ドラマ『マイ・フィクション』は、周囲の人々から存在を忘れられた男が、本当の自分を取り戻していくサスペンスとして始まります。しかし、物語が進むにつれて見えてくるのは、記憶を奪われた被害者だけではありません。
大切な人を悲しませたくないという願いは、どこから支配へ変わってしまうのでしょうか。相手を守るためにつらい過去を消す行為は、本当に救いと呼べるのでしょうか。
『マイ・フィクション』は、愛する人の幸福を願う気持ちが、本人から悲しむ権利と人生を選ぶ権利を奪っていく物語です。
この記事では、ドラマ『マイ・フィクション』の全話ネタバレ、最終回の結末、二宮が由梨の記憶を書き換えた理由、賢人の父親、伏線回収、ラストシーンの意味について詳しく紹介します。
ドラマ「マイ・フィクション」の作品概要

| 作品名 | マイ・フィクション |
|---|---|
| 放送期間 | 2026年7月5日〜8月23日 |
| 放送局 | ABCテレビ・テレビ朝日系 |
| 放送時間 | 毎週日曜22時15分 |
| 話数 | 全8話 |
| 原作 | なし・オリジナルドラマ |
| 脚本 | 山岡潤平 |
| 演出 | 有働佳史、松嵜由衣、宮岡太郎 |
| 主演 | 玉森裕太 |
| 主要キャスト | 森川葵、宮澤エマ、野村周平、国仲涼子、ジャンボたかおほか |
| 制作協力 | MMJ |
| 制作著作 | ABCテレビ |
| 主題歌 | Kis-My-Ft2「My Affection」 |
| 配信 | U-NEXT、Prime Videoなど |
『マイ・フィクション』は、記憶に隠された真実をめぐるサスペンス・ラブストーリーです。主人公の伊川正樹を玉森裕太、伊川へ手を差し伸べる二宮由梨を森川葵、伊川の妻・真弓を宮澤エマ、謎の男・津村大輔を野村周平が演じています。
本編とは別に、伊川と真弓の生活を補完する「伊川家のはじまり」、津村を描く「津村かもしれない」、由梨と津村の7年前を描いた「津村のプロポーズ」などの関連エピソードも制作されています。本編の第9話以降ではなく、人物関係を補うスピンオフとして扱う必要があります。
ドラマ「マイ・フィクション」の全体あらすじ

事件件数ゼロを誇る森沼ネクスタウンで暮らす伊川正樹は、妻の真弓、文鳥のピョートルと穏やかな日々を送っていました。老人ホーム「はるなぎ園」で介護士として働き、家庭にも仕事にも不満を抱えていない平凡な男性です。
ところが、伊川は見知らぬ男・津村大輔と遭遇した直後、激しい頭痛に襲われて川へ転落します。1週間後に病院で目を覚まし、自宅へ戻った伊川を待っていたのは、自分ではない別の男が「伊川正樹」として妻と暮らしている光景でした。
真弓も職場の同僚も伊川を覚えておらず、スマートフォンや身分証も失われています。自分の存在を証明できない伊川へ手を差し伸べたのは、6歳の息子を育てる二宮由梨でした。
由梨の亡き夫・二宮祐介の遺影は、伊川と全く同じ顔をしていました。伊川は二宮祐介と同一人物なのか、真弓はなぜ別の男を夫だと思っているのか、津村はなぜ伊川を追っているのか。
複数の人生と記憶が交差する中、森沼ネクスタウンに隠された人格改変計画が浮かび上がります。
【全話ネタバレ】ドラマ「マイ・フィクション」のあらすじ

第1話:妻に忘れられ、別人に人生を奪われた伊川
第1話は、伊川正樹が自分の名前、家庭、仕事、社会的な身分を一度に奪われる物語です。何の疑問も持たずに信じていた日常が崩れ、伊川は自分の記憶と町全体の認識のどちらが正しいのか分からなくなります。
事件件数ゼロの町で続いていた幸福な日常
森沼ネクスタウンは、事件件数ゼロ・連続1100日を誇る平和な町です。伊川正樹は老人ホーム「はるなぎ園」で介護士として働き、妻・真弓、文鳥のピョートルと結婚6年目の穏やかな生活を送っていました。
職場では多田義孝、向井理恵、高森藍那らと親しく働き、近隣住民とも自然に挨拶を交わしています。家庭にも職場にも居場所があり、伊川には自分が伊川正樹であることを疑う理由がありませんでした。
ただし、町には月に一度の無料定期検診があり、伊川も「はるなぎ園」で検診を受けます。住民の健康を守る制度に見えますが、事件が一件も起きない不自然な町と合わせると、最初から何かを管理する仕組みが動いていたようにも映ります。
津村との遭遇で現れた頭痛と血まみれの記憶
仕事を終えた伊川が施設を出ると、見知らぬ男・津村大輔が待っていました。津村と目が合った瞬間、伊川は激しい頭痛に襲われ、頭から血を流した人物の断片的な映像を目にします。
伊川には津村と会った記憶がありません。それでも身体は強い恐怖を感じており、伊川は津村から逃げるように走り出しました。
再び頭痛に襲われた伊川は足を踏み外し、斜面から川へ転落します。津村は伊川の過去を知っているように見えますが、なぜ出所したばかりの男が伊川を探していたのかは分かりません。
伊川の意識には残っていなくても、身体の奥には津村や血まみれの人物と結びつく何かが残っていました。第1話の事故は偶然の転落ではなく、封じられていた記憶が動き始めた瞬間でもあります。
多田が伊川正樹として暮らしていた家
伊川は1週間後に病院で目を覚まします。大きなけがはなかったものの、スマートフォンも財布も身分証もなく、妻へ連絡する手段を失っていました。
それでも自宅へ戻ればすべて解決すると信じ、伊川は森沼ネクスタウンへ向かいます。ところが、自宅では同僚の多田が自分の服を着て、真弓の夫として暮らしていました。
伊川は夫婦だけが知る記憶を語ろうとしますが、真弓は見知らぬ男を見るように怯えます。家の衣類や生活用品も多田の体格へ合わせて変えられており、伊川の痕跡は最初から存在しなかったかのように消されていました。
職場なら自分を知る人がいると考えた伊川は「はるなぎ園」へ向かいます。しかし、そこでも多田が「伊川正樹」の身分証を下げ、伊川の仕事を続けていました。
同僚も入居者も伊川を知らず、多田を伊川だと認識しています。妻だけが記憶を失ったのではなく、町全体が別の現実を共有していると知り、伊川は自分の記憶さえ信じられなくなっていきました。
由梨だけが伊川の存在を否定しなかった
行き場を失った伊川と接触したのが、病院で出会った二宮由梨です。由梨は伊川の話を最初からすべて信じたわけではありませんが、追い詰められた彼を放っておけず、自宅まで送り届けました。
伊川にとって由梨は、自分を犯罪者や妄想を抱える人物と決めつけず、話を聞いてくれた最初の存在です。家族や職場から拒絶された伊川は、新しく出会った由梨との間にしか、自分がここにいる証拠を持てなくなります。
しかし、自宅へ戻った伊川へ真弓が返したのは、「どちら様ですか?」という言葉でした。愛する人と共有してきたはずの時間が、真弓の中には存在していません。
さらに、由梨の亡き夫の遺影には伊川と同じ顔をした男性が写っていました。伊川には、自分でも知らない別の名前と人生がある可能性が浮かび上がります。
第1話の伏線
- 冒頭に現れた「Transferring」の表示と100%の画面は、誰かの記憶や人格がすでに移されたことを思わせます。伊川の生活が始まる前に、何らかの処置が完了していた可能性があります。
- 事件件数ゼロを強調する森沼ネクスタウンは、犯罪のない理想郷ではなく、問題が起きても外へ出さない実験環境だったことへつながります。
- 町が毎月行う無料定期検診は、住民の健康管理だけでなく、記憶や人格の状態を確認する機会だった可能性があります。
- 津村を見た瞬間に現れた頭痛と血まみれの映像は、伊川の中に消されていない過去が残っている証拠です。血を流していた人物の正体は、後に室谷だと判明します。
- 由梨の亡き夫・二宮祐介と伊川が瓜二つであることは、伊川正樹という名前と人生そのものが作られた可能性を示しています。
- 伊川が家庭と仕事を奪われていく詳しい流れや、森沼ネクスタウンに置かれた初期の伏線は、『マイ・フィクション』第1話ネタバレ・感想・考察で紹介しています。

第2話:二宮祐介の遺影と巻き戻された伊川の生活
第2話では、伊川の記憶だけでなく、写真や鳥の生死、大学時代の友人関係まで食い違い始めます。自分を証明しようとするほど、伊川の方が現実から外れた人物に見えてしまう構造が強まっていきます。
死んだはずのピョートルと空になった墓
伊川は真弓へ、結婚記念日や文鳥のピョートルが死んだ日のことを語り、自分が本当の夫だと訴えます。夫婦だけの思い出を伝えれば、真弓の記憶が戻ると考えたからです。
しかし、真弓にとって伊川は、自分の生活を詳しく知っている不審者にすぎません。伊川にとっては愛の記憶でも、共有していない真弓には脅威として届いてしまいます。
伊川はピョートルを埋めた庭を掘り返しますが、土の中に亡骸はありません。それどころか、鳥籠では死んだはずのピョートルが生きていました。
伊川が覚えている死は、目の前の現実によって否定されます。真実を証明するつもりで墓を掘った行為が、自分の記憶の異常を示す結果になり、伊川はさらに追い詰められました。
由梨の家にあった二宮祐介の遺影
多田から逃れた伊川は交番へ駆け込みます。しかし、多田は追ってきた警察官まで倒し、伊川は制度に助けを求めることもできなくなります。
交番には事件件数ゼロ・1109日達成という表示がありました。伊川の身に明確な事件が起きているにもかかわらず、その被害は記録されません。
伊川は病院で知り合った由梨を頼り、彼女の自宅へ匿われます。そこで目にしたのが、2年前に事故死した由梨の夫・二宮祐介の遺影でした。
遺影に写る二宮は、伊川と全く同じ顔をしています。由梨にとって伊川は亡夫が生きて戻ってきたような存在ですが、伊川本人には二宮として生きた記憶がありません。
由梨は伊川をすぐに夫だと決めつけず、伊川正樹という人物の過去を確かめることへ協力します。この距離感が、伊川にとって由梨を信じられる理由になっていきました。
奪われた大学時代と残されていた夫婦写真
伊川と由梨は、大学時代の友人・市原良吾を訪ねます。ところが、市原は伊川を知らず、伊川が覚えている大学時代の出来事は、岡崎史也という別人との思い出だったと説明しました。
家庭や職場だけでなく、大学時代の記憶まで他人の人生と重なっていたことで、伊川は自分自身を疑い始めます。伊川正樹という人物が実在していたのかさえ、確信を持てなくなりました。
それでも伊川は「はるなぎ園」へ戻り、入居者の塚本と再会します。塚本は伊川を覚えているような反応を見せ、小銭入れから伊川と真弓が一緒に写った写真が見つかりました。
写真は、伊川が真弓と暮らしていたことを示す初めての物証です。自分だけの記憶ではなく、外側に残った痕跡を得た伊川は、ようやく自分を信じ直します。
ただし、写真が残っていたことは、記憶や生活の書き換えが完全ではなかったことも意味します。塚本の記憶や小銭入れは、整えられた日常に残った小さな綻びでした。
望んでいた生活へ戻ることが恐怖に変わる
伊川は写真を持って真弓へ会いに行き、一緒に町を出ようとします。真弓との幸福な生活を取り戻すための行動ですが、真弓本人が何を望んでいるのかを十分に確かめる余裕はありません。
伊川は多田のスタンガンによって意識を失います。その後、森沼ネクスタウンの事件件数ゼロは1111日へ進み、伊川は真弓の夫、「はるなぎ園」の介護士として以前の日常へ戻っていました。
ピョートルも生きており、近隣住民や職場の人々も伊川を自然に受け入れています。伊川が求めていたものはすべて戻りましたが、由梨と真実を追った記憶は消えています。
伊川が幸福そうであるほど、本人の疑問と選択が奪われたことが際立つラストです。
本人が望んだ生活を与えれば、真実を知る権利を奪ってもよいのか。第2話は、後に二宮が由梨へ行った行為と同じ問題を、伊川自身に経験させています。
第2話の伏線
- ピョートルの墓が空で、死んだはずの鳥が生きていたことは、伊川の記憶だけでなく生活環境そのものが整え直された可能性を示しています。
- 二宮祐介の遺影と伊川の顔が同じであることにより、伊川の身体と記憶が別の人物に由来する疑いが強まりました。
- 大学時代の思い出が岡崎史也の人生だったことは、複数の人物の記憶が伊川へ組み込まれている可能性を示します。
- 塚本だけが伊川を覚え、小銭入れに写真が残っていたことは、人格改変や町の管理が完全ではないことを表しています。
- 事件件数ゼロが1109日から1111日へ進んでいるため、伊川が過去へ戻ったわけではありません。空白の時間に記憶と生活を再構成されたと考えられます。
- 二宮祐介の遺影、大学時代の記憶、夫婦写真が見つかるまでの詳しい展開は、『マイ・フィクション』第2話ネタバレ・感想・考察でまとめています。

第3話:隠しカメラとDNA鑑定で判明した伊川の正体
第3話では、伊川が取り戻した日常の中に、同じ会話、知らない味覚、歌、悪夢といった綻びが現れます。頭では忘れていても、身体や感情の奥には別の人生が残っていました。
同じ言葉を繰り返す事件件数ゼロ・1111日目
森沼ネクスタウンは事件件数ゼロ・1111日を迎え、伊川は真弓の夫、「はるなぎ園」の介護士として暮らしていました。家庭も職場も元へ戻り、ピョートルも鳥籠の中で生きています。
ところが、近隣住民が伊川へかける言葉は、事故前と一言一句変わりません。偶然同じ話題になったというより、決められた会話を再演しているような不自然さがあります。
伊川はその異常へ気づかず、平穏を受け入れていました。本人の認識だけを見れば幸福ですが、視聴者には、森沼ネクスタウン全体が伊川のために用意された舞台のように映ります。
由梨だけを忘れた伊川と身体に残る別の人生
伊川を心配した由梨が森沼ネクスタウンを訪ねますが、伊川は彼女を全く覚えていません。前日まで一緒に大学や「はるなぎ園」を訪ねた時間だけが、選ばれたように消されていました。
由梨は、亡夫の祐介を2年前に失っただけでなく、ようやく築いた伊川との信頼まで奪われます。同じ顔を持つ男性から二度他人として見られたことになり、その喪失はさらに深くなりました。
一方、伊川の中では、死んだピョートルの悪夢や、自分の好みとは異なるきゅうりへの反応が現れます。本人には理由が分からなくても、味覚や嫌悪感は別の人生を記憶していました。
さらに伊川は「ハイ・ホー」を口ずさみ、賢人と過ごしたような映像を断片的に思い出します。記憶情報は消されても、子どもへ向けた愛着までは完全に失われていません。
津村が由梨と賢人の生活圏へ入った理由
由梨は伊川の記憶の異常を、脳科学者である伯父・藤谷治へ相談します。しかし、藤谷は明確な答えを示さず、由梨は自分で調査を続けなければならなくなりました。
そんな由梨の前に、近所へ引っ越してきたと話す津村が現れます。津村は伊川を追っていただけでなく、由梨の息子・賢人にも親しげに声をかけました。
由梨には警戒心がありますが、津村の反応には初対面の子どもを見る以上の感情が混ざっています。家族を遠くから見守るような態度は、津村が由梨と賢人の過去を知っていることを示していました。
津村は不審者に見える一方、伊川の正体を確かめようとしている人物でもあります。第1話からの見え方が少しずつ変わり、津村が敵なのか味方なのか判断できない状態が続きます。
隠しカメラとDNA鑑定が崩した伊川の現在
伊川は、自宅の中に隠しカメラが設置されていることへ気づきます。妻と二人で過ごしていた家庭は、誰かに観察される実験空間だった可能性が高まりました。
伊川と真弓の夫婦生活は、当人たちだけの私的な関係ではありません。食事や会話、夫婦としての反応まで、計画側から評価されていたように見えます。
同じ頃、津村が進めていたDNA鑑定の結果が出ます。伊川正樹と、2年前に死亡したはずの二宮祐介のDNAは一致していました。
伊川と二宮は、顔が似ている別人ではありません。同じ身体を持つ一人の人間だと判明します。
ただし、身体の正体が確定しても、伊川には二宮として由梨や賢人と暮らした記憶がありません。現在の伊川は真弓を妻として愛しており、DNAだけで家族関係を元へ戻すことはできないという新たな問題が生まれます。
第3話の伏線
- 住民が事故前と同じ言葉を繰り返していたことは、町全体が対象者の生活を再現するために動いていた可能性を示しています。
- 伊川が由梨との時間だけを失っていたことから、記憶処置は無作為ではなく、計画側に不都合な部分を選んで行えると分かります。
- ピョートルの悪夢、きゅうりへの反応、「ハイ・ホー」は、二宮祐介としての身体記憶や感情が消えずに残っている証拠です。
- 塚本の突然の異動や、高森の発言を多田が遮った行動は、伊川の記憶を刺激する人物や情報が排除されていたことを思わせます。
- 自宅の隠しカメラとDNAの完全一致により、伊川夫妻の日常が監視され、伊川正樹という人格が二宮祐介の身体へ与えられた疑いが決定的になりました。
- 身体に残る記憶、津村の行動、DNA鑑定で伊川の正体へ近づく過程は、『マイ・フィクション』第3話ネタバレ・感想・考察で詳しく紹介しています。

第4話:伊川=二宮祐介、真弓=石野奈々美と判明
第4話では、伊川の身体的な正体が二宮祐介だと確定します。しかし、真実が分かれば夫婦へ戻れるわけではありません。
由梨の再会と伊川の恐怖が衝突し、さらに真弓の人生にも重大な矛盾が浮かび上がります。
伊川と二宮が同一人物でも夫婦には戻れない
DNA鑑定によって、伊川正樹と二宮祐介が同一人物だと確定します。由梨にとっては、2年前に死亡したと思っていた夫が生きていたことになります。
由梨は津村から、何もせず普段どおりに過ごすよう求められます。しかし、夫が生きていると知りながら待つことはできず、一人で「はるなぎ園」へ向かいました。
由梨は写真やDNA鑑定の結果を示し、伊川へ「あなたは私の夫です」と訴えます。ところが、伊川には由梨との記憶がなく、真弓と暮らす現在の人生こそが現実です。
由梨にとっては夫との再会でも、伊川にとっては見知らぬ女性から名前、仕事、妻との生活を否定される場面でした。伊川は恐怖を覚え、由梨を拒絶して立ち去ります。
由梨も伊川も、自分が知っている範囲では間違っていません。身体が同じでも、記憶と感情が共有されなければ、過去の関係を強制的に復元することはできないと示されます。
津村の7年間の服役が由梨の不信を強める
津村は二宮の大学時代からの友人であり、伊川がなぜ別人格で生きているのかを調べると由梨へ約束します。しかし、由梨は津村が二宮の葬儀に参列していなかったことを疑問に思いました。
津村は、7年前に殺人を犯し、最近まで服役していたと明かします。二宮の過去を知る協力者である一方、殺人犯でもあると知り、由梨は津村を信じてよいのか分からなくなりました。
津村が誰を殺したのか、なぜ罪を犯したのかは語られません。自分の過去を隠す津村の態度も、由梨が一人で伊川へ会いに行く理由になっています。
一方、伊川と由梨の接触を、多田と向井が監視していました。二人は伊川の記憶が揺らぎ始めたことを察知し、再処置を示唆します。
親しみやすい介護施設の職員だった多田と向井は、対象者の状態を管理する側の人物へ見え方が変わりました。「はるなぎ園」そのものが、伊川を監視する施設だった可能性が高まります。
真弓の夫婦生活に生じた時間の矛盾
津村は、真弓が手がかりを持っていると考え、伊川との出会いや結婚生活について聞き出します。真弓は自分が伊川の妻であることを疑っておらず、夫婦の記憶も具体的に持っていました。
しかし、真弓が語る伊川との過去と、二宮祐介が由梨の夫として暮らしていた時期は両立しません。伊川だけでなく、真弓の記憶も作られている可能性が浮上します。
津村が身元を調べると、伊川真弓は本来存在しない人物でした。真弓の正体は、7年前に夫殺しで懲役10年の判決を受け、現在も服役しているはずの石野奈々美だったのです。
死亡したはずの二宮が伊川として生き、服役中の奈々美が真弓として生活しています。森沼ネクスタウンでは、記憶だけでなく、死亡や服役といった社会的な記録まで書き換えられていました。
室谷の生存で津村の殺人事件が揺らぐ
真弓こと奈々美は包丁を持って家を出ます。伊川、由梨、津村は行方を追いますが、奈々美が誰かを傷つけるために包丁を持ったのか、この段階では分かりません。
その頃、香坂睦美はニューロヴァイスの地下施設へ向かっていました。施設には、津村が7年前に殺したとされる室谷隆敏が生きた状態で収容されています。
津村が室谷殺害の罪で服役していたのであれば、室谷の生存は判決の前提を崩します。津村は殺人犯ではなかった可能性が高まり、警察や施設が事実を隠していた疑いも生まれました。
さらに、刑事である香坂が秘密施設へ出入りしていることから、記憶改ざんは一企業だけの犯罪ではないと分かります。警察、刑務所、ニューロヴァイス、森沼ネクスタウンが一つの仕組みでつながり始めます。
第4話の伏線
- 由梨との接触で伊川の記憶が揺らぎ、多田と向井が再処置を考えたことから、対象者の人格は継続的に監視・修正されていたと考えられます。
- 真弓が持つ夫婦の記憶と二宮祐介の人生が時間的に両立しないことは、真弓も伊川と同じ処置を受けた人物である可能性を示します。
- 石野奈々美が服役中の記録を持ちながら町で生活していることから、ペルソナ・シフトは記憶だけでなく公的な身分まで扱う計画だと分かります。
- 津村に殺されたはずの室谷が生きていたことは、津村の服役が真実を隠すために利用された可能性へつながります。
- 香坂が地下施設へ出入りしていたことにより、津村を支える元上司という表向きの姿と、計画の協力者という裏の姿が示されました。
- 伊川と二宮の同一性、真弓の本名、室谷の生存が一度に判明する第4話の詳細は、『マイ・フィクション』第4話ネタバレ・感想・考察で解説しています。

第5話:奈々美の奪われた娘と嘘の夫婦に残った愛
第5話では、怪しい妻に見えていた真弓が、娘、名前、自由を奪われた石野奈々美だったことが明らかになります。作られた夫婦生活の中にも、本物の感情が存在したことを示す重要な回です。
包丁を持った奈々美が向かったのは娘のもと
真弓こと奈々美は、包丁を持って亡夫の実家を訪れます。殺意を抱いているようにも見えますが、奈々美の目的は、引き離された娘の居場所を聞き出すことでした。
娘が児童養護施設で暮らしていると知った奈々美は、すぐに施設へ向かいます。記憶を失い真弓として生きた時間があっても、娘へ会いたいという母親としての感情は消えていません。
しかし、施設では森沼ネクスタウンの近隣住民を演じていた須藤夫妻が奈々美を待ち受けていました。奈々美は娘へ近づく前に襲われますが、伊川、由梨、津村に救出されます。
町で日常を演じていた住民たちは、監視対象が真実へ近づいた時に回収する役割も持っていました。森沼ネクスタウンの穏やかな人間関係は、対象者を逃がさないための仕組みだったのです。
夫殺しの罪で奪われた名前と母親としての時間
安全な場所へ逃れた奈々美は、自分が夫を殺していないと語ります。7年前、娘と一緒に帰宅した奈々美は、夫が殺されているところを発見しました。
奈々美は遺体の近くにあった血の付いた包丁へ触れたため、犯人として疑われます。夫の不倫や夫婦不仲も動機として利用され、無実を訴えたまま懲役10年の判決を受けました。
奈々美が失ったのは自由だけではありません。娘を育てる時間、母親としての立場、自分の名前、事件の真実を訴える権利まで奪われています。
服役中、奈々美は食事へ薬を入れられ、灰色の通路を通って秘密施設へ運ばれました。そこで石野奈々美としての記憶を消され、伊川真弓という別の人格と夫婦の記憶を与えられます。
犯罪者を別人として社会復帰させる計画に見えますが、奈々美は冤罪の可能性が高い人物です。本人の同意もなく人格を奪った時点で、計画の目的が更生ではなく管理へ変質していたと分かります。
伊川真弓を演じ続けた奈々美の本心
奈々美は、ピョートルの死をきっかけに本来の記憶の断片を取り戻していました。さらに多田から伊川の死を告げられた時、石野奈々美としての自分を思い出します。
それでも奈々美は、多田を夫だと思い込んだふりを続けました。盗聴器を仕込み、計画側の情報を集めるためです。
二度目の処置を受けても記憶が残っていることを隠し、奈々美は真弓を演じながら娘へ戻る機会を探していました。表面上は計画に従っていても、内側では自分の人生を取り戻そうとしていたのです。
一方で、奈々美は伊川との2年間をすべて嘘として切り捨てません。与えられた記憶は偽物でも、伊川から大切にされ、初めて愛されたと感じた経験は奈々美自身のものだからです。
由梨も奈々美を夫を奪った女性として責めません。二人は異なる立場の妻でありながら、同じ技術によって家族と人生を奪われた被害者として向き合いました。
ニューロヴァイスと消えた受刑者
奈々美が覚えていた施設の印や灰色の通路から、伊川たちはニューロヴァイスへたどり着きます。個人的な記憶障害に見えた事件は、企業が開発した技術による組織的な人格改変へ広がりました。
津村と辻元の調査によって、香坂が担当した奈々美以外の無期懲役囚も、刑務所から姿を消していることが判明します。その中には、死亡したはずの室谷も含まれていました。
香坂は複数の受刑者をニューロヴァイスへ渡す役割を担っていた可能性があります。元上司として津村を支えていた姿と、計画へ関与する姿が両立しなくなっていきました。
津村は香坂へ真相を確かめようとしますが、その矢先に車で狙われます。計画へ近づいた人物は、警察出身者であっても排除の対象になることが示されました。
第5話の伏線
- ピョートルの死によって奈々美の記憶が刺激されたことは、感情を伴う出来事が人格処置を越えて過去を呼び戻す可能性を示しています。
- 奈々美が二度目の処置を受けても記憶を失わなかった理由は明確に説明されませんが、処置が完全ではないことを表す重要な要素です。
- 灰色の通路、施設の印、ニューロヴァイスのつながりにより、伊川や奈々美の人格が同じ設備で作られたと考えられます。
- 香坂が担当した複数の受刑者の失踪は、奈々美だけの例外ではなく、人格改変が継続的な計画だったことを示しています。
- 香坂へ接触しようとした津村を車が狙ったことは、計画側が真実を守るためなら関係者の命も危険にさらすことを表しています。
- 奈々美の冤罪、娘との離別、伊川への感情が明かされる第5話は、『マイ・フィクション』第5話ネタバレ・感想・考察でさらに詳しく整理しています。

第6話:ペルソナ・シフトの失敗と二宮の裏切り
第6話では、森沼ネクスタウンの目的とペルソナ・シフト・プログラムの全体像が明らかになります。伊川は記憶を奪われた被害者から、他人の人格を変えられる研究者・二宮祐介へ見え方が反転しました。
受刑者を別人に変えるペルソナ・シフト
8年前、香坂は警察上層部から、ニューロヴァイスが開発した記憶移植技術について説明を受けます。無期懲役囚の記憶を消し、新たな人格を与えて社会復帰させる極秘計画が、ペルソナ・シフト・プログラムでした。
表向きの目的は、犯罪者へ新しい人生を与え、社会へ戻すことです。しかし、人格そのものを消せば、犯罪へ至った背景や責任まで消えたことになります。
香坂は当初、明確な人権侵害だとして反対していました。ところが、現在の香坂は奈々美や室谷を施設へ送り、計画を維持する側へ回っています。
何が香坂を変えたのかは、この段階では完全には明かされません。ただし、香坂自身にも会えない娘がいることが示され、個人的な喪失が計画参加と結びついている可能性が高まります。
最初の被験者・室谷が生んだ冤罪の連鎖
室谷は、犯罪者であることを伏せられたまま、治療を必要とする患者として二宮へ引き渡されました。二宮は苦しい記憶を抱える人を救う技術だと信じ、室谷への記憶処置を行います。
ところが、別人格として社会へ戻った室谷は過去を思い出し、再び事件を起こします。奈々美の夫を殺害し、津村へも襲いかかりました。
ペルソナ・シフトが失敗したと判明すれば、警察とニューロヴァイスの責任が問われます。そのため計画側は、奈々美を夫殺しの犯人にし、室谷を死亡したことにして津村へ殺人罪を負わせました。
奈々美と津村の服役は、二人が犯した罪の結果ではありません。失敗した実験を隠すため、無関係な人間の人生が利用されたのです。
人格を消して犯罪をなくそうとした計画は、結果的に新たな犯罪、冤罪、隠蔽を生みました。問題を抱えた記憶だけを消しても、責任や暴力性まで解決できないことが分かります。
奈々美の母性を利用した香坂
奈々美は、娘との生活を返してもらうため、香坂へ直接会いに行きます。復讐や金銭ではなく、母親として娘と生き直す未来を求めていました。
香坂は奈々美の話を聞き、自分にも会えない娘がいることをにおわせます。母親同士の痛みを理解し合う場面に見えますが、香坂は奈々美の飲み物へ薬を入れていました。
奈々美は再び意識を失い、ニューロヴァイスの地下施設へ連れ去られます。香坂は奈々美の苦しみを理解していないのではなく、理解した上で計画を優先しました。
それだけに、香坂の行動は単純な冷酷さよりも重く見えます。娘を救いたいという自分の目的のため、別の母親から娘と人生を奪う矛盾を受け入れているからです。
研究員だった二宮と津村への裏切り
伊川は奈々美へ位置情報を仕込み、津村と共に地下施設へ侵入します。二人は施設のデータを調べ、二宮祐介が警察官ではなく、ニューロヴァイスの研究員だったと知りました。
由梨の記憶では、二宮は警察官でした。職業まで異なることから、由梨が持つ夫婦の記憶そのものが作られている疑いが強まります。
津村は伊川へ、二宮が誰の記憶を変えたのかを問い詰めます。その直後、伊川は津村へ薬を打ち、動けなくしました。
伊川はすでに二宮としての記憶を取り戻していました。ホテルにいた時点で香坂と取引し、由梨と賢人へ近づかないことを条件に、津村と奈々美を差し出そうとしていたのです。
二宮は家族を守るために津村と奈々美を裏切り、二人を別人格へ変えようとします。記憶を奪われる苦しみを知る人物が、同じ行為を他者へ向けました。
主人公は、記憶改ざんの被害者であると同時に、愛する家族を守るため他人の人生を差し出す加害者でもありました。
第6話の伏線
- 室谷が犯罪者だと知らされないまま二宮へ引き渡されたことは、二宮の研究が警察と企業に利用されていたことを示しています。
- 由梨の記憶では警察官、施設の記録では研究員という二宮の経歴の矛盾は、津村の人生が二宮の記憶へ移されている真相へつながります。
- 二宮がホテルで記憶を取り戻した後も伊川を演じ続けたことは、由梨と賢人を守るため香坂と取引していたからでした。
- 香坂が会えない娘の存在をにおわせたことは、娘の記憶を変えるために計画を利用している第7話の展開へつながります。
- 二宮が津村へ薬を打ったことは、二宮が再び家族の幸福を自分だけで決め、他者の記憶を犠牲にする選択をしたことを示しています。
- ペルソナ・シフトの目的、室谷の事件、二宮の裏切りが明らかになる第6話は、『マイ・フィクション』第6話ネタバレ・感想・考察で詳しく紹介しています。

第7話:二宮が伊川になった理由と由梨・津村の婚約
第7話では、二宮が自ら伊川正樹になった2年前の経緯が明らかになります。家族を守るため自分を消した過去と、家族を守るため津村や奈々美を犠牲にする現在が重なり、二宮の愛情にある矛盾が浮かび上がりました。
「全部、元通り」という二宮の嘘
二宮は由梨と賢人のもとへ帰り、ペルソナ・シフトは廃止されたと説明します。津村は殺人罪で逮捕され、奈々美は娘と安全な場所で新生活を始めたとも語りました。
由梨は突然戻ってきた夫に戸惑いながらも、「これで全部、元通りだ」という言葉を信じようとします。しかし、実際の津村と奈々美はニューロヴァイスの地下施設へ監禁されていました。
二宮が取り戻した家族生活は、二人の犠牲と由梨へ伝えない真実の上に成立しています。由梨の目の前に夫は戻りましたが、由梨は何が起きているのかを知らされず、選択する機会も与えられていません。
二宮は由梨を安心させるために嘘をついたと考えられます。しかし、その嘘は由梨の不安を減らす代わりに、由梨が真実を知り、自分で家族の未来を決める権利を奪っています。
二宮が自分を伊川正樹へ変えた2年前
二宮はかつて、苦しい記憶を抱える人を救うため、ニューロヴァイスで記憶移植技術を研究していました。室谷らが受刑者であることは伏せられ、医療技術の延長として処置へ関わっていたのです。
しかし、室谷が再び事件を起こし、奈々美と津村へ罪が押しつけられたことで、二宮は計画の実態を知ります。記憶を消す技術は治療ではなく、警察と企業が都合の悪い人物を管理するために利用されていました。
2年前、二宮は由梨と賢人を人質に取られ、計画への協力を求められます。奈々美へ記憶処置を行う中、二宮は機器を自分へ向け、伊川正樹という人格を自らの中へ移しました。
二宮祐介という研究者を消せば、家族は計画から解放されると考えたためです。二宮は家族を守るため、自分の名前、職業、由梨と賢人との記憶を手放しました。
ただし、奈々美は処置対象として残され、伊川の妻・真弓に変えられます。二宮の自己犠牲によって由梨と賢人は守られた一方、奈々美は別の家族を演じさせられました。
「忘れちゃいけない」と拒んだゆず季
香坂は二宮へ、新たな記憶処置を依頼します。対象は、8年前に室谷が起こした無差別殺傷事件へ巻き込まれ、心を閉ざした娘・ゆず季でした。
香坂は、事件を忘れれば娘が以前のように笑えると考えています。二宮も、悲しい記憶を手放して笑ってよいとゆず季へ語りました。
しかし、ゆず季は「忘れちゃいけない」と処置を拒絶します。事件を覚えていることは苦しみであっても、その経験はゆず季自身の人生です。
香坂と二宮は、忘れることを救済だと考えています。一方のゆず季は、傷を抱えることも含めて自分で生きる権利を求めました。
ゆず季の拒絶は、本人の同意なくつらい記憶を消すことは救いではないという、本作の明確な答えです。
津村と奈々美の脱出、室谷による賢人誘拐
地下施設へ監禁された津村は、自殺を装って研究員を部屋へ誘い込みます。施設内の火災報知器を作動させ、奈々美が閉じ込められていた部屋も解錠しました。
津村は自分だけで逃げるのではなく、奈々美も連れ出します。由梨と賢人だけを守るため二人を差し出した二宮に対し、津村は同じ被害を受けた奈々美の選択と記憶も守ろうとしました。
脱出した津村は由梨へ連絡し、二宮から離れるよう警告します。由梨は、二宮が津村の逮捕や奈々美の新生活について嘘をついていたと知り、夫を信じられなくなりました。
その最中、施設から逃げ出した室谷が賢人を誘拐します。室谷は二宮よりも由梨と津村へ強い執着を見せ、三人を廃墟へ呼び出しました。
室谷を目にした由梨は激しい頭痛に襲われ、7年前の記憶の断片を思い出します。室谷と由梨、津村の間には、二宮が消した重大な事件が存在していました。
婚約と血液型が壊した二宮家の前提
室谷によって負傷した賢人は病院へ搬送されます。治療をめぐる中で、賢人と津村が共にB型Rhマイナスという珍しい血液型であることが示されました。
血液型だけで親子関係を確定することはできません。しかし、津村が賢人を見守る態度や、由梨との過去を考えると、二人の血縁を連想させる情報です。
さらに津村は、7年前、自分と由梨は結婚するはずだったと告白します。由梨には津村と交際し、婚約していた記憶がありません。
由梨が夫だと信じてきたのは二宮であり、二宮との間に賢人が生まれたと思っていました。津村の告白によって、由梨の恋愛、結婚、家族の記憶そのものが改ざんされている疑いが生まれます。
第7話のラストで問われたのは、二宮がなぜ伊川になったかだけではありません。二宮は、伊川になるより前に、由梨の人生へどこまで手を加えていたのかという、さらに大きな謎です。
第7話の伏線
- 二宮が由梨へ語った「全部、元通り」という言葉は、津村と奈々美の現状を隠した複数の嘘でした。二宮が考える「元通り」は、由梨本人が望む状態とは限りません。
- ニューロヴァイスの研究員だった二宮が警察官として記憶されていることは、津村の職業や人生を二宮へ置き換えた記憶改ざんへつながります。
- ゆず季の「忘れちゃいけない」という拒絶は、由梨、津村、奈々美から記憶と選択を奪った人物たちへの反論になっています。
- 室谷を見た由梨の頭痛と記憶の断片は、7年前の事件現場に由梨自身がいたことを示していました。
- 賢人と津村の血液型、由梨と津村の婚約は、賢人の実父が津村である可能性を強く示します。ただし、血縁は最終回でも明言されません。
- 二宮が伊川になった理由、ゆず季の拒絶、由梨と津村の婚約が判明する第7話は、『マイ・フィクション』第7話ネタバレ・感想・考察で詳しく解説しています。

第8話・最終回:由梨の人生を奪った二宮と、記憶から消えた結末
最終回では、由梨と津村の婚約、室谷事件、由梨の母親の死、二宮が行った記憶改ざんの全体像が明らかになります。二宮の行動は愛情から始まっていましたが、由梨の人生を自分の望む形へ作り替える支配へ変わっていました。
二宮が認めた由梨と津村の婚約
賢人が搬送された病院で、二宮は由梨と津村が7年前に婚約していたことを認めます。さらに、自分が賢人の実父ではないことも明かしました。
由梨が信じてきた二宮との出会い、恋愛、結婚、家族の記憶は、そのまま事実ではありません。二宮が警察官だったという記憶も、元警察官である津村の経歴を二宮へ置き換えたものだと分かります。
由梨は、自分が誰を愛し、誰との子どもを産み、誰と家族になったのかを他人によって決められていました。現在の感情が本物であっても、その感情へ至る前提が本人の知らないところで作られています。
二宮は、殺人犯の妻となった由梨を守るため、津村との記憶を消したと説明します。しかし、由梨はなぜ津村を忘れさせるだけでなく、二宮自身が夫の位置へ入ったのかを問いかけました。
二宮は、由梨に自分だけを見てほしかったという本音を抱えていました。由梨を悲しみから救いたい思いと、由梨から選ばれたい執着が分けられなくなっていたのです。
由梨の母親の火事が三人の傷の原点だった
由梨の母親は、病気で亡くなったのではありません。火事の家へ取り残された幼い津村を救い、命を落としていました。
由梨は、母親が自分を置いて津村を助けに行ったことから、自分のせいで大切な人が不幸になるという罪悪感を抱きます。津村も、自分を救ったことで由梨の母親が亡くなったという負い目を抱え続けました。
幼い二宮は、悲しむ由梨を見て、彼女を笑顔にしたいと願います。その思いが、苦しい記憶を消す技術の研究へつながりました。
由梨は悲しみを抱え、津村は自分が犠牲になればよいと考え、二宮は由梨の苦しみを消せばよいと考えるようになります。三人の愛し方は、幼少期の同じ事件から異なる方向へ歪んでいきました。
二宮は由梨の母親の死に関する記憶も書き換え、火事ではなく病死だったと思わせていました。由梨を罪悪感から救うためでしたが、母親の死をどう受け止めるかまで由梨から奪っています。
室谷事件で由梨の罪を引き受けた津村
成長した由梨と津村は恋人となり、結婚を約束して一緒に暮らしていました。二宮は友人として二人のそばにいましたが、由梨への思いを諦めてはいませんでした。
7年前、室谷が津村への復讐として二人の家へ侵入します。由梨は身を守るため、ガラス瓶で室谷へ反撃しました。
室谷が死んだと思った津村は、由梨を殺人犯にしないため、自分が室谷を殺したことにして自首します。津村は由梨の未来を守ろうとし、自分の警察官としての人生と7年間を差し出しました。
しかし、津村は由梨へ真実を伝え、一緒に判断する道を選びませんでした。自分が犠牲になれば由梨を救えると決め、由梨本人の選択を奪っています。
津村は二宮へ、自分の存在を由梨の記憶から消してほしいと頼みました。由梨が殺人犯の婚約者として苦しまないよう、自分を忘れて新しい人生を歩んでほしいと考えたためです。
二宮が津村の人生を自分へ置き換えた理由
二宮は津村の依頼を受け、由梨から室谷事件と津村に関する記憶を消しました。しかし、単に津村の記憶を空白にしたのではありません。
由梨と津村の交際、同居、婚約、警察官としての津村の経歴を、二宮との恋愛や結婚生活へ置き換えました。津村がいた場所へ、自分の存在を入れたのです。
二宮には、由梨を殺人犯の婚約者にしたくないという善意がありました。同時に、長く思い続けてきた由梨を自分だけのものにしたいという欲望もありました。
二宮と由梨がその後に過ごした時間まで、すべて偽物だったわけではありません。由梨が二宮へ感じた愛情や、賢人と二宮の親子としての思い出は、実際に積み重ねられたものです。
それでも、関係の出発点を由梨本人へ隠し、別の人生を信じ込ませたことは消えません。二宮は由梨を愛していたからこそ、由梨が自分を選ばない可能性に耐えられず、選択そのものを書き換えました。
由梨の愛と憎しみを受け止められなかった二宮
真実を知った由梨は、二宮との時間が幸福だったことも認めます。二宮を愛している感情は、記憶改ざんの事実を知っただけでは消えません。
一方で、自分の人生を勝手に決め、母親や津村との記憶を奪ったことは許せません。由梨は二宮へ、愛していると同時に憎いという感情を伝えました。
愛と憎しみは、どちらか一方が偽物なのではありません。由梨は矛盾する感情をどちらも自分のものとして引き受け、二宮との関係を自分で考えようとします。
津村も正しい過去を知れば由梨の愛が戻ると期待しますが、由梨には津村と過ごした感情がありません。事実として婚約していたことと、現在の由梨が津村を愛していることは同じではないのです。
津村は由梨を引き止めようとしながら、最後には手を離します。過去を取り戻すことより、現在の由梨の意思を尊重する選択へ進みました。
由梨の記憶から消えた二宮と不穏なエピローグ
公園で由梨は二宮へ、幸福だった時間への感謝を伝えて抱きしめます。二宮を許したわけではなくても、二人で過ごした時間まで否定しない別れでした。
ところが、二宮は抱きしめられた直後、由梨へ薬を打ちます。そして由梨の記憶から、自分の存在を消しました。
二宮は、由梨を津村と賢人のもとへ返すため、自分が忘れられる道を選んだように見えます。しかし、由梨は二宮を忘れたいと頼んでいません。
二宮の最後の行為は、自分を手放す贖罪であると同時に、由梨の愛と憎しみを再び本人へ相談せず消した最後の支配でもあります。
奈々美は娘との生活を始め、奪われた母親としての時間を取り戻していきます。一方、香坂は室谷や奈々美に関する記録を処理し、ペルソナ・シフトを終わらせませんでした。
記憶処置を拒んだゆず季は、小野さくらという別人格で生活しています。香坂は娘を救うため、娘が守ろうとした記憶と名前を奪いました。
ラストでは、由梨、津村、賢人が家族のように並んで歩き、二宮とすれ違います。三人は二宮へ反応せず、二宮も声をかけません。
由梨だけでなく、津村や賢人にも何らかの記憶処置が行われたように見えますが、具体的な範囲は明かされていません。二宮だけが伊川家と二宮家、二つの家族の記憶を抱えたまま立ち去りました。
第8話・最終回の伏線
- 由梨が二宮を警察官だと記憶していたのは、津村の職業や人生を二宮との結婚生活へ置き換えられていたためでした。
- 津村の殺人罪は、室谷へ反撃した由梨を守るため、自分が犯人になって引き受けたものでした。室谷の生存により、津村の罪は計画の隠蔽に利用されたと分かります。
- 由梨の母親は病死ではなく、火事から津村を救って亡くなっていました。二宮は由梨の罪悪感を消すため、母親の死に関する記憶も変えていました。
- 賢人と津村の血液型、由梨と津村の婚約、二宮が実父ではないという告白から、津村が賢人の実父である可能性が強く示されます。ただし、作中で明言はされていません。
- 二宮の「由梨を笑顔にしたい」という願いは、由梨の苦しみを共に抱える愛ではなく、記憶を管理して幸福を設計する支配へ変わっていました。
- 7年前の室谷事件、二宮の記憶改ざん、由梨との別れ、ラストシーンの詳しい考察は、『マイ・フィクション』最終回ネタバレ・感想・考察で紹介しています。

「マイ・フィクション」最終回の結末を解説

最終回では、伊川正樹、二宮祐介、二宮由梨、津村大輔、石野奈々美の人生を結ぶ真相が明らかになりました。すべての始まりは、記憶を消す技術だけではなく、愛する相手を守るためなら本人へ真実を知らせなくてよいという考え方にあります。
二宮は由梨との家族を手放し、記憶から消えた
二宮は由梨との結婚生活が記憶改ざんから始まったことを認めました。由梨と津村の婚約を消し、津村の職業や思い出を自分との人生へ置き換えています。
由梨は二宮を愛していましたが、自分の人生を奪った行為は許せないと告げました。二宮はその複雑な感情を受け止め続けるのではなく、由梨から自分の記憶を消す道を選びます。
忘れられることで由梨を手放したように見える一方、由梨へ最終的な選択を委ねていません。二宮の結末は、自己犠牲と支配の両方を残すものになりました。
奈々美は作られた記憶を否定せず、娘との未来へ進んだ
奈々美は、夫殺しの冤罪、服役、記憶処置によって娘と人生を奪われました。それでも、真弓として伊川から愛された時間をすべて偽物として捨てませんでした。
伊川との記憶を、娘へ愛情を返していくための経験として受け止めています。奈々美は他人の人生を奪い返すのではなく、失った自分の人生をもう一度始めました。
主要人物の中で、奈々美は最も明確に再生へ進んだ人物です。記憶の出所ではなく、そこで感じたことを今後どう使うかを自分で選んでいます。
津村と由梨は過去の婚約者へ戻ったわけではない
津村と由梨が婚約していた事実は明らかになりました。しかし、由梨には津村を愛した記憶がなく、真実を知っただけで当時の感情が戻ることはありません。
津村は一度は由梨を引き止めようとしますが、最後には手を離します。由梨を守るために自分が消えると決めた7年前とは違い、現在の由梨が自分で選ぶことを受け入れました。
エピローグでは由梨、津村、賢人が家族のように歩いていますが、恋人へ戻ったことや結婚したことは描かれていません。三人の関係は、失われた家族の完全な復元ではなく、新しい関係の始まりとして受け取れます。
香坂が計画を続けたことで問題は終わっていない
二宮と由梨の物語には区切りがつきましたが、ペルソナ・シフトは廃止されませんでした。香坂は室谷や奈々美に関する記録を処理し、計画を自分の管理下で継続します。
香坂は娘を救うため、ゆず季が拒絶した記憶処置を行いました。ゆず季は小野さくらという別人格で生活しており、母親の望んだ笑顔を取り戻しているように見えます。
しかし、そこにゆず季本人の意思はありません。二宮が由梨へ行ったことと同じように、香坂も娘の幸福を自分で決めています。
個人の恋愛や家族関係は着地しても、他人の人格を管理する制度は残りました。この不穏さが、最終回を完全な救いで終わらせない理由です。
二宮はなぜ由梨の記憶を書き換えた?愛と支配の境界

二宮が由梨の記憶を変えた直接の理由は、室谷事件と津村の服役によって苦しむ由梨を救うためでした。しかし、二宮の処置は悲しい出来事を忘れさせるだけでは終わらず、自分を由梨の夫へ置き換えるところまで進んでいます。
由梨を罪悪感と喪失から救いたかった
二宮は幼い頃から、母親を失って苦しむ由梨を見てきました。由梨は、自分のせいで母親が津村を助けに行き、亡くなったと考えていました。
室谷事件では、由梨が反撃したことで相手を死なせたと思い、婚約者の津村まで殺人犯として服役します。由梨には、また自分のせいで大切な人を不幸にしたという罪悪感が重なりました。
二宮は、由梨の苦しみを軽くするため、津村、室谷事件、母親の火事に関する記憶を消します。二宮にとって記憶処置は、愛する人を苦痛から救う方法でした。
ただし、由梨が悲しみをどう受け止めるかを待たず、悲しみそのものを取り除いています。二宮は由梨を支えるのではなく、由梨が生きる現実を変更しました。
津村を忘れさせるだけでなく、自分を夫にした
津村は、自分を由梨の記憶から消すよう二宮へ頼みました。依頼どおりであれば、二宮は津村との記憶だけを処理することもできたはずです。
しかし二宮は、津村との交際や婚約を自分との結婚生活へ置き換えました。津村が警察官だった記憶まで自分の経歴として利用しています。
この行為には、由梨を救いたい思いだけでは説明できない部分があります。二宮は長く由梨へ思いを寄せており、由梨に自分だけを見てほしいと願っていました。
二宮の愛は、由梨を幸せにしたいという願いと、由梨から選ばれたいという欲望が分けられなくなったところで支配へ変わりました。
最終回の自己消去でも同じ過ちを繰り返した
最終回で二宮は、自分を由梨の記憶から消します。由梨を津村と賢人のもとへ返し、自分だけがすべてを覚える道を選んだように見えます。
ところが、由梨は二宮を忘れたいとは言っていません。由梨は愛と憎しみの両方を抱えながら、自分で二宮との関係を考えようとしていました。
二宮はその感情を受け止め続ける代わりに、自分が消えれば由梨は幸せになれると判断します。相手の幸福を自分が決めるという点では、7年前と同じです。
二宮は執着を手放しましたが、他者へ選択を委ねることまではできませんでした。そこに、本作が二宮を単純な自己犠牲の主人公として描かなかった理由があります。
賢人の父親は津村?血液型・婚約・ラストから整理

最終回では、二宮が賢人の実父ではないことを認めています。由梨と津村が婚約していた時期や賢人との血液型の一致から、津村が実父である可能性は高いものの、DNA鑑定などによる確定は描かれませんでした。
二宮は賢人の実父ではないと明かされた
由梨は、二宮との結婚生活の中で賢人が生まれたと認識していました。しかし、その結婚生活には津村との過去を置き換えた記憶が含まれています。
二宮自身も、最終回で賢人の実父ではないことを認めました。二宮と賢人の父子関係は、血縁ではなく、二宮が父親として育てた時間によって成立していたことになります。
記憶の出発点が改ざんされていても、賢人が二宮を父親として求めた感情は本物です。本作は血縁の真相だけでなく、父親とは誰かという問いも残しています。
津村と賢人を結ぶ三つの要素
津村が実父だと考えられる一つ目の理由は、由梨と津村が7年前に婚約し、同居していたことです。二人は結婚直前の恋人であり、賢人の年齢とも大きな矛盾はありません。
二つ目は、津村と賢人が共にB型Rhマイナスという珍しい血液型だったことです。血液型だけで親子関係は証明できませんが、物語上は意図的に置かれた情報と考えられます。
三つ目は、津村が早い段階から賢人へ特別な感情を見せていたことです。近所へ現れて賢人へ声をかけ、誘拐後には自分のこと以上に賢人を守ろうとしました。
最終場面で由梨、津村、賢人が三人で歩いていることも、父子関係を連想させます。ただし、作中では「津村が実父である」と明言されていません。
血縁が判明しても二宮との親子関係は消えない
仮に津村が賢人の実父であっても、二宮が父親として過ごした時間まで消えるわけではありません。賢人は二宮と歌を共有し、亡くなったと思ってからも父親を求めていました。
一方、津村には由梨との過去や血縁があっても、賢人を育てた記憶はありません。服役と記憶改ざんによって、父親として生きる可能性を奪われていました。
二宮は育てた父親、津村は実父である可能性が高い人物です。どちらか一方だけを本当の父親と決めるのではなく、賢人が今後どの関係を選ぶのかが重要になります。
由梨と津村は最後どうなった?婚約者だった二人の結末

由梨と津村は7年前に婚約していましたが、最終回で過去が明らかになっても、恋人同士へ戻ったとは描かれていません。正しい記憶が判明することと、失われた感情が戻ることは別だからです。
婚約の事実だけでは恋愛感情は戻らなかった
津村には、由梨と恋人として過ごし、結婚を約束した記憶があります。ところが、由梨にはその時間が存在せず、現在の由梨が愛しているのは二宮でした。
津村にとっては、奪われた恋人を取り戻す物語です。しかし、由梨にとって津村は、過去に婚約していたと突然知らされた人物にすぎません。
過去の事実が正しいからといって、現在の感情を過去へ合わせることはできません。本作は、記憶を戻せばすべてが元どおりになるという単純な結末を選びませんでした。
津村が由梨の手を離したことに意味がある
津村は由梨を守るため、7年前に自分が室谷を殺したことにして服役しました。さらに二宮へ、自分を由梨の記憶から消すよう頼んでいます。
どちらも由梨を思った行動ですが、由梨本人へ相談せず、彼女の人生を決めていました。その点では、津村も二宮と同じ過ちを犯しています。
最終回で津村は、由梨を引き止めようとしながら最後には手を離しました。由梨が自分を選ばない可能性も含め、現在の意思を尊重した瞬間です。
津村が成長したのは、由梨を取り戻したからではありません。自分が犠牲になることや過去を理由に相手を縛ることをやめ、由梨へ選択を返したからです。
ラストの三人は新しい家族の可能性を示している
エピローグでは、由梨、津村、賢人が三人で歩いています。賢人と津村の血縁を考えると、失われた家族が再び集まったようにも見えます。
ただし、由梨と津村が復縁したことや、結婚したことは明示されていません。三人が二宮を覚えていないように描かれているため、現在の関係が自然に築かれたものなのか、記憶処置の結果なのかも不明です。
ラストが示すのは、過去の婚約関係への完全な復元ではなく、三人が新しい関係を始められる可能性だと受け取れます。その未来が本当に本人たちの選択によるものかという不安も残ります。
香坂は黒幕だった?ペルソナ・シフトを続けた理由

香坂はペルソナ・シフトへ深く関与し、奈々美や津村を監禁しました。しかし、計画そのものを作った唯一の黒幕ではありません。
警察上層部とニューロヴァイスが進めた制度へ取り込まれ、やがて自ら継続させる人物となりました。
香坂は最初から計画を肯定していたわけではない
香坂は計画の説明を受けた当初、受刑者の人格を消すことは人権侵害だとして反対していました。犯罪者であっても、本人の同意なく別人へ変えることは許されないと理解していたのです。
その香坂が計画へ加わった背景には、室谷の無差別殺傷事件で傷ついた娘・ゆず季がいました。事件後のゆず季は心を閉ざし、以前の生活へ戻れなくなっています。
香坂は、記憶を消せば娘を事件以前の状態へ戻せると考えました。制度への反対より、娘を救いたいという母親としての願いが強くなります。
娘を救う願いが他人の人生を犠牲にした
香坂は、奈々美が娘と離れた苦しみを理解しながら、再び薬を盛って施設へ送りました。津村にも寄り添う姿を見せながら、真実へ近づいた彼を排除しようとします。
香坂にとって計画の犠牲者は、娘を救うために必要な存在へ変わっていました。自分と同じ痛みを抱える人を理解しても、計画を止める理由にはなりません。
ゆず季自身が「忘れちゃいけない」と拒んでも、香坂は処置を進めます。母親として娘を救おうとするほど、娘の意思を無視する支配者へ近づいていきました。
香坂は黒幕ではなく、支配を引き継いだ管理者
ペルソナ・シフトは警察上層部とニューロヴァイスによって始められました。香坂一人を倒せば終わる計画ではなく、組織的な制度です。
一方で、香坂は途中から被害者だったわけでもありません。失敗や冤罪を知りながら計画を続け、室谷や奈々美の記録を都合よく処理しています。
香坂は、自分なら正しい対象者を選び、技術を正しく利用できると考えているように見えます。しかし、その考えこそが、本人より自分の判断を優先するペルソナ・シフトの本質です。
そのため香坂は、唯一の黒幕というより、支配の仕組みを理解した上で引き継いだ管理者と整理するのが自然です。
タイトル『マイ・フィクション』の意味は?ラストシーンから考察

『マイ・フィクション』というタイトルは、伊川正樹という作られた人格だけを指しているわけではありません。登場人物たちは、それぞれ大切な人を守るため、自分にとって都合のよい人生の物語を作っていました。
伊川正樹と伊川真弓は作られた夫婦だった
伊川正樹は、二宮祐介の身体へ別の記憶を入れて作られた人物です。伊川真弓も、石野奈々美へ夫婦の記憶を与えて作られました。
二人の名前、出会い、結婚生活の過去はフィクションです。しかし、2年間を共に過ごす中で生まれた愛情や安心感まで、誰かが機械で作ったとは言い切れません。
奈々美が伊川との時間を感謝として残したことからも、嘘の設定から始まった感情が本人の現実へ変わることは分かります。フィクションの中で生きた経験も、その人の人生の一部になります。
二宮は由梨のために理想の人生を作った
二宮は由梨から、母親の火事、室谷事件、津村との恋愛を消しました。その上で、自分との出会い、結婚、家族の物語を与えています。
二宮が作った人生は、由梨を悲しませないためのフィクションでした。同時に、由梨から愛されたい二宮自身の願いを実現する物語でもあります。
タイトルの「マイ」は、誰か一人だけの人生を示す言葉ではありません。二宮、津村、香坂はそれぞれ、自分が正しいと思う物語へ愛する相手を当てはめています。
由梨やゆず季が求めたのは、他人が作った幸福な物語ではなく、つらくても自分の記憶を持った人生でした。
ラストで二宮だけが二つの家族を覚えている
ラストの二宮は、由梨、津村、賢人とすれ違っても声をかけません。三人が二宮を覚えていない一方、二宮は由梨との家族も、奈々美との夫婦生活も覚えています。
二宮が作ったフィクションの中で幸福を得た人物は、最後にその物語から一人だけ外れました。愛した人々から忘れられ、自分だけが記憶を持つことが二宮の罰になっています。
しかし、記憶から消えたからといって、二宮が由梨や賢人へ与えた愛情まで無かったことにはなりません。見えない形で残る感情があるからこそ、ラストには救いと残酷さが同時に残ります。
「マイ・フィクション」の伏線回収

冒頭の「Transferring」と月例無料検診
第1話冒頭には「Transferring」という表示と、処理が100%へ到達した画面が登場しました。この時点で、二宮の身体には伊川正樹の人格が移されていたと考えられます。
森沼ネクスタウンで毎月行われる無料定期検診も、一般的な健康診断だけではありません。対象者の記憶や人格の状態を確認し、異常があれば再処置するための管理機会だった可能性があります。
伊川が由梨との記憶を取り戻しかけた時、多田と向井が再処置を検討していたことからも、町全体が継続的な観察施設だったと分かります。
事件件数ゼロを誇る森沼ネクスタウン
町は事件件数ゼロの日数を繰り返し強調していました。しかし、伊川へのなりすまし、監視、スタンガンによる攻撃、須藤夫妻による襲撃など、実際には複数の事件が起きています。
事件がないのではなく、計画側が事件を記録させず、住民の認識も整えていました。町の平和は安全によって作られたのではなく、都合の悪い出来事を現実から消すことで維持されていたのです。
理想の町に見えた森沼ネクスタウンは、ペルソナ・シフト後の人物を監視する実験環境でした。
津村を見た時の頭痛と血まみれの室谷
伊川は津村を見た瞬間、激しい頭痛と血を流す人物の映像に襲われました。血まみれの人物は、7年前の事件で由梨に反撃された室谷です。
二宮は由梨や津村に関する記憶だけでなく、自分自身も伊川へ変えていました。それでも、津村の顔は二宮の深層に残る室谷事件の記憶を刺激します。
伊川が津村へ理由の分からない恐怖を感じたのは、津村が危険人物だったからではなく、津村を通じて二宮としての過去が戻ろうとしていたためでした。
ピョートルの死と生き返ったように見えた理由
伊川はピョートルの死を覚えていましたが、生活を再構成された後には鳥籠で生きていました。墓にも亡骸はなく、伊川の記憶だけが異常に見える状態になっています。
ピョートルの死は、伊川だけでなく奈々美の本来の記憶も刺激しました。二人にとって強い感情を伴う出来事だったため、処置によって覆われた人格へ綻びを生んだと考えられます。
計画側は伊川の生活を元へ戻す際、ピョートルが死んでいない状態を用意しました。鳥の生死まで管理することで、伊川の記憶の方が誤りだと思わせています。
きゅうりと「ハイ・ホー」に残った身体記憶
伊川は自分の好みとは異なるはずのきゅうりへ身体的な反応を見せ、「ハイ・ホー」を自然に口ずさみました。歌からは、賢人と過ごした記憶も断片的に戻っています。
名前や出来事を忘れても、味覚、習慣、歌、愛着は身体に残っていました。二宮という人格を消しても、賢人へ向けた父親としての感情までは完全に処理できなかったのです。
本作が記憶の真偽だけでなく、記憶を失っても残る感情を重視していることが分かる伏線です。
二宮が警察官だったという由梨の記憶
由梨は二宮を警察官だと記憶していましたが、実際の二宮はニューロヴァイスの研究員でした。警察官だったのは津村です。
この矛盾は、由梨と津村の交際や婚約を、二宮との結婚生活へ置き換えたことで生まれました。二宮は津村の役割、職業、思い出を自分の人生として由梨へ認識させています。
単なる職業の偽装ではなく、由梨の人生から津村を消し、その位置へ二宮が入ったことを示す伏線でした。
室谷の生存と奈々美・津村の冤罪
津村に殺されたはずの室谷が生きていたことで、津村の殺人罪は成立しなくなります。また、室谷が奈々美の夫を殺したことも判明し、奈々美が夫殺しの罪を着せられた経緯もつながりました。
二人の服役は、ペルソナ・シフトの失敗を隠すために利用されています。室谷を再び施設へ戻し、社会的には死亡扱いにすることで、計画側は責任を回避しました。
犯罪者の人格を変えて社会を安全にするはずの計画が、無実の人物を犯罪者へ変えています。制度の目的と結果が完全に逆転したことを示す回収です。
賢人と津村の血液型
第7話で、賢人と津村が共にB型Rhマイナスだと示されました。由梨と津村が婚約していた過去、二宮が実父ではないという最終回の告白と合わせると、津村が実父である可能性が高まります。
ただし、DNA鑑定や明確な告白はありません。血液型は父子関係を証明する決定的な情報ではなく、視聴者へ真相を考えさせるための示唆にとどまっています。
未回収に見える記憶処置の範囲
最終場面では、由梨だけでなく、津村と賢人も二宮へ反応しません。三人全員から二宮の記憶が消されたように見えますが、誰がいつ、どこまで処置を受けたのかは説明されていません。
奈々美の冤罪が司法手続きで正式に晴れたのか、津村の服役記録がどう処理されたのか、室谷が最終的にどうなったのかも明確には描かれませんでした。
これらは伏線の回収漏れというより、香坂のもとでペルソナ・シフトが続き、社会的な記録も操作され続けている不穏さを残す余白と考えられます。
「マイ・フィクション」の主要人物を考察

伊川正樹/二宮祐介|被害者から加害者へ反転した主人公
物語開始時の伊川は、名前、家族、仕事を奪われた被害者です。妻から忘れられ、自分の存在を証明できない孤独を経験しました。
しかし、二宮としての記憶を取り戻すと、他者の記憶を改ざんできる研究員であり、由梨の人生を作り替えた実行者だったと分かります。由梨を守る愛情は本物でも、その愛情を理由に由梨の選択を奪いました。
最後に自分を由梨の記憶から消したことも、完全な成長とは言い切れません。執着を手放した一方で、由梨が何を覚えて生きるかを再び自分で決めています。
二宮由梨|愛と憎しみを自分の感情として取り戻した女性
由梨は、夫を失ったシングルマザーとして登場します。しかし、実際には母親の死、津村との恋愛、室谷事件、二宮との結婚という人生の重要部分を書き換えられていました。
由梨が最終回で示したのは、二宮を愛していた事実と、二宮を許せない感情は両立するということです。どちらか一方を否定せず、自分の複雑な感情として引き受けました。
それにもかかわらず、最後には二宮によって再び記憶を変えられます。由梨が完全に選択権を取り戻せなかったことが、本作の残酷さです。
石野奈々美|偽物の記憶を再生へ変えた人物
奈々美は、冤罪、服役、記憶処置によって名前と娘を奪われました。伊川真弓としての人生は、本人が選んだものではありません。
それでも、伊川から愛された2年間を無意味とは考えませんでした。与えられた記憶の中で受け取った愛情を、自分の娘へ返す力に変えています。
奈々美は他者の記憶を変えず、過去を消さず、自分の未来を選びました。作品全体の中で、最も明確な再生を果たした人物です。
津村大輔|自己犠牲から相手の選択を尊重する愛へ
津村は、由梨を守るため室谷殺害の罪を引き受け、自分を由梨の記憶から消そうとしました。自分が犠牲になれば相手を救えると考える人物です。
その行為には愛情がありますが、由梨へ相談せず人生を決めた点では、二宮と同じ問題を抱えていました。自分を消すことは責任を引き受ける行為であると同時に、残される相手の選択を奪う行為でもあります。
最終回で由梨の手を離した津村は、初めて相手が自分を選ばない可能性を受け入れました。過去の関係を取り戻すのではなく、現在の由梨を尊重できる人物へ変化しています。
香坂睦美|娘を救う母性が支配へ変わった人物
香坂は当初、人格を消す計画へ反対していました。しかし、事件によって心を閉ざした娘を救うため、ペルソナ・シフトを利用する側へ進みます。
娘の苦しみを取り除きたいという願いは理解できます。それでも、ゆず季本人が拒んだ記憶処置を行い、小野さくらという別人格へ変えました。
香坂は、愛する人の幸福を本人より自分が正しく判断できると信じています。その意味で、二宮がたどり着いた支配を制度として継続する人物です。
香坂ゆず季|悲しい記憶を持つ権利を示した人物
ゆず季は室谷の事件によるトラウマを抱えていますが、事件を忘れたいとは望んでいません。苦しい経験であっても、自分の人生として覚えていたいと考えていました。
「忘れちゃいけない」という拒絶は、記憶を消せば救われるという二宮と香坂の考え方を否定します。悲しみを持つことも、本人の権利だからです。
それでもゆず季は別人格へ変えられました。本人が最も明確に意思を示したにもかかわらず、その意思が無視された結末が、ペルソナ・シフトの暴力性を象徴しています。
ドラマ「マイ・フィクション」の主な登場人物

| 人物名 | 演者 | 物語上の役割 |
|---|---|---|
| 伊川正樹/二宮祐介 | 玉森裕太 | 記憶と身分を奪われた主人公。本来は記憶移植技術へ関わった研究員で、由梨の人生を書き換えた実行者でもある。 |
| 二宮由梨 | 森川葵 | 賢人を育てるシングルマザー。母親の死、津村との婚約、二宮との結婚に関する記憶を改ざんされている。 |
| 伊川真弓/石野奈々美 | 宮澤エマ | 伊川の妻として暮らしていた女性。本来は夫殺しの罪を着せられ、娘と引き離された石野奈々美。 |
| 津村大輔 | 野村周平 | 7年間服役した元警察官。二宮の友人で、由梨の元婚約者。室谷事件の罪を引き受けた。 |
| 香坂睦美 | 国仲涼子 | 津村の元上司。警察とニューロヴァイスの極秘計画へ関わり、娘を救うため人格改変を利用する。 |
| 多田義孝 | ジャンボたかお | 「はるなぎ園」の職員。伊川になりすまし、対象者の生活と記憶を監視する計画側の人物。 |
| 二宮賢人 | 日影琉叶 | 由梨の6歳の息子。二宮を父親として愛している一方、津村との血縁が強く示唆される。 |
| 香坂ゆず季 | 田牧そら | 室谷の事件で心に傷を負った香坂の娘。記憶処置を拒むが、小野さくらという別人格へ変えられる。 |
| 室谷隆敏 | 吉村界人 | ペルソナ・シフト初期の被験者。処置後に再び事件を起こし、奈々美と津村の冤罪を生む。 |
| 藤谷治 | 佐戸井けん太 | 由梨の伯父で育ての親。脳科学者として由梨の記憶の異変へ関わる。 |
「マイ・フィクション」が描いたのは悲しむ権利と選ぶ権利

『マイ・フィクション』の中心にあるのは、記憶が本物か偽物かという問題だけではありません。本人のつらさを減らすためであっても、他者が勝手に記憶や人生を変えてよいのかという問いです。
悲しい記憶も本人の人生に属している
二宮と香坂は、愛する相手を苦しみから救うために記憶を消します。二人にとって、悲しい記憶は取り除くべき病気のようなものでした。
しかし、由梨にとって母親の死や津村との関係は、つらくても自分の人生です。ゆず季も、事件を忘れずに生きたいと自分の意思を示しています。
悲しみを持つことは幸福の反対ではありません。苦しみをどう受け止め、誰と生きるのかを自分で選べることが、その人の人生を形作ります。
自己犠牲も相手へ相談しなければ支配になる
津村は由梨を守るため服役し、自分を忘れさせました。二宮は家族を守るため自分を伊川へ変え、最後には由梨の記憶から消えました。
どちらも自分を犠牲にする行動ですが、残される由梨へ相談していません。自分が消えれば相手は幸せになると決めることも、相手の人生を代わりに選ぶ行為です。
本作は、自己犠牲を無条件に美しい行動として扱いません。愛する相手と苦しみを共有することから逃げ、結論だけを押しつける危うさも描いています。
偽りから始まった感情も本人のものになる
伊川と奈々美の夫婦生活は作られたものでした。二宮と由梨の結婚も、津村との過去を置き換えた記憶から始まっています。
それでも、奈々美が伊川から愛された幸福や、由梨が二宮へ抱いた愛情、賢人が二宮を父親として求めた感情は存在しました。記憶の設定が偽物だからといって、その後の感情まで偽物になるわけではありません。
本作が否定したのは作られた感情ではなく、本人の同意なく感情の出発点と人生の選択肢を操作することです。
何を覚え、何を忘れ、誰を愛し、誰を憎むのか。それを自分で引き受ける権利こそ、『マイ・フィクション』が最後まで描いたものだと考えられます。
「マイ・フィクション」の続編・シーズン2はある?

2026年10月15日時点で、ドラマ『マイ・フィクション』の続編やシーズン2に関する正式な発表は確認できません。本編は全8話で一つの物語として完結しており、二宮、由梨、津村、奈々美の関係にも一定の結末が描かれました。
一方、ペルソナ・シフト自体は終わっていません。香坂は計画を継続し、ゆず季は小野さくらとして暮らしています。
警察上層部やニューロヴァイスの責任も明らかにならず、二宮も記憶移植技術と過去の記憶を保持しています。
続編を作る場合は、香坂が管理する新たなペルソナ・シフト、ゆず季の記憶回復、二宮と由梨の再会、津村や奈々美の公的記録の回復などを軸に展開できます。ただし、物語上の余地があることと、実際に制作が決まっていることは分けて考える必要があります。
番組ページでは全話配信や関連エピソード、映像商品の案内が続いていますが、ニュース欄に続編決定の告知は掲載されていません。
「マイ・フィクション」に関するFAQ

『マイ・フィクション』の最終回はどうなった?
二宮が由梨と津村の婚約、室谷事件、記憶改ざんの真相を告白します。由梨は二宮を愛している一方で許せないと伝えますが、二宮は由梨の記憶から自分を消しました。
ラストでは由梨、津村、賢人が二宮を覚えていないように描かれています。
伊川正樹の正体は二宮祐介?
伊川正樹と二宮祐介は同一人物です。二宮が自分の身体へ伊川正樹の人格を移したことで、二宮としての記憶を失い、伊川として奈々美と暮らしていました。
真弓の正体は誰?
伊川真弓の本名は石野奈々美です。夫殺しの罪で服役していましたが、実際には室谷が夫を殺した可能性が高く、奈々美は計画の失敗を隠すために罪を着せられていました。
津村はなぜ7年間服役した?
室谷から襲われた由梨がガラス瓶で反撃し、室谷が死んだと思ったためです。津村は由梨を守るため、自分が室谷を殺したことにして自首しました。
賢人の本当の父親は津村?
津村である可能性が強く示されています。由梨と津村が婚約していたこと、二宮が実父ではないこと、津村と賢人の血液型が一致することが根拠です。
ただし、DNA鑑定や明確な告白は描かれていません。
香坂は黒幕だった?
香坂はペルソナ・シフトを運用する中心人物ですが、計画そのものを作った唯一の黒幕ではありません。警察上層部とニューロヴァイスが始めた制度へ加わり、最終的には自ら継続する管理者となりました。
『マイ・フィクション』に原作はある?
原作はなく、山岡潤平が脚本を担当したオリジナルドラマです。そのため、原作漫画や小説に別の結末がある作品ではありません。
タイトル『マイ・フィクション』の意味は?
伊川と真弓の作られた夫婦生活、二宮が由梨へ与えた結婚の記憶、香坂が娘へ与えた別人格など、それぞれが作った人生の物語を示していると考えられます。「マイ」は、登場人物が自分の正しさを基準に他者の人生を作り替えたことも表しています。
「マイ・フィクション」全話ネタバレ・最終回まとめ

『マイ・フィクション』は、自分だけが周囲から忘れられた伊川正樹の謎から始まりました。しかし、伊川の正体は記憶処置によって別人格となった二宮祐介であり、彼自身も由梨や津村の人生を書き換えた人物でした。
真弓こと奈々美は、偽物の記憶から得た愛情を娘との再生へつなげました。津村は自己犠牲によって由梨の人生を決めることをやめ、現在の由梨の意思を尊重する方向へ変化しています。
一方、二宮は由梨を愛しながら、その愛を本人の選択より優先しました。最後に自分を記憶から消した行為も、贖罪であると同時に、由梨へ相談せず幸福を決める最後の支配でした。
記憶が偽物でも、そこで生まれた感情は本人のものになります。しかし、本物の愛情であっても、相手から人生を選ぶ権利を奪うことは正当化されません。
すべての記憶が正しくなれば人は幸せになれるのか、それとも不完全な記憶と感情を自分で引き受けることに意味があるのか。第1話から置かれた違和感が、愛と支配の問題へつながっていく構成が、『マイ・フィクション』の大きな魅力です。
各話の細かな場面、人物の反応、伏線、感想と考察は、各話ごとのネタバレ記事でも詳しく紹介しています。

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