2015年放送のドラマ『ウロボロス~この愛こそ、正義。』第4話では、警視庁捜査一課へ異動したイクオが、警察官ばかりを狙った連続殺人事件へ挑みます。
新しい相棒は、組織になじめず単独行動を続けるベテラン刑事・坂東士郎でした。
箱に詰められた遺体、現場に残る青リンゴの香り、エレベーターを避ける境川署の中嶋春樹。バラバラに見えた違和感が一つにつながったとき、警察組織に父親を切り捨てられた一人の復讐者が浮かび上がります。
イクオにとって、それは自分がこれから進むかもしれない未来と向き合う事件でもありました。
一方、竜哉は湯浅が所属していたハイジマコーポレーションへ接近し、我孫子会では異例の直参入りを持ちかけられます。この記事では、ドラマ『ウロボロス~この愛こそ、正義。
』第4話のあらすじ&ネタバレ、伏線、感想と考察について詳しく紹介します。
ドラマ「ウロボロス~この愛こそ、正義。」第4話のあらすじ&ネタバレ

第3話でイクオと竜哉は、20年前の結子殺害事件に関わった湯浅敬一へたどり着きました。しかし湯浅は警察官によって口封じされ、元刑事の九条も命令者を語る前に狙撃されます。
湯浅の遺品から見つかったのは、「まほろば」の近くに存在したハイジマコーポレーションの社員証でした。またイクオは、結子が隠していた銃を持ち出し、湯浅を撃った記憶を取り戻します。
その理由がわからないまま、イクオは圀彦の意向で警視庁捜査一課へ移ることになりました。
捜査一課へ異動したイクオと孤高の刑事・坂東
突然の異動によって、イクオは念願だった警察組織の中枢へ一歩近づきます。しかし異動を働きかけたのが金時計を持つ圀彦であるため、素直に出世を喜ぶことはできません。
圀彦の意向で決まった警視庁捜査一課への異動
イクオが配属されたのは、警視庁捜査一課の中でも警察官連続殺人事件を担当している部署でした。これまで所属していた新宿第二警察署とは扱う事件の規模も、周囲の刑事たちが持つ権限も異なります。
高い検挙率を考えれば、イクオの能力が評価された人事にも見えます。しかし、圀彦はすでにイクオの経歴を調べており、彼が「まほろば」で育ったことも把握している可能性があります。
イクオにとって捜査一課は、20年前の資料や警察上層部へ近づける場所です。一方、圀彦にとっても、イクオを自分の目が届く場所へ置ける人事でした。
栄転であると同時に、監視や利用のための異動ではないかという警戒が消えません。
イクオを新しい相棒と認めない坂東士郎
イクオの新しい相棒となった坂東士郎は、長い刑事経験を持つ一匹狼です。組織の方針より自分の捜査を優先し、周囲と衝突を繰り返してきたため、実力がありながら出世コースから外れていました。
坂東は、若く頼りなく見えるイクオを相棒として簡単には認めません。イクオが自分の資料へ触れようとしただけでも強く反発し、事件について教えようともせず、一人で捜査を進めます。
ところが坂東が新宿第二署を見下すような言葉を口にすると、イクオの表情が変わりました。自分が悪く言われることは受け流せても、三島や美月を含む仲間を侮辱されることは許せなかったのです。
イクオの静かな怒りを見た坂東は、彼が単なる冴えない若手ではないと気づきます。互いを信頼する段階には達していませんが、イクオの中に仲間を守ろうとする刑事の顔があることは伝わりました。
報道を規制された警察官連続殺人事件
捜査一課が追っていたのは、警察官ばかりが狙われる連続殺人事件です。すでに二人の警察官が殺されていましたが、組織への不安が広がることを警戒し、事件は世間へ公表されていませんでした。
坂東は死亡した二人を古くから知っており、事件を個人的な問題として追っています。そのため捜査本部の動きとは別に、遺品や過去の関係者を一人で調べ続けていました。
警察官が標的となっている以上、犯人は警察組織そのものに恨みを抱いている可能性があります。イクオにとっても、結子の死を握りつぶした警察への憎しみは他人事ではありません。
ただし、この時点では坂東も、殺された二人と自分がなぜ狙われるのかを語ろうとしませんでした。坂東が守ろうとしている過去が、三人目の犠牲者によって表へ引きずり出されます。
箱に詰められた警察官と青リンゴの香り
坂東について境川警察署へ向かったイクオは、所轄刑事の中嶋春樹と出会います。協力的で親しみやすい中嶋でしたが、何気ない行動の中には事件の真相へつながる違和感が残されていました。
境川署でイクオを助ける刑事・中嶋春樹
境川署の中嶋は、慣れない捜査一課で坂東に振り回されるイクオへ同情を示します。坂東が単独行動を好み、相棒として扱いにくいことも知っている様子でした。
中嶋自身は物腰が柔らかく、資料を運ぶ際にもイクオの手を借りようとします。ただし、荷物が多いにもかかわらず、エレベーターを利用せず階段を選びました。
中嶋は健康のためだと説明します。日常の中では不自然と言い切れない行動ですが、後から振り返ると、彼が狭く閉ざされた空間を避けていた最初の手掛かりでした。
イクオはこの段階で中嶋を疑っていません。むしろ新しい職場で初めて友好的に接してくれた刑事として、自然に会話を交わしていました。
段ボール箱の中で鳴った坂東からの電話
境川署に置かれていた荷物の中から、携帯電話の着信音が聞こえます。表示されていた発信者は坂東でしたが、電話は誰かが手に持っているのではなく、大きな段ボール箱の中にありました。
イクオと中嶋が箱を開けると、中から現れたのは切断された人間の腕です。さらに調べると、箱の中には警察官の遺体が分けられて詰められていました。
それは警察官連続殺人事件の三人目の犠牲者でした。犯人は遺体を処理するだけでなく、警察署へ運び込み、捜査員たちへ見せつけるような形で発見させています。
警察を恐れて逃げる犯罪者ではなく、警察官の尊厳を奪い、組織へ屈辱を与えようとする犯行です。イクオは犯人が被害者個人だけでなく、警察全体へ強い怒りを向けていると考えます。
三人の遺体に残された青リンゴの香り
イクオは段ボール箱を調べる中で、遺体から甘酸っぱい香りを感じ取ります。腐敗臭や現場にある消臭剤ではなく、青リンゴを思わせる意図的な香りでした。
同じ香りは、先に殺された二人の遺体からも確認されます。三件すべてに共通する以上、犯人が遺体を箱へ詰める際に使用したものだと考えられました。
犯人が警察へメッセージを残すために香りをつけたのか、それとも自分自身のために使ったのかはわかりません。イクオは小さな違和感として記憶し、香りと犯人の行動を結びつけようとします。
箱に詰められた遺体へ残された青リンゴの香りは、犯人の計画ではなく、犯人自身が消せなかった過去から生まれた痕跡でした。
殺された警察官たちをつなぐ過去の不祥事
三人の被害者は、坂東と同じ時期に警察官となった仲間でした。警察学校時代の古い写真をたどることで、出世した者たちの陰に追いやられた一人の警察官が浮かび上がります。
競い合った同期を殺されても過去を話さない坂東
坂東は、殺された三人が警察学校時代から競い合ってきた同期だったと明かします。仲間意識だけでなく、互いに優秀な警察官として認め合う関係でした。
そのため坂東は、三人の死を組織の事件としてではなく、自分の問題として受け止めています。次に狙われるのが自分かもしれないと理解しても、若いイクオを巻き込まないため、一人で犯人へ近づこうとしました。
一方、イクオは坂東の態度に、事件の原因となった過去を隠している気配を感じます。刑事歴が長いため恨みを買う機会はいくらでもあったという説明だけでは、同期ばかりが順番に狙われる理由になりません。
坂東が沈黙しているのは、犯人を知らないからではなく、自分たちがかつて行った捜査と現在の殺人を結びつけたくないからだと考えられました。
襲われた坂東より犯人の追跡を優先できないイクオ
単独捜査を続ける坂東は、バイクで接近してきた人物に刃物で襲われます。坂東は負傷しながらも、イクオへ自分を置いて犯人を追うよう求めました。
犯人を逃せば、新たな警察官が殺されるかもしれません。それでもイクオは、目の前で倒れている坂東を放置できず、追跡より病院へ運ぶことを選びます。
この判断には、刑事としてのイクオの本質が表れています。復讐者としては犯人を捕らえることが最優先でも、人を守る刑事としては、現在失われかけている命を見捨てることができません。
坂東は自分の命より事件を優先しようとしましたが、イクオに救われたことで、若い相棒への見方を少しずつ変えていきます。二人の間には、命令や役職とは異なる相棒としての信頼が生まれ始めました。
古い集合写真から消えかけていた室田健太郎
橘は、被害者たちと坂東が写っている警察学校時代の集合写真をイクオへ渡します。そこには現在出世した刑事たちだけでなく、新宿第二署の三島も写っていました。
イクオが写真を三島へ見せると、同期の中に途中で出世コースから外れた人物がいたことを思い出します。その男の顔は写真の劣化によって見えにくくなっており、科捜研での解析が必要でした。
写真に写っていた男の名は室田健太郎です。殺された三人や坂東と同じ同期でありながら、ある事件を境に閑職へ追いやられ、その後は組織の中で忘れられていました。
被害者たちは出世し、室田だけが消えた。その不均衡が、現在の連続殺人へつながる過去の不祥事を示していました。
蝶野が美月へ示したイクオと竜哉の利害関係
同じ頃、蝶野は美月へ、イクオが解決してきた事件と松江組の利益が不自然に連動していると伝えます。イクオが犯人を検挙した結果、竜哉に敵対する組織や人物が排除されているという見方です。
蝶野は竜哉を逮捕することへ執着していますが、単なる決めつけでイクオまで疑っているわけではありません。事件の結果を並べ、誰が得をしたのかを確認することで、二人の協力関係へ近づいています。
美月はイクオを信じたいものの、石森や神谷の事件でも説明できない空白を感じていました。蝶野の指摘によって、それまで別々だった違和感が竜哉という一人の人物へつながります。
イクオが捜査一課へ移ったことで美月との距離は一度離れましたが、その間にも彼女は相棒の秘密へ近づいていました。
竜哉が追うハイジマと結子先生の知られざる過去
イクオが警察官連続殺人事件を追う一方、竜哉はハイジマコーポレーションと「まほろば」の関係を調べます。裏社会では我孫子会の直参入りを持ちかけられ、復讐のために選んだ道のさらに奥へ進もうとしていました。
我孫子桐乃から持ちかけられた異例の直参入り
竜哉は我孫子会の実力者である我孫子桐乃から、会の直参へ引き上げる話を持ちかけられます。三次団体である松江組の若頭から一気に直参へ進むことは、通常では考えにくい出世でした。
桐乃は竜哉の金を生み出す能力と冷静な判断力を高く評価しています。同時に、竜哉が金や地位だけを目的に極道の世界へいるのではないことも見抜いていました。
竜哉にとって昇格は、結子殺害事件へつながる裏社会の情報を集める好機です。しかし地位が上がるほど、松江組の内部だけでなく、我孫子会全体の争いと責任を背負うことになります。
表の世界へ戻るための出世ではなく、裏社会からさらに抜け出せなくなる出世です。それでも竜哉は、自分の未来より真相へ近づくことを優先しました。
警察官を装った竜哉とハイジマへの潜入
湯浅の社員証を手掛かりに、イクオと竜哉はハイジマコーポレーションへ接触します。会社社長を狙う脅迫があるように見せかけ、イクオは本物の刑事として、竜哉は警察官を装って社内へ入りました。
イクオが会社側の対応を引き受けている間、竜哉は社長室へ入り、パソコンに保存されている情報を複製します。秘書に見つかりかけても、相手の動揺を利用してその場を切り抜けました。
刑事と極道が一緒に警察官として振る舞う場面は軽妙ですが、行っているのは令状のない情報収集です。二人は結子の真相へ近づくためなら、捜査の手続きも身分の境界も越えています。
イクオが本庁へ移り、竜哉が直参へ近づく中でも、二人が最も信頼している捜査相手は互いのままでした。
実体の薄い会社と警察OBたちのつながり
調査の結果、ハイジマコーポレーションには企業としての実体がほとんどなく、複数の関連先も実態の見えにくい会社でした。さらに、その役員には警察官僚のOBが名を連ねています。
ハイジマは「まほろば」が作られた時期と近い時期に設立され、施設の近くに存在していました。そこへ20年前の実行役とみられる湯浅が社員として所属していたのです。
ただし第4話時点では、会社が結子殺害を命じたのか、施設で何をしていたのかはわかりません。確認できるのは、事件現場、実行役、警察上層部を一つの線で結び得る企業が存在することだけです。
イクオは結子がなぜ銃を持っていたのかを知りたいと考えますが、竜哉は結子の過去が何であっても復讐の目的は変わらないと受け止めます。結子本人の真実を求めるイクオと、結子を奪った相手だけを見ようとする竜哉の間に、わずかな温度差が生まれました。
青リンゴの香りと閉所への恐怖が示した中嶋の正体
坂東たちの古い写真と遺体に残された香りを調べるうち、イクオは犯人が外部の犯罪者ではなく、捜査へ参加している警察官だと見抜きます。その人物は、最初からイクオのすぐそばにいました。
三件すべてに残っていた香りの役割
科捜研で確認すると、先に発見された二人の遺体にも、三人目と同じ青リンゴの香りが残っていました。犯人は遺体を箱へ詰めるたび、同じ香りを使用していたことになります。
劇中では、その香りが狭い場所への恐怖を和らげるために使われていた可能性が示されます。犯人は遺体を閉じ込める際、箱の中を想像するだけでも過去の恐怖を呼び起こされていたのでしょう。
香りは被害者へ向けた演出ではなく、犯人が自分の精神を落ち着かせるためのものでした。自分では証拠を残している意識が薄かったからこそ、三件すべてへ同じ痕跡が残ります。
イクオの嗅覚は、薬物や香水だけでなく、人が隠そうとしている習慣まで捉えました。青リンゴの香りは犯行手口よりも、犯人の身体と記憶へ結びつく手掛かりだったのです。
エレベーターを避けた中嶋の行動
イクオは、境川署で中嶋が荷物を抱えながら階段を選んだことを思い出します。健康のためという説明は自然に聞こえましたが、実際には閉ざされたエレベーターへ乗れなかった可能性があります。
さらに中嶋の近くからも、遺体に残っていたものと同じ香りが感じられました。箱、青リンゴの香り、閉所を避ける行動が、一人の刑事へ集まります。
中嶋は三人目の遺体を発見した際、驚き、捜査へ協力する姿勢を見せていました。しかし自ら発見者の近くに立つことで、捜査の進行を把握し、警察内部に犯人がいるという疑いを遠ざけることができます。
イクオは中嶋が次に坂東を狙うと判断します。復讐の対象となった同期の中で、まだ生きている坂東を守るため、病院へ急ぎました。
清掃用具の中へ坂東を隠して運ぶ中嶋
中嶋は清掃員を装って病院へ入り、入院中の坂東を拘束します。そして大きな清掃用具の中へ隠し、地下へ運び出そうとしました。
病院には医師を装った竜哉も来ていました。清掃員姿の中嶋が自分はエレベーターへ乗らず、用具だけを載せようとしたことに不審を抱き、中を確認して坂東を見つけます。
中嶋は地下で竜哉を襲いますが、その先にはイクオが待っていました。イクオと竜哉は離れて行動していても、相手が何を考え、どの役割を引き受けるかを理解しています。
竜哉が坂東を守り、イクオが中嶋と向き合うことで、犯人の計画は止められました。ただし、竜哉が病院から立ち去る姿を美月が目撃し、二人の秘密はさらに危うくなります。
父を警察に奪われた中嶋と復讐者イクオ
中嶋が警察官を殺していた理由は、父・室田健太郎の人生を組織に奪われたことでした。彼の怒りはイクオにも理解できるものであり、だからこそイクオは自分の復讐まで突きつけられます。
違法捜査の責任を押しつけられた室田健太郎
坂東と殺された三人は、若い頃に大規模な違法賭博事件の摘発へ関わっていました。結果だけを見れば大きな成果でしたが、その裏では正規の手続きを外れた捜査が行われています。
不正が発覚すると、警察上層部は将来を期待されていた刑事たちと組織の名誉を守るため、責任を室田一人へ負わせました。室田は事件を主導した人物ではないにもかかわらず、閑職へ追いやられます。
坂東たちは出世や刑事としての立場を守られ、室田だけが無能な警察官として処理されました。警察は不正そのものを正すのではなく、一人の人間を切り捨てることで問題を終わらせたのです。
中嶋は後になって送られてきた資料から、その事実を知りました。父を壊したのは能力のなさではなく、仲間と組織を守るための責任転嫁だったと理解し、関係者への復讐を始めます。
壊れていく父によって箱へ閉じ込められた中嶋
閑職へ追いやられた室田は、警察官としての誇りと生活を失い、精神的に追い詰められていきます。その苦しみは家庭にも向かい、幼い中嶋は父から段ボール箱の中へ閉じ込められるようになりました。
室田は息子を守るという歪んだ理由を口にしていたようですが、子供の中嶋にとって箱は逃げられない恐怖の空間です。その体験が閉所への強い恐怖として、大人になった後も身体に残っていました。
中嶋が遺体を箱へ詰めたのは、父を壊した警察官たちへ、自分が味わった苦しみを返すためだったとも考えられます。被害者を殺すだけでなく、自分の恐怖の象徴へ閉じ込めることで復讐を完成させようとしました。
しかし箱へ向き合うたびに、中嶋自身も恐怖から逃れられません。そのため青リンゴの香りを使い、子供の頃の記憶を抑えながら犯行を続けていたのです。
中嶋の怒りに20年前の自分を重ねるイクオ
中嶋は、父の名前すら覚えていない坂東たちへ怒りをぶつけます。中嶋と家族にとって人生を壊した重大な出来事でも、出世した警察官たちにとっては忘れた過去にすぎませんでした。
その姿を見たイクオは、子供だった自分と竜哉を思い出します。結子を殺した者たちと、事件を握りつぶした金時計の男もまた、二人の人生を壊しておきながら、何事もなかったように生きています。
中嶋が父のために復讐したように、イクオも結子のために警察官となり、竜哉とともに犯人を追ってきました。中嶋の怒りを間違いだと言えば、自分たちの20年間まで否定することになります。
中嶋はイクオと無関係な殺人犯ではなく、復讐だけを正義だと信じ続けた先にいる、もう一人のイクオでした。
動揺したイクオの脳裏には、結子が涙を流しながら男性と言い争う断片的な記憶がよみがえります。事件の核心へ近づくたび、優しい施設職員だけでは説明できない結子の過去が浮かび上がりました。
坂東を殺そうとする中嶋を止めた二人
中嶋は父を切り捨てた坂東へ刃物を向けます。怒りを理解しながら動けなくなるイクオに代わり、坂東は中嶋の攻撃を止めようとしました。
坂東は室田が犠牲になった過去を否定できません。自分が直接責任を押しつけたのではなくても、結果として同期を守らず、その犠牲の上で刑事を続けてきたからです。
そこへ美月たちが駆けつけ、中嶋は殺人容疑で逮捕されます。美月は中嶋の事情を聞いても、やり返すことを繰り返せば誰も救われないという立場を崩しません。
父の人生を奪った警察官が裁かれなかったからといって、中嶋が別の命を奪えば、残されるのは新しい被害者と憎しみだけです。中嶋を生きたまま逮捕した結末は、イクオにも復讐以外の裁き方があることを示していました。
不祥事を隠さない選択と深まる蝶野の疑い
中嶋の逮捕後、警察上層部は現職刑事による連続殺人を再び隠そうとします。しかし第4話では、警察内部の全員が隠蔽へ加担するわけではないことも描かれました。
事件そのものを消そうとする北川へのイクオの怒り
警視総監の北川は、現職警察官が警察官を連続して殺した事件を公表すれば、組織への信頼が失われると考えます。そのため、事件そのものをなかったことにする方向で処理しようとしました。
イクオには、その態度が20年前の金時計の男と重なります。自分たちの証言を消し、結子の死を存在しなかったことにした警察が、現在でも同じ論理で真実を隠そうとしているからです。
感情を抑えられなくなったイクオは、北川へ手を出します。警察官として許されない行動ですが、被害者や中嶋の家族を再び組織の都合で切り捨てることには耐えられませんでした。
警察の正義を信じ切れないイクオにとって、組織を守るために事件を消す北川の判断は、最も憎んできた権力の姿そのものです。
今回の事件を公表すると決めた圀彦
北川との衝突へ割って入ったのが圀彦です。圀彦はイクオの行動をその場で問題にせず、今回の連続殺人については自分の責任で公表する意思を示します。
圀彦は金時計を持ち、イクオの人事を動かしたため、20年前の事件との関係を疑われています。しかし少なくとも第4話では、警察の不祥事を完全に消すのではなく、現在起きた事件を世間へ明らかにする側へ立ちました。
圀彦が公表を選んだことで、警察組織は一枚岩ではなく、真実を隠す者と内部から正そうとする者がいることが示されます。
ただし、過去に室田へ責任を押しつけた警察官たちまで直ちに処分されたわけではありません。中嶋の殺人は公表されても、父を壊した組織の責任がすべて清算されたとはいえず、坂東にも割り切れない思いが残りました。
美月が目撃した病院を去る竜哉
坂東が襲われた病院には、本来そこにいる理由のない竜哉が現れていました。医師を装って中嶋の犯行を止め、イクオを助けた後、竜哉は人目を避けて病院を出ます。
しかし、その姿を美月が見ていました。蝶野からイクオの検挙と松江組の利益が連動していると聞いた直後であり、偶然として片づけることはできません。
事件後、美月は捜査一課へ配属され、再びイクオの相棒となります。それはイクオにとって心強い人事である一方、最も近くで秘密を調べられる状況でもありました。
美月がイクオへ確かめようとしたのは、竜哉とどのような関係にあるのかという一点です。イクオが正直に話せば20年間の復讐が崩れ、嘘をつけば美月との信頼が崩れる場面で第4話は次の緊張へ進みます。
桂田の死と結子先生の過去を示す一枚の写真
中嶋事件の後、竜哉のもとへハイジマコーポレーションの社長・桂田から連絡が入ります。桂田は「まほろば」や20年前のイクオと竜哉を知っていることを示し、情報を渡すような態度を見せました。
竜哉が一人で社長室へ向かうと、桂田はすでに銃で撃たれて死亡しています。周囲には「まほろば」やイクオ、竜哉に関する資料が散らばり、誰かが桂田の口を封じた可能性が浮かびました。
その中には、イクオと竜哉が知らない姿の結子が写った写真もありました。警察官の制服に見える服装をした結子の姿によって、施設職員だけでは説明できない過去が強く示唆されます。
ただし第4話の時点では、結子が本当にどのような立場だったのか、なぜハイジマと関係していたのかは明かされません。桂田の死と写真は、20年前の事件を守る者が現在も動いていることを示す新たな引きとなりました。
ドラマ「ウロボロス~この愛こそ、正義。」第4話の伏線

第4話では警察官連続殺人事件が解決する一方、本筋ではハイジマコーポレーション、桂田の死、結子の過去を示す写真が新たに登場しました。また、イクオと竜哉の協力関係へ美月と蝶野が近づき、二人の秘密が崩れる予兆も強まっています。
ハイジマコーポレーションと結子先生の過去
湯浅の社員証から始まったハイジマの調査は、「まほろば」、警察OB、結子を一つの線でつなぎ始めます。ただし、第4話で見えた情報だけでは会社の本当の目的を断定できません。
実体のない会社に集まる警察OB
ハイジマコーポレーションは表向き企業活動を行っているものの、調べるほど実体が見えにくくなります。関連する会社にも同じ特徴があり、その役員には警察官僚のOBが含まれていました。
会社が「まほろば」と近い時期に作られ、施設の近くに存在していたことも偶然とは思えません。さらに20年前、結子殺害現場から逃げた湯浅が社員として所属していました。
企業と警察が一緒に何かを隠していた可能性はありますが、現時点ではハイジマが実行役へ直接命令したとは確認できません。組織全体の目的を知る人物として桂田が浮上した直後、本人が殺されたことが重要です。
桂田を殺し、資料を残した人物
桂田は竜哉へ自分から連絡し、20年前の情報を渡そうとしていました。それにもかかわらず、竜哉が到着した時点では銃撃され、証言できない状態になっています。
桂田が竜哉へ接触したことを、何者かが早い段階で把握していたと考えられます。御子柴、九条、湯浅に続き、真相へつながる人物が話す直前に消される構図が繰り返されました。
ただし社長室には資料や写真が残されています。犯人がすべてを処分する時間を持てなかったのか、あえて二人へ見せるために一部を残したのかは不明です。
中嶋へ警察不祥事の資料を送った人物と、桂田を殺した人物が同じ側にいるとも限りません。警察内部の粛清を望む者と、20年前の秘密を守る者が別々に動いている可能性もあります。
制服姿に見える結子先生の写真
竜哉が見つけた写真には、「まほろば」で子供たちを世話していた姿とは異なる結子が写っています。服装は警察官の制服に見え、結子がかつて警察と関係していた可能性が生まれました。
ただし、写真一枚だけで所属や任務まで確定することはできません。制服を着ていた時期、ハイジマとの関係、「まほろば」へ来た理由のいずれもまだ明らかになっていません。
第3話では、結子が施設内に銃を隠し、危険を予想して行動していたことが判明しました。そこへ今回の写真が加わったことで、結子が事件へ偶然巻き込まれたのではなく、以前から何らかの秘密を追っていた可能性が強まります。
結子先生は二人が知っていた母親のような存在であると同時に、二人には話せない任務や過去を抱えた人物だったのかもしれません。
中嶋へ資料を送った人物と復讐の誘導
中嶋は自力で父の冤罪を突き止めたのではなく、何者かから送られた資料によって真相を知りました。つまり警察官連続殺人事件には、実行犯の中嶋とは別に、復讐心を刺激した人物が存在します。
なぜ今になって父の資料が届いたのか
室田が責任を押しつけられた不祥事は、長い間警察内部で隠されていました。中嶋自身も、父が壊れた本当の理由を知らないまま警察官になっています。
その中嶋へ、坂東や三人の警察官が関与したことを示す資料が送られました。送り主は警察内部の記録へ接触でき、関係者の現在の立場も把握していたと考えられます。
中嶋は、送り主も腐敗した警察の粛清を望んでいると受け取りました。しかし、その人物が本当に正義のために情報を渡したのかはわかりません。
中嶋が関係者を殺せば、過去の不祥事を知る者同士が潰し合うことになります。復讐を支援したのではなく、都合の悪い警察官たちを中嶋に始末させようとした可能性も残ります。
中嶋の閉所恐怖症に刻まれた父の罪
中嶋が閉所を恐れる原因は、父から段ボール箱へ閉じ込められた幼少期にあります。父を壊したのは警察組織でしたが、幼い中嶋を直接傷つけたのは、その父でした。
中嶋は父を善良な被害者として守ろうとします。しかし室田もまた、追い詰められた結果とはいえ、自分の苦しみを子供へ向けています。
警察の不正が室田を壊し、室田の傷が中嶋へ渡り、中嶋がさらに三人を殺す。中嶋事件は、一つの隠蔽が次の世代まで暴力を連鎖させる構造になっていました。
青リンゴの香りは犯人特定の手掛かりであると同時に、中嶋が父から受けた傷を現在まで抱えている証しでもあります。
結子先生の言葉と中嶋の復讐
イクオの記憶には、傷つけられたら抵抗してもよいという結子の教えも残っています。子供だったイクオを守るための言葉だったと考えられますが、復讐を続ける現在のイクオには別の意味にも聞こえます。
中嶋もまた、父を踏み台にした警察へやり返しました。しかし抵抗と復讐、身を守ることと相手を殺すことは同じではありません。
結子が本当に望んだのは、傷つけられても黙って耐えることではなく、命を奪う悪循環から子供たちを守ることだった可能性があります。
イクオが中嶋を逮捕することは、結子のために戦うことと、結子のために人を殺すことの境界を考え直すきっかけになりました。
圀彦の判断と警察内部に存在する二つの正義
圀彦は金時計を持つ怪しい警察幹部として描かれる一方、第4話では北川の隠蔽へ同調せず、連続殺人事件を公表する側へ立ちます。その行動は、単純な黒幕像とは一致しません。
イクオを捜査一課へ移した本当の理由
イクオの捜査一課異動は、圀彦の働きかけによって実現しました。能力を評価しているなら自然ですが、イクオが「まほろば」の出身者だと知っている場合、別の意図があると考えられます。
監視するために近くへ置いたのか、警察上層部の情報へ接触させようとしているのか、それとも娘の美月とともに何かを暴かせたいのかは不明です。
圀彦はイクオの暴力をその場でかばい、事件の公表も約束しました。それでも20年前の事件について直接説明せず、金時計の意味も明かしていません。
味方のように動きながら、最も重要な情報は隠す姿勢が、イクオにも美月にも圀彦を信じ切れない理由を残しています。
隠蔽を望む北川と公表を選ぶ圀彦
北川は警察への信頼を守るため、現職刑事による連続殺人を消そうとしました。圀彦はそれに対し、今回の事件は公表すると判断します。
どちらも警察組織を守る立場ですが、守り方が異なります。北川は不祥事を見せないことで権威を保とうとし、圀彦は不祥事を認めて内部から変えることで信頼を取り戻そうとしました。
ただし、室田へ責任を押しつけた過去まで完全に公表し、関係者を処分するとは示されていません。現在の事件を明らかにする一方、過去の責任は曖昧に残されました。
圀彦が正義を選んだのか、より大きな秘密を守るために小さな不祥事を公表したのかは、第4話だけでは判断できません。
坂東・橘・三島が示す警察官の別の姿
坂東は頑固で組織捜査を嫌いますが、事件から逃げず、自分の過去と中嶋の怒りへ向き合います。橘は上層部の命令だけに従うのではなく、イクオの能力を認め、写真という手掛かりを渡しました。
三島もまた、警察学校時代の同期である坂東や被害者たちを知りながら、過去を隠すためにイクオを止めません。室田の存在を思い出し、捜査を前へ進めています。
イクオは結子の事件によって警察全体を憎んできました。しかし美月、坂東、橘、三島のように、組織の中で人と真実を守ろうとする警察官もいます。
誰が金時計側で、誰が法を守ろうとしているのかを区別しなければ、イクオの復讐は警察官というだけで相手を敵にする中嶋と同じ道へ近づいてしまいます。
美月と蝶野が近づいた二匹の龍の秘密
イクオと竜哉は20年間、刑事と極道としての接点を隠してきました。しかし蝶野は事件の結果から、美月は病院での目撃から、二人が協力している可能性へ近づいています。
利益の流れから関係を見抜く蝶野
蝶野が注目したのは、イクオと竜哉が会っている証拠ではなく、イクオが解決した事件の結果です。検挙された人物や壊滅した組織を整理すると、松江組や竜哉に有利な状況が生まれています。
イクオの高い検挙率が本人の能力だけでは説明できないことも、蝶野は以前から疑っていました。裏社会から情報を得ていると考えれば、不可解だった成果にも筋が通ります。
蝶野は嫌味な態度を見せますが、刑事としては正しい順序で疑っています。感情でイクオを犯人扱いするのではなく、事件と利益の因果を積み上げているのです。
病院で竜哉を見た美月の確信
美月は、坂東が襲われた病院から竜哉が出てくる場面を目撃します。イクオが中嶋へたどり着いたタイミングと、竜哉が病院にいた事実が重なりました。
美月にとって、これまではイクオの秘密へ竜哉が関わっている可能性にすぎませんでした。しかし実際に姿を見たことで、二人の関係を直接問いただす理由が生まれます。
イクオが美月を信頼しているなら、本当の関係を話すべきです。しかし話せば、美月は警察官として竜哉の犯罪やイクオの情報漏洩を無視できません。
相棒として近づくほど秘密が崩れるという矛盾が、第4話の終盤で限界へ近づきました。
竜哉の直参入りが広げる秘密の危険
竜哉が我孫子会の直参へ進めば、扱える情報と人脈は増えます。その一方で、警察から注目される機会も大きくなり、蝶野の捜査対象としてさらに目立つことになります。
松江組の若頭であれば裏から動けた事件でも、直参として自分の組を持てば、行動の一つひとつが組織の利益と結びつきます。イクオとの情報交換が発覚した際の影響も大きくなるでしょう。
出世は20年前の真相へ近づく手段ですが、イクオとの秘密を守ることを難しくする変化でもあります。二人は警察と裏社会でそれぞれ上へ進みながら、互いのいる場所からは少しずつ遠ざかっています。
ドラマ「ウロボロス~この愛こそ、正義。」第4話を見終わった後の感想&考察

第4話で最も印象に残ったのは、イクオが自分と同じ復讐者を逮捕する立場になったことです。中嶋を止めることは正しい一方、その正しさを認めれば、イクオ自身の復讐も問い直さなければなりません。
中嶋を逮捕することで自分の復讐まで揺らぐイクオ
中嶋とイクオは、警察組織によって家族を奪われたという共通点を持っています。二人の違いは傷の深さではなく、その傷を抱えた後に何を選ぶかです。
中嶋とイクオを生んだ同じ警察の隠蔽
中嶋の父・室田は、警察の違法捜査を隠すための犠牲となりました。イクオと竜哉の証言も、結子殺害事件を隠すために金時計の男から握りつぶされています。
どちらの事件でも、警察は真実を調べるのではなく、組織にとって都合のよい結末を作りました。その結果、残された子供は警察を信じられなくなり、自分の手で裁くことを選びます。
中嶋の犯行を異常な個人犯罪として終わらせるだけでは、事件の根は残ります。中嶋を殺人犯にした直接の選択は本人のものですが、その選択を育てたのは組織的な隠蔽と責任転嫁でした。
理解できる怒りと許されない殺人の境界
中嶋が父の無念を晴らしたいと願うことは理解できます。父を踏み台にして出世し、その名前さえ忘れた警察官たちへ怒るのも当然でしょう。
しかし被害者を殺し、切断して箱へ詰めた時点で、中嶋の行動は父の名誉を取り戻すことから離れています。父を利用した警察と同じように、自分の目的のために他者の命と尊厳を奪いました。
復讐が正義から殺人へ変わる境界は、怒りの正当性ではなく、相手の命を自分だけの判断で奪うかどうかにあります。中嶋事件はその境界を明確に示しました。
中嶋を止めたイクオは自分も止められるのか
イクオは中嶋を逮捕する側へ立ちました。しかし第1話と第2話では、石森や神谷を法へ引き渡さず、竜哉との私的制裁を選んでいます。
中嶋へ復讐をやめろと告げるなら、イクオも金時計の男を見つけたとき、法の外で殺すという目的を考え直さなければなりません。相手がより大きな悪だからという理由だけで、同じ行為が正義へ変わるわけではないからです。
イクオが中嶋を生きたまま逮捕したことは、復讐者としての自分を完全に肯定できなくなった最初の転機に見えます。
美月が中嶋へ示した考えは、結子が二人へ教えた人の道にもつながります。イクオがその言葉を自分の復讐へ向けられるかどうかが、今後の大きな焦点になりそうです。
組織の不正を一人へ押しつける残酷さ
中嶋事件の発端は、違法捜査そのものだけではありません。不正へ関わった複数の警察官を守るため、組織が最も切り捨てやすい室田一人へ責任を集中させたことです。
優秀な警察官を守るため犠牲にされた室田
警察上層部は、将来を期待できる坂東たちを守ることが、組織や治安を守ることだと考えたのでしょう。その判断によって、室田は事実とは異なる形で無能な警察官にされました。
組織の利益という言葉を使えば、一人の犠牲を合理的な判断に見せることができます。しかし、その一人にも家庭があり、名誉と生活があります。
室田を切り捨てた結果、本人だけでなく家族全体が壊れ、何年も後に警察官連続殺人が起きました。目の前の不祥事を隠した判断が、より大きな犯罪を生んだのです。
坂東は仲間を守る沈黙から真実を選べたのか
坂東は当初、同期の過去についてイクオへ詳しく話しませんでした。殺された仲間への友情だけでなく、自分たちの違法捜査と室田の犠牲を表へ出したくない気持ちもあったと考えられます。
それでも坂東は、最後まで中嶋を悪人として切り捨てません。自分が狙われても事件から逃げず、中嶋の父を忘れていた責任へ向き合おうとします。
坂東ができたのは過去を元に戻すことではありません。しかし中嶋を殺して口を封じるのではなく、逮捕して事件を表へ出す道を受け入れました。
過去の仲間を守ることと刑事として真実を守ることが衝突した末に、坂東は後者へ進んだと受け取れます。
公表してもすべてが救われない結末
圀彦の判断により、中嶋の逮捕と現在の連続殺人は公表されます。しかし室田へ責任を押しつけた警察官たちの過去まで、同じ重さで裁かれたわけではありません。
中嶋は殺人犯として処罰され、被害者たちは警察官として悼まれます。その一方、事件の根にある組織の責任は、個々人の犯罪より見えにくいままです。
だからこそ坂東にも、事件が解決したという晴れやかさはありません。中嶋を逮捕しても、室田の人生と中嶋の幼少期を取り戻すことはできないからです。
第4話は真実を公表すればすべて解決するとは描かず、隠蔽が生んだ傷は公表後も残り続けることまで示していました。
警察をすべて敵だと思えなくなったイクオ
イクオは警察への復讐心を抱きながら、警察官として人を守っています。第4話では、組織を守るために真実を消す者と、不完全でも真実を表へ出そうとする者の違いが見えてきました。
美月・橘・坂東が見せる警察官の正義
美月は中嶋の事情へ同情しても、復讐の連鎖を肯定しません。橘は組織内の立場を守ることより、イクオへ必要な手掛かりを渡し、事件を解決することを優先しました。
坂東もまた、自分が殺されかねない状況で捜査を続けます。過去に過ちがあったとしても、現在の被害を止めようとする刑事としての責任は捨てませんでした。
イクオが憎むべき相手は警察官全員ではなく、権力を使って人の命と真実を切り捨てた者たちです。この区別を持てなければ、警察官という属性だけで復讐対象を選んだ中嶋と同じになります。
公表を選んだ圀彦がさらに読めなくなった
圀彦は金時計を持ち、イクオの人事を動かし、冷たい態度で周囲を警戒させます。そのため20年前の事件を隠した側の人物に見えていました。
ところが第4話では、北川の隠蔽を止め、現在の不祥事を公表すると決めます。娘の相棒であるイクオが北川へ手を出したことも、その場では問題にしませんでした。
この行動だけを見れば、圀彦は腐敗した警察を内部から変えようとする人物にも見えます。一方、真実を公表することで自分への信頼を得ようとしている可能性も残ります。
怪しさが消えたのではなく、善悪のどちらかへ簡単に分類できなくなった点が重要です。圀彦の行動は、金時計を持つ人物が全員同じ目的で動いているとは限らない可能性も感じさせました。
蝶野は嫌味でも正しい捜査をしている
蝶野は新宿第二署を見下し、竜哉への執着も強いため、主人公たちの邪魔をする刑事に見えます。しかしイクオと竜哉の関係については、かなり正確な疑い方をしています。
イクオの高い検挙率、事件後に得をする松江組、現場へ現れる竜哉。それぞれを感情ではなく因果で結びつけ、二人が情報を共有している可能性へたどり着きました。
イクオたちにとって蝶野は危険ですが、刑事として見れば犯罪と情報漏洩を追っているだけです。二人が正義のために動いているからといって、警察情報を極道へ渡すことまで見逃す理由はありません。
蝶野の疑いが深まるほど、イクオと竜哉は自分たちの正義を外部へ説明できるのかを問われることになります。
竜哉の昇格が真相と日常の距離を広げる
イクオが警察の中枢へ進む一方、竜哉も我孫子会の直参へ近づきます。二人は同じ目的のために上へ進んでいますが、その出世は普通の人生へ戻る道を狭くするものです。
直参入りは復讐へ近づくための出世
竜哉は極道の頂点へ立つこと自体を望んでいるわけではありません。結子殺害事件に関わった権力者と裏社会のつながりを探るため、利用できる地位を求めています。
直参となれば、我孫子会のより深い情報へ接触し、金時計を持つ人物へ近づける可能性があります。しかし、組織の利益や抗争から自由ではいられません。
竜哉は真相へ一歩近づくたびに、極道として引き返せない場所へ進んでいます。復讐を終えた後の人生より、復讐を果たすまでの力だけを選び続けているのです。
イクオだけを表の世界へ残そうとする竜哉
中嶋の制圧でも、竜哉は坂東を救いながら、最終的な逮捕はイクオと美月へ任せます。自分は医師へ変装し、事件後には目立たないよう病院を去りました。
竜哉は汚れた役割を自分が引き受け、イクオを警察官として残そうとしているように見えます。しかし実際には、イクオも竜哉の協力を隠し、警察内部で嘘をつかなければなりません。
竜哉の自己犠牲はイクオを自由にするのではなく、二人を共通の秘密へ縛ります。美月と蝶野が関係へ近づいたことで、その守り方も限界を迎え始めました。
第4話が残した復讐者への問い
中嶋は父のために復讐し、殺人犯になりました。イクオと竜哉も結子のために復讐し、すでに法の外で人を裁いています。
二人は中嶋のようにはならないと思いたくても、違いはまだ決定的ではありません。目的が愛する人の無念を晴らすことでも、殺人を正義に変えることはできないからです。
第4話は、イクオが中嶋を裁いた回であると同時に、その裁きがいつか自分と竜哉へ返ってくることを示した回でした。
桂田の死、結子の写真、圀彦の人事、美月と蝶野の疑い。真相へ近づく手掛かりは増えましたが、二人の秘密を守れる時間は確実に短くなっています。
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