毎週日曜日夜9時よりフジテレビ系列で放送されるドラマ「HOPE〜期待ゼロの新入社員〜」の第3話が終了しました。

第4話は、「働くとは、誰かのために立ち続けること」を問う回。
OJT研修で新人4人がそれぞれの部署に配属され、歩(中島裕翔)は資源一課で“大平(山崎樹範)”という誠実な先輩のもとに着く。
取引先の納期遅延に対し、大平は相手の事情を汲み取り、礼儀を尽くす姿勢を貫く。
だがその優しさは、現実のビジネスの中で“甘さ”とも見なされてしまう。
同じ現場にいた桐明(瀬戸康史)は「わざと納期を遅らせている」と冷静に指摘し、二人の正義がぶつかる。
やがて歩は、“ルールを表に出す”という捨て身の一手を進言。現場の混乱は上層部を巻き込み、取引を守るための最終交渉が始まる。
信頼と契約、情と理、その両方を保ちながら人は働けるのか。そして歩は、働き続ける理由を静かに掴んでいく。
毎週日曜日夜9時から放送の「HOPE〜期待ゼロの新入社員〜」の第4話(8月7日放送)のあらすじと感想を紹介したいと思います。
※以後ネタバレ注意
HOPE(ドラマ)4話のあらすじ&ネタバレ

第4話のサブタイトルは「僕が会社を辞めなかった理由」。
新人4人がそれぞれ他部署へ飛ばされるOJT研修と、資源一課の大平(山崎樹範)が抱える取引先トラブルが二重写しになり、「礼儀を尽くす営業」と「結果で押す営業」の価値観がぶつかる回です。
最終的には歩(中島裕翔)が仕掛けた“捨て身の一手”が場を動かし、「辞めなかった理由」の輪郭が浮かび上がります。以下、時系列で整理します。
OJT研修スタート——新人4人、それぞれの持ち場へ
与一物産の新人4人は、実務現場で学ぶOJT研修に参加。香月(山本美月)は営業三課、人見(桐山照史)は鉄鋼二課、歩と桐明(瀬戸康史)は資源一課の大平竜也(山崎樹範)の下へ配属される。
織田(遠藤憲一)は歩を送り出す際、「大平は取引先に礼儀を尽くす模範社員だ」と評し、“現場の作法”を学べと背中を押す。
東洋鉱石の納期遅延——“情”で受け止める模範営業
着任早々、資源一課ではレアアースの納期遅延が発生。大平は歩と桐明を連れて取引先の東洋鉱石へ。担当課長の武林(伊藤正之)は親の介護で確認が遅れたと詫び、2〜3日の猶予を懇願。
大平は「事情が事情」と受け入れ、上司・高柳課長(佐伯新)に報告するが、「確約が取れるまで戻るな」と突き放される。
歩は大平の誠実さに感心する一方、桐明は“気弱で出世しないタイプ”と冷ややかに見る。
「わざと遅らせている」——桐明の指摘と、大平の揺らぎ
翌日も東洋鉱石を訪問。桐明は現場の空気から「与一物産への納品をわざと遅らせている」と察する。
大平は信じきれずにいたが、武林が電話で「与一なんて適当に言いくるめればいい」と発言するのを耳にし、長年築いた信頼が崩れる。
“礼儀を尽くしてきたのに裏切られる”という現実に、大平は打ちのめされる。
歩の進言「捨て身の一手を」——契約条項を“表に出す”
歩は大平に「今こそ捨て身の一手を打つべきです」と進言。契約条項に基づく警告という強硬策を提案する。
普段穏やかな大平が意を決し、契約違反を指摘すると、東洋鉱石は社長の謝罪を申し出る事態に発展。
“礼”で積み上げた関係を、“ルール”で正す方向に舵が切られる。
暗号の電話——織田を“遠隔で”戦線に投入する
大事にしたくない大平は焦るが、歩は織田にショートメッセージを送り、電話越しに「社長が謝罪に来る」と暗に伝える。
織田は即座に上層へ報告し、受け入れ体制を整備。
現場の一手が、上層を動かす連携を生む。
第2話で歩が学んだ“場を勝たせる”働き方が、ここで現実の成果につながる。
役員ヒアリング——「切らない、だが条件を上書き」
役員ヒアリングに臨んだ大平は、歩の同席を求めて真実を説明。
「責任は自分にある。取引だけは切らないでほしい」と頭を下げる。
結果、契約は継続。ただし条件は与一側に有利な形に改訂される。
歩は“出過ぎた真似”を悔やむが、大平は感謝を伝え、辞意を胸の奥にしまう。ここでようやく、“辞めなかった理由”が形を持ち始める。
余韻——桐明の空回りと、香月の立場
今回の経験を通じて、桐明は「学ぶべきことは自分で選ぶ」と言い放ち、早々に撤退して上司に叱責を受ける。
一方、香月は資源二課で雑務に追われながらも、女性課長・白石(中村ゆり)に「正しいと思うならやり通しなさい」と励まされる。
第3話から続く“構造と個人の闘い”の縫い目が、静かに継がれていく。
HOPE(ドラマ)4話の感想&考察

第4話は、「礼儀で築く関係」と「ルールで守る秩序」の矛盾をどう両立させるかを描いた回。
“情”だけでも“理”だけでも仕事は動かない。歩は“捨て身の一手”でその接点を作り出した。ここに本作の“働く哲学”が凝縮している。
大平=“礼儀の営業”の矜持、桐明=“成果の営業”の冷徹
大平は相手の事情を受け止めることで信頼を築く“情の営業”。
桐明は結果重視で、非効率を嫌う“理の営業”。
どちらも正しいが、片方だけでは組織は回らない。大平の優しさは“隙”を生み、桐明の合理は“摩耗”を招く。
その狭間で、歩が二人をつなぐ役を担った。
「捨て身の一手」は恫喝ではない——“節度ある強さ”としての交渉
歩が提案した条項提示は恫喝ではなく、関係の節度を取り戻す手段。
礼を重んじた上でルールを表に出す。結果として契約は切らず、条件だけを上書き。
“礼儀→ルール→再び礼儀”という円環を描き、関係を壊さず秩序を立て直す姿勢が見事だった。
歩の“遠隔連携”——現場と上層を結ぶ“場を勝たせる”一手
織田への暗号の電話は、第2話で掴んだ“場を勝たせる”発想の応用。
現場の情報を適切な温度で上層に伝えることで、組織全体を動かす。報告も技術、タイミングも信頼。
歩の判断があったからこそ、契約継続という最善の形に落ち着いた。
「辞めなかった理由」=“誰かの明日を整える”実感
大平が辞めなかったのは、相手を責めず、関係を守った自分の判断を信じられたから。
歩にとっても、自分の行動が上司と会社を救ったという実感が残った。
HOPEの“希望”とは、勝利ではなく「明日も働ける実感」のこと。それを初めて掴んだ回だった。
桐明の撤退と学び——“観察する力”の不足
桐明は「学ぶものは自分で選ぶ」と即撤退したが、それは観察の放棄でもある。
スキルだけを見て、関係の温度を見なかった。
第4話は、見えない技術(段取り・体面・節度)こそ現場で学ぶべきだと静かに教える。
第3話との接続——「終わらせ方」から「続け方」へ
第3話では“誰の名前で終わらせるか”が焦点だった。
今回はその先、「どう続けるか」が描かれた。
取引を切らず、条件を上書きする――これは関係を継続させながら秩序を守る最適解。HOPEは“勝利の物語”ではなく、“継続の物語”であることを再確認させる展開だった。
原作『未生』との違い——“謝罪”と“節度”の日本的翻案
韓国版『未生』では感情のぶつかり合いで終わるが、日本版では謝罪という形で関係を修復。
体面と段取りを重視する日本のビジネス文化を反映し、“情→理→情”の流れをより丁寧に描いている。
関係を断ち切らずに更新する“温度の交渉術”が、ローカライズの妙だった。
まとめ——“温度管理”としてのビジネス
礼儀(情)と条項(理)の温度をどう保つか。
歩の“遠隔連携”は、現場と上層を結ぶ見事な温度設計だった。
切らずに条件を変える交渉は、勝敗ではなく継続の論理。
「辞めなかった理由」=自分の一手が誰かの明日を整えた実感。
第4話は、派手な逆転劇ではなく、“働き続けるための現実的な勝ち方”を描いた回。
営業という仕事の本質――相手の体温と契約の温度をどちらも下げないこと――を、静かに教えてくれた。
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