れます。

鮫島の支援と恋人騒動が示した護の二つの課題

護は職場では家族を打ち明け、支援を求めることができました。しかし、かなには双子の存在を隠したまま婚約者役を頼みます。

第5話では、正直に助けを求めた場面と、説明から逃げた場面が対照的に描かれています。

鮫島の対応が子育てを個人だけの責任にしなかった

護は、双子を育てるためには仕事を変えるしかないと考え、異動を相談します。家庭を選べば仕事を諦め、仕事を選べば子どもを十分に見られないという二択に陥っていました。

鮫島は、今の部署でも協力できるという考えを示します。子育てによる制約を護個人の問題として処理せず、周囲も調整に参加できると考えたのです。

もちろん、善意ある上司の一言だけで、仕事と子育ての両立が完全に解決したわけではありません。それでも、家庭事情を隠すより共有した方が支援を得られるという経験は、護にとって大きな変化です。

「遠慮は無用」というおきては、薫だけでなく護にも向けられていました。鮫島へ助けを求めた護は、ようやく自分もそのおきてを実践し始めたといえます。

彩とかなの騒動は護が生活を分断している証拠

彩は双子を守るため恋人のふりをし、かなは護に頼まれて婚約者のふりをします。二つの嘘がぶつかった場面はコメディとして面白い一方、護の危うさをかなり正確に表しています。

護は彩に双子との生活を見せ、支援を受けています。ところが、好意を寄せるかなには、その生活を十分に話していません。

かなの前では以前と同じ独身男性でいたいという欲望と、双子のマルモである現実が分かれています。しかし、恋愛を続けるなら、いつか二つの生活を同じ場所で説明しなければなりません。

今回、節子の前で嘘が一気に表面化しました。護に悪意がなくても、説明を先送りするほど、彩、かな、双子の誰かが置いていかれる可能性があります。

護の家族が周囲から認められた本当の意味

第5話のラストで、節子は三人の生活を認め、鮫島も職場で支える考えを示します。護の家族は、本人たちだけがそう思っている関係から、周囲にも存在を知られる関係へ進みました。

ただし、節子の許可によって法的な問題が解決したわけでも、鮫島の理解によって仕事上の問題がすべて消えたわけでもありません。家族として認められることは、完成ではなく、周囲と責任を共有する入口です。

それでも、護が倒れたときに助ける人、学校や仕事の問題を相談できる人、食事や子どもの感情を補う人が増えたことには大きな意味があります。

第5話で三人が得たのは「本当の家族」という認定ではなく、家族を続けるために助けを求めてもよい場所と人でした。

一方、かなへの説明不足や、護が病気になると生活が止まる問題は残っています。周囲から認められた家族が、今度はその支援へ誠実に向き合い、嘘や遠慮を減らしていけるかが気になるところです。

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