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CRISIS(クライシス)3話のネタバレ&感想考察。“正義”が若者を武装させるとき

CRISIS(クライシス)3話のネタバレ&感想考察。“正義”が若者を武装させるとき

第2話で“制度の正義”と“現場の正義”の衝突を描いた『CRISIS(クライシス)』。

続く第3話では、その衝突が一気に現実の銃声へと転化していきます。

汚職議員の白昼射殺、そして掲げられた犯行声明――“平成維新軍”。

暴力団の銃と、SNSで拡散される理想論。その2つが重なったとき、若者たちは“正義の名のもとに”引き金を引いてしまう。

国家の腐敗を討つはずの手が、いつの間にか未来を奪う手になっていく。

2017年4月25日(火)夜9時放送のドラマ「CRISIS〜公安機動捜査隊特捜班〜」3話のあらすじ(ネタバレ)と感想を紹介していきます。

※以後ネタバレ注意

目次

CRISIS(クライシス)3話のあらすじ&ネタバレ

CRISIS(クライシス)3話のあらすじ&ネタバレ

第3話は、“正義”を掲げる者の手が、どれほど容易に若者の未来を奪えるかを見せつける回でした。

物語は、汚職疑惑の渦中にいた国会議員の白昼射殺から始まり、“平成維新軍”を名乗る集団の犯行声明、そして銃の入手経路から浮かぶ少年たちへと捜査線がつながっていきます

公式のエピソード情報を土台に、各メディアの要約・レビューを突き合わせ、流れを整理します。

冒頭:報道陣の目前で議員射殺、平成維新軍が声明

汚職疑惑の議員が自宅前で覆面の3人組に射殺される。

直後に政府系サイトがハッキングされ、“平成維新軍”の犯行声明が掲出。

「権力を利用して私腹を肥やす者を排除する」とテロ続行を宣言し、特捜班(稲見・田丸・吉永・樫井・大山)は未然防止・早期逮捕を命じられる。導入は公式あらすじの骨子どおりで、国家の体面を守る時間が動き出します。

銃の線:グロック系拳銃→暴力団組長→“息子の持ち出し”

使用銃は一般人が入手困難なグロック系(報道ではG19と推定)。

銃器マニアとして名の知れた組長が同型を複数所持しており、保管庫から銃が息子の譲に盗まれていたことが判明する。

譲は少年院出所後「社会のシステムを変える」と語り、誰かに思想を吹き込まれた形跡。ここで特捜班は“銃の線”を足がかりに実行チームの特定へ入る。

潜伏先急襲:ひとり確保、ふたり逃走

譲の潜伏先を突き止めた特捜班は包囲→接近の定石で踏み込む。

譲は「逃げろ!」と仲間に叫び発砲。外回りの吉永・樫井・大山が応戦するあいだ、稲見と田丸は非致死で制圧し、譲を確保するも残り2人は逃走。

班の分業(取り調べ/追跡/電脳解析)が同時進行で転がり始める。

動機の輪郭:藤崎兄弟と「父の死」――スケープゴートの連鎖

大山の解析で、逃走した藤崎正一・誠二の兄弟が浮上。

彼らの父はある利益供与事件で“自殺”した秘書で、実態はトカゲの尻尾切りだったと兄弟は受け止めていた。

最初に撃たれた議員も、その事件線上にいたと大山は紐づける。つまり今回の“平成維新軍”の標的は、過去の汚職の利得者たち。怒りの矛先は“象徴的な悪”へ向けられていく。

次の標的へ:黒須議員—“虚を突く”二段攻撃の読み

特捜班は、利得者3名の線を整理し、次の標的が黒須議員である可能性を高く見る。

兄弟は黒須を陽動に使い、真の標的(残る利得者)を別動で狙う二段構えだと推測。情報を束ねながら、まずは黒須のSP警護網の穴を塞ぎに動く。

遊園地のクライマックス:孫の視線と、銃口の位置

黒須が孫と遊園地にいる情報を掴み、特捜班は場内を分散検索。

黒須がひとりになる“刹那”に藤崎兄弟が接近、銃口は常に孫から逸らす配置で、黒須のみを狙う——彼らの“悪でいようとするマナー”が痛い。

稲見が体当たりで割って入り、吉永が孫を退避。走る兄弟を稲見・田丸が追い詰め、至近距離の対峙へ。稲見は「生きていれば、またやり直せる」と説得。

だが兄弟は互いに銃口を向け合い、「この国の未来のために!」と叫んで自らを撃つ。周到な他害と、瞬間の自害——その線を彼らは越えてしまう。

余韻:若者が“駒”になる仕組み

捜査線上では、“平成維新軍の前身=Truth Troopers(ハッカー系の自警集団)”説が浮上

大山は高校時代にTTへ関わり、怖くなって離れた過去を口にし、思想が若者を駒化するメカニズムの“入口”が示される。第3話は、マクロな政治腐敗とミクロな過激化を一本の線で結んで幕を引いた。

CRISIS(クライシス)3話を見た後の感想&考察

CRISIS(クライシス)3話を見た後の感想&考察

第3話は、「武器を誰が与えたか」という問いを、銃そのものと思想の両方に二重写しで掲げます。

銃は暴力団由来、思想は“維新”の物語。この二つが嚙み合ったとき、若者は“正義のため”に引き金を引けてしまう

その冷たさと脆さを、遊園地という“記憶の場所”で見せた脚本の硬度に、まず敬意を表したい。

銃の出自が炙り出す、“管理の穴”の位置

発端のグロックは、ヤミの供給網が“善意の志”と結びつくことで初めて実害に転化する。

第3話は、供給網の現実(銃)と物語の幻(維新)の両輪が揃ったときの危険を描く

ここに、“銃規制は機能しているのか/誰がリスクを負うのか”という現実的問いが埋め込まれていた。武器の民主化が進んだ世界では、語りの強度が武器の実効性を押し上げてしまうのです。

Truth Troopers→平成維新軍という“語りの連続”

大山が語るTruth Troopers(TT)の思い出は、「正義を信じたい若者」の入り口としてまっとうだ。

未解決や隠蔽を“自分たちが暴く”という昂揚感は、たやすく“維新”という国家語彙と接続する。志士の名を名乗るというTTの儀礼は、そのまま「平成維新軍」という“ネーミングの暴力”へ継承されてしまう。

名付けは、行為を許可する。この回は、言葉の選択が倫理の線を越える瞬間を、過去語りで提示した。

少年院—“囲いこみ”の場所、過激化の温床

捜査の中で示唆される「少年院での勧誘」という仮説は、再犯防止の空間が過激化の市場にもなり得るという矛盾を突いている。

制度の穴は供給網(銃)だけでなく、物語(思想)の供給にもある。

更生の物語が与えられなければ、復讐の物語が代入される——第3話の藤崎兄弟は、その端的な帰結だ。

遊園地で“孫から銃口を逸らす”——悪のマナーが最も痛い

兄弟は孫を巻き込まない配置で黒須だけを撃とうとする。

これは“正義”の自己正当化に他ならない。無辜を守る“俺たちの規律”が成立した瞬間、人は敵の“人格の全否定”を許容できる。だから稲見は“ここで生きろ”と説得する。

やり直し可能性という価値を、国家のメンツよりも前に置くのが、特捜班の“現場倫理”であり、シリーズの芯でもある。

「この国の未来のために」—自死の台詞が空洞化する瞬間

兄弟の最期の台詞は、国家語彙の借用だ。未来/維新という響きは美しいが、結果は“若者が死ぬ”ことだ。

“大人の嘘”(過去の汚職・隠蔽)への怒りは正当でも、“若者の死で均衡を取る”のは、結局また大人の物語に回収される。第3話は、悲劇が最もよく働くのは、支配の側だという残酷な真実を黙って示した。

稲見×田丸=「衝動」と「規律」のブレンド

稲見は身体で間合いをつくる人、田丸は配置で局面を締める人。

この回でも接近戦の割り込み(稲見)と包囲の手順(田丸)が美しく噛み合う。第1話の首輪爆弾で確立した、身体×情報×手順の三位一体が、今度は“物語の暴走”を止める側で機能した。

アクションの快感が倫理の説得力を底から支える設計は、やはり強い。

編集の妙—“正義の快感”を与え過ぎない

銃撃戦はあっても、英雄的カタルシスを過剰に焚き上げないのが第3話の美徳です。

獲得=逮捕ではなく、喪失=自死で終わらせる編集は、「考え続けろ」という視聴者への宿題。結果の鈍さが、問いの鋭さを残す——その配分が見事でした。

まとめ

武器と物語の二重供給:供給網(銃)と語り(維新語彙)が、若者を“実行者”に変える構造。

Truth Troopers→平成維新軍:“名付け”が行為を許可し、倫理を鈍らせる。

現場倫理の位置:稲見の「まず生かす」は、国家の体面を超えてやり直し可能性を守る態度。

制度の責任:更生の物語が足りない場所に、復讐の物語が侵入する。対策は管理(銃)だけでは閉じない。

第3話は、“悪を討つ英雄譚”に寄りかからない姿勢で、若者が“駒”にされる瞬間を静かに炙り出しました。快感より思考へ、断罪より構造へ。シリーズの真価は、こういう回でこそ立ち上がると感じます。

キーマンの千種を演じるのは石田ゆり子さんです↓

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